ハイテンションなショートチューンで駆け抜けた、フルー
12月20日、CINRAと音楽アプリ「Eggs」の共同主催による無料音楽イベント『exPoP!!!!!』が、渋谷のライブハウスTSUTAYA O-nestにて開催された。
この日のトップに登場したのは、男女混成3ピースバンド、フルー。自らを「ショートポップロックチューンバンド」と名乗る彼らは、その名のとおり、1曲が短い。ステージに登場するなり、どの曲も約1分程度~長くて2分強といったショートチューンをテンション高く連投していく。
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もちろん、1曲が短いからといって曲が単調だったり、演奏が荒かったりするわけでもなく、1曲1曲のキャラ立ちも抜群。骨太なファンクビート、ヘビーなギター、キュートなコーラスが絡み合いながら、カラフルに、プログレッシブに、ステージが展開していく。
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途中、ギターとドラムが入れ替わるなど、バンドの構造自体も自由だ。この情報量とスピードの時代を屈託なく楽しんでいる様子がひしひしと伝わってきた。
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The Taupeの衝動的な音は、聴覚のみならず、視覚までぶん殴る
2番手に登場したのは、4ピースバンド、The Taupe。冒頭、不穏なナレーションのSEが流れ、ステージ上に4人が登場。
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この日は、おのてらえみ(Ba)が松葉杖をついて登場したので心配はあったものの、いざ演奏がはじまれば、暴力的なまでに刺々しい音像で会場を覆っていく(おのてらは椅子に座っての演奏)。
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ステージ上手に立つニール・パティ パティ パティ(Gt)は激しく動きながらギターを弾き狂い、ときにはギターを振り回すなど、そのステージングは観る者の聴覚のみならず、視覚までぶん殴ってくるような刺激の強さだ。
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まるで、私たちの目の前に広がる日常や、私たちを雁字搦めにする常識といったものから「いかに、はみ出ることが可能なのか?」という問いかけを、音楽を通して実践しているような衝動たぎるパフォーマンスだった。
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マイブラとマック・デマルコの間で光る、Cairophenomenons独自の感覚
3番手は、2018年、日本のインディーズレーベル「Rhyming Slang」と、韓国のバンド、AKUAが共同制作した日韓バンドのコンピレーション『FRESHALWAYSON X RHYMING SLANG』にも参加したバンド、Cairophenomenons。
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フレーズの循環などを活かしながら、沸々と熱が湧き上がるようなバンドのアンサンブルを基軸に、まばゆいメロディーが会場全体に降り注ぐようなサウンドスケープを響かせる。そこには、まるでMy Bloody Valentineの「憂鬱」とマック・デマルコの「達観」が同居しているよう。ひとつの極致ではなく、グラデーションのなかにこそ自分たちの居場所を見つけているような、そのバランス感覚がとても現代的に感じられる。
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一概に「シューゲイザー」や「サイケデリック」という言葉だけでは捉え切ることができない、このバンド独自のチャームを見事に響かせるパフォーマンスを披露した。
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No Busesが鳴らす、普遍的でピュアなロックミュージック
4番手に登場したのは、バンド名をArctic Monkeysの初期楽曲タイトルから取ったという若き4人組、No Buses。
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2018年は『SUMMER SONIC』への出演も果たし、また、この日も演奏された楽曲“Tic”が後藤正文にTwitterで紹介されるなど、その知名度を飛躍的に高めたバンドだ。そんな彼ら奏でるのは、「普遍性」という言葉がしっくりくる、ソリッドでキュートなロックンロール。
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疾走感溢れるグルーヴィーなバンドの演奏、ポップながら、どこか「揺らぎ」をはらんだ耳を捉えて離さないメロディー、そして、近藤大彗(Vo,Gt)のぼそぼそとした独り言のような、吐き出された捨て台詞のような、でも、何かを伝えたがっているようなボーカル。そのすべてが絡み合いながら生み出されるピュアなロックミュージックに、フロアは大いに湧き上がる。
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スタイルもサウンドも、決して目新しさがあるわけではない。だが、どんな時代においても、目の前に広がる「退屈」を突破するために若者たちが奏でる1音1音には魔法が宿っているのだと確信させられるステージだった。
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1年10か月ぶりの出演。今、TENDOUJIは圧倒的に「求められている」
この日のトリを飾ったのは、TENDOUJI。2017年2月に開催された『exPoP!!!!! vol.94』以来、本イベントには2度目の出演だったが、この1年間におけるバンドの圧倒的な進化を目の当たりにさせられる、すさまじいパフォーマンスだった。
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まず、演奏がはじまる前から、期待に胸を膨らませているオーディエンスが集まったフロアの熱気がすごい。前回出演時は「耳の早いリスナーがチェックしにきている」という感じだったが、今のTENDOUJIはあの頃とは比べ物にならないほどに、圧倒的に「求められている」のだと感じさせられる光景が、フロアに広がっている。
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ステージに立つ4人の姿を見るにつけても、前回に比べてバンドとしての「格」が一回りも二回りも大きくなったようだ。しかしながら、彼らがやっていることの本質――「最高のロックを鳴らす」という部分は一切変わっていないようで、前回同様、サウンドチェックから煽りまくり、いざライブがはじまると、そのポジティブなエネルギーに溢れる楽曲たちで会場を熱狂の渦に巻き込んでいく。
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冒頭を飾った“Peace Bomb”や“Killing Heads”など、それまでよりも屈強に、かつバラエティー豊かになったサウンドを聴かせた新作『FABBY CLUB』収録曲をはじめとして、バンドの充実した現在地を見せつける素晴らしいパフォーマンスを披露。一緒に歌ったり、好き勝手に踊ったり、バンドの懐のデカさのなかで自由に楽しむフロアの様子も最高だった。
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たしかな実力はもちろん、ピュアな衝動とロマンを感じさせるバンド5組が揃った、この日の『exPoP!!!!!』。胸がムズムズとするような、なんかだもう走りだしたくなるような、そんな最高にロックな夜だった。
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- イベント情報
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- 『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume116』
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2018年12月20日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest出演:
Cairophenomenons
TENDOUJI
The Taupe
No Buses
フルー
料金:無料(2ドリンク別)
- 『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume118』
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2019年2月28日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest出演:
I Saw You Yesterday
木(Ki)
THE RATEL
メロウ・イエロー・バナナムーン
and more!!!!!
料金:無料(2ドリンク別)
- プロフィール
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- フルー
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パナシズシ(Gt / Vo)、マルタン亀山(Ba / Vo)、フルーはるひ(Dr / Vo)の中学校同級生3人による、全員ボーカルのスリーピースバンド。私たちを一言で紹介するなら「ショートポップロックチューンバンド」曲は短く、絶えず音楽を鳴らし続けます。口ずさみたくなるメロディーにのせて元気なライブパフォーマンスを届けます!アルバム「フルーのルールのルゥ」ライブ会場にて絶賛発売中!
- The Taupe (ざ とーぷ)
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自らをバンドではなく妖怪と称す東京の男女4人組オルタナティヴ集団。ソリッドかつダイナミックなオルタナ感をベースに、ノイズ、ポストロック、ニューウェーブ等、変幻自在に唯一無比の世界観を炸裂。
- Cairophenomenons (かいろふぇのめのんず)
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CairoからCairophenomenonsに改名後、EPとなる“Cue-EP”をカセットにてリリース。オリジナリティ溢れる、心地よくも奇妙なアンビエンスとグルーヴに、クリスタルなギターノイズが響くサウンドを構築し、現代のサイケデリア、エレクトロニカ、シューゲイズなど様々に評されている、今注目の新世代バンド。2018年には新曲“Water”を日韓アーティストによるコンピレーションに提供するなどその世界を深め、2018年12月に新たな7inchシングル“TIGER TIGER/SPRING”をリリース。日本各地の音楽ファンが集うレコードショップで発売され、注目を集めている。2019年にアルバムにリリースを予定している。
- No Buses (のーばしーず)
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2016年結成。その名の通りArctic Monkeysを中心にUKロックから多大な影響を受けたインディー・ロック・バンド。幾度かのメンバー・チェンジを経て現体制となり、2018年4月に1stシングル「Tic」を発表。そのMVは日本にとどまらず世界中で高い評価を受けた。夏にはComputer MagicのOAを勤め、〈SUMMER SONIC2018〉出演。国境を超えての活動が期待される、いま最注目のバンド。
- TENDOUJI (てんどうじ)
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2015年、中学の同級生であった4人で結成。自主レーベル「浅野企画」を設立して、これまで3枚のEPと1枚のフルアルバムをリリース。類まれなメロディーセンスと爆発力のあるサウンドを武器に、全ての場所をハッピーとグルーヴに包まれた空間にしてきた。2018年は、「RUSH BALL」や「BAY CAMP 2018」、そしてアメリカ最大級のフェス「SXSW」にも出演を果たす。11月には4th EP「FABBY CLUB」をリリース。来年2月にはTEENAGE FANCLUBの来日公演のサポートアクトとして出演が決定している東京インディ/オルタナ・シーン屈指の愛されバンド、TENDOUJI。
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