ROVOの4年ぶりのニューアルバムは、12枚目にして初のセルフタイトル作。新型コロナウイルスの感染拡大という前代未聞の状況に際して、一度自らのあり方をリセットし、新たな世界へと歩みを進めるーーそんな最新型のROVOがここにある。
そもそもROVOというバンドは、イギリスでレイヴカルチャーに触発された勝井祐二がダンスミュージックを生演奏するバンドとしてスタートさせ、その熱狂的なライブが日本における野外フェスの興隆ともリンクすることによって、歴史を作ってきた。その象徴が毎年5月に日比谷野外大音楽堂で実施されてきた『MDT Festival』だったわけだが、今年の開催は中止。「場所」を奪われたことは、ROVOにとって大きな損失だった。
だからこそ、7月に西多摩(あきる野市)にあるキャンプ場で『ROVO LIVE FOREST 2020』を開催し、いち早く有観客での野外ライブを行ったことは、バンドの哲学を改めて表明する重要な一歩だった。そして、その場で勝井が言った「新しいフェーズ、新しいクオリティ」に向けた最初の作品が、『ROVO』というアルバムだとも言える。難波ベアーズの店長として、ライブハウスの実情を日々見つめる山本精一にもリモートで参加してもらい、勝井とともに話を聞いた。
年に一度の「祭り」の中止を受け、いち早く有観客ライブを実施したROVO。その実験的試みを通じて直面したこと
―新型コロナウイルスの影響で今年は恒例となっている日比谷野音での『MDT Festival』が開催できなかったわけですが、その後、7月に西多摩のキャンプ場で『ROVO LIVE FOREST 2020』が実施されました。その経緯を教えてください。
勝井:野音が中止になった代わりに去年の『MDT Festival』の映像を配信したわけですけど、その先で、今自分たちが置かれてる状況のなか「何ができて何ができないのか」をいろんな人と相談しながら考えていたとき、『LIVE FOREST』を共同主催してくれた『earth garden』(ウェブマガジンも運営する野外フェスの制作オフィス)の鈴木幸一さんから連絡をもらったのが大きくて。
彼は僕と同じ多摩地区の郊外に住んでいるんですけど、5月の配信前後くらいに、「うちの近所のキャンプ場でいいところがあるんですけど、見に行きませんか?」って言われて、出かけていったのがはじまりです。
―『earth garden』はあの会場を使ってライブの可能性を模索していますよね。
勝井:最初は配信だけ、次に何人か友人たちを招待して、6月には50人くらいお客さんを入れて……というふうに、どうやったらソーシャルディスタンスを作れるのかを試していくなかで、「ここでROVOのライブやれないかな?」と思って、7月の実現に繋がりました。
―野外フェスが軒並み中止になるなか、かなり早いタイミングでの有観客ライブでしたよね。
勝井:まだほとんど誰もやってなかったと思います。
山本:屋外野外に関わらず、ライブが全然やれない状況のなかで、ああいうことを一発目にやるのは……結構プレッシャーありました。大きく考えると、これからのフェスのあり方にも関わってくる試みだったと思うので、責任があったし、やるなら失敗できなかったんですよね。それに注目もされてたしね。「ことあらば、何か言ってやろう」みたいなやつもいたし。
勝井:『LIVE FOREST』の1週間後くらいに、鈴木慶一さんに会ったんですよ。「ROVO、武蔵五日市の山のなかでライブやったんだって?」って言われましたからね。やっぱり、注目はされていたと思います。コロナが来て、バタバタとライブができなくなって以降のフェスのあり方の、ゼロ号回みたいなものにはなったのかなと思っています。
山本:でも実際、若干残念な部分もあったりして。
勝井:とはいえ、あれによって見えてきたこともあるというか。
山本:とりあえずはじめてみないとね。だから、あれは実験でした。
―「若干残念な部分もあった」というのは、何があったのでしょか?
勝井:今まで僕らが17年間やってきた日比谷野音のフェスティバルって、全席自由で、お酒も含め持ち込み自由で、規制をできるだけなくして、「『フジロック』を都会に持ってくる」みたいなイメージでやってきたんですね。
それがフェス好きや、ROVOの音楽が好きな人たちにハマって、知らない人同士でも乾杯し合って、一緒に踊って、楽しく騒ぐことができる場になっていった。で、今年はそれができなくなって、7月に『LIVE FOREST』をやることになったとき、「これまでのとは違うんですよ」って事前にもっと大きく打ち出しておけばよかったかなとは思ったんです。
「新しいやり方を獲得していかなきゃいけないし、それは会場、主催者、演者だけではできない」(勝井)
―これまでの野音と同じような感覚で来ている人も見受けられたわけですか?
勝井:もちろん、コロナで大変な状況だってことを全く知らない人はいないだろうし、来てくれたお客さんみんなそれぞれ意識は持ってたと思うんです。ただ僕らの場合、やってる音楽が音楽なんで、盛り上がってしまうんですよ。
それで、最後の曲で数名が野音のときと同じようにステージ前に来てしまった。きっと、あの人たちも考えてやったことではあると思うんです。「ROVOのライブはこうあるべきだ」みたいなね。
勝井:でも、僕らの感覚とはズレがあったので、本編終了後のMCで「今は前と同じことをやってるんじゃダメで、これからの新しいクオリティを作っていかなきゃいけない」って、その場で伝えたんですよ。それはちゃんと通じてくれたと思います。
―山本さんから「実験」という言葉もあったように、まさに今は前例のない状況で、トライアルを重ねることで新しいあり方を見つけ出していく。その最初の一歩だったというか。
勝井:コロナが来て、この先いつどういうふうに収束するかはわからないけど、2019年以前の日比谷野音にあのまま戻りたいとはもう思ってないし、戻れないと、そのとき強く思いました。やっぱり、新しいやり方を獲得していかなきゃいけないし、それは会場、主催者、演者だけではできないんです。その場に参加している人全員で、考えを共有していかないと、コロナ以降の新しいやり方、新しいクオリティは獲得できない。それは『LIVE FOREST』をやってみて、初めて実感したことでした。
山本精一が日々見つめる、アンダーグラウンドの音楽文化とライブハウスの実情
―難波ベアーズの店長でもある山本さんには、ライブハウスの実情についてもお伺いしたいです。
山本:みんなでいろいろ考えてはいるんですけど、はっきり言って、全然アイデアが出ないです。ライブハウスは日銭稼ぎの場所なので、銭が入ってこないとどうしようもないんですよ。配信で儲かるのは人気のある人が出てるハコで、僕らみたいなアングラなハコは全然儲からない。
今は無理やりブッキングを入れてますけど、お客さんは来ないですね。コロナの行方がある程度わかって、恐怖心みたいなものが払しょくされない限りは、どんなことをやっても元には戻らないです。僕らが努力しても、お客さんが来てくれないとしょうがない。
勝井:この間、久々に新宿ピットインの昼間の公演に出演して、あそこは今40人に制限してやってるんですけど、それでもお客さんすごい少なくて(スタンディングの場合は約200人収容可能)。で、馴染みの店員さんに「昼だから客少なかったね」って言ったら、「今は夜もお客さん少ないですよ。なかなか40人も来ないです」って言われて……難しいですね。
山本:ホントに難しい。とりあえず、うちの場合は昼くらいからスタジオ貸しをしてます。大阪のライブハウスは今スタジオ貸し多いですね。バンドの連中もドネーションみたいな気分で借りてくれて、それはホントにありがたい。カンパ箱みたいなのを店の前に置いてるんですけど、それもめちゃめちゃ入れてくれるんですよ。ホントにありがたい。今はそういうのでしのいでる状態です。
勝井:今、東京のライブハウスも去年だったら4か月先まで取れなかったようなところが、「来週空いてます」みたいな感じで。だから、最近は「その日空いてるんだったら、何かやろうか」って、ちょうど昨日もそんな感じで、10日前に決めて、中村達也くんと2人でライブをやったんですよ。そうやってわりと思いつきでライブを入れてみる、みたいなことはしてますね。
山本:僕もコロナ以降自分のライブは増えました。まず自分のところが埋まらないから自分で出るという(笑)。でもホントに、今って直近でも土日が空いてたりして、そうなると、ライブの本数自体は増えますね。
勝井:ベアーズで山本さんがやった「無観客無配信、後売りチケット」ってあったじゃないですか? あれは画期的でしたね。
山本:そんなコンセプチュアルなものではないというか、妙な思想みたいなものは入ってなかったんだけどね。
勝井:後売りチケットって結構売れたんですか?
山本:すごく売れた。
勝井:ドネーション的な意味合いも多かったんでしょうね。
山本:ドネーションです。チケット代も、いくらでもよかったんで。
―ベアーズを愛している人の多さの表れでもありますよね。
山本:感動しました。俺、嫌われてると思ってたんで。
勝井:そんなことないですよ(笑)。
山本:あと、通販がすごいなって思いましたね。こういう状況だから、寄付って感覚もあって買ってくれてると思うんですけど、ホントにめっちゃ買ってくれて、会場売りのレベルじゃない。それもホントにありがたいです。
結成から四半世紀、12作目にして到達した新境地ーー「分離がいい」を通り越して、演奏から性格とか人柄まで見えてくる
―そんななかでROVOの新作がリリースされるわけですが、12枚目にして初のセルフタイトル作になりました。このタイトルはどのタイミングで決めたんですか?
勝井:ベーシックを録ったのが1月なんですけど、そのあとのダビング作業をしてるくらいだったかな。「セルフタイトルでもいいんじゃないか?」って話が出て、すぐに決定ではなかったと思うけど……最初に言ったのは山本さんですよね?
山本:かなあ? まあ、いろいろ話してるなかで、今回セルフタイトルでいいんちゃうかなって。こんな状況だし、「もう一度リセットする」みたいな感じで。
勝井:でも、「コロナだからリセット」ってわけでもないんですよね。
―録った時点で手応えがあって、コロナによる状況の変化がそれを後押しした、みたいな感じでしょうか?
山本:そんな感じかもしれないですね。そういえば、セルフタイトルなかったなって。
―『RAVO』(2010年)はありましたよね。あれからちょうど10年目というのも、区切りを感じます。
勝井:あのアルバムも相当手応えがあって、セルフタイトル的な意味合いもありましたしね。あと、ハルちゃん(迫田悠)が一回卒業したのがあのあとで(関連記事:『クリエイターのヒミツ基地』 Volume15 迫田悠(映像作家))。
山本:で、今回もう一度アートワークをやってもらうから、そういう意味合いもあるね。
勝井:「リセットが完了した」みたいなことなんですかね?
山本:まあ、もっと自然に出てきたというか、あんまり考えてなかった気はするけど。
勝井:僕が思ったのは、今回特に演奏がいいんですよ。それはものすごいテクニカルで、速弾きがどうとかってことじゃなく、邪魔し合ってないというか。ドラムが2台ありますから、通常のバンドに比べて音数は多いんです。でも、それぞれの演奏が絶妙にハマっていると感じることがすごく多かったので、僕としても、これはセルフタイトルでいいんじゃないかと思いました。
山本:年数がいってるバンドなので、余計な力が抜けてるんじゃないですかね? 過不足ない感じになっているかもしれない。粗さが感じさせる面白さもあるけど、今回グチャグチャってなってるところはあんまりなくて。
益子くん(シンセサイザー、ミックス / マスタリングを手がける益子樹)が「オリジナルの音のまんまで、ダイナミズムが最高潮に達するような音作りをコロナの期間にすごく研究した」って、それをしきりに言ってて、ドラムのまとめ方とかは確かにそれをすごく感じましたね。
勝井:この間マスタリングをしに益子くんのスタジオに行って、大きいスピーカーで確認したんですけど、あそこで聴くと「分離がいい」とかってレベルじゃなくて、性格とか人柄まで見えてくるんですよね。
芳垣さん(ドラム&パーカッション担当の芳垣安洋)のバスドラムの踏み方ひとつでも、すごく繊細にこの場面を捉えて、そっとバスドラを踏んでるからこそ太い倍音が出てるんだな、とか。今までは「ちゃんとグルーヴが出ているか」とか「はっきり分離しているか」とか、そういう観点で聴いてたんですけど、それを遥かに通り越して、そこに本人がいるかのごとく聴こえてくる。それは初めての経験でした。
―1曲目の“SINO RHIZOME”と、3曲目の“ARCA”が山本さんの作曲ですね。“SINO RHIZOME”はこれまでも何度か更新されている“SINO”の最新版かと思いますが、リズムが入ってくる前、序盤はポストプロダクションで作られてるわけですか?
勝井:いや、この曲も他の曲と同じように、頭から最後までみんなで演奏してるんです。
ROVO“SINO RHIZOME”を聴く(Apple Musicはこちら)
山本:“ARCA”は3~4曲分のモチーフを混ぜていて。
勝井:この曲、どんどん展開していくから交響曲みたいですよね。
山本:メドレーっていうかね(笑)。でも、今回のアルバムは勝井くんが作った“KAMARA”と“AXETO”が一番特徴的だと思ってて、今までなかったタイプの曲だし、僕のなかでこの2曲は近いっていうか。
勝井:近いですね。兄弟曲みたいな。この2曲が似てるのは、同じ日に作曲したからなのも大きいんですけど、とはいえ僕のなかではそれぞれのイメージがあって。“AXETO”は1980年前後くらいのポストパンク / ファンクみたいな、それにプラスして、僕ここ何年もタイを行き来してて、タイの人たちと交流があるので、タイの歌謡曲みたいなメロディーがちょっと入っているなと感じます。歌メロみたいなイメージで、それは“KAMARA”もそうかも。
ROVO“KAMARA”を聴く(Apple Musicはこちら)
山本:「なんでいきなりこういうのが出てきたんだ?」って思いました。だから、今回この2曲が新機軸というか、異質な感じで、俺はすごく好きですね。
勝井:今までは、思いついたメロディーとかフレーズを譜面にして、みんなに見てもらってたんですけど、今回作曲のやり方を変えたんです。2018年に『沖縄スパイ戦史』(大矢英代、三上智恵による共同監督作)っていう映画のサントラを手がけて、それはスタジオでエレクトリックバイオリンの即興演奏のライブをやるみたいに、イメージが湧いた瞬間に録って、それをベーシックにリズムやメロディーを加えて作ったんですけど、今回ROVOでも同じことをやったんです。
家で楽器とエフェクターを広げて、ルーパーでループさせながら、メロディーやアクセントを足していって、小っちゃいスピーカーで鳴らして、それをiPhoneで録って、譜面にすることなく、みんなに聴いてもらうっていう。即興でやるとアイデアがたくさん出てきて、曲がいっぱい作れるんですよね。なので、今回採用されなかった曲もいっぱいあって、なかにはみんなに大爆笑された曲もありました(笑)。
ROVO“AXETO”を聴く(Apple Musicはこちら)
楽曲を磨き上げる場として、観客が音楽に参加するための踊る場としての「ライブ」という文化が新たな局面を迎えていることは、ROVOにとってどんな意味を持つのか?
―これから先のことはまだわからないですけど、リモートで曲を作るバンドも増えてきたなかで、新たな作曲法を見つけたのは今後にとっても大きいかもしれないですね。
勝井:ただ、僕も含めてROVOのメンバーは、リモートはあんまり得意じゃない人が多いんじゃないかな。僕がデモ録ったのもiPhoneだったし(笑)。
山本:スタジオで叩き台を作って、ライブで仕上げていくっていうのが今までのパターンだったから、ライブができなくなると、そこをどうするのかは考えなきゃいけなくて。ROVOの曲ってライブでお客さんの反応を見ながらどんどん変わっていって、最終的な完成に辿り着いてたから、それができなくなっちゃうのが一番ヤバいかなって思いますね。
―確かに、「ライブバンド」としてのROVOにとって、そこは大きな問題ですね。『LIVE FOREST』でいち早く有観客ライブをやったリアリティはそこにあると思いますし、今後もまったくライブができない状況ではないにしろ、少なくともこれまでとは変わっていくでしょうからね。
勝井:僕はもともとお客さんとの関係性や距離感に疑問を持ちながら、20代半ばまで普通のフォーマットのロックバンドをやってきて、たまたま訪れたイギリスのレイヴにカルチャーショックを受けて、それでROVOというバンドをはじめたんです。
僕らがダンスミュージックを演奏して、お客さんも「踊る」っていう行為を通じて音楽に参加するのが一番アクティブというか、一番能動的だと思ってやってきたけど、今はその文化自体が成立するかどうか、新たな局面を迎えている。
勝井:みんなが能動的に踊る、参加するっていう場所を20年以上作ってきたけど、これからはそれをそのままやってもダメだと思い知って、自分にとってのこのバンドのあり方を改めて考えると……山本さんは家で一人で音楽作るじゃないですか? 僕はステイホーム期間に一人で音楽を作る気分には全然ならなくて。
山本:俺はずっと宅録ですから、ペース自体は変わらない。
勝井:僕は音楽を作ることは全然してなくて、3か月ぶりくらいに人と一緒に演奏したときにはっきりわかったのは、僕は人と演奏するのが好きなんです。もっと言うと、自分たちのバンドで演奏するのが一番好き。一人じゃなにもしないなって強く思いました。
「ありとあらゆる可能性が内包された状態が今だっていう」(山本)
―アルバムのラストナンバー“SAI”も非常に印象的な仕上がりでした。
勝井:“SAI”は今回最後にできたんですけど、コロナで家に引きこもってミックス前のアルバムをずっと聴いてるなかで意味合いが違って聴こえるようになった曲なんですよね。特に、“NOVOS”から“SAI”の流れかな。もともと聴こえてなかったような意味合いが感じられるようになってきたんです。
ROVO“NOVOS”を聴く(Apple Musicはこちら)
―“SAI”に関しては、『ROVO』というアルバムのフィナーレでありつつ、新たな時代へ向けたファンファーレのようにも聴こえました。
勝井:次へ向けた、これからに向けた曲のように聴こえてきましたね。『LIVE FOREST』の本編が終わって、「今はそうじゃない」っていう話をしたあとに、アンコールでこの曲を演奏したんです。もともと予定はしていたんですけど、この曲でよかったなとすごく感じて、あの状況にフィットしてたと思います。あと、この曲は山本さんのギタープレイが最高で、これテイク1なんですけど、プレイバックで聴いたときに、「このギターは絶対消さないでください」ってお願いしましたもんね。
山本:俺は結構適当に弾いたんですけどね(笑)。だから、もうちょっとやりようあるかなって思ってましたけど、でも結局テイク1が一番いいんです。それはホントにそう。
ROVO“SAI”を聴く(Apple Musicはこちら)
―山本さんにはアートワークのこともお伺いしたくて、前作『Ⅺ』で地球がモチーフに使われていて、今回もその延長にあるように感じたのですが、なにか意図はありましたか?
山本:前作もそうだったっていうのは気がつきませんでした。あんまり考えてなくて、自然に出てきたんですけど……地球全体の危機なんじゃないですか?(笑)
―はい、そんなふうにも受け取っちゃいます(笑)。
山本:今回、自分のなかでは卵みたいなイメージなんですよ。ヨーロッパの絵とかって、よく卵が釣り下がってるものがあって。
勝井:宗教画ですか?
山本:そうそう。あれがすごく奇妙で、根源的ななにかがあるんじゃないかなって思っているんです。
勝井:古代中国で、神様に願いを伝えるときの入れもののことを意味する、「SAI」っていう文字があるんです。ちょっと卵と近いものがありますよね。神様に願いを入れた入れものを差し出すときに音がして、それが「音」っていう漢字の基にもなってるらしくて、やっぱり音っていうものにはそういう祈りとか願いみたいなものが付随してるんだなと思いましたね。
―言ってみれば、“SAI”をはじめ、このアルバムには、これから先の世界に向けた祈りや願いが込められていると。
勝井:今振り返ると、そうなっているという事ですね。
山本:このジャケに関しては、いろんな可能性が内包された状態ってことですね。殻が割れて、どういうものが出てくるかはまだわからない。だから、希望だけではないかもしれなくて、もしかしたら、ホントにヤバいものが出てくるかもしれない。ありとあらゆる可能性が内包された状態が今だっていう、そういうことじゃないかなと思っていますね。
- リリース情報
-
- ROVO
『ROVO』(CD) -
2020年9月9日(水)発売
価格:2,970円(税込)
WGMPCI-0711. SINO RHIZOME
2. KAMARA
3. ARCA
4. AXETO
5. NOVOS
6. SAI
- ROVO
- イベント情報
-
- 『ROVOニューアルバム『ROVO』発売記念LIVE』
-
2020年10月23日(金)
会場:愛知県 名古屋TOKUZO
開場 19:00 / 開演 19:30(2部制:換気休憩あり)
自由席:限定50席
前売:4,000円(ドリンク別)2020年10月25日(日)
会場:東京都 渋谷TSUTAYA O-EAST
開場 18:00 / 開演18:30(2部制:換気休憩あり)
指定席:限定300席
前売:4,300円(ドリンク別) / 当日:5,000円(ドリンク別)
- プロフィール
-
- ROVO (ろぼ)
-
「何か宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう」と、勝井祐二と山本精一を中心に結成。バンドサウンドによるダンスミュージックシーンの先駆者として、シーンを牽引してきた。驚異のツインドラムから叩き出される強靱なグルーヴを核に、6人の鬼神が創り出す音宇宙。音と光、時間と空間が溶け合った異次元時空のなか、どこまでも昇りつめていく非日常ライブは、ROVOでしか体験できない。国内外で幅広い音楽ファンから絶大な信頼と熱狂的な人気を集める、唯一無二のダンスミュージックバンド。2020年9月9日、12枚作目となる新作『ROVO』をリリースした。
- フィードバック 4
-
新たな発見や感動を得ることはできましたか?
-