最近は取材で「今は女の子の時代」という話をする機会が増えたが、そこには基本的に「可愛らしさ」というイメージが付随している。しかし、「女の子らしさ、女性らしさ」は、「可愛らしさ」だけではなく、クールもセクシーもあって当然。それぞれの容姿、それぞれの年齢、それぞれの価値観で、自由に「女」であることを楽しめれば、それに越したことはないだろう。
約半年前、インタビューで初めて対面したUnaは、クールでエッジーなビジュアルイメージとは異なり、どこか頼りなげな、自分に自信の持てない女の子だった。ところが、あれから半年後に再会したUnaは、明らかに印象が変わっていた。この半年間、Unaは大小さまざまな会場でライブを行うのと並行して、地元沖縄で活発な活動を行ってきた。こうしたさまざまな経験が、少しずつUnaを変えていったのだ。以前までのUnaが自信を持てなかったのは、アーティストとしての明確な目標を描けなかったことがひとつの要因でもあった。しかし、いま彼女はそれを見つけつつある。沖縄出身のUnaだからこそ描ける、大きな、大きな目標を。
前までは実力がないと自信を持っちゃいけないと思ってたんですけど、根拠のない自信も大事なのかなって思えるようになりました。
―前回の取材ではUnaさんの内面を掘り下げて、「いかに自信をつけるか?」がこれからの課題になりそうだという話をしましたよね。あれから約半年経って、何か変化はありますか?
Una:まだまだだとは思いつつも、少しずつ自信がついてきました。ライブパフォーマンスも前は一人でやってたんですけど、今はダンサーさんが入ってくれて、自分が理想とする「魅せるライブ」に少し近づいてきました。
―理想の自分を100%として、今は何%?
Una:去年が25%ぐらいで、今は40%ぐらいですかね。でも、80%より上に行くのは難しい気が……(笑)。
―でも、何となく去年話したときよりもしゃべり方がハキハキしてる気がします。
Una:ホントですか? ありがとうございます!
―前は人と話すのが苦手で、モデル同士の集まりに行くのもあんまり好きじゃないって言ってましたよね。
Una:そこは結構変わったかもしれません。沖縄限定のテレビ番組でMCをやるようになって、一人で喋ることを経験させてもらっているので、しゃべることに対する苦手意識は少し緩和されたかなって。プライベートの友達も増えたし、そういうちょっとしたことの積み重ねもあると思うんですけど。
―そういえば、前に自信について分析する本を読んだんですけど、「自信は発言することで生まれる」って書いてありましたよ。
Una:最近、DJをやっている幼なじみの繋がりで外国人の友達や留学経験のある子と出会うようになったんですけど、みんな自分に自信を持ってるんですよね。その子たちに「英語がしゃべれるようになりたい」って言ったら、「自信を持ってしゃべらないと、しゃべれるようにならないよ」って言われました。「私も日本語ヘタだけど、自信を持って喋ってる」って。前までは実力がないと自信を持っちゃいけないと思ってたんですけど、根拠のない自信も大事なのかなって思えるようになりました。
もっとお客さんを巻き込む力をつけて、「この曲は魅せる曲、この曲はお客さんと一緒に楽しむ曲」みたいに、ライブにメリハリがつけられたらなって思います。
―去年末からこの半年でかなり多くのライブをやってると思うんですけど、その中で印象的だったものを挙げてもらえますか?
Una:ちょっと前に幕張メッセであった『KAWAii!! NiPPON EXPO』に出たんですけど、舞台に出たら全然緊張しなかったんです。すごく入り込めたというか、簡単に言えばとにかく楽しくて。自己満足かもしれないけど、あんなに気持ちよくライブができたのは初めてだったので印象に残っています。ドキドキよりもワクワクだったというか。
―きっとそれも自信がついたことの表れなんでしょうね。
Una:リハの回数も結構大きかったかもしれません。ライブ前はほとんど毎日やってたんですけど、もともとバレエをやってたからか、ずっと練習することが苦じゃなくて、むしろコツコツ練習するのは好きなぐらいで。
―自分の成長も実感できますしね。じゃあ、逆に小さいところでやるほうが緊張しますか?
Una:お客さんとの距離がすごく近いので、まだそこに気を取られちゃうっていうのもあるし、クラブに来るお客さんは「純粋に音楽を求めて来てる」人が多いと思うので、そこに対して自分がどれだけ自信を持ってステージに立てるかが、今の課題かなって思います。
―前に話したときに、バレエやモデルをやってきたから、役になりきったり、「こうしてほしい」っていう相手のリクエストに応えることはできるけど、アーティストとして自分を表現することは難しいっていう話があったと思うんですね。
Una:そこに関してはまだまだ奮闘中です(笑)。まだ「こう見せたほうが伝わるからこうやって見せよう」って、形から作り込み過ぎちゃう癖があるみたいで、それをもっと内側からナチュラルに表現できるようになれば、自分らしさがもっと出せるんじゃないかって思うんですけど。
―他のアーティストのライブを見る機会も多かったと思うんですけど、印象に残ってる人はいますか?
Una:ケイティ・ペリーはホントにびっくりしましたね……(笑)。衣装やメイクは可愛らしいんですけど、存在そのものがすごくパワフルで。あと最近だと『NAGOYA KAWAii!!』っていうイベントがあって、それにnobodyKnows+さんが出てたんですけど、モデルさんを見に来てるお客さんが多いから、日本のヒップホップは聴いてなさそうな方も多かったんですね。でもそこにいる全員を盛り上げてて、鳥肌が立ちました。私ももっとお客さんを巻き込む力をつけて、「この曲は魅せる曲、この曲はお客さんと一緒に楽しむ曲」みたいに、自分のライブにもメリハリがつけられたらなって思います。
素を見せるとがっかりされるんじゃないかっていうのが強かった。自然と感情にストッパーをかけてたのかなって思います。
―ケイティ・ペリーに関しては、セルフプロデュース力がすごいですよね。自分の見せ方を知ってるっていうか。
Una:ステージ上で縄跳びしてました(笑)。
―そんなことするんだ(笑)。
Una:しかも、二重跳びやろうとするんですけど、全然成功しないんですよ(笑)。
―それも、ある意味根拠のない自信があるからできることかも(笑)。
Una:確かに、超自信持って二重跳びしてました! 終わった後も、さもできたかのように歌ってたし……(笑)。
―アウトプットの仕方は人それぞれだけど、やっぱり大事なのはその人が持ってる熱量みたいなものなのかなって。それをいかにお客さんに伝えるかっていう。
Una:私、感情がなかなか表情に出ないんです。友達にも「今楽しい?」ってよく聞かれるし。でも、ちょっと前に幼馴染とクラブに行ったときに、私のテンションが上がってるのを見て、幼馴染が笑ってるんですよ。「どうしたの?」って聞いたら、「お前がこんなにはしゃいでるの初めて見た」って言われて、だから最近は自分を解放することが少しずつできるようになってきたのかなって。十何年も一緒にいるのに、今までどんだけ顔に出してなかったんだって感じなんですけど……(笑)。
―これまでバレエやショップ店員をやる中で、よくも悪くも目立つ存在で、その分周りから距離を置かれちゃうこともあったっていう話があったと思うんですね。そういう経験があったから、目立たないように感情をあまり出さないようにしてたとか?
Una:素を見せるとがっかりされちゃうんじゃないかっていうのが強かったんだと思います。でもマネージャーさんからは「お客さんはむしろそういうところが見たいんだと思う」って言われることがあって。お姉ちゃんにも大きい声を出しただけで「今日はおかしい」って言われるぐらいなので、自然と感情にストッパーをかけてたのかなって思います。
―でも、最近は少しずつ変わってきたと。
Una:そうですね。この前も幼馴染に誘われて代々木公園に遊びに行ったら、あとからいろんな人が合流して十人ぐらいになったんですけど、そういう場所もわりと平気になってきました。大体みんな外国人なんですけど(笑)。
―その幼馴染がすごいですね(笑)。でも、その子もUnaさんがクラブではしゃいでるのを見て嬉しかっただろうし、マネージャーさんが言うように、お客さんもそういうUnaさんを見たいのかもしれないですよね。「1回ライブを見られたらオッケー」じゃなくて、「この人についていきたい」って思うのは、そういう部分こそが大事なのかなって。
Una:そうかもしれないですね。そういう素の部分を出すことによって、クールなビジュアルもより引き立つと思うから、相乗効果も生まれるんじゃないかって、今話してて思いました。
今は「Unaって沖縄出身なんだ」って沖縄の人が誇れるような存在になりたい。
―これまで話してきたようなコミュニケーション力の向上に関しては、やっぱり地元の沖縄を中心に活動したことも大きく影響してると思うんですけど、どうですか?
Una:私は東京で活動を始めたので、沖縄出身だって知らない人もたくさんいたと思うんですけど、私が沖縄の人だって知ってから親身に応援してくれる人が増えて、すごく嬉しかったです。今は「Unaって沖縄出身なんだ」って沖縄の人が誇れるような存在になりたい。例えば、沖縄の人は安室ちゃんが沖縄出身ってことを胸を張って言えると思うんですけど、私もそうなりたいなって。
―ファンの子と接するときも、沖縄っていう共通点があるから、自分を出しやすかったっていうのもあるかもしれないですね。
Una:これまでは、私っぽい雰囲気や服装の子が会いに来てくれるのが一番嬉しかったんですけど、今回沖縄に行ったときは、そうじゃない人もたくさん会いに来てくれたことがすごく嬉しくて。そうやってもっといろんな人に私のことを知ってもらって、好きになってもらいたいなって思いました。
―そもそも沖縄を中心とした活動って、Unaさん自身がそれを望んだわけですか?
Una:両親も沖縄にいますし、沖縄に届くような活動を増やしたいっていうのはずっと思ってたんですけど、『OKiNAWA KAWAii!!』っていうプロジェクトが始まって、本格的に沖縄のお仕事が増えました。それによって、さっきも言った「沖縄の人が誇れるような存在になりたい」とか「沖縄の子にもっと青文字系の文化を知ってもらう」とか、具体的な目標を立てやすくもなりましたね。
―なるほど。それは大きいですよね。
Una:あとは自分が沖縄に住んでた頃を思い出して、「こういうファッションの情報って沖縄には入ってこないなあ」っていうのがあったので、自分を通じて世界が広がるきっかけになれればなって。そのためには、まずはUnaっていう存在に興味を持ってもらわないといけないと思っていて、そこから「アーティストなんだ」って知ってもらうのでもいい、そういうふうに考えるようになりました。
日本人の「カワイイ」は「可愛らしい」に近いから、そこで「自分の需要ってあるのかな?」って思ったりもして。私の中では「かっこいい」も「セクシー」も「クール」も「カワイイ」なんです。
―最後に、Unaさんがご自身のことを「時代に合ったモデルじゃない」と考えているというお話をうかがったのですが、それについてお話しいただけますか?
Una:今って「カワイイ」って言葉が原宿だけじゃなく、日本全体で取り上げられてるじゃないですか? 「カワイイ」って、世間の人のイメージだと「可愛らしい」にすごく近いと思うんですね。少女っぽい、ガーリーな感じ。でも、私の中では「カワイイ」って「可愛らしい」だけじゃなくて、「かっこいい」も「カワイイ」だし、「セクシー」も「クール」も「カワイイ」っていう感覚があるんです。
―海外で使われてる「カワイイ」には、きっとUnaさんの言うようないろんな意味が含まれていますよね。日本は「カワイイ」のもともとの語源や文化的な背景を知ってるから、どうしても「可愛いらしい」と結びついちゃうんだと思うけど。
Una:そうなんですよね。海外の方だとゴスロリとかパンクも「カワイイ」って言うと思うんですけど、日本人の「カワイイ」はそうじゃないから、そこで「自分の需要ってあるのかな?」って思ったりもして。モデルの活動を始めたばかりの頃はそこに寄せなきゃって思って、もうちょっとナチュラルにしようと思ったこともあったんですけど、最近は「もういいわ」と思って(笑)。
―確かに、今は髪型とかも振り切ってますよね(笑)。
Una:振り切りました(笑)。「この髪で雑誌に載れるかなあ」って考えたことも正直あったんですけど、やっぱり私が惹かれるのはエッジの効いたものなので、時代と多少のずれは感じながらも、「いいや」っていう。
―沖縄って、独自の文化があるイメージがあるんですね。それこそアクターズスクールがあったり。時代性と自分っていうのを考えたときに、沖縄での経験が「自分のままでいいじゃん」って思えるように、背中を押してくれた部分もあるのでしょうか?
Una:「独自」って言われるんですけど、沖縄で生活してたときはそれが当たり前だと思ってたんですよ。マネージャーさんと沖縄に行くと、「ラジオの選曲が違う」って言われたり、アメリカの文化が生活に根付いてるから、スーパーに当たり前のように輸入菓子のコーナーがあったり、私から見ると当たり前のことが、別の視点から見ると「独自」って言われることって確かにあって。そういうのも、自分らしさに振り切ろうと思えた要因かもしれないですね。
―ちなみに、Unaさんはいわゆる「可愛らしさ」に関してはどう思ってるんでしょうか?
Una:「可愛らしさ」で思い浮かべるのは……私、女の子の顔が大好きなんです(笑)。それこそ、沢尻エリカさんみたいな、きれい系のクールな顔も好きだし、最近だと橋本環奈ちゃん、「天使すぎるアイドル」の子もすごく好き(笑)。
―さっきも話してくれたように、沖縄には輸入文化が根付いてて、いろんな価値観があることが普通だから、「カワイイ」がいろんな意味を内包してることも、Unaさんにとっては自然なのかなって。そう考えると、クールなのも好きだし、「天使すぎるアイドル」も好きって言えるUnaさんだからこそ、幅広い意味での「カワイイ」を発信して行けるのかなとも思うんです。
Una:それはそうなのかもしれない。最近外国人の友達が増えたから、文化の違いに気づかされることも多いんです。外国では年を重ねると味が出て、「セクシーだね」とか、「きれいになったね」って言われるけど、日本は幼さを求める国じゃないですか? でも、もっと「かっこいい」って言われる女性が増えてもいいと思うし、自分が発信することによって、どうやったらそれがもっと広がるかっていうのは、最近眠れなくなるぐらい考えてます(笑)。
―でかい目標だけど、やりがいのある目標ですよね。それこそ、ケイティ・ペリーもそうだし、マドンナやシンディ・ローパーにしてもそうだけど、彼女たちはその時代の「女性らしさ」を体現して、更新して行った人たちなわけだもんね。
Una:やっぱり女性から憧れられる女性になりたいっていうのは常に思っていて、音楽性も含め、アイコンみたいな存在になれたらなっていうのは思います。私の歌を聴いて、「言ってることわかる!」っていうよりは、考えていることは違っても、ファッションでも何でも、挑戦してる姿をかっこいいと思ってもらえたり、「自分にはマネできないけど、でも憧れる」っていうような、そういう女性になっていければなって思います。
- リリース情報
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- Una
『BOOM BOOM BOOM』(CD) -
2014年4月29日(火・祝)タワーレコード那覇リウボウ店限定リリース
価格:1,000円(税込)
UNIVERSAL SIGMA / PROS-50081. BOOM BOOM BOOM
2. True of Lights
3. Danse Danse
- Una
- プロフィール
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- Una(ゆうな)
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2010年、ファッション雑誌のスナップページに掲載された事をきっかけにモデルとしてデビュー。2013年8月14日にシングル「JUICY JUICY」でアーティストデビュー。デビュー楽曲がTVCMソングに抜擢され、デビュー前にフランスJAPAN EXPOメインステージにて初ライブも行うなど、新しい“ストリートカワイイ”カルチャー日本代表として活躍のフィールドが広がる。2013年12月18日には自身初の配信限定ミニアルバム「True of Lights/Danse Danse」をリリース。2014年4月29日、地元沖縄のTVCMソングとなった楽曲を収録した2ndシングル「BOOM BOOM BOOM」をタワーレコード那覇リウボウ店限定リリースした。
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