ハマケン率いる在日ファンクがいよいよメジャーに進出する。インストゥルメンタルバンドSAKEROCKのトロンボーン奏者であり、近年は俳優としても活躍の場を広げるハマケンこと浜野謙太がリーダーを務めるこのバンドは、ジェイムス・ブラウンのスタイルを受け継いだパフォーマンス、そして時事ネタなどを織り交ぜたシャレの効いた歌詞がウケまくり、今や大型フェスにも引っ張りだこ状態。彼らの活動を追ってきた方からすれば、まさに機が熟したうえでのメジャーデビューといった感じだろう。一方で当の本人たちに満ち足りた様子はなく、ニューアルバム『笑うな』でも彼らの反復するファンクネスはさらに研ぎ澄まされている。在日ファンクがお茶の間を賑わせる日もいよいよ近い。そんな期待が大いに膨らむ痛快なメジャーデビュー作だ。
さて、今回はそのアルバム『笑うな』のリリースを記念して、意外とありそうでなかった組み合わせの対談が実現した。1人はもちろん、在日ファンクの浜野。そしてその相手はSAKEROCKが所属するレーベル・カクバリズムの主宰者、角張渉。両者の対話は在日ファンクおよび浜野謙太の歩みを振り返るところからはじまり、終盤では「もしカクバリズムなら在日ファンクをどうする?」という興味深い話題にも発展した。さあ、ここからは旧知の仲を越えてもはや兄弟のような二人の会話をお楽しみください!
今振り返ると、在日ファンクで売れたいという思いが昔からあったんだろうなと思うんです。(浜野)
―今日はまず、角張さんが在日ファンクというバンドをどういう距離感で見てきたのかを知りたくて。
角張:もともとハマケンは、SAKEROCKのライブの中でも押し語り(サンプラーを使ったソロパフォーマンスのこと)をやってたし、その頃からすでに(ファンの間で名曲とされている)“ダンボール肉まん”とかを歌ってたんですよ。僕がよく覚えているのは、2007年頃にハマケンの誕生日イベントを大阪・梅田のシャングリラで企画したら、そのチケットがなぜか即座に売り切れたってこと(笑)。で、そのライブにハマケンは当時まだメンバーが流動的だった在日ファンクとして出演して、それがものすごくかっこ良かったんですよね。多分僕が在日ファンクを観たのは、そのときが初めてだったんじゃないかな。
浜野:そうですね。その頃から角張さんはライブにちょこちょこ来てくれるようになって。
角張:まず、在日ファンクはメンバーがいいんですよ。なんか初期のYOUR SONG IS GOODに近いというか、みんな働きながらバンドをやってたんだけど、生活と音楽活動のバランスがどうも不器用(笑)。それでもバンドがちゃんと一体になってる感じがすごく良くて、陰ながら「ハマケン、けっこう熱心にやってるな」と思ってましたね。
―2010年に在日ファンクはファーストアルバム『在日ファンク』を出すわけですが、浜野さんの中には当時から「メジャーデビュー」というビジョンはあったんですか?
浜野:あったと思います。そういえば昔、SAKEROCKのリハーサル中に角張さんに対して、「ねえ、どっかのレーベル紹介してよ。エイベックスとかつながりないの?」って言ったことがあるんですよね……(笑)。あとになってSAKEROCKのメンバーから「あれは角張さんに対して失礼すぎる!」と怒られちゃって。
角張:僕はたまにいろんな人からそんな感じで聞かれるけどね(笑)。
浜野:角張さんとの距離を近く感じ過ぎて、そんなふうに言っちゃったんだと思うんですけど(苦笑)。でも、その発言を今になって振り返ると、在日ファンクで売れたいという思いが当時からあったんだろうなとも思うんです。
角張:あの頃SAKEROCKは精力的に活動していたし、計画的にスケジュールを組んでいたからね。在日ファンクをやる時間もあったしね。
浜野:というか、いかんせん、僕だけが暇だったんですよ。SAKEROCKの大地くん(伊藤大地。SAKEROCKのドラム担当)は他のバンドのサポートでがんがん動いているし、星野くん(星野源。SAKEROCKのギター / マリンバ担当)も俳優の仕事で活躍してたし、まわりにいる人はみんな、いつもやたらと忙しそうにしてたんです。だから、SAKEROCKのリハとかレコーディング中って自分だけが暇みたいな感じで、「なんか、すげえムカつく!」って(笑)。角張さんだって、いつも電話ばっかりかけてたじゃん!
角張:そりゃ、電話くらい今でもしょっちゅうかけてるよ(笑)。
浜野:今でも、マネージャーがいろんなところに電話かけてるのを見ると、「なんだよそれ、俺のほうが暇だってことかよ……」って。
角張:それはあなたのために働いてくれてるんでしょ(笑)。
―(笑)。浜野さんは周囲の人たちが自分より忙しそうにしているのが、そんなに気になるんですか?
浜野:気になりますねぇ。「忙しくてマジで死にそう!」みたいな話を聞いてると、なんか自慢しているように聞こえてすごくイヤなんですよ……。
―でも、浜野さんだって在日ファンクを始めたことで、明らかに忙しくなったでしょう。
浜野:そうですね。特に今回のアルバムでようやく忙しくなってきた感じはあります。というのも、今回は曲作りで原点回帰を試みたというか、言ってしまえば、SAKEROCKでスキャットをやってた頃のような自由な感覚に戻りたかったんです。アルバムって枚数を重ねるごとにどんどん盛っていって、豪華に見せることはできるんですけど、そうは言ってもセカンドではちょっと背伸びした気がしてて。やっぱり、恐れずに自分と向き合って、素直にいいものを作ろうとすると、おのずとやるべきことは多くなっていくんですよね。
若い世代のライブを観ていても、最近はまた激しいノリのものが増えてきているし、時代が巡ってきているのかな。(角張)
―そういえば、浜野さんは今回のアルバムリリースにあたりウェブサイトで所信表明のコメントを出されているじゃないですか。あれ、何事かと思いましたよ。出だしでいきなり「最近、俺はおしゃれになった」って(笑)。
角張:冒頭から音楽の話ですらないという(笑)。
浜野:でも今日だって、僕は角張さんに服装をバカにされるんじゃないかって思って……何を着てくかなかなか決まらなくてちょっと遅刻しちゃったんです。
角張:そうだったのか(笑)。でも、たしかにハマケンがInstagramにアップしてる写真を見てるとさ、すごく個性的だよね。
―個性的(笑)。
角張:いやいや、いい意味ですよ! だって、すごくアーティスト然としているじゃん。
浜野:でしょ!? でも、この間『ARABAKI ROCK FEST.』の会場で会ったとき、角張さんは僕の服装をすげえバカにしてきたからさ……。
角張:だって、あのときのハマケン、1980年代のビートたけしみたいな恰好だったじゃん(笑)。変な柄のスウェット着てたし。
浜野:今はあれが流行ってるんですよ!
角張:そうなんだろうけど、なんかハマケンには言いたくなっちゃうんだよねぇ(笑)。でも、他のミュージシャンを見てても思うんだけど、今はロックミュージシャン然とした人がけっこう多い気がするんだよね。もしかするとミュージシャンの服装も少しずつ潮目が変わってきているのかな、と(笑)。
浜野:バンドマンの服装そのものが全体的に変わってきているってこと?
角張:なんとなくそんな感じがする(笑)。いわゆるラクな恰好より、わりと激しめのファッションをよく目にするようになった気がするなぁ。僕だけがそう思ってるのかもだけど。若い世代のライブを観ていても、最近はまた激しい音楽のものが増えてきている気がするし、時代が巡ってきているのかな……とか。でも実際、服装って大変だよね。これから在日ファンクの熱心なお客さんが増えてくると、「ハマケンの服装、この前と同じだったよね」とか気づく人も増えるかもしれないし。
浜野:目立つ格好をしてるぶん、「またあの服?」ってよく言われますね。今はテレビに出たりもしてるから、そこは気を遣うようになりました。でも、この前に出たフェスでアーティストブースを歩いてたときは、誰からも声かけられなかったんだよな……。昔はもっと「おう! ハマケン!」って声をかけられることもあったのに……。
角張:そんなことないでしょ(笑)。それこそceroやもっと若い世代のバンドマンと話すと、「学生の頃にSAKEROCKをすごく聴いてたんです!」みたいな話をよく聞くけどね。
浜野:え、そんなことまったく言われないし!
角張:そのうち絶対に出てくるから。在日ファンクを聴いてファンクバンドを始める高校生、大学生たちがさ。
本人が思っているよりもハマケンはずっと愛されているんですけど、それを理解しない瞬間があるんです。すごく恵まれた環境にいるのに、それに抗っているときがあってそこが面倒だけど、面白い。(角張)
―僕も在日ファンクの音楽は着々と若いリスナーに伝わってる感じがしてますよ。
浜野:そうかなぁ。
角張:何をそんなに気にしてるんだよ(笑)。そもそも在日ファンクって、ハマケンの抱えているフラストレーションが原点にあると思うんですけど、彼の場合はそのフラストレーションを感じるポイントが僕らと少し違うんですよね。「え、そんなこと気にしなくていいのに!」みたいなことを執拗に気にするし、それこそ歌詞を見て「ハマケン、あのことでそんなに怒ってたの!?」と気づくときもあったりするくらいで(笑)。
浜野:まあ、角張さんが言ってることもわかります。
角張:ハマケンって、自分が思っているよりもずっと愛されているんですけど、本人がそれを理解しない瞬間があるんです。僕たちから見るとすごく恵まれた環境にいるのに、それに抗っているときがある。そこがハマケンの面白いところでもあり、面倒なところでもあるんですが(笑)。その一方でハマケンの歌詞って、けっこう強い言葉も出てくるじゃないですか? 中には「新聞の主張まんまじゃん!」みたいな部分もあったりして(笑)。でも、今回のアルバムはそのフラストレーションがすごく良いバランスで出せているよね。
浜野:あぁ、それは嬉しいな。今、角張さんが言ってくれたことはメンバーからも指摘されてたし、やっぱりそれじゃダメだなと自分でも思ったから、今回そこは注意してたんですよね。それに僕は星野くんや大地くんと比べると、角張さんと一緒にお仕事をする機会がそれほどないんですよ。だから、角張さんが僕たちのことをどう思ってくれてるのかは、実際いつも気にしてるんです。今日だって、もし「ハマケン、なんか変わったよねぇ」とか言われたらイヤだなって。「あいつ、前よりつまんなくなったよね」とは思われたくないっていうか、男同士ってそういうところがあるじゃないですか?
角張:あぁ、たしかに在日ファンクは「友達がやってる、すっげえ面白くてかっこいいバンド」って感じかもしれない。ただ、ハマケンはお客さんからもすごく親しまれているけど、その一方で在日ファンクはものすごくエッジの効いたファンクバンドでもあるから、メジャーではもうちょっとそこにも注目してほしいとは思いますけどね。つまり……それがカリスマ性ってやつじゃないの?(笑)
浜野:カリスマ性!!
角張:(笑)。僕としては、そんな彼を陰ながら応援しつつ、もしミスったらすぐに言えるような立場でもありたくて。同時に、こんなことを言うのも恥ずかしいけど、ハマケンを100%守ってあげたいっていう気持ちもあるんですよね。もちろん俳優業もマネージメントしているから当たり前だけど(笑)。何かあったら自分がどうにかしないとって。そう考えると、おのずと在日ファンクのことも少し距離を置いて、冷静に見なきゃって思うんです。まあ、ハマケンはここから先が勝負だからね。こうしてメジャーから作品を出すんだから、なにかしら目標と言うか夢みたいなものを感じたいよね。
在日ファンクを嘘じゃなくしたいというか、あんまり舞台裏っぽいところを見せたくなくて。だから、在日ファンクに自分たちを近づけていきたいんですよ。(浜野)
浜野:僕は、在日ファンクを嘘じゃなくしたいというか、あんまり舞台裏っぽいところを見せたくないんですよね。逆に、例えばこれがロックバンドだったら、普段着のラフな恰好で等身大のことを歌っても、それがかっこいいってことになるじゃないですか。
角張:わかるわかる(笑)。うつむきながらギターを弾いて、内面的なことを歌ってもロックはOKな部分があるからね。
浜野:でしょ? でも、僕らみたいに衣装を着てるバンドだと、そうじゃない恰好のときは全部、舞台裏の姿になっちゃう。僕はそれがなんか惜しいなと思ってるんです。
―常に在日ファンクのハマケンでいたいってこと?
浜野:そうそう。
角張: The J.B.'s(1970年代にジェイムス・ブラウンが率いたバンド)なんて、まさにそうだよね。The J.B.'sには「演奏でミスしたメンバーは罰金があるらしい」とか、そういう本当かどうかわからないような話がたくさんあるじゃないですか。やっぱりすごいバンドって、まずは音源があって、その音源からアーティストに対するイメージが生まれて、そこから逸話が出てくるっていう流れがあるからね。在日ファンクにも例えば、「ゴセッキー(後関好宏。サックス担当)って実はめちゃくちゃヤバいやつらしい」みたいな噂が生まれてくると、バンドにもっと奥行きが出てくるよね。実際ゴセッキーさんはすごい人だしね。奥深さや謎がそのバンドを伝説にしていくというか。
浜野:でも、そういう逸話って、自分たちから仕掛けるものではないでしょ? だからむしろ、僕は在日ファンクのイメージに自分たちを近づけていきたいんですよ。実は、はじめの頃は「在日ファンク」っていうバンド名の良さがよくわかってなかったんです。でも、こうして活動を続けていくうちに、このバンド名が打ち出してるイメージって、すごく掘り下げ甲斐があるなと思えるようになって、この名前が全国に広がれば、それこそ在日ファンクにまつわる逸話はおのずと生まれていくぐらいの可能性を秘めた名前だと思うんです。だから、とにかく僕自身がいつも「これぞ在日ファンクだ」ってことをしていきたくて。
―そもそもこのバンド名ってどなたが考えたんですか?
浜野:これはベースの村上啓太が持ってきた名前なんです。たぶん、村上は最初から確信犯的にこの名前を提案してくれてたんですけど、当初は「バンド名を変えたほうがいいんじゃないか」っていう話もあったんですよね。
角張:この他にもいっぱい候補があったよね。「大吉ファンク」とか(笑)。ハマケンはそれでけっこう真剣に悩んでたし。
浜野:そうそう(笑)。だから、僕はずっとブレ続けてきたんですけど、村上はまったくブレないんですよ。いいと思ったことはやるし、イヤなことは絶対にやらないし、できないことはハッキリ「できない!」と言う。今回の曲だって、村上ができると言った曲だけをやってる感じですから(笑)。
―なるほど。このバンドの支柱を立てたのは村上さんでもあると。
浜野:そうなんです。僕は村上が立てた「在日ファンク」というでっかい柱のまわりをブンブンまわりながら、尖ったことがやりたいと思っていて。でも、僕は今結婚しているし、子どももいるじゃないですか? どんどんストリート感も失われてるし。
角張:ストリート感(笑)。
浜野:在日ファンクはほとんどのメンバーが結婚しているんですよ。そういう地平から尖ったファンクをやるのって、本当に大変ですからね……! マジで僕たち、ファミリーストーン(Sly & The Family Stone。1960~70年代に活躍したファンクバンドのこと)みたいなんですよ!
角張:それ、めちゃくちゃかっこいいじゃん(笑)。次のアー写はメンバーの後ろに家族全員ならべて荒野で撮ろうよ。それで音もスライみたいだったら最高だよ。
浜野:(笑)。今回のアルバムはそういうおっさんの地平からでも尖ったものを放ってやろうと思って頑張ったんですよね。僕は若い世代に向かって「俺らも怒ってるんだよ!」って言いたいんです! でもなぁ。僕たちのバンドには出待ちが全然いないからなぁ……。
角張:なんだよ、それ(笑)。でも、もしライブ後に出待ちのファンが50人とかいたら嬉しい?
浜野:めちゃくちゃ嬉しいよ! たしかに僕たちはそういう出待ちされるようなタイプじゃないかもしれないけど、まったくないのは寂しいよ。
角張:出待ちはともかくさ、みんなハマケンの動向は気にしてるって。それこそカクバリズムのお客さんだって、今回のアルバムはみんなすごく注目していると思うよ(笑)。
浜野:そうかなぁ。在日ファンクのアルバムをカクバリズムでお願いしなかったのは、正直にいうと角張さんに気を遣ったところはあるんですよ。
角張:それはもちろんわかってるよ。
―というのは?
浜野:だって、やっぱりカクバリズムのカラーと在日ファンクは違うと思って。
角張:そもそもうちは人手が少ないから、そんなにたくさんのリリースはできないしね。でも在日ファンクのファーストアルバムを出してくれたP-VINEは、ファンクの素晴らしい作品をいくつも送り出してきたレーベルだし、なんせ在日ファンクはハマケンがここまで真剣に取り組んでいるバンドなんだから、僕はすぐに人気が出るんじゃないかなって。ハマケンがここまでいろいろと苦悩していたのも知ってるしね。
ファンクっていう音楽は、演奏のクオリティーが高ければダンスミュージックとして成立するし、なおかつそこで歌詞が面白ければ、曲を知らない人でもすぐに楽しめるんじゃないかな。(角張)
浜野:たしかに僕は、悶々としてましたねぇ……じゃあ、もしカクバリズムで在日ファンクをやるとしたら、角張さんならどうしますか?
角張:そうだなー。まずはめちゃくちゃカッコいい新曲を7インチで2枚切るところから始めるかな……。ブレイクビーツとか、ヒップホップ寄りのネタものを入れ込みたくなっちゃうけどね。今よりももうちょっとダンスミュージックに寄せるというか。
浜野:なるほど。もうちょっとオシャレに行くってこと?
角張:いや、どちらかというと極端な方向に行くってこと。つまり、100人のリスナーがいたらまずはそのうちの10人に向けて聴いてもらうようにするというか。で、その10人が反応するとまわりが気づいて、徐々に50人に増えていく……みたいなさ。でも、最初から100人狙いで行くと、聴いてほしい10人は反応してくれないんだよね。
浜野:おお! 角張さん、やっぱりすごいな。
角張:そうか?(笑) もちろん、その10人が騒いでいるだけの状態ではダメだけど。でも、最初の頃は一部で盛り上がってる感じが真っ当だと思うんだよね。で、その盛り上がってる状況を僕みたいな自分がまだ若者だと思っているおじさんたちが見ると、「あそこ、けっこうすごいことになってるんじゃないか……?」って、つい反応しちゃうから(笑)。
―なるほど。釣られちゃうんだ。
角張:そうそう(笑)。わかってるふりをしたいおじさんたちがウェブとかで反応し始めると、一部ではその反応を「ダセえな」と思いながらも、今そこが盛り上がってきていることを認識し始めるんじゃないかな? それにやっぱり局地的な動きっていつだって面白いし、どこか正しいと思っていて。
浜野:たしかに。在日ファンクもわりと「なんだよ、こいつら」みたいな見方はされてますけどね。
角張:うんうん。でもそうは言ったけど、今の在日ファンクはそんなに局地的なことをやる時期ではないよね。それよりはもっと新規開拓を目指したほうがいいと思う。だって、ファンクっていう音楽は、曲を知らなくても踊れるから。演奏のクオリティーが高ければダンスミュージックとして成立するし、なおかつそこで歌詞が面白ければ、曲を知らない人でもすぐに楽しめる。だから、まずは「在日ファンクといえばこの曲!」みたいなものができればいいよね。それこそ在日ファンクの“勝手にシンドバッド”みたいな曲を作れたら良いよね。マナーはファンクだけど、同時に激烈にポップでもあるやつをさ。あるいはアニメの主題歌とかもハマりそうだよね。
浜野:あとはテレビのCMとかで「在日ファンク」っていう名前をバーンと出してもらえる時代が来たら最高だなぁ。
角張:まあ、そのへんは地道に叶えていけばいいよ。今からなんでもかんでもやっちゃったら、次がなくなっちゃうからね。レーベルの人たちはそのへんもちゃんと考えてくれてるんだから。
浜野:でも、もし今回のアルバムが鳴かず飛ばずだったら、どうせコロムビアは愛想をつかして僕たちのことを捨てるんだよ!
角張:そんなことないって(笑)。そんなことより、リリースを控えたこの時期に気を抜かないことのほうが大事だよ。ハマケン、今ちょっとやり切った感じになっちゃってない?
浜野:……いや、そんなことないです! たしかにセカンドを出した後はそんな感じでしたけど。今はバンドにすごく勢いがありますから。
―次作に向けてのモチベーションもすでに高まっていると。
浜野:うん。早く次が作りたいですね。このエンジンがかかった状態のまま、すぐに動き出したい。根底にはファンクネスがあるんだけど、めちゃくちゃポップなやつ、か。よし、次はそれでいきましょう!
- イベント情報
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- 在日ファンク『笑うな』発売記念ツアー
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2014年10月4日(土)
会場:福岡県 BEAT STATION2014年10月5日(日)
会場:広島県 NAMIKI JUNKTION2014年10月12日(日)
会場:大阪府 梅田CLUB QUATTRO2014年10月13日(月祝)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO2014年10月18日(土)
会場:香川県 高松 DIME2014年10月19日(日)
会場:京都府 MUSE2014年10月25日(土)
会場:長野県 松本 ALECX2014年10月26日(日)
会場:石川県 金沢 AZ2014年11月1日(土)
会場:宮城県 仙台 CLUB JUNK BOX2014年11月2日(日)
会場:新潟県 GOLDEN PIGS REDSTAGE2014年11月8日(土)
会場:岩手県 盛岡 CLUB CHANGE WAVE2014年11月9日(日)
会場:秋田県 CLUB SWINDLE2014年11月14日(金)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE 242014年11月16日(日)
会場:東京都 EX THEATER ROPPONGI
- リリース情報
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- 在日ファンク
『笑うな』初回限定盤(CD+DVD) -
2014年9月3日(水)発売
価格:3,780円(税込)
COZA-964[CD]
1. 大イントロ
2. 根にもってます
3. ちっちゃい
4. 脈
5. 不甲斐ない
6. 場
7. パラシュート
8. 恥ずかしい
9. 断固すいません
10. 産むマシーン
11. 笑うな
12. 百年
[DVD]
1. 根にもってます(Short Movie)
2. 根にもってます(Making Movie)
3. 在日ファンク【所信表明】コメント(Long Version)(メンバーによるオーディオコメンタリー付き)
- 在日ファンク
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- 在日ファンク
『笑うな』通常盤(CD) -
2014年9月3日(水)発売
価格:3,024円(税込)
COCP-387241. 大イントロ
2. 根にもってます
3. ちっちゃい
4. 脈
5. 不甲斐ない
6. 場
7. パラシュート
8. 恥ずかしい
9. 断固すいません
10. 産むマシーン
11. 笑うな
12. 百年
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- 在日ファンク
『笑うな』アナログ盤 -
2014年9月3日(水)発売
価格:3,456円(税込)
COJA-9280[SIDE-A]
1. 大イントロ
2. 百年
3. 根にもってます
4. 場
5. 脈
6. 不甲斐ない
[SIDE-B]
1. ちっちゃい
2. 産むマシーン
3. パラシュート
4. 恥ずかしい
5. 断固すいません
6. 笑うな
- プロフィール
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- 在日ファンク (ざいにちふぁんく)
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SAKEROCKのトロンボーン奏者であるハマケンこと浜野謙太を中心に、2007年に7人組ファンクバンド、「在日ファンク」としてキャリアをスタートさせる。高祖ジェイムズ・ブラウンから流れを汲むファンクを日本に在りながら(在日)再認識しようと、音、思想、外観あらゆる面から試みる。2010年にデビューアルバム『ZAINICHI FUNK』をリリースし、現在までに2枚のフルアルバムと1枚のミニアルバムをリリース。2014年9月『笑うな』で日本コロムビアからメジャーデビュー。
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- 角張渉(かくばり わたる)
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カクバリズム主宰。1978年生まれ。YOUR SONG IS GOOD、SAKEROCK、イルリメ、キセル、cero、星野源、二階堂和美などアーティストが多数所属するインディーズレーベル、マネージメント会社の代表。
- 在日ファンク
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- 在日ファンク
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?