音楽やクリエイティブを巡る状況は、ここ数年、めまぐるしく変化している。インターネットの発達とスマートフォンの普及が、様々な人に機会をもたらすようになっている。たった10年前に比べても、個人のミュージシャンやアーティストが自分の表現を世に届けることのハードルは、格段に低くなった。かつては、メジャーなレコード会社からデビューしない限り、自分の音源を世界中に届けるのは難しかった。個人がプレイガイドを通してチケットを広く売り出すことも難しかった。しかし、いまや誰でもそれが可能になっている。多額の手数料を支払うこともなく、個人がインターネットを通して作品を販売し、集客できるようになった。そんな現在の状況の一翼を担うようになったのが、音楽ディストリビューションサービスTUNECORE JAPAN(チューンコアジャパン)であり、イベント管理サービスPeatix(ピーティックス)だ。
今回、それぞれのサービスを手掛けるPeatix代表の原田卓氏、TUNECOREの日本版であるTUNECORE JAPAN代表の野田威一郎氏の対談が実現。共に音楽やITの業界を経て起業した二人に、サービスを通して目指すこと、今という時代をどう見ているかについて、語り合ってもらった。そして、話は今の日本の音楽業界に根付く様々な問題意識についても、膨らんでいった。
そもそもPeatixとTUNECOREって、どんなサービス?
―今回はお二人に音楽とITの新しい関係について語り合っていただこうと思うんですが、その前に、それぞれのサービスについて簡単に紹介してもらってよろしいでしょうか。
原田:Peatixは誰でもイベント管理とチケット販売ができるクラウドプラットフォームですね。2011年5月に日本でスタートしました。インディーズのアーティストのライブでも、結婚式の二次会でも、合コンでも、イベントを開催しようと思えば、Peatix.comのサイトで簡単にイベントページと電子チケットが作成できる。それを公開して、主にソーシャルメディアを通して告知して、電子チケットを売ることができる。そういうサービスです。
野田:TUNECORE JAPANは、誰でも世界中の配信ストアでデジタル音楽を販売できるようにお手伝いをするサービスですね。アーティストとオンライン上の配信ストアを繋ぐプラットフォームとしてやっています。デジタル音楽のディストリビューション会社、ないしはアグリゲーターと言われる立ち位置で、日本で始まったのは2012年ですが、TUNECORE自体は実はアメリカで2006年から始まっているサービスなんです。その日本版という立ち位置ですね。
―TUNECORE JAPANに登録すると誰でもiTunesやAmazonなどで曲が売れるという感じ?
野田:はい、簡単に言うとそんな感じですね。で、手数料は1曲あたり1,410円(税抜)です。その金額を支払えば世界中に配信できて、そこで上がった収益は100%アーティストに還元する。そういうサービスです。
―PeatixとTUNECORE JAPANについて、原田さんと野田さんは、お互いに初期からご存知でした?
野田:知ってました。僕はもともとインターネットマーケティングのアドウェイズという会社で働いていて、モバイルに特化したウェブサービスを長いこと手掛けていたんですね。そういう流れで、いろんなITサービスの情報はチェックしていたんです。
原田:僕も知ってました。それこそ、僕は以前日本のアップルにいて、iTunesの立ち上げを経験しているので、TUNECOREなどアグリゲーションのプラットフォームの仕組みとか取り決めを含めて、かなり詳しく知っていました。その当時、TUNECOREは日本ではまだスタートしていなかったんですけど、仕組みが画期的だったんですよ。他のアグリゲーターは売り上げの何%かという形で手数料がかかるんですよね。
野田:そうですね、だいたい皆さん15%とか20%くらいですね。
原田:それに対してTUNECOREは低価格で定額なんですよ。だから、何曲売れても手数料が変わらない。
野田:そうですね。なので売れたぶんだけアーティストに還元することができる。このモデルだけは世界でもTUNECOREだけだと思います。というのも、まあ、儲からないんです(笑)。
一同:(笑)
野田:ただ、そもそものコンセプトがアーティストに還元しようというものなので、このビジネスモデルが実は一番しっくりくるんです。100%還元するわけですから、そこの割合は競合には絶対負けないですね。
―Peatixにも「アーティストに還元しよう」というようなコンセプトはあるんでしょうか。
原田:そこはまさに意識していますね。チケット会社は昔からいくつもあると思うんですけど、駆け出しのインディーズアーティストにとって、大手のプレイガイドを使うのはコストもハードルも非常に高いんです。そういった問題を解決しようというのが、そもそもの発端でした。今は音楽以外の分野のイベントでも広く使われるようにはなりましたが、アーティストに還元することは今も意識していますね。チケットの販売手数料は2.9%+70円で業界最安水準、審査もなく誰でも5分もあればチケット販売を開始できます。また最近は、数百人規模のイベントでも協賛社を紹介し、スポンサー収入が得られるプログラムも開始しました。
「2011年あたりにいよいよスマートフォンが普及してきた。そこで音楽業界が変わると僕は思ったんです」(野田)
―Peatixは2011年、TUNECORE JAPANは2012年にスタートしていますよね。2010年代になって、クリエイター向けのサービスが成立しうる時代の変化、風向きの変化を感じたということはありますか?
原田:うーん……正直、まだまだだとは思うんです。でも確実に、大手が独占する世の中ではなくなってきている。インターネットによって個人のエンパワーメントが実現する。そういう流れは絶対にあると思うし、そうした大きな流れの中で登場したサービスなんだと思います。だから、今は長い目で見て、遠い将来に向けて頑張ってるところですね。
―野田さんはどうでしょう?
野田:TUNECORE JAPANが2012年にスタートしたのは、スマートフォンの影響が大きかったんです。それまではガラケーが支配的で、日本には着メロや着うたという文化があった。しかし2011年あたりにいよいよスマートフォンが普及してきた。そこで音楽業界が変わると僕は思ったんです。
―具体的には、どういった変化が起きると予測されたんですか?
野田:スマートフォンのアプリは、審査さえ通れば誰でも簡単に出せるわけですよね。当然そこでお金を稼ぐこともできるので、それを利用するクリエイターが増えてくると思いましたし、そこで何故日本では気軽にデジタル音楽を流通させることができないんだろう? と思ったんです。だからそれをネタに、アメリカ本国のTUNECOREに提案しにいったんですね。「日本は絶対これから音楽業界が変わるから、始めるなら今だよ」って。
「日本の音楽マーケットって、やっぱり権利関係がどこよりも複雑で、こういった新しいサービスを根付かせるのは、すごく大変なんですよね」(原田)
―お二人がサービスを立ち上げて、予想外だったところ、予想通りだったところは、それぞれどんな感じだったんでしょうか。
原田:まったく予想通りのことはなかったですね。サービスインして意外だったのは、まず音楽から使われるかと思ったら、むしろセミナーとか街コンとか、そういうところで使われるようになったんです。予想以上に広まったのでいいタイミングだったという印象はありますけれど、立ち上げ当時は想像もしなかったいろんな問題も、失敗も沢山ありました。
―音楽業界に話をしには行ったけど、なかなか動かなかったということもありました?
原田:それもありましたね。やっぱり、いろいろなしがらみがあるんですよ。僕はソニーミュージック、Amazon、アップルでもさんざん経験してきたんですけど、やっぱりレガシーなところがあるというか、新しいものにすぐ飛びつく業界ではないので。そこはまだまだこれからかなと思ってます。
―野田さんはそのあたり、どうですか?
野田:確かにTUNECORE JAPANの立ち上げ当初も、「こういうサービスがあったら絶対みんな使うでしょう!」っていう気持ちはあったんですけど、意外と反応が遅いな、っていうのは感じました。当初はもう少し会員が一気に増えるんじゃないかと思っていて。
原田:日本の音楽マーケットって、やっぱり権利関係がどこよりも複雑で、こういった新しいサービスを根付かせるのは、すごく大変なんですよね。だからTUNECORE JAPANはすごくよくやっているな、と端から見ていて思いますね。
野田:ありがとうございます。やっぱり権利の処理の問題については、まだまだやらなきゃいけないことが沢山ありますね。他の国にもそれぞれの国で著作権の問題があるんですけれど、やっぱり日本にも固有の問題が沢山あると思うので。
コンテンツビジネスのデジタル化が進むスピードに、権利処理などの仕組み作りが追いついていない
―なるほど。そこに関しては、実は僕自身もよくわからないことが多いんです。権利関係が大変で日本では新しいサービスが始まらないという話は知っているけれど、実際のところ、何がどう大変なのか、という。そこをできればお二人に訊きたいと思うんですが。
原田:これは野田さん話しにくいと思うので、何でも言える立場の僕から言いましょうか(笑)。
―(笑)。お願いします。
原田:やっぱり大手のメジャーレコード会社の、デジタルで1曲売れた時に取るお金の考え方がまずおかしいんですよね。それはCD時代の考え方を踏襲しているからなんですけど、CDには「パッケージ代」という考え方があって、CDのプラケースの製造費とか、ブックレットとか、音楽以外にかかる原材料代が定価の20%くらいを占めていたんです。例えば3,000円のCDの場合、3,000円×80%で2,400円。さらに返品率(返品控除)というのもあって、それが10%程度計上されるので、2,400円×90%で2,160円。この時点ですでにCD定価の3分の2くらいの金額になっていますが、アーティストの印税率や著作権使用料というは、定価の何%ではなく、定価からパッケージ代などを引かれたこの数字をベースに計算されるんです。もちろん例えばの話なので、割合はいろいろですけれどね。
―その数字はデジタル配信でも引き継がれているんですか?
原田:そう。返品もパッケージの製造費もないのに、なぜか20%取って、9掛けでやっている。要するに、6千億円あった日本のCD市場での価格、工場と流通システムを含めたメジャーレコード会社のコスト構造を考えた価格を、そのままデジタルの世界に持っていこうとしているんです。だから、おかしくなってしまった。特に日本はCD市場の落ち込みが海外に比べてなだらかだったから、余計にそこを守ろうとする力が働いてしまって、なかなかデジタル化が進まないっていう事情もあったと思います。CDの原盤権のあり方もすごく複雑ですからね。
野田:いろんなところで少しずつ時代に合わなくなっているという感覚は、僕もすごく思います。オンラインでデジタル音楽が実質的に消費されている形と、その権利を回収する形っていうのが、ちょっとズレてると思うんですよね。まず手続きが面倒くさいというか、アナログな仕組みの中でやっている。紙を用意しないといけないという大前提があったりする。
―というと?
野田:インディーアーティストが国内の著作権管理団体に依頼する際には、書類での手続きが必要であったり、ある一定の固定費を支払う必要があったりと、デジタル配信は手軽にできるようになったのに対して、意外とまだ手間がかかります。デジタルになり、管理しないといけない楽曲は増えていますが、管理依頼はアナログということです。世界ではそこのデジタル化、自動化するという段階には来ていますが、世界でもまだまだ、改善の余地がありそうです。
原田:でもまあ、誰も悪意があるわけじゃないからね。
野田:そう、仕組みだけの問題なんですよ。そこが解決すればいいんですよね。それと大きな問題として、日本のアーティストの楽曲が海外で使われた時に、海外で処理された著作権使用料が日本に帰ってくるルートが意外と複雑というか、まだちゃんとした仕組みが確立していない。国によっても違いますからね。そこを整備するのが、これからやるべきことだとは思います。
原田:欧米でもSpotifyなどサブスクリプション(定額制で聴き放題)サービスが普及したことで、また複雑なことになった感じがありますね。Spotifyの計算式が複雑なので、アーティストからすればどういう計算でいくらもらえるかっていうのが、よくわからない。
野田:そこもきっと、これから整備されていくところですね。
テクノロジーの進歩で、すべての人がチャンスを持つ時代に。先に進んでいるアメリカの状況は?
―まだまだこれからなところも沢山あるわけですが、少なくとも、大手メジャーの音楽産業だけではなく、個人が表現をして、それをお金に変えることができる世の中になってきているわけですよね。TUNECORE JAPANもPeatixも、そういう変化の前線にあるサービスだと思うんですけれども。お二人はそういう時代の変化について、どういう風に感じますか?
原田:すべての人がチャンスを持つようになったと思うんです。機会均等になった。ただ、本当にそれだけで生活できるかというと、それは別の話ですよ。野球をやってる人がみんなプロ野球選手になれるわけじゃないのと同じで。ただ、世界中に配信するにしても、ライブを開催するにあたっても、そのツールは揃っている。TUNECOREとかPeatixのようなサービスが出てきて、アンフェアな状況はなくなってきていると思いますね。
―そういう状況はアメリカのほうが進んでいるんでしょうか?
原田:そうですね。いまやアメリカではメジャーレーベルに属さないのに4万人のライブを動員できるようなアーティストが沢山いますからね。実際にそういう例が沢山あるので、まだ日本はこれからって感じだと思います。
野田:TUNECOREの事例を見ると、やっぱり自分たちでDIYでやってるアーティストが多いんですね。で、BandcampやTopspinのように自分たちの音楽やグッズを自分たちで販売できるネット系サービスを使ってる人もいれば、YouTubeを上手く使っている人もいる。アーティストそれぞれがいろんなスタイルでやってますね。もちろんメジャーでやっている人もいますけれど、ビルボードチャートに全然出てこないけど、月に数千万円ぐらい稼いでるようなアーティストもいる。
―それはどうやって稼いでるんですか?
野田:僕らが把握してるのはTUNECOREでの売上だけなので、そのうちのごく一部なんですけど、その他にライブや物販での収入があったり、YouTubeの広告収入、その他広告の音楽を作ったりなどでしょうね。これからの時代、収益のあげ方は千差万別だし、そこがアーティスト活動の個性の出し方だと思うんです。例えばSpotifyは儲からないと言っている人もいるけれど、その再生回数だけでかなりの金額を稼いでいるアーティストだっている。オンライン上のツールを上手く使ってるアーティストは多くなってきていて、特に海外ではYouTubeが多いし、日本ではニコニコ動画がそれにあたると思うんですけれども。
―ニコニコ動画には「クリエイター奨励プログラム(投稿作品に対して奨励金を支払う制度)」という仕組みがあって、総支払額が8億円を超えたというニュースが出てましたね。もちろんあそこは音楽だけじゃないですが、クリエイターに還元するという意味ではSpotifyもニコニコ動画も同じなのかなって思うんですけれども。
野田:そうですね、そこは同じだと思います。で、その中で楽しんで使っている人が上手くいってるんだろうと思いますね。
「ニッチなところまで広まってきて、僕ら自身、『こんなイベントあるんだ』って知るのがすごく楽しみなんですよ」(原田)
―では、海外や日本のそうした市況がある中で、サービスを始めた当初と今とで大きく変わったところはありますか?
野田:僕らはサービスインしてから1年半が経ったんですが、最初は個人のインディー系アーティストをターゲットにプランニングしてたんです。だけど最近は認知度が上がってきたのか、法人のレーベルさんとか事務所さんが使ってくれるようになったことが大きいです。サービス自体の成長は配信先のストアを地道に増やしてる感じです。最初にリリースした時はiTunesとAmazonだけしか配信できなかったんですけど、今は欧米で主流になりつつあるSpotifyやRdioのようなサブスクリプションサービスも追加しています。あとは単純にアーティストの収益金額も順調に増えていってますね。
原田:僕らは3年経ちましたが、まずモバイルが中心になってきたというのは大きいですね。それから、前は法人主催の規模の大きめなイベントが多かったんですけど、20人くらいの主婦、お母さんの集まりなど、地域とかコミュニティーに根差したイベントにも使ってもらえるようになってきている。思いもよらなかったニッチなところまで広まっているというのは、3年前と比べて明らかに違いますね。僕ら自身、会社に来て「あ、こんなイベントあるんだ」って知るのがすごく楽しみなんですよ。
―たとえばどういうイベントに使われたりしているんでしょう?
原田:最近僕が面白いなと思ったのは、「猫が空中を飛んでる時に写真を撮る」っていう、そういう趣味の方々のイベントで(笑)。単なる猫の写真じゃないんですよ。「飛び猫」の写真っていうんですけど。あとは、東京湾に船を出して、そこから羽田空港から飛び立つ飛行機を撮影する集まりがあったり。
―なるほど。趣味を同じくする人たちが集まるプラットフォームになってきている。
原田:そうですね。そこは予想だにしなかったですね。
「コツが必要な仕組みなんて絶対ダメ」。そういう問題解決から生まれた新しい電子チケット「ColorSync」
―Peatixは「ColorSync」という新しいサービスを始めたそうですが、これはどういうものなんでしょう?
原田:これは去年から開発を始めた新しい電子チケットの形ですね。年末に一部メディアに発表したんですけど、今はクローズドβという形で、いろんなイベントで徐々に使い始めている新しい技術です。
―どういう仕組みなんですか?
原田:チケットがモバイルアプリの中に入っていて、来場者がそのアプリを使って会場でチケットを表示すると、画面がカラフルに変化するんです。その色の変化を受付担当者が見比べて、確認する。パターンが一致していたら来場者がイベント会場に入れる。これを使えば、受付で並ぶ時間をこれまでよりずっと短くできるんです。
―これはどういったきっかけで開発が始まったんですか?
原田:きっかけの発端は、森高千里さんのイベントのお手伝いをした時のことですね。横浜BLITZに集まった多くのお客様を30分以内に会場内に通さなきゃいけなかったんですよ。その時は「チケットに印字されたQRコードを読み取る」というチェックイン方法で、10台くらい読み取り機を用意して実験してみたんです。そしたらちょうど夕暮れ時で、光の具合で上手く読み取れなかったりする。スタッフは「コツがあるんですよ」とか言ってるんですけど、コツが必要な仕組みなんて絶対ダメだと思って。だから、ハードウェアに頼らず素早くチェックできてセキュリティーも確実な方法は無いのかと考え、開発したのがColorSyncなんです。思いつきではなく、「これはダメだ」という問題解決から生まれたサービスですね。
―こうやってお二人はスマートフォン以降の新しい音楽のインフラを作ろうとしているわけですよね。いろいろな問題をテクノロジーで解決しようとしている。
原田:そうですね。
―やっていて、まず達成感を感じるのはどういう時ですか?
野田:単純に、アーティストの販売金額が毎月レポートで届くんです。それが増えているとめちゃくちゃテンション上がりますね。僕らには一銭も入ってこないですけど(笑)、インディーアーティストでも収益化できるようになっているのが見えると、それはやっぱり純粋に嬉しい。そこに僕らの存在意義が出てくると思うので。いい人ぶってるわけじゃないですけど(笑)。
―(笑)。原田さんはどうですか?
原田:やっぱり3年もやってるとある程度規模が出てきて、1日、数千人の規模の人がうちのプラットフォームでイベントに登録してるんです。この状況はなかなかのものだなと実感しますね。それから、Peatixがあって初めてイベントを開催できたような人もいて。たとえば24歳の女の子が女子会を始めて、それが100人になってきた、とか。そういう話を聞くと、社会貢献の意味でもある程度の役割を果たせるようになってきたかなという実感はあります。
「5年後、10年後に『何もやることがなくてヒマだ』っていうこと自体がなくなるようにしたいんですね」(原田)
―わかりました。それでは最後にTUNECORE JAPANとPeatix、それぞれの理想像としてお二人が考えるところを聞ければと思います。まずは野田さん、どうでしょう?
野田:僕としては、日本のアーティストが海外のチャートに普通に入る世の中にしたいんですよね。単に海外進出するだけじゃなくて。そういう時代になるように僕らは頑張っていきたいな、と。まあ、そこは僕らの仕事じゃない部分も沢山あるんですけど、音楽をやってる人たちが、世界中でヒットできる夢を持てるような世の中にしたい。そこの架け橋になれるよう、僕らが流通のところを頑張る。そんな役割を考えていますね。
原田:たとえば5年後、10年後に「何もやることがなくてヒマだ」っていうこと自体がなくなるようにしたいんですね。今日はあそこに行く、明日はここに行くって、Peatixを通して次々とスケジュールが埋まっていくようなイメージにしたい。最近はPeatixのイベントで出会って結婚されたカップルも出てきたんですけども、やっぱりいろんな人が出会えて、沢山の人が結婚して沢山の子供が生まれる流れがいいですね。
一同:(笑)。
原田:これまでのチケットじゃ実現できなかったことを、Peatixは実現したいと思ってます。ニューヨークにいると、今日あるイベントがスマートフォンにどんどん通知されてくるんですよ。あの感じをもっともっと促進させたいと思っています。最終的には「どうしよう、今日やることないや」って思う人がいなくなるようにしたいですね。
サービス情報
Peatix
・モバイル、Eチケットで簡単イベント運営
・事前登録料ナシですぐに試せる
・チケット販売手数料は業界最安値(2.9%+70円 / 注文)
・無料チケットは手数料ナシ
・『GOOD DESIGN 2013』受賞
Peatix | 簡単イベント管理、チケット販売サイト(ピーティックス) | Peatix
サービス情報
TUNECORE JAPAN
・楽曲ファイルとジャケ写があれば誰でも簡単に配信販売可能
・iTunesやAmazon、Spotifyなど大手配信サイトを網羅、合計111か国に配信
・簡単2ステップで販売(5~10分)
・費用は年間の利用料のみ、売上げは100%還元
- プロフィール
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- 原田卓(はらだ たく)
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1973年生まれ。米イェール大卒。東京に生まれるも生後数ヶ月でニューヨークに移住。リベラル中道左派の音楽家の家庭で育ち、幼少期から世界中を旅行し、音楽家やアーティストに囲まれながら育つ。1997年ソニー・ミュージック入社、海外契約業務に従事。2001年アマゾンジャパン入社、エンタテインメント部門統括。2005年アップル入社、iTunes Music Store立ち上げおよびマーケティングに従事。2006年アマゾンジャパン再入社、マーケティングおよびモバイル統括。2008年YOOXジャパン代表取締役就任。2009年よりPeatix Inc.のCEO、Orinoco Peatix 株式会社の取締役に就任。ニューヨーク在住。
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- 野田威一郎(のだ いいちろう)
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東京出身。香港で中学・高校時代を過ごし、慶應義塾大学卒業後、株式会社アドウェイズ入社。2008年に独立しWano株式会社を設立。2011年にはTUNECORE JAPANを立ち上げ、2012年10月にサービスを開始。
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