九州一の商業都市・福岡。街と自然が近く、エリアごとに異なった顔が見られる魅力もあり、ここ数年で県外からの移住者が激増するほど人気の街です。そんな福岡にやってきたのは、イラストレーターのたなかみさきさん。男女の絶妙な距離感が表現された、ちょっぴりエロティックなイラストが反響を呼び、現在Instagramのフォロワー数は30万人を超えます。
福岡が好きでよく遊びに来るというたなかさんと、文化・食・自然・都会が堪能できる全7スポットをめぐる、1泊2日の旅へ出かけました。たなかさんが妄想して描いた、福岡デートのイラストとともにお届けします。
車を走らせ向かうは、エンタメ性の高い製塩所
東京からPeach航空に乗って福岡に到着。福岡空港から1時間ほど車を飛ばして、糸島市にやってきました。最初に向かうのは、「またいちの塩 工房とったん」です。手つかずの原生林に囲まれた糸島半島の先端=突端に位置することから、「とったん」と名付けられた製塩所。今では貴重となった、伝統的な方法で海水から塩を作る「自然海塩」が生産されています。
ここで作られる「自然海塩」は、組み上げた海水を太陽の光がたっぷりと降り注ぐ塩田で循環させて濃縮し、2日間かけて釜で炊き、塩の結晶を抽出するという、とても手間暇のかかった愛情たっぷりの塩です。
敷地の奥には、立体塩田がそびえ立っています。高さ約8メートルの架台から竹が逆さに吊るされており、耳をすますと、しとしとと海水がしたたる音が聞こえてきます。
名物の「しおをかけてたべるプリン」と、たなかさんのリクエストで塩釜ゆで玉子&ビールをいただきます。
たなか:ちゃんと黄身まで塩味が効いていて、おいしい!
たなか:製塩所と聞いて、工場見学ツアーをやっているビール工場とか製麺工場みたいな場所を想像していたけど、エンタメ性が高くておもしろいですね。カップルのデートスポットにもよさそうです。
福岡の隠れたソウルフード「食べても食べてもなくならない魔法のうどん」
もつ鍋、ラーメン、明太子……福岡はご当地グルメの宝庫。そんな福岡の隠れたソウルフードのひとつといわれているのがうどんです。福岡のうどんは、麺が長く、やわらかいのが特徴。今回は、福岡県内を中心に18店舗を構える、福岡県民なら誰もが知る有名うどん店「釜揚げ 牧のうどん」にお邪魔します。
牧のうどんは、トッピングがとにかく豊富! 福岡うどんの定番・ごぼう天をはじめ、山菜や唐揚げ、コロッケまで。麺はうどんかそばから選ぶことができ、麺の硬さは「軟めん」「中めん」「硬めん」から、好みの茹で加減を選択します(福岡うどんはとにかくやわらかい)。
たなかさんは、ごぼう天うどん(中めん)に緑のてんぷらトッピングをオーダー。
溢れ出しそうなほど、たっぷりスープが注がれたうどんが目の前に……! 福岡うどんは、やわらかい麵がつゆをどんどん吸って膨れ上がってしまうことから、「食べても食べてもなくならない魔法のうどん」とも言われています。盛り放題のねぎと一緒にいただきます。
たなか:ふーふー。ずずず。麵がどんどん膨らんできて、全然終わらない……!
牧のうどんの麺は、工場で作られた生地を各店舗に運び、店舗の製麺機で製造しているため、つねに打ち立てのおいしい麵が食べられるようになっています。驚くべきはその茹で時間。中めんで30分、軟めんともなれば40分かけて茹で上げるのだそう。
たなかさんのイラストも大きく鎮座する「黄ちゃん」の壁
お腹が膨れたところで、次に向かうのは福岡市内の中心部から少し離れた、薬院エリア。地図を見ながら訪れても道に迷ってしまうような路地を入った、アパートの一室に店を構えるのが立ち飲み屋「みんなの黄(こう)ちゃん」です。迎え入れてくるのは、みんなから「黄ちゃん」という愛称で親しまれている、店主の黄小晃(こうしょうこう)さん。
たなかさんは、熱燗を注文。つまみには、仙台「ニコル」の牡蠣のオイル漬けと、いぶりがっこのクリームチーズのせを。
みんなの黄ちゃんのもうひとつの名物が、オープン以来お店に増え続けている、さまざまなアーティストたちが壁面に描いたイラストです。イラストレーターのエドツワキをはじめ、福岡在住のイラストレーター・KYNEやNONCHELEEEなども筆を執っています。
そこに、今宵、たなかさんのイラストが追加されました。下書きなどは一切せず、迷うことなくすっとイラストを描いていきます。これには、店主の黄ちゃんや、居合わせた常連さんも大興奮。拍手喝采です。
お待ちかねの屋台で、福岡のソウルフードを食べまくる
すっかり辺りは暗くなり、街のあちこちに屋台が現れます。いよいよ屋台に突撃! 今回訪れたのは、いわゆる「中洲屋台街」と呼ばれる那珂川沿いではなく、サラリーマンや買い物客で賑わう、天神は渡辺通り沿い、大丸の前に立ち並ぶエリア。今年で創業59年を迎える屋台の老舗「喜柳(きりゅう)」です。
遠目からもパッと目に入る「博多っ子純情屋台 喜柳」の看板。以前は天ぷらが名物の屋台だったそうですが、サービス精神旺盛の大将・迎敬之さんは「毎日来ても飽きないように」と、現在は80種類以上ものメニューを揃えています。
迎さんが得意とするのは鉄板料理。注文が入ると、手際よく熱々の料理を提供してくれます。野菜と明太子を山芋が入った生地で巻く「博多グルまき」や、喜柳の名物にもなっている「もちもちギョウザ」は、太宰府天満宮の名物・梅ヶ枝餅の焼き窯で作られているのだとか。
「屋台の焼きラーメン、食べてみたかったんです!」と、たなかさんが最後に注文したのは、博多天神の屋台が発祥だといわれている「焼きラーメン」。どーんとのった半熟目玉焼きをくずしながら食べます。
大将だけでなく、まわりのお客さんも気さくに話しかけてくれるので女性1人でも気軽に楽しむことができる、福岡屋台。みんなの笑顔につられて、思わずお酒が進んでしまうこと、間違いなし!
カラオケ居酒屋で、94点を出すまで歌い続けた夜
屋台を後にして向かったのは、知る人ぞ知るディープなスポット「居酒屋 ふじき」です。たなかさんも行きつけのカラオケ居酒屋で、福岡に来るたびに足繁く通っているのだとか。
深夜0時から開店するため、2軒目や3軒目として使うお客さんや、同業者の方が多く訪れるのだそう。迎え入れてくれたのは、このお店を一人で切り盛りする、昌美ママ。
店内の壁一面には、無数の写真が貼られています。カラオケの採点機能を使って、94点以上を出した人の写真がずらっと貼られているのだそう。さすが常連だけあって、過去に94点を叩き出したたなかさんの写真も貼られていました。
もともと「ふじき」は、割烹として昭和からその歴史を刻んできていたそう。しかし、2005年の西方沖地震で自宅が半壊。もともと高宮にあったお店をたたみ、自宅をリフォームして「居酒屋 ふじき」をオープンしたのだそう。
さすが、「酒と歌と哀愁をこよなく愛す26歳」。昭和歌謡を歌い続け、94点を目指します。夜が深まるにつれてお酒も回って楽しくなり、しまいには取材クルーもカラオケに参加。みんなで94点を目指しますが、この日は残念ながら94点を超えることができませんでした。カラオケに白熱しすぎたためか、気づけば明け方に。何時間でもい続けたくなる、不思議な魔力のあるお店です。
寝かせてくれない、泊まれる本屋に宿泊
今宵の宿は、2017年に福岡PARCO・6Fにオープンした「BOOK AND BED」。
「泊まれる本屋」だけあって、壁いっぱいに広がる本棚には、小説や、雑誌、マンガなどが1800冊ほど並んでいる。
無数の本に囲まれていると、なんだか秘密基地のような心地よさを感じてきます。好きな本を何冊も持ち込んで、寝ころんだまま読書にいそしむ。そしてそのまま寝落ち………。おやすみなさい。
人生初体験のボートレースに、ロマンを感じる
翌日は、たなかさんお待ちかねのボートレースに向かいます。もともと興味はあったものの、なかなか体験する機会がなかったそう。担当の方にボートレースの楽しみ方を教わりながら、出走表を片手に観覧席へ向かいます。
観覧席に到着したころにはもうすでにレースの真っ只中。水上の格闘技といわれるだけあって、この距離でも想像以上の迫力があります。ギャンブラーでなくとも、無条件に胸が高鳴るから不思議です。
たなか:想像以上に熱くなりました! レストランもあるし、1日中ここで過ごせちゃいそうです。200円負けてしまったけれど、なんだか清々しい気持ち。
福岡には友達も多く、好きなお店も思い出もたくさんあるというたなかさん。よく知る福岡の顔も、知らなかった福岡の顔も見ることができた旅となりました。
- サービス情報
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- tabinoco
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tabinocoは、みんなでつくる旅の小ネタ帳。
旅の新しいヒントを見つけたり、
あなたの旅を伝えることができます。
- 店舗情報
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- またいちの塩 工房とったん
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住所:福岡県糸島市志摩芥屋3757
営業時間:10:00~17:00
定休日:年末年始
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- 牧のうどん 加布里本店
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住所:福岡県糸島市神在1334-1
営業時間:9:00~0:00
定休日:第3水曜日
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- みんなの黄ちゃん
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住所:福岡県福岡市中央区警固1-3-6
営業時間:(平日)18:30~0:00、(日・祝)12:30~18:00
定休日:水曜日
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- 喜柳
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住所:福岡県福岡市中央区天神1丁目
営業時間:19:00~3:00頃
定休日:不定休
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- 居酒屋 ふじき
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住所:福岡県福岡市中央区警固1-2-7
営業時間:0:00~6:00
定休日:火曜日
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- BOOK AND BED FUKUOKA
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住所:福岡県福岡市中央区天神2-11-1 福岡パルコ新館6階
チェックイン:16:00~
チェックアウト:11:00
定休日:なし
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- ボートレース福岡
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住所:福岡県福岡市中央区那の津1-7-5
営業時間:
【本場】開門時間10:00~12レース発売締切予定時刻(16:20)まで
※サマータイムレース(4月~8月)11:00~17:30 12レース発売締切予定時刻
※レースにより異なる場合あり
【ペラボート福岡】10:00~21:00まで
定休日:不定休
- プロフィール
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- たなかみさき
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1992年11月14日生まれ。埼玉県出身。日本大学芸術学部を卒業後、熊本に移り住みフリーランスのイラストレーターとして活動。2017年春からは東京に拠点を移し主にグッズ制作、出版物に関わりながら活動中。お酒、歌謡、哀愁をこよなく愛し、それらは作品の中で色気を匂わせている、誰もが感じた事のある、あの青春を追い求めて。
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