SIMI LAB×岡崎藝術座 今の日本で表現することのジレンマ

超個性派ヒップホップ集団と現代演劇の雄。ジャンルを越境した異例の対談が実現した。政治や社会情勢への態度を積極的に作品に反映させながら、わかりあえない他者との共生をテーマとした作品を発表、『岸田國士戯曲賞』ノミネートでも注目を集める岡崎藝術座の神里雄大(作家・演出家)。一方、衝撃的な2011年のアルバムデビュー以降、ヒップホップの枠を超えて日本の音楽シーンに大きな影響を与え、引き続き今後の動向が注目されるSIMI LAB唯一の女性MC・MARIA。

両者は神奈川県という東京周辺の地域を中心に活動を行なう以外にも、日本人でありながら、ルーツが日本ではない(神里はペルー共和国、MARIAは米軍基地出身。SIMI LAB他メンバーにもハーフやクオーターが多い)といった共通点があり、自身のアイデンティティーが表現のモチベーションになることも多かったようだ。

集団社会での同調を求められることが多い日本で、はからずもマイノリティーについて考えざるを得なくなった二人。神里が主宰する劇団・岡崎藝術座の新作『+51 アビアシオン, サンボルハ』は、わかりあえない他者との共生や、沖縄からペルーへの移民となった祖父母の足取りなど、まさに神里自身のアイデンティティーに迫る内容になっており、それはMARIAやSIMI LABのメンバーの境遇とも重なる部分もあるのかもしれない。

以前からSIMI LABをよく聴いていたという神里の要望から始まった今回の対談。当初お互いに面識がまったくなく、活動するフィールドも違っていたが、やはりどこか共鳴するものがあるのだろうか。初対面後、舞台の上で自然と始まった対談取材は非常にリラックスした雰囲気で行なわれた。

神里さんが川崎育ちって聞いた時点で「地元が近い!」って、めちゃくちゃ親近感を持ってましたよ!(MARIA)

―先日、MARIAさんは岡崎藝術座の新作公演『+51 アビアシオン, サンボルハ』をご覧になられたそうですが、いかがでしたか?

MARIA:私、舞台って「アミノ式」のCMに出ていた「中国雑技王」しか観たことなかったんですよ(笑)。だから本当に新鮮な空気感で、すごく楽しかった。

MARIA(SIMI LAB)
MARIA(SIMI LAB)

神里:じつはMARIAさんが観に来てくれた横浜公演の初日は、お客さんを入れるのが初めてだったので、完成度が高いとは言えないものだったんですよ。だから今日の対談もよく来てくれたなって。

MARIA:いや、私は神里さんが川崎育ちって聞いた時点で「地元が近い!」って、めちゃくちゃ親近感を持ってましたよ! ただ、内容的には不思議な部分もあって……。「メキシコ演劇の父」という登場人物が出てきますよね、あれは実在の人?

神里:戦前の日本で演劇と左翼活動をしていた佐野碩(さの せき)という人をモデルにしています。僕の理解ですが、彼はブルジョワ階級出身にもかかわらず、労働者のためのプロレタリア演劇を作っていました。でも、その活動が理由で警察に捕まったのでロシアに行き、紆余曲折を経て、最終的にメキシコに渡り、そこで演劇を作って「メキシコ演劇の父」とまで呼ばれるようになったんです。

神里雄大(岡崎藝術座)
神里雄大(岡崎藝術座)

MARIA:警察が動くって、そんなに影響力のあるアーティストだったんですか?

神里:まだテレビもなく、映画も黎明期だったので、演劇には人を集める、いわば「集会」的な機能があったんです。上演中に警察が乗り込んできたという話や、事前に警察に提出した脚本が真っ黒に修正されて返ってきたという話もあるほどで。

MARIA:すごい時代……!

神里:佐野がやっていたような運動って、東日本大震災の後、ふたたび日本でも頻発するようになったデモに近いのかなと思ったんです。でも、その状況を見ながら、今演劇は全く機能していないんだとすごく感じました。だから去年はとくにモチベーションが下がっていて、今32歳なんですけど、いい歳して何をやっているんだろう? と考えてしまった。そのことを書いたのが今回の『+51 アビアシオン, サンボルハ』で。


MARIA:でもそこで佐野に着目したのはどうしてですか? 彼に近いものを感じたから?

神里:親近感とは違うかもしれません。彼は日本で労働者のための演劇をやってたんですけど、亡命先のメキシコでは、同じマイノリティーである日系人たちと交流を持つことができなかったんです。それは、もし日系人たちが日本政府とつながっていたら、いつ裏切られてもおかしくない状態だったから。

MARIA:そうなんだ……。

神里:でも日系人って、働き口を求めて日本の外に出ざるを得なかった人たちでもあって、ある意味、東京で佐野が代弁していた困窮する労働者たちと似た境遇の人々ですよね。そんな彼らと距離をとらざるを得ず、メキシコ人のインテリ層に向けて作品を作っていたのが、彼の悲しい矛盾だったと思う。だから反面教師というか、その生き方にヒントがあると感じて作品に取り入れたんです。

今ではラップってチャラい音楽に思われているけど、私が好きなWu-Tang Clanや2Pacは、社会に向けた言葉を発して、商業的にも成功していたんですよね。(MARIA)

MARIA:社会的な話で言うと『+51 アビアシオン, サンボルハ』ですごく共感したシーンがあって。沖縄でひめゆりの塔を訪ねた主人公が、「義務から逃げる、歴史は受け止めなければ、そんな義務感」と話す場面がありましたよね? 私、動物が好きなんですけど、今ペットブームじゃないですか。ペットショップも増えてるけど、同時に年間数十万匹の犬や猫が殺処分されている現実もある。これが人間なら大問題なのに、動物だと騒ぎにならないのはおかしいでしょう。でもそんな怒りも、まるでパーティー中にふと醒めちゃうときみたいに、いつのまにか失っている自分に気付かされた。

岡崎藝術座『+51 アビアシオン,サンボルハ』フライヤー
岡崎藝術座『+51 アビアシオン,サンボルハ』フライヤー

神里:いろんなことをやりすごさないと生活できないところはあるよね。

MARIA:ヒップホップについて言うと、今ではラップってチャラいノリの音楽に思われているんだけど、本当はそうじゃない。私が好きなWu-Tang Clanや2Pacなんかは、自分の置かれた厳しい環境のことを歌ってて、もっと社会に向けた言葉を発していたんですよね。

神里:僕も2Pac大好きです。

MARIA:重要だったのは、それでも彼らが商業的に成功したことで、これは当時の若者にそういった表現が響いたからですよね。でも、たとえ今同じことをやったとしても、みんなの心を捉えるのは難しい。変に理屈っぽい聴き手が増えていて、「ああ言えばこう言う」じゃないけど、いろんな答えが生まれすぎて、まとめづらい。だから今の私は、けっこうセクシャルな表現をメインにしているんだけど、それは本来入り口で、そこからより社会的な問題にも訴えられる表現がしたいという欲求はあるんです。

神里:うん、うん。

MARIA:でも、難しいですよね。去年集団的自衛権が問題になったときも、「ヤバい!」とは感じたけど何もできなかった。政治に詳しい人にいろいろ教えてもらったんだけど、結局、一般の人にはタッチできないところで物事が判断されていることを突きつけられて……。「もう、無人島行くしかないわ」って思っちゃった(笑)。

神里:えっ? 僕も次は無人島の話を書こうとしていたんですよ!

MARIA:マジ?(笑)

神里:「演劇」に、ある程度諦めがついちゃったんです。自分が本当にやりたいのは政治的なことかもしれなくて、でもド直球で政治家を目指すのはダサいから、違う意味での「政治」をやりたくて。もう空気を読むのとかやめて、あえて「無人島」ってテーマで。

MARIA:私が無人島に行こうと思ったのは、大量消費社会が嫌いだからっていうのもあるんです。さっきのペットもそうだし、飲食店で働いていたときも、半端じゃない量の食べ物が捨てられるのを見て、すごい疑問だった。

左:MARIA

神里:MARIAさんの発言って、反省させられるなあ(笑)。劇作・演出をやっているからなのかもしれないけど、僕は本当に自分を棚にあげてしまうんです。自分の私生活は破綻しているくせに、それをさておき、社会の矛盾にああだこうだ言うところがある。それってどうなのかと。

MARIA:福岡の学校で、自分たちで鳥を卵から育てて、殺して食べるという授業があるらしいのね。それってすごく大事な授業でしょう。世の中、お金のための無駄が多すぎるよ。「無人島」っていう視点は、それを反省するためのツールになると思う。

父親はネイティブがスペイン語だから、「いただきます」や「ごちそうさま」がすごく言いづらそうでした。それが子どものときは嫌だった。(神里)

―「無人島」という意外な共通の関心も見つかりましたが(笑)、お二人の共通点というと、その出自です。神里さんはペルーにルーツがある?

神里:すごく複雑です。祖母はペルーの日系1世で、祖父は日系2世。だからそもそも親父が何世なのかがわからない。それに祖父母は二人ともルーツが沖縄で、実際のところ日本以外の血は混ざっていない。だけど沖縄だから、本島の人とは違うという意識にも触れてきた。さらに母親は北海道の出身。僕自身も生まれはペルーで、育ちは川崎。とても困ったルーツの持ち主なんです(笑)。

―沖縄からペルーまでを旅する『+51 アビアシオン, サンボルハ』の主人公は、神里さん自身がモデルになっているそうですが、モデルというよりほとんど本人の実話のようですね。

神里:そうなんです。ペルーのバスで宗教家に話しかけられるシーンも、実際に自分が体験したことから生まれました。さっき佐野の話をしましたが、彼についてうらやましいのは外国の言葉に達者だったことで、僕は語学が堪能ではないし、ましてや生まれ故郷であるペルーの言葉も話せない。

神里雄大

MARIA:ルーツの言葉をしゃべれないキツさはわかるなあ。というのも、私は根岸の米軍基地の中で育ったんです。ただ、近所の子たちはみんな基地内の学校に通っていたのに、私は母親の方針で、一人で外の学校に行っていた。それで英語があまり話せなくなってしまったんだけど、放課後は基地に戻ってくるわけ。すると周りの子から「あいつの英語おかしくない?」って馬鹿にされて。かといって日本の学校でも「外国人っぽい」って言われてしまう。それがすごく辛かった。

神里:僕は物心がついてからずっと川崎だったんで、周囲との言葉の違いで苦しんだことはないんだけど、父親はネイティブがスペイン語だから、「いただきます」や「ごちそうさま」がすごく言いづらそうでしたね。それが子どものときは嫌だった。

MARIA:私は結局、19歳のときにアラスカに行って働いて、なんとか英語を習得しました。ラップをやめて向こうに行って、「働かせください!」と片っぱしからお店を訪ねたんです。それで韓国人の服屋に雇ってもらえたんですけど、案の定、そこで客と揉めるわけ(笑)。「返品できないって言ったじゃん!」みたいな。それで本能的に英語が身についた。まあ、基地で耳が慣れていたのはあると思うんだけど。

神里:去年ペルーに行ったとき、親戚とお互い下手な英語で会話をしていることに、すごい違和感と悔しさがあったんです。でもMARIAさんの例じゃないけど、スペイン語には耳が慣れているはずなので、英語よりは習得できそうに感じました。

プロフィールを見た人から「ハーフ?」って聞かれると、今でも「あなたは僕の血を確認して何がしたいんですか?」って思ってしまう。(神里)

―MARIAさんは、ルーツと言葉の問題はクリアされたんですか?

MARIA:うん。ルーツはあやふやなままですけどね。戦争のドキュメンタリー映像とか見ても、アメリカで作られたものを見ればそれに納得して、日本のものを見ればそれにも納得する。結局は両方なんだと、最近は思っていますね。

MARIA

神里:ペルーの空港で日本のパスポートを出したとき、変な気持ちになったんです。もともとはペルーのパスポートで日本に来たはずなのに、今では他の日本人観光客と同じ扱いを受けることに、違和感を感じて。

MARIA:SIMI LABにDyyPRIDEってメンバーがいて、ガーナと日本のハーフなんです。アラスカ時代に毎日Skypeで話してたんだけど、すごくネガティブな時期だったみたいで、今にも死にそうだった。仕事中に上司から「周囲に見えるところでお前が仕事するとガラが悪く見られる」とか言われて、病んでしまって。私は「お前はブラックに生まれたんだ、受け入れろよ」と言ってやって。神里さんの自問自答を見てると「DyyPRIDEと似てる!」って思う(笑)。

神里:(笑)。どこにいてもゲストというか、片足が外に出ている感覚があるんですよね。最近はもう悩むことは少ないけど、プロフィールを見た人から「ハーフ?」って聞かれると、今でも「あなたは僕の血を確認して何がしたいんですか?」って思ってしまう。


MARIA:私も「目が大きいね」とか言われるけど、それってポジティブな差別だと思う。言った側は褒めているつもりでも、こっちは毎度のことで面倒くさい。六本木が好きなのは、あそこだとハーフがたいして目立たないじゃん? だからすごくラク。でも、懐かしさを感じるのは日本かもしれないな。アラスカから一時帰国したとき、お母さんに会ってすごくそう思いました。「故郷」というか。

神里:僕は沖縄ですね。じつは最近、住んでもいないのに勝手に沖縄を背負い始めていて。

MARIA:(笑)。

神里:沖縄だと、日系うんぬんとか何も言われない。ただ最近は、街単位でものごとを考えようと思っているんです。僕は川崎で育った、川崎人。国や県だと規模が大きすぎて、自分の肌感覚が追いつかない。たとえば同じ神奈川でも、横浜と新百合ケ丘はぜんぜん違うわけでしょう。

MARIA:そうですね。私は最終的には、自分は自分でいればいいのかなと。昔はお客さんも含めて人の反応を気にしていたんだけど、2年くらい前からそう思えるようになって、今ではどんなにディスられてもぜんぜんムカつかない(笑)。

神里:強いなあ(笑)。

みんな「自由でいたい」とか言うけど「自由って何?」と。私の結論は「ファミリーでいられること」なんです。(MARIA)

―SIMI LABを聴いていて感じるんですが、MARIAさんのリリックって、他のMCに比べて、少し俯瞰的なところから世界を見ている感じがあると思うんです。

MARIA:どうだろう? たしかに「自由について」とかは考える。みんな「自由でいたい」とか言うけど「自由って何?」と。私の結論は「ファミリーでいられること」なんです。貧困で国を離れた日系人の話があったけど、ユダヤ人の歴史とかを見ても、みんな身近な人と一緒に平和に暮らすことを求めて生きてきたんだと思う。逆に今の日本を見ていると、自由を通り越してめちゃくちゃになってるんじゃないの? と疑問に感じます。


神里:でも一方で、日本ってすごくルールに依存してもいるよね。ペルーに行ったとき、人々の逸脱のエネルギーに驚いたんです。交通ルールも一応あるんだけど、みんなそれをすり抜けることしか考えていない(笑)。その光景を見ると、日本ではルールって安心するためにあるんだと感じる。「守っておけば安心」みたいな。それで、逸脱することを考えなくなっていく。

MARIA:たしかに野望のある人には生きづらいよね。親からすれば「こっちに行けば食いぶちがあるのに、なんでヒップホップ?」って話だし。日本でマイノリティーは反感を買いやすい。少し話はそれるけど、うちの両親は私が小さい頃に離婚したんです。それでデトロイト出身の軍人の父親と一緒に暮らし始めたんだけど、彼は途中でフィリピンの女性と勝手に結婚しちゃって、私は母親に引き取られることになったんです。これも世間的には「どうなの?」って話だろうけど、たぶん父親は自分の国じゃない日本で暮らして、いろいろ我慢していたんです。そこに英語が話せるフィリピンの女性が現れたとき、懐かしさを感じてしまうのは自然なことかなあ、と今では思う。世間一般的な「父」として見るか、一人の人間として見るか。

神里:すごい話ですね……。

僕は考えて喋るタイプではなくて、ほとんど反射神経で話しているんです。ヒップホップも同じで、内容よりも音に興味がある。(神里)

―ところで、神里さんはどうしてヒップホップが好きなんですか?

神里:初めて好きになったのは、先ほども話した2Pacです。アメリカ留学中にMTVから流れてきたのを聴いて衝撃を受けて、ハマりました。ヒップホップの言葉の音が気になるんです。だから中国やパレスチナのラップもよく聴く。聴き心地が良くて。

神里雄大

MARIA:私も、チカーノラップっていうメキシコのヒップホップをよく聴くよ。あと、フランス語のラップも面白いよね。

神里:今回、MARIAさんに『+51 アビアシオン, サンボルハ』を観てもらいたかったのも、ルーツうんぬんもそうだけど、単純にラップが好きってところから始まっていて。というのも日本語ラップで、SIMI LABほどガツンと来たのは珍しかったから。

MARIA:うれしい! ですよねえ!(笑)

神里:僕は考えて喋るタイプではなくて、ほとんど反射神経で話しているんです。話してからどうしようかと考える。ヒップホップも同じで、内容よりも音に興味がある。

―それは、脚本を書くときも同じですか?

神里:せめぎ合いですね。でも、どうしても台詞の内容と音を比べなくちゃいけなくなったら、最終的には音をとるかな。


MARIA:そう、神里さんの舞台を観ていて、音がいいって思った。ラップを聴いているみたいって。

神里:ずっとラップに憧れていたもので(笑)。あとは同じ内容でも、どの言葉で発語するのかをすごく考えます。だから役者にセリフを喋ってもらったときに一番嫌なのは、グチャッと喋られることで、最近はそれに対してすごく神経質になっているんです。語尾を伸ばされたりすると「なんで!?」ってなる。役者からすると鬱陶しいと思いますけど。

MARIA:セリフだけで音を表現するって、難しいことをやっていますよね。私たちはビートがあるから、そのキャンバスに言葉を乗せていけばいいんだけど。

神里:僕はそのビートが作れないから、ビートを使わずに音を聴かせたいんです。

MARIA:私の場合、ビートがない状態で言葉を作ることはほとんどないんです。自分が日々の中でぼんやり考えていることがあって、そこにビートを与えられると、それに反応して言葉が生まれる感じ。たとえば16小節のビートがあったら、それに合わせて4パターンくらいの詞を作る。それらがパズルみたいに組み合わさって、最終的な形になる。2013年に出した“Helpless Hoe”ってソロ曲も、ビートとの出会いから生まれました。媚売り女に説教する、みたいな曲なんですけど(笑)。ただ、私もラップやっているときに演じている部分はあるんですよね。ラップ中と私生活が全然違うもん。舞台上で何が起きているのか、自分でもわからない。


神里:ステージに上がると、スイッチが入っちゃう感じ?

MARIA:ライブ前は心臓バクバクなんですよ。それが、3曲くらい終わった頃から、なぜか「オラオラモード」に変わっているの。

神里:ちなみに僕は、役者によく「モードを変えるな!」って言います。

MARIA:きびしい~(笑)。

神里:こっちは役者の普段の良さに目をつけて声をかけているんですよ。だから「そんな下手な芝居はするな!」って叩きまくるんです。でもMARIAさんの変化って、ファーストフードの店員が仕事になるとみんな同じ喋り方をするのとは違うでしょう?

MARIA:うん、事務的なわけではない。

神里:その変化はいいんですよ。下世話だけど、普段の自分とセックスしているときの自分が違う、みたいな自然な変化はOK。困るのは自分を出発点にしないで、「役者」っていうものを演じようとすることです。

MARIA:それってある意味、本当に人と向き合っているってことなのかもしれないね。以降、気をつけてみます(笑)。

神里:いやいや。でも、今日はお会いできて本当に良かったです。すごく話しやすかった。

MARIA:こちらこそです! 私も劇場という、クラブとはまた違う世界を体験できて、とても刺激的でした(笑)。

イベント情報
岡崎藝術座
『+51 アビアシオン,サンボルハ』

作・演出:神里雄大
出演:
小野正彦
大村わたる(柿喰う客)
児玉磨利(松竹芸能)

熊本公演
2015年3月6日(金)、3月7日(土)全3公演
会場:熊本県 熊本 早川倉庫
料金:
前売 一般・学生2,000円
当日 一般・学生2,500円
※岡田利規(チェルフィッチュ)×神里雄大アフタートークあり

京都公演
2015年3月11日(水)~3月15日(日)全6公演
会場:京都府 京都 元・立誠小学校
料金:
前売 一般2,500円 学生2,000円
当日 一般3,000円 学生2,500円

東京公演
2015年3月19日(木)~3月23日(月)全8公演
会場:東京都 日本橋 NICA : Nihonbashi Institute of Contemporary Arts
料金:
前売 一般3,200円 学生2,500円
当日 一般3,500円 学生2,800円

  • +51アビアシオン, サンボルハ on Strikingly
  • 岡崎藝術座 | Okazaki Art Theatre web
  • 『森、道、市場2015~モリハイヅコヘ~』

    2015年5月9日(土)、5月10日(日)10:00~20:00
    会場:愛知県 蒲郡市大塚海浜緑地
    出演:
    SPECIAL OTHERS ACOUSTIC
    砂原良徳
    □□□
    青葉市子
    SIMI LAB
    DJやけのはら
    cero
    KIMONOS
    group_inou
    奇妙礼太郎
    kz(livetune)
    Avec Avec
    ザッハトルテ
    and more
    料金:1日券 事務局特別販売1,700円 一般1,850円

    プロフィール
    神里雄大 (かみさと ゆうだい)

    作家・演出家。1982年、ペルー共和国リマ市生まれ。神奈川県川崎市で育つ。2003年に岡崎藝術座を結成。日常と劇的な世界を自由自在に行き来し、俳優の存在を強調するような身体性を探求するアプローチが演劇シーンにおいて高く評価される。2006年『しっぽをつかまれた欲望』で『利賀演出家コンクール最優秀演出家賞』を最年少受賞。『ヘアカットさん』(2009年)、『(飲めない⼈のための)ブラックコーヒー』(2013年)が『岸⽥國士戯曲賞』候補にノミネート。また『亡命球児』(『新潮』2013年6月号)で、小説家としてもデビュー。

    MARIA (まりあ)

    SIMI LABのメンバー。2011年のSIMI LABの1stアルバムを発表以降、OMSBやDyyPRIDEなど、メンバーのソロ作品への参加のみならず、DJ PMX『HIPHOP HOLIC』や、BLACK SMOKER RECORDS初のコンピレーションアルバム『LA NINA』、JUKEとHIPHOPのコラボ作品『160 or 80』や粗悪ビーツの作品など、様々な作品にもゲストMCとして招かれている。2013年、初となるソロアルバム『Detox』を発表した。



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