ネット文化発のfhánaが今、「他者に出会う」と繰り返し語る理由

fhánaの3rdアルバム『World Atlas』は、もしかしたら、これまでの彼らのアルバムのなかで最も「小さなアルバム」と言うことができるかもしれない。

ここで言う「小ささ」とは、もちろん作品の音楽的な質や、描かれている物語の濃度を指すのではない。では、なにが「小さい」のか? それは、「君と僕」という、この作品に通底して流れる視点そのものが「小さい」のだ。

このアルバムに描かれる「僕」と「私」というふたつの主体は、それぞれがそれぞれの地図を持ち、それぞれの記憶と、約束と、願いと、人生を抱きしめながら、ただ、彷徨い続ける。このアルバムで確かなものは、「音楽」だけだ。だからこそ、このアルバムは素晴らしい。本作を聴き終えてから、ふとした瞬間に考えてしまう。「僕」と「私」は出会えたのだろうか? と。わからない。でも、ひとつ断言できることがある。「わからない」とは、希望なのだ。

音楽って遥か昔から、なにかとなにかを繋ぎ合わせたり、なにかとなにかの間を流れるものだったと思うんです。(佐藤)

—僕がアルバム『World Atlas』を聴いて思ったことは、前作『What a Wonderful World Line』(2016年)の「次」が明確に描かれている作品だな、ということでした。「World Line=世界線」というものがある。じゃあ、ひとつの世界線とひとつの世界線をどのように交わらせていこうか? という問いかけが、このアルバムの基盤になっているのかな、と。アルバムの全体像は、いつ頃から見えはじめたのでしょうか?

佐藤(Key,Cho):まず、“青空のラプソディ”(2017年1月リリース)を作ったあたりから3rdアルバムのことをイメージしはじめて、その段階で『World Atlas』っていうタイトルも出てきました。なので、前回のツアーは『Looking for the World Atlas Tour 2017』……つまり、「世界地図を見つけにいく旅」というタイトルにして。

僕らはデビュー前から「世界線」という言葉を使ってきましたけど、そこには「平行世界」という意味合い含め、いろんな可能性を込めているんです。たとえば、僕ら自身の場合、アニメのタイアップもたくさんやっているけど、それぞれのアニメの物語も、「fhánaという大きな物語のひとつなんだ」という意識があって。

左から:佐藤純一、towana
左から:佐藤純一、towana

—fhánaのこれまでのアルバムは、「アニソン」という個々のアニメの物語を背負った楽曲が寄り集まることで、より大きな物語が生み出されている、という印象がありました。もちろん、それは本作でも言えることだと思うんですけど。

佐藤:最初にタイトルをつけたときは、『World Atlas』はこれまでの活動の集大成であり、到達点という意味合いだったんです。遂に完成した世界地図、みたいな。でも、アルバムが完成した2018年の今となっては、タイトルの意味合いは自分たちのなかでもだいぶ変わってきたんです。むしろ今は、これから「本当の旅」に出るために必要な地図、というイメージで。

—当初、目的地だと思っていた場所が、実は出発点だった、ということですか?

佐藤:そうなんです。旅に出るときって、手ぶらでは行かないじゃないですか。たいていは、Googleマップとかガイドブックを見たりして、イメージを膨らませながら旅をするもので。このアルバムは、そういう旅に出る人の背中を押す地図になってほしいなと。慣れ親しんだ場所から離れて、普段行かない場所に行く――つまりは「他者に出会う」、そのために必要な地図という感覚が、このアルバムにはあるんです。

—それだけfhánaというバンド自体が、「他者に出会いたい」というモードになってきた、ということでしょうか?

佐藤:そうですね……でも、「他者に出会う」って、2ndアルバムのときも言っていたんですよ。ただ、この1年ぐらいで、それが観念的なものではなくて、具体的なものになっている感じがしていて。それまでの僕らがいた場所って、言ってしまえば「箱庭」的な場所だったのかもしれないなって思うんですよ。「自分たちが思う『いい曲』を作りました。どうぞ、ご査収ください」みたいな(笑)。

—(笑)。

佐藤:箱庭って、隅から隅まで見れるじゃないですか。これまでの僕らには、自分たちで見えない部分や、わからない部分がなかったんです。

—全てが計算できていたし、想定の範囲内だった。

佐藤:そう。でも、「ほんとう」の世界は影になっていて見えない闇の部分や、矛盾がたくさんあって。そういう闇や矛盾があるからこそ、光の当たる部分が美しく輝くんじゃないかって。それに、“青空のラプソディ”が大きかったんですよね。あの曲はYouTubeの再生回数も今までで一番多かったし(2018年4月時点で1900万再生)、自分たちが知らない、全くイメージしていなかった人たちが聴いてくれていたりして。あの曲以降、海外でのライブもたくさんやらせてもらったし、日本でも、いろんなクラブイベントでかかっていたみたいで。「fhánaの曲でみんなが踊っていたよ」なんていう話を聞くと、「へぇ、そうなんだ」って……。

佐藤純一

—自分たちの作った曲が、自分たちが想像もしていなかった世界を見せてくれたんですね。“青空のラプソディ”は、みなさんが踊っているミュージックビデオも印象的でした。「クラブでかかっていた」ということですけど、やっぱり「踊る」という身体的な行為を他者と共有することは、大きな力を生むんですよね。精神的な繋がりとは全く違う。

佐藤:そうですね。人と人が考えや感情をわかり合うのは、端から無理なので。だからこそ、体験を共有することは希望になるなって思います。同じ体験を共有した人同士は、その瞬間は気持ちがリンクしたりするものじゃないですか。それに、音楽って遥か昔から、なにかとなにかを繋ぎ合わせたり、なにかとなにかの間を流れるものだったと思うんですよ。コミュニケーションのツールとなって人と人とを繋いだり、それこそアニソンなら物語と映像と人とを繋げたり、なにか神聖な儀式とかだったら、あちら側の世界とこちら側の世界を繋げたり。その力に対しては、僕自身、疑ったりしたことはないんです。

繋がることより、「自分のコミュニティーを大事にしましょう」っていうのが、今の時代の大きな流れなのかなって。(佐藤)

—“青空のラプソディ”が広く求められたのは、「体験の共有」を人々が求めていたから、と言うこともできますよね。

佐藤:世間的に、みんな内に籠っているような空気は感じますからね。それまではインターネットでも世界経済でも、どんどんとオープンに開かれて、「繋がることが一番いいことだ!」みたいな流れだったと思うんです。

でも、僕らが2ndアルバムを出した2016年にはもう、みんながどんどんと断絶していっているような気がして。オープンに繋がることより、「とにかく自分のコミュニティーを大事にしましょう」っていうのが、今の時代の大きな流れなのかなと強く感じるんです。

—すごくわかります。

佐藤:たとえば、fhánaを結成した2010年前後って、SNSをすごく面白く感じることができたんですよ。「趣味が同じだから」というだけで、いわゆる地縁ではない、違う地域や国の人と友達になったり。fhánaもそうやって結成されたバンドでしたしね。

左から:佐藤純一、towana

佐藤:でも、「繋がりすぎる」ことで生まれるいい面も悪い面もある。繋がりすぎると、ちょっとしたことで炎上したり、有名人のスキャンダルも揚げ足の取り合いみたいな感じになってるし……「こんなに繋がっているのは疲れるなぁ」ってなってくるんですよね。

それでInstagramみたいな、文字中心じゃない、写真だけで繋がるSNSが流行ったり、ストーリー機能みたいに、その日だけで消えちゃうもののほうが、今は楽だったりするし。

—そうですよね。

佐藤:それで、みんなどんどんと内に籠っていってしまうのかなぁと。でも、だからこそ僕らは、居心地のいい家に籠っているだけじゃなくて、表に出てみようよっていう気分になってきているんです。

「人はみんな同じだ」っていうのは、1stアルバムから通底している僕らのテーマ。(佐藤)

—今回の作品は、それぞれの曲に「僕」、あるいは「私」という一人称のどちらかが出てきますけど、最後の“It's a Popular Song”にだけ、1曲のなかに「僕」と「私」両方の主語が出てくるんですよね。そこで思ったのは、この作品は、1枚を通して「僕」と「私」の出会いと別れを描いているのではないか、ということで。結局、僕らはもう一度「君と僕」というミニマルな関係を見つめ直し、そこから出発するしかないんじゃないか? という問いかけが、ここにはあるような気がしたんです。

佐藤:なるほど……。“It's a Popular Song”って、最初は「『みんなの歌』を作ろう」と思って作っていた曲だったんですよ。ポップスって、つまるところ「みんながいいと思う曲」っていうことだから、「みんな同じだ」っていうことを歌にしようと思っていて。

「人はみんな同じだ」とか、「人と人はそんなに変わらない」っていうのは、1stアルバムから通底している僕らのテーマでもあるんです。1stアルバムのブックレットの1ページ目にも、「僕たちはそんなに変わらない。でも、バラバラになってしまった」ということが書いてある。

左から:佐藤純一、towana

—ネット文化を背景に生まれたfhánaだからこその批評的スタンスですよね。ネットが発達したことで、カルチャーのタコツボ現象が起こった。先ほどお話にもあったように、fhánaはネット文化の恩恵を受けて出発したバンドではあるんだけど、だからこそ、「でも、みんな一緒だったよね?」ということを、伝えようとし続けてきた。

佐藤:“It's a Popular Song”では、それを真正面から曲にしようと思ったんだけど……でも実際は、<ただの少女だった頃 私の視界は/隣町も見えない ちっぽけな世界>というラインが象徴するように、すごく個人的な、小さい視点からはじまる曲になった。さっきおっしゃっていただいた「君と僕」ということだと思うんですけど、そういう小さな視点からはじまって、「みんな同じだよね」っていうところに辿り着く。ちなみに、曲のタイトルを“It's a Popular Song”にしたのは、星野源さんの“Family Song”があったからで(笑)。

—どういうことでしょうか?

佐藤:あの曲、すごくいい曲だなって思うんです。あらゆる人を取りこぼすことなく、丁寧に拾い上げて、「みんな家族だよ」って包接していくような……すごく優しさのある曲だと思う。僕らは、それとは全く逆のルートを辿って、でも、ゴール地点は同じ、みたいな感じだと思うんですよね。

きっとみんな根本的に、今いる場所とは違う場所に行きたいと思っているような気がする。(佐藤)

—今作も従来通り、基本的には林英樹さんが作詞を担当されていますけど、1曲、“ユーレカ”だけはtowanaさんの作詞なんですよね。で、この歌詞が素晴らしくて。林さんの書かれる歌詞は、すごく完成度が高くコンセプチュアルに作られている感じがするけど、towanaさんの歌詞は、どちらかといえば曖昧で、抽象的な部分が残っている。でも、そこがすごく生々しくて、こちらに想像の余地を与えるな、と思って。

towana(Vo):ありがとうございます。この曲はもともとシングル『わたしのための物語~My Uncompleted Story~』(2018年)のアニメ盤のカップリングで、アルバムに入れる予定でもなかったんですよ。

それに歌詞は、「私のことを知ってほしい」っていう気持ちで書いたものではなくて。佐藤さんから題材のオーダーがあって、今までずっと林さんが書いてきてくださったfhánaの世界観を壊さないように、fhánaの世界の一部として存在できるようにって意識して書いたんですよね。それでも「生々しい」って言っていただくということは、自分というものを意識しなくてもやっぱり出ちゃうものがある、ということだとは思うんですけど。

左:towana

—今回、towanaさんが作詞されたきっかけはどうしてだったのでしょうか?

佐藤:この先、まだ出会えていないお客さんたちにfhánaというバンドを届けていこうと思ったとき、アーティスト本人の言葉で届けることも、大事になってくるのかなって思ったんです。

でも、最初にも言ったように、このアルバムは今までの集大成になるイメージだったから、今回までは林くんに全部作詞をしてもらって、次の展開から新しいことをやっていこうと思っていて。“ユーレカ”はアルバムに入れず、3rdアルバム以降の動きの布石になればいいな、くらいに思っていたんです。でも、いざ完成してみたら「これはアルバムに入れるでしょう!」ってなったという。

—この曲の存在は、アルバムのなかでも本当にいいアクセントになっていますよね。

佐藤:最初は、ちゃんと商品になるような歌詞が書けるか少し心配だったんですけど、ほとんど一発OKでした。あまりにも最初からよすぎて「いいじゃない」しか言わなかったら、「本当にいいと思っているんですか?」って疑われたぐらい(笑)。

—ははは(笑)。歌詞のテーマ設定として、佐藤さんからはどのようなオーダーがあったんですか?

佐藤:「住み慣れた故郷を離れて、都会に出てきた人の歌を作ってください」って伝えました。そもそも、“わたしのための物語”のタイアップアニメ(『メルヘン・メドヘン』)が、学校にも家庭にも居場所がなかった主人公が、成長して居場所を作っていくっていう話でもあったんです。

佐藤:fhánaもこれまでの5年間、アニソンの世界や音楽シーンのなかで自分の居場所を見つけるために闘ってきた。なので、「居場所」というテーマで“わたしのための物語”を作ったんですけど、それに対して“ユーレカ”は、もともとの居場所から新しい場所に行って、そこで一から自分の居場所を作るために頑張る曲にすればいいんじゃないかと思って。

—なるほど。今のfhánaのモードを象徴している歌詞でもありますね。

佐藤:そうですね。ただ、“ユーレカ”は新しい居場所を作っていく人の歌だけど、「外の世界に行く」って、別に物理的に移動するだけじゃなくてもいいと思うんです。日々、考えていることや行動が変わっていけば、居場所は変わらなくても、外の世界に行くことは可能で。どちらにせよ、きっとみんな根本的に、今いる場所とは違う場所、もっと良い場所に行きたいと思っている気がするんですよね。それがないと、生きる気力はなくなっちゃうんじゃないかなぁって。

佐藤純一

最初は、完全に自分だけのために歌っていたんですよね。大袈裟ですけど、自分が生きるために歌っていた。(towana)

—先ほどの「他者に出会う」という話に繋がると思うんですけど、僕は、fhánaのなかで一番「他者」の存在を強く感じ続けてきたのは、towanaさんではないかと思うんです。そもそも、男性陣3人でスタートしたfhánaにとって、当初、towanaさんは他者だったはずだし、towanaさんにとってもfhánaは他者だったはずで。そして、バンドのフロントに立って歌うということは、リスナーという他者の存在の視線を最も背負う立場でもある。変な訊き方ですけど、towanaさんにとって、他者と上手く向き合っていく秘訣のようなものはありますか?

towana:その答えは、私が知りたいくらいなんですけど……私も、すごく内に籠りがちだし、基本的には人前に出ることも、知らない人に出会うことも苦手で。それでも、バンドのボーカルとして開けていくことは必要なことだと思うし、この数年間、人前に出て歌い続けてきたことで、今ようやく「歌詞も書いてみよう」って思えたりして……。

自分が苦手だったことに向き合いながら、頑張って少しずつ進んできて、やっとここまできた。3枚目のアルバムで、やっとこういうことが歌えるようになったっていう感じなんです。なので、もし、今の質問の答えを知っている人がいたら、私が教えてほしいぐらいですね(笑)。

右:towana

—towanaさんの「それでも歌いたい」という気持ちの、その奥にある原動力は、fhánaで歌いはじめた頃から現在まで、変わりませんか?

towana:最初は、完全に自分だけのために歌っていたんですよね。大袈裟ですけど、自分が生きるために歌っていた。でも、聴いてくれる人がいて、なにかを思ってくれる人がいるっていうことがわかってきて。「こんな幸せなことないな」って段々と思うようにはなりましたね。みなさんが普段聴く音楽や歌声のなかのひとつになれればいいなって、最近は思います。

佐藤:towanaは、パフォーマンスが変わってきたんですよね。本人は「そんなことない」って言うかもしれないけど(笑)、自分を出すようになってきているし、引っ張っていくパフォーマンスをするようになってきているなって思います。

右:towana

『ブラックパンサー』を観て、最終的に「これって、“It's a Popular Song”じゃん!」って思ったんです(笑)。(佐藤)

—逆に、towanaさんから見て、佐藤さんの出会った頃から変わった部分はありますか?

towana:……ちょっと丸くなったかな。

佐藤:ほう(笑)。

towana:本当にちょっとだけ、丸くなりました。5~6年前は、やりたいことが明確にあって、そのために全てを自分でコントロールしなくちゃ気がすまないっていう感じでしたけど、最近は人をそそのかすことを覚えてきたというか(笑)。

左から:佐藤純一、towana

佐藤:まぁ、社長が自分でなんでもやっちゃう会社は成長しないって言うじゃないですか(笑)。それに、大きいことをやるには、それぞれのいいところを上手く引き出しつつやっていったほうがいいと思うんですよね。

さっき、towanaに訊かれてた「どうやって他者に向き合っていけばいいのか?」という質問にも繋がると思うんですけど、「わかり合う」んじゃなくて、最初から「違う」っていうことを理解するのが良いんじゃないかと思うんですよ。……この間、『ブラックパンサー』(2018年公開のマーベル・スタジオ作品。監督はライアン・クーグラー)を観てきたんですけど、めちゃめちゃ面白くて。最終的に、「これって、“It's a Popular Song”じゃん!」って思ったんですけど(笑)。

参考記事:『ブラックパンサー』になぜケンドリック・ラマーが起用された?

佐藤:たとえば、『インデペンデンス・デイ』(1996年公開。監督はローランド・エメリッヒ)みたいな映画もあって。あれは、宇宙人っていう人類共通の敵が攻めてきて、それによって今までバラバラだった世界中の国々が協力して、「今日という日はアメリカの独立記念日というだけでなく、地球の独立記念日なんだ!」ってアメリカの大統領が演説して、みんなが闘いに行くんですよね。

それはそれでグッとくるものはあるんだけど、『ブラックパンサー』は、別に人類共通の敵が出てくるわけではない。「いろんな人たちがいて、それぞれ違うけど、同じ部分もあるから、上手くやっていきましょう」みたいな感じなんですよね。わかり合えるわけではないけど、上手くやっていく、その方向を見つけていこうよって……それって、すごく大事なことだと思うんです。

towana:……ふふふ(笑)。

—towanaさん、どうしましたか?

towana:いやぁ、星野源さんとか、『ブラックパンサー』とか、fhánaはすごいところと並んでいるなぁと思って(笑)。

右:towana

—でも、常に時代感に向き合おうとし続けているバンドですよね、fhánaは。

佐藤:「向き合おう」としているわけではないんですけどね。……でも、こうしてアルバムを出したり、ツアーをしたりすることに対して、「それって、どういうことなんろう?」って、よく考えるんです。やっぱり、アーティストにできることって、リスナーに非日常を与えることだと思うんですよ。

たとえば、ライブって意図して作られた非日常の空間ですよね。普通、非日常って、自分で作るものではなくて、天災や恋のように、思いがけずそこに放り込まれてしまうもので。

『Looking for the World Atlas Tour 2017』より
『Looking for the World Atlas Tour 2017』より

佐藤:でもライブは、僕たちアーティストが意図して作り、お客さんも偶然ではなく、自らの意思でそこに来るわけなんですよね。僕たちが作り出した非日常の渦に、みんなが自ら入ってきて、2時間後には日常の世界に戻っていく。だとしたら、僕らアーティストに問われているのは、どれくらい、日常に戻ったときにも消えないものを残せるか? だと思うんです。

「なんだったんだ、あれは?」って……よくわからない、消えないなにかを残したい。もちろん、それは音源でも一緒で。僕らのアルバムを聴いている時間でも、1曲を聴いている4分間でも、特別な非日常を体験してもらって、それが終わったとき、なにか、心に不思議なものが残るような……そういうものを与えることができたらいいなって思っているんです。

左から:佐藤純一、towana

fhána『World Atlas』通常盤ジャケット
fhána『World Atlas』通常盤ジャケット(Amazonで見る

リリース情報
fhána
『World Atlas』初回限定盤(CD+Blu-ray)

2018年3月28日(水)発売
価格:4,780円(税込)
LACA-35713

[CD]
1. World Atlas
2. 青空のラプソディ
3. 君の住む街
4. Do you realize?
5. わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~ <ALBUM Ver.>
6. reaching for the cities
7. ユーレカ
8. アネモネの花
9. star chart
10. Rebuilt world
11. ムーンリバー
12. Hello!My World!!
13. calling
14. It's a Popular Song
[Blu-ray]
1. “World Atlas”PV
2. “わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~”PV
3. “Hello!My World!!”PV
4. “ムーンリバー”PV
5. “青空のラプソディ”PV
6. “calling”PV

『-fhána Looking for the World Atlas Tour 2017 at Zepp DiverCity-』
1. Rebuilt world
2. little secret magic
3. Antivirus
4. ムーンリバー
5. 青空のラプソディ
6. 君という特異点 [singular you]
7. 光舞う冬の日に

fhána
『World Atlas』通常盤(CD)

価格:3,240円(税込)
LACA-15713

1. World Atlas
2. 青空のラプソディ
3. 君の住む街
4. Do you realize?
5. わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~ <ALBUM Ver.>
6. reaching for the cities
7. ユーレカ
8. アネモネの花
9. star chart
10. Rebuilt world
11. ムーンリバー
12. Hello!My World!!
13. calling
14. It's a Popular Song

イベント情報
『fhána World Atlas Tour 2018』

2018年5月27日(日)
会場:北海道 札幌KRAPS HALL

2018年6月9日(土)
会場:愛知県 名古屋ボトムライン

2018年6月17日(日)
会場:大阪府 Zepp Namba

2018年6月24日(日)
会場:東京都 Zepp DiverCity

プロフィール
fhána
fhána (ふぁな)

佐藤純一(FLEET)+yuxuki waga(s10rw)+kevin mitsunaga(Leggysalad)のインターネット3世代によるサウンドプロデューサーと、ボーカリストのtowanaによるユニット。2013年夏、TVアニメ『有頂天家族』のED主題歌『ケセラセラ』でメジャーデビュー。「わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~」に至るまで、13作品ものアニメで主題歌を担当し、タイアップ曲では作品の世界観に寄り添いながらも、アニソン/J-POP/J-ROCK/日本/海外などの垣根を超えた軽やかなスタンスで、音楽への挑戦を続けている。2018年3月28日、3rdアルバム『World Atlas』をリリース。



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