「東京のいま」を代弁するバンド、Yogee New Waves。そのボーカルとして活躍する角舘健悟が今回、東京を離れ、台湾南部の最大都市・高雄(Kaohsiung)を訪れた。
東京ではなかなか味わえない体験や、現地の人々との交流は、角舘の心に何を残したか? 家族での旅が好きだったという角舘が、今回改めて感じた旅をする上で大切にしている価値観とともに、高雄の思い出を振り返る。
「どこの国に行っても土着的な人こそすごく優しいな」と感じました。
—角舘さんは、よく旅をされますか?
角舘:僕の祖父母が旅行好きで、子どもの頃にエジプトやモンゴルなどに連れて行ってもらった経験があって。だから、旅に行くことにもともと抵抗がありませんでした。大学のときもカンボジアや、インドネシア、あと台湾に行きましたね。
—旅をする上で、重視していることはなんでしょう?
角舘:普段の旅で大事にしていることは、友だちと行ったとしても「必ずひとりでぶらぶらする時間を作ること」。団体行動だと行くところが決まっちゃうし、観光地に偏ってしまうじゃないですか。だから朝早く起きて、現地の人々の暮らしがわかるローカルな場所に行ってみるんです。現地の人がどんな表情をして生活をしているかが、旅でいちばん気になることなので、今回の高雄でも朝早く起きて、街をぶらぶらしました。
—土地勘のない海外でも、ひとりでの行動も平気なんですね。
角舘:そうですね。今年の初め、友だちに会うためにロンドンに行ったんですけど、彼の家に泊まる時間以外はだいたいひとりで行動していました。旅には慣れてたけど、ひとり旅はそれが初めて。ただ、ロンドンの人は冷たいって聞いていたので最初は億劫だったんですけど、道がわからなかったときも話しかければちゃんと聞いてくれて。そのときに「どこの国に行っても土着的な人こそすごく優しいな」と感じました。
こちらも変にカッコつけたり距離をおいたりせずに、思いっきり土地や人にぶつかっていけば必ずリアクションが返ってくるんですよね。それが理解できてから、自分は東京人として、東京で困ってる外国人を見かけたら積極的に声をかけるようにもなりました。
どの旅でも自分から一歩踏み出すことで何かを得られると思います。
—これまでで、特に印象に残っている旅はありますか?
角舘:カンボジアへ友だちとふたりで行ったときに、現地で僕と顔がそっくりなカンボジア人と出会いました。お互い拙い英語を使って、急激に仲良くなって。いつの間にか「俺たちブラザーだな」みたいなことも言い合ったりして……(笑)。だけどそのあと、「米を1升買って欲しい。寄付して欲しい」という話になり、こっちもそれは困ると言って口論になったんです。最後には口も聞かない感じにまでになってしまって。
仲良くなって絶交するまで、たった2時間くらいですよ! でも、こんなこと日本では経験できないし、思い返すと貴重な体験だったのかな。彼がそうなったのも必死で生きてるからこそだし、まさに現地で「人」を感じられた瞬間でした。ロンドンやカンボジアでもそうだし、どの旅でも自分から一歩踏み出すことで何かを得られるんだと思います。
—角舘さんは、ツアーでもアジアなどを訪ねていると思います。
角舘:アジアツアーで色々な国をまわったとき、いつも不思議に感じるのは、歌詞は日本語なのに、どの国の観客にも僕たちの音楽がちゃんと通じていること。言語の壁を越えて、自分の作った音楽を分かち合ってくれるファンのみんなと出会い、改めて音楽に人種は関係ないんだなって実感できました。
日本でのライブだと、母国語でそのままストレートに言葉の意味が観客に伝わるけど、海外だとそうはいかない。自分も言葉に頼らず、どう感情を込めるべきかをより吟味します。だから、それが伝わったときはすごく自信にもつながりますね。
あと、インターネットやサブスクのおかげで、いまでは世界中に自分のことを知ってる人もいるので、日本だけで活動しているのはもったいないし、小さいなって思います。いや、むしろ世界って意外と小さいなって……(笑)。海外って意外に簡単に行けるんですよね。
都会すぎない高雄だからこそ、「よく来たね!」っていう温かな歓迎の気持ちを地元の人たちから強く感じました。
—今回、台湾の高雄市を訪れました。台湾の印象はいかがでしょう?
角舘:台湾にはこれまでも何度か来ていて、現地の人と話をしたり、友だちを作ったりして思ったのが、「台湾の人は、他の国の人に比べて日本人に近いな」と。
—どんなところが近いと感じたのでしょう?
角舘:国民性みたいなものかもしれないけど、ちょっぴりシャイで、だけど知り合いになると一気に話が盛り上がる。性格が似ているから、話していても「こう話した方がいいんだろうな」ってこちらとしても気が遣えますね。
欧米だと自分の気持ちをストレートに話さないとわかってくれないけど、台湾人とはお互い最初は「探り合い」から始まる。そして少しずつ距離が近づいていくことに美しさみたいなものがあって、2回目に会った方が仲良くなれるんです。
あと、性格が似ているから好きな音楽も似てるんだと思います。欧米だったら頭から「ジャーン!」で「It’s my life ~!」ですからね(笑)。そんなこと僕らは歌えないし、日本人や台湾人の心にはなかなか響かない。これまで世界の色々な国の人と出会いましたけど、台湾の人には特別シンパシーを感じます。
—高雄は、台湾の中でも日本人がよく行く台北とは少し異なる雰囲気の街だったと思います。今回、訪れていかがでしたか?
角舘:高雄は適度に都市と田舎が混ざり合っていて、すごく居心地が良いですね。台北には大都市の良さがあるけど、高雄は自然の中に人が土着的に住んでいて、だからこそ僕らのような外からの人間を大事に受け入れてくれる感じがします。
海の見える居酒屋で、現地のおじちゃんたちと一緒にお酒を飲み、カラオケでデュエットしたけど、多分そんなことは台北や東京ではなかなか体験できないことだと思います。
—してましたね。現地の方々も、上機嫌でした。
角舘:「アーティスト」という肩書を取っ払って、日本人の自分としてカッコつけずに接することができました。それが嬉しかった。都会すぎない高雄だからこそ、「よく来たね!」っていう温かな歓迎の気持ちを地元の人たちから強く感じる。一生懸命僕らに対して、嫌な気持ちにさせないようにしてくれる心遣いが本当にありがたいし、だから僕らも高雄の人や街に思いっきり飛び込んでいけました。東京でのクールな探り合いと違って、高雄ではポップな探り合いができて、すごく心地良かったです。
角舘:もう1つ、高雄の魅力は街の中に、自然にアートが溶け込んでること。食堂街のような裏通りでもアートギャラリーのようなところを発見したし、高雄の人気カルチャースポット「駁二藝術區」も、港町ならではの倉庫をリノベーションして、そこにギャラリーや本屋が入っていて素敵だなと思いました。
角舘:あと高雄にもし来るときは、是非地元のアーティストの曲を聴いて、現地を歩いてほしいですね。土地の雰囲気と音がリンクして、より街が立体化されるので。僕も高雄の街でSorry Youth(高雄を拠点にした3ピースバンド)の曲を聴いていたけど、彼らのリバービーな音と高雄の気候がすごくマッチして、より高雄の街を好きになりました。
- サービス情報
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- 『潮風感じる、ゆるい街 台湾・高雄』
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3人の著名人の高雄旅が楽しめる、高雄市観光局の日本向け公式サイト。Yogee New Waves角舘健悟の他に、奇界遺産やクレイジージャーニーで知られるフォトグラファー佐藤健寿、モデル武居詩織が巡った高雄を掲載中。
- リリース情報
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- Yogee New Waves
『Summer of Love』 -
2018年10月10日(水)配信リリース
- Yogee New Waves
- イベント情報
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- Yogee New Waves
『CAN YOU FEEL IT TOUR』 -
日時:11月18日(日)
会場:静岡県 浜松 窓枠日時:11月23日(金・祝)
会場:京都府 京都 磔磔日時:11月24日(土)
会場:香川県 高松 DIME日時:12月02日(日)
会場:新潟県 新潟 NEXS日時:12月03日(月)
会場:石川県 金沢 AZ日時:12月09日(日)
会場:愛知県 名古屋 ダイヤモンドホール日時:12月10日(月)
会場:大阪府 大阪 BIG CAT日時:12月13日(木)
会場:東京都 お台場 Zepp DiverCity料金:前売3,500円(ドリンク代別)
- Yogee New Waves
- プロフィール
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- 角舘健悟 (かくだて けんご)
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1991年生、東京出身。2013年にバンド、Yogee New Wavesを結成し、ボーカルとして活躍。2014年4月にデビューe.p.『CLIMAX NIGHT e.p.』を全国流通でリリース。2018年3月にはメジャーデビューとなる3rd e.p.「SPRING CAVE e.p.」をリリースし、アジア3ヶ国(台湾、香港、タイ)を含めた全12箇所のリリースツアーを開催。11月からは全国8都市でのワンマンツアー「CAN YOU FEEL IT TOUR」の開催が決定。
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