Perfumeがブレイクするきっかけとなった一連のミュージックビデオ(以下、MV)やアートワーク、『第14回文化庁メディア芸術祭』エンターテインメント部門の優秀賞を受賞したサカナクションの“アルクアラウンド”など、他に例のない仕掛けで音楽と映像の見事なコラボレーションを実現してきた映像作家・関和亮。大ヒットした映画&ドラマ『モテキ』や『恋の渦』など多数の個性的な話題作を筆頭に、MV、舞台演出など多彩なジャンルで活躍する映画監督 / ドラマディレクターの大根仁。日本の映像文化の最先端を担う二人が顔を揃えたのが、先日2.5Dで開催された公開講座『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』でした。二人の独創的なアイデアはいかに培われていったのか? お互いのキャリアを振り返りながら、映像業界の現状、そこで映像作家として大切にしていることなどについて、講座の終了後に初対談していただきました。これから映像作家を目指す方に向けてのお言葉も、必見です!
何でもできるという自負が、ここまで自分を引っ張ってきてくれたのかな。(大根)
―お二人は現在、映像業界のトップクリエイターとしてご活躍ですが、若い頃から映像制作の現場で働いてきた生え抜きなんですよね。
大根:そうですね。関さんは何年生まれ?
関:1976年です。
大根:僕はそれより一世代上の1968年なんで……この世界に入ったのは、今よりもうちょっと業界が乱暴な頃かな? バブル真っ盛りで、仕事は腐るほどあるから誰でも入ってこいという。
関:今とは逆ですよね(笑)。僕のときもまだそういうノリはあって、素人でもいいから、仕事は現場で覚えろよと。だから僕自身も、現場でガムテープの呼び方から教わった感じです。
大根:なるほどね。
関:ただ、ちょうどデジカメが出だしたときだったので、それまでに比べて制作費が激減しました。僕なんかは、その第一世代。ある意味、大変な時代だったかも知れません。
大根:僕は今思うとラッキーだったかな。堤幸彦という人に拾われて業界に入ったんだけど、堤さんもまだ34、5歳で、ドラマや映画監督としてメジャーブレイクする前だったんです。業界では「何でもできる堤ちゃん」と言われて、テレビのバラエティーからドラマ、映画、舞台演出、CMと、ありとあらゆる映像を撮っていた。僕は入って2、3年でその現場に全部つかせてもらえたんですよ。
関:ほぉ〜!! それはすごい経験ですね。
大根:逆にいえば、育ちが悪いってことなんだけどね(笑)。でもひとつの仕事に特化せずにいろいろやっちゃったんで、アシスタントとして広く浅く知識と技術は身についた。何でもできるという自負が、ここまで自分を引っ張ってきてくれたのかな。
『UTB映像アカデミーPresents あの人の企画書 -映像制作の最前線から-』の模様
関:そこは僕も同じですね。僕の場合、横の繋がりで仕事内容もよく知らずにたまたま入ったのが、デザイン会社だったんですよ。だから最初はデザイン仕事のほうが多くて、そこで鍛えられているうちに映像の仕事にも出会えて。そうやって、デザインもムービーも何でも作る体勢になっていきました。
―お二人とも現場叩き上げでありつつ、映像制作以外のこともやってきた経験が、今に活かされているわけですね。
大根:色んなことを知っていると、現場で役に立つんですよ。何でもできるからこそ、客観的な見方をする。どんな現場でもワンコンセプトで押し切るだけじゃなく、手を替え品を替えいろいろやりたくなってしまう。お客さんからすれば、どんな素晴らしい映像だって飽きるじゃないですか。MVだったら映像の良さだけで耐えられるのはワンコーラスくらいですよ(笑)。繰り返し見たいと思ってもらうには展開が必要だし、そのためには守備範囲の広さがあったほうがいい。
関:同感です。大根さんはワンコーラスとおっしゃいましたけど、実際は5秒、10秒の世界だったりしますよね(笑)。どうしても人間は刺激を求めるから、MVにも伏線や展開がないと面白くないんです。だから映像作家になりたい人も、映像だけ作ってるんじゃなくて、大工をやったり漁師をやったりしてみたほうが、いろんなアイデアを出せるようになるのかも知れない。まあそれは物理的に無理なので、手を替え品を替え考えていくんですよね。
僕が人に勝てることは何か? その1つは、楽曲やアーティストへの愛情。どんなMVでも、楽曲とアーティストを愛する気持ちは他の誰にも負けないようにしたい。(関)
―ここまでのお話においては共通項の多いお二人ですが、映像作品自体はそれぞれの個性がありますよね。お互いどういう印象をお持ちですか?
大根:僕はMVが華やかなりし頃に業界に入ったし、若い頃は格好いい映像に憧れますから、僕自身もMVをいくつか撮らせてもらってました。でも、ビジュアル的なセンスが足りなくて、20代でその道を諦めたんですよ。
関:ええ? そうなんですか?
大根:そうそう。もちろん今でもMVを作ることはあるけど、自分がやりたいものしかやらないし、例えばこの前やったマキシマム ザ ホルモンのMVも、いろんな映像作家の手を借りて作っているので、僕はクリエイティブディレクター的な立ち位置なんです。
関:ああなるほど、そういうことですね。
大根:でも昔からMVを見るのは大好きでね。日本にはその人の時代ってあるじゃないですか。中野(裕之)さんの時代、(坂西)伊作さんの時代、武藤(真志)さんの時代……だいたいMVの1つの「時代」は5、6人のクリエイターで形成されてて、ちょっとずつ入れ替わっていく。そして今の時代においてのトップグループに関さんは間違いなく入っているし、作品もよく見てるんです。
関:いや〜……(恐縮)。
大根:明確に関さんの名前を意識したのはサカナクションの“アルクアラウンド”からですけど、児玉(裕一)さんや辻川(幸一郎)さんと並んで、今一番イケてるMVを作る方という認識ですね。なおかつ、作る数も多くてたいしたものだなと。
関:涙が出そうです……(さらに恐縮)。
大根:悪い気しないでしょ?(笑)
関:大根さん、褒めるの上手いから! 僕にとって大根さんはもう大先輩ですし、いろいろ拝見してきたんですけど……『モテキ』はもちろんのこと、大根さんの作品は見ていていつもドキドキするんですよ。「これは演出の力!」というシーンが随所にある。とても尊敬しています。
大根:そういえば、関さんは自分でカメラ回すの?
関:いえ、自分で撮るのは写真だけです。ムービーまでは手が回らなくて。大根さんはご自分で?
大根:僕は作品によってだけど、『モテキ』は回してました。
関:凄いですね!
大根:必要に駆られてですけどね。ドラマや映画の現場って、だいたいモニターが中心じゃないですか。モニターの前に監督が座って、その周りでスタッフが見てて、「よーい、スタート」「カット、はいチェックします」っていうのが普通なんだけど、そういう現場はもうナイなと思ったのが『モテキ』のドラマ版で。女優をエロく撮りたかったから、だったら自分で回そうと。まぁ……ハメ撮りみたいな感じですよ(笑)。
関:そうか! だから見ててドキドキしたんですね!(笑)
大根:あと、プロの画角に飽きたということもありますね。だから『モテキ』では、「カット割りをしない」と「モニター排除」と「俺が回す」の3つがテーマだった。なので、役者にも映像チェックはさせてませんね。
関:大事なのは空気感ですしね、今いい画が撮れたという。
大根:そうそう。そういうところでいうと関さんのMVは、アーティストとの関係がすごく幸せそうに見えますね。「お仕事」でやってない感じ。
関:そうおっしゃっていただけると、とても嬉しいですね。今日、大根さんと登壇させていただいたイベントの中でも、クリエイターや企画にとって大事なのは理屈や技術だけじゃなく、最終的には情熱だという話が出ましたけど、本当にそう。僕が人に勝てることは何か? そのひとつは、楽曲やアーティストへの愛情。どんなMVでも、楽曲とアーティストを愛する気持ちは他の誰にも負けないようにしたいと思っていますよね。ただ……それが1回こっきりで終わることもあるんですが(苦笑)。
大根:うん。
関:あれ? あんなに愛し合ったのに、次は……?(笑)
大根:それは、クライアントという名の親がね、あの二人は別れさせたほうがいいと……(苦笑)。
関:あぁ……特に僕の商売なんかはお座敷商売のところがあるので。お客様から声が掛かればいろんなお座敷で全力を尽くしておひねりを貰う。それでいいんじゃないかと思うんですよ。
大根:CMなんかは、まさにそれですよね。
関:そうですね!
大根:だから僕なんかには、CMは声が掛からない。たぶんコイツは客の言うこと聞かないと思われてるから。僕も芸者意識はあるんですよ? でも芸者の中でも「このお座敷イヤ〜」って言っちゃうタイプだと。
関:あははは! でも、そういう娘に限ってモテるんですよね。そしてそうなるためには、さっきの話じゃないですが、自分の武器を1つ持っておいたほうがいいんですよね。
人の転機というのは面白いもので、金もないスケジュールもない、じゃあどうしよう? という時代に作った作品は、どの監督も一番輝いてるものなんですよ。(大根)
―ではその武器となる独自性を得られた転機は、いつだったんでしょうか?
大根:僕の場合、メジャー作品でいえば『モテキ』なんでしょうけど、自分としては、僕が32、3歳の頃にフジテレビの深夜でジャニーズの役者を使って小劇場演劇作品をドラマ化した『演技者。』ですね。総合演出を任されたんですが、扱う戯曲もキャスティングも選べるし、脚本も自分で書いていいと言われたんです。もともとプロデューサー的視点を持ったディレクターであるという自負はあったんですけど、『演技者。』でそれを存分に出すことができて、「あ、俺の武器はこれかな?」という手応えを持ちましたね。ジャニーズという超メジャーと小劇場演劇というマイナーを掛け合わせる。脚本も自分で書く。それが『モテキ』にも繋がっているんじゃないかと思いますね。
関:なるほど。僕の転機というのは……人に名前を知ってもらったという意味でサカナクション。あとはやはりPerfumeでしょうか。
大根:Perfumeで手応えを感じたのは、わりと初期の頃ですか?
関:そう、“チョコレイト・ディスコ”とか“コンピューターシティ”ですね。それまではCGを使ったりいろいろやってたんですけど、ローテクでも大丈夫なんだなって。それが彼女たちに合っていたというのもありますが。
大根:関さんが幸せだなと思うのは、Perfumeのブレイク前夜から世の中を巻き込んでいく流れに一緒にいられたことですよ。
関:そう、インディーズのときにたまたま依頼されて……20代後半に本当にいい出会いをさせてもらった。それこそ、僕のアーカイブなんてそれ以前は何もなかったですし、Perfumeをやらなかったら今の僕はなかったかも知れません。
大根:人の転機というのは面白いものでね。ジャンクフードや立ち食い蕎麦がなぜか美味いのと同じで、金もないスケジュールもない、じゃあどうしよう? という時代に作った作品は、どの監督も一番輝いてるものなんですよ。売れる売れないはまた別の話として、初期衝動から始まりテクニックを身に付けて、心技体が揃ったときというのかな? 「俺はコレだ!」とビシッと来る瞬間が、監督なら誰にもある。また、その頃の拙さが良かったりする。「拙いからいい」というあの感覚は、そういうときにしか出せないんですよね。
関:わかります。僕もたまに、自分で撮った昔のPerfumeのMVを見返すんですけど、あれは超えられないなと思いますから。
大根:僕もドラマなら『演技者。』で撮った数本がそう。あの頃のがむしゃらさは、もう出すことはできないのかなと思ってたけど、先日公開した『恋の渦』という自主映画は、その頃の情熱を取り戻せた感じがありましたね。ちょっとだけ。
MVに関していえば、ニコニコ動画の効果などもあり、プロとアマチュアの境目はなくなってきてるんですよ。(関)
―ではちょっと話を変えて、今、音楽業界はCDが売れず、出版業界は本が売れず、既存のエンターテイメント産業の多くが不況と言われていますが、映像業界はいかがでしょう。現状をどう捉えられていますか?
関:MV業界の予算的な側面でいえば、今が底辺かも知れないですね。本当に大変です。でも、インターネットなどを含めて、映像作品を見る環境は以前より格段に整っていますから、新しい人が出てくるチャンスも広がっている。あとは、映像作家で生活できるかどうかですけど……今がギリギリかも?
大根:うーん、MVだけで食っていくのはキツい時代ですよね。
関:たしかに、今はまだいらっしゃいますけど。でも違う視点でいえば、CMやウェブのコンテンツにMV的感性を求めるクライアントさんも増えているので、そっちに仕事の幅を広げれば……。
大根:ありますよね、MVとCM連動で作ってくれとか。
―映画、ドラマ業界のほうはいかがでしょうか?
大根:うーん、映画のほうは相変わらずという気がしてますね。関さんはMVの予算が底辺とおっしゃいましたけど、それはかつてが異常だったと考えたほうがいいんじゃないかな(笑)。
関:あー、そうですね。
大根:テレビ、映画業界に関してはどうだろう? よく言われるのは、大予算作品と低予算作品に2極化しているので、ミディアムヒットがない。そこは厳しいなと思いますね。『モテキ』もヒットはしましたけど、東宝メジャー作品としては予算も低め。だから……もしかしたらあれで、僕にローリスクハイリターンなイメージが付いちゃったかも知れない(笑)。
関:僕もそうなんですよ! 予算少なくても話題作を作れるディレクターだと思われている節がありますね(笑)。
―という状況のなかでも、プロの映像作家になりたい人はますます増えているように感じます。今日のイベントにも映像作家志望の方が多数詰めかけてましたね。
関:ここ数年、僕もよくそういう話を聞くんですが、ことMVに関していえば、ニコニコ動画の効果などもあり、プロとアマチュアの境目はなくなってきてるんですよ。「これ、素人さんが作ったの?」と思う動画もたくさんある。いい機材も今は安く揃えられますし。
大根:勝手に作ってみた系の作品が、ほんとに良かったりしますからね。自主映画のシーンも広がっていってると思いますよ、以前より。だけど……僕もよく若い監督志望者に向けてのアドバイスを求められたりするんですが……ないんですよ、ホントに。さっきのイベントでもさんざん言いましたけど、言えるのは「撮りたきゃ、好きに撮ればいい」だけで(苦笑)。今はデジカメにだってスマホにだって、動画撮影機能いくらでも付いてるじゃないですか。それで撮ればいいんです!
関:あとね、よく聞くのが「◯◯が撮りたい」じゃなく、「映像作家になりたい」と言う人。あれは困る。ふざけんじゃない! と思いますよね?
大根:そうそう!
関:とある有名な映画監督が「映画監督になりたい」と「映画を撮りたい」は別だとおっしゃったそうですが、全くその通りで。たしかに僕も若い頃は映画監督に憧れましたけど、映像の仕事は監督だけじゃない。僕は途中で技術職のほうが向いてることに気がついて、作る作品の方向も変化していきましたからね。だから……映像の仕事をしたかったら、講座のときの大根さんの言葉じゃないですけど、「監督なんかなれっこない」と思ってたほうがいいんですよ。
大根:シーンとしちゃったけどね、会場が(笑)。実際いますからね、同じように監督目指してADを始めても、プロデューサーとして売れっ子になったヤツもいれば、編集が好きになってオペレーターになったヤツもいます。
関:問題は映像が好きかどうかだけで、監督だけが終着点じゃない。
大根:うんうん(深く頷く)。
結局、教わることでも教えることでもないんですよね、いい企画の作り方も、いい画の撮り方も。(関)
―今のお話に加えて、プロとして長く映像を撮る仕事をしたいなら、お二人のように他にはない武器を持つことも大事ですよね?
関:「他の人がしないことは何だろう?」を考えることですね。さっきのイベントのテーマだった「企画書」じゃないですけど、人と同じ企画を考えていてもいいモノにはならないんです。というと、どうしたら人と違うアイデアが思いつくのか? と聞かれますが……それが分かっていたら、もっと偉くなってるだろうな(笑)。
大根:そうだよね、監督なんかやってないで、コンサルタントで大儲けしますよ(笑)。
関:結局、教わることでも教えることでもないんですよね、いい企画の作り方も、いい画の撮り方も。やれることがあるとすれば、大根さんのような先輩の経験をもとに、「じゃあ自分ならどうするか?」を探すこと。いろんなものを見て、吸収して、自分の作品に採り入れながら。でも、採り入れるものが同じジャンルじゃ意味がないんですよ。MVを撮るのに、他のMVを参考にしちゃダメ。
大根:それはただのコピーですからね。僕もいろいろなサンプリングを繰り返して撮ってきたんですけど、一時期、明らかに師匠である堤幸彦の劣化コピーみたいなこともやっていたんです。でも、それじゃまずいと思って、まず堤さんがやっていないことをピックアップして、やっていこうと思った。堤さんは脚本を書かないから、書いてみよう。堤さんはカット割り重視だから、僕はライブな撮り方をしよう。編集はある程度お任せでやっているから、僕はイチから編集しよう。自分でカメラを回すのも、モニターを置かないのもたぶん同じ考え。尊敬する人と逆のやり方をしてみるのも、自分の武器を見付けるには、アリだと思いますね。
関:面白いですよね。イベントの席で大根さんは「今までさんざんオマージュやサンプリングで作品を作ってきた」とおっしゃってましたが、その大根さんこそが、今は他が真似できないオリジナルをやられている。僕だってゼロからオリジナルなものを作ってきたわけじゃない。いろんなものが混ざり合ってる今の作風が注目されているわけですから……言ってることとやってることが矛盾しちゃってて(笑)。
大根:はは、たしかにね(笑)。
関:逆に、MVなんかは映画と違って数を撮るから、どうしても「これは前もやったな」というものが出てきてしまう。そうなると今度は自分自身が超えるべき敵になってしまうので、そこはいつも悩みどころです。
大根:そこから出てくるものが、「なんだこれ?」と思ってもらえたら万々歳でね。僕にとっては「なんだこれ?」が一番の褒め言葉だから。
関:それが今の時代にもフィットしていますよね。「なんだこれ? なんか面白いぞ」というのが拡散して広まり、評価に繋がっていく。“アルクアラウンド”を撮り終わったときも、僕の感想は「なんかヘンで面白いのができた」だったんです。名作ができたなんて感覚は全くなかった。それを僕と同じように「ヘンなMVがあるぞ」と面白がってくれた人たちが、ネット上で拡散してくれたから話題になった。これがテレビだけだったら、面白いと思われたかどうかわかりません。ネット上で繰り返し見られたからこそ、伝わった面白さだと思います。今の時代ならではでしょうね。
大根:僕もネットの力は感じてますね。ネットで情報や感想が広がることで、思いも寄らない人に作品を見てもらえている実感はあるし、情報が広がるスピードも昔とは全然違いますよね。
関:悪いほうの情報も広がるのが速いですしね(笑)。これだけコンピュータ文化が広がれば、これから映像作品を作る人たちは、CGや他のインターネットコンテンツの知識もどんどん必要になっていくでしょう。映像表現自体の幅が広がっているんですから、目線が狭くなってしまってはもったいないですからね。
大根:そして、現場を楽しむことかな。映像の監督の仕事というのは、現場で起きるトラブルを結果オーライにすることなんですよ。さっきのイベントでも関さんが、“アルクアラウンド”の撮影現場では、計画してたのに実際やってみたらできなかったアイデアがたくさんあったと言ってたじゃない? でも結果的に、あんなに面白いMVが撮れた。
関:それは、周りの人の意見を現場でどんどん採り入れて、こっちがダメならあっち、と切り替えることができたからでしょうね。
大根:それも映像制作では大切なことですよ。じゃないと、現場が楽しくならない。僕も映画を撮るときは、僕だけの意見に寄らず、なるべくスタッフの意見が入り込む隙間を作るようにしてます。「これ、どう思う?」と聞いてみたり。映像は監督1人で作れるものじゃないですからね。
関:コミュニケーションは取って損はないですよね?
大根:まぁ、映像作家に必要なことなんて、僕らが教えられるようなもんじゃないってさっきから言ってるのに……なんだかアドバイスチックになってるのはイヤなんだけどねぇ(笑)。
関:という大先輩の背中を見ながら、これから映像作家を目指したい方が精進してくれればいいんじゃないですか?(笑)
大根:そう、映像作家になりたければ、とにかくお撮りなさいと。まぁ話はそこからですよ(笑)。
- 作品情報
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- 『恋の渦』
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2013年10月14日(月・祝)までオーディトリウム渋谷でレイトショー、ほか順次公開
監督:大根仁
原作・脚本:三浦大輔
出演:
新倉健太
若井尚子
柴田千紘
後藤ユウミ
松澤匠
上田祐揮
澤村大輔
圓谷健太
國武綾
松下貞治
配給:シネマ☆インパクト- 『恋の渦』公式サイト。「モテキ」の大根仁監督が三浦大輔(ポツドール)の原作を映画化!
- ESP/UTB映像アカデミー_コース紹介・プチ・クリエイターコース
- 映画学校・映像学校/UTB映像アカデミー(映画・映像専門の学校)
イベントを主催したUTB映像アカデミーでは、「とりあえず3か月で映像を作れる人になる」講座12期生を募集中。
宣伝・配給を学ぶ講座や、映像業界にコネ・経験を作る就職訓練コースも。
- プロフィール
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- 大根仁(おおね ひとし)
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1968年東京都生まれ。演出家・映像ディレクター。 「まほろ駅前番外地」「モテキ」「湯けむりスナイパー」などのテレビドラマ、フジファブリック「夜明けのBEAT」、マキシマム ザ ホルモン「予襲復讐」などのMV、ロックミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」などの舞台演出を手掛ける傍ら、ラジオパーソナリティ、コラム執筆、イベント主催など幅広く活動する。監督・脚本を手掛けた映画「モテキ」が2011年に公開し大ヒット。映画監督第二作目となるインディーズ映画「恋の渦」は、連日上映劇場のキャパシティーをオーバーする人気を博し、全国拡大公開中。
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- 関和亮(せき かずあき)
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1976年長野県生まれ。1998年トリプル・オーに参加。2000年より映像ディレクターとして活動を始め、2004年よりアート・ディレクター、フォトグラファーとしても活動。現在に至る。PerfumeのPVやアートワークも手掛ける。手がけたおもなミュージックビデオに、柴咲コウ『無形スピリット』、ねごと『カロン』、NICO Touches the Walls『手をたたけ』など。サカナクション「アルクアラウンド」MVにて『第14回文化庁メディア芸術祭』エンターテインメント部門優秀賞を受賞。
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