『MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020』が、8月12日から東京・六本木の国立新美術館で開催される。
同展は、2018年にフランス・パリで開催されて3万人超を動員したという展覧会『MANGA⇔TOKYO』の凱旋企画。東京の変化や特徴を反映してきた日本の漫画、アニメ、ゲーム、特撮作品にスポットを当て、同時に「東京」という都市を多角的に捉えなおす試みだ。出品コンテンツは90タイトル以上となり、漫画の原画やアニメ制作資料、映像やインスタレーション作品など500点以上の展示物が一堂に会する。
本日8月11日に開催されたプレス内覧会の模様をレポートする。
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巨大な東京の都市模型&スクリーンがお出迎え
本展のマスコットキャラクター・ヨリコとヴィッピーの等身大パネルを横切り、展覧会場に入ると、広々とした空間に『1/1000巨大東京都市模型』が登場。
精巧につくられた模型の大きさは、幅約17メートル、奥行き約22メートル。巨大な模型の奥にそびえる大型スクリーンには『AKIRA』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』『秒速5センチメートル』『3月のライオン』『残響のテロル』『ラブライブ!』、さらに1954年版『ゴジラ』や『シン・ゴジラ』、『グランツーリスモ』シリーズ、『STEINS; GATE』『電車でGO!』といった東京を舞台にした作品の映像が流れている。都市と虚構の関係性をテーマとする本展を象徴する、インパクトが強いイントロダクションである。
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3つのセクションで「東京」と虚構の多層的な関係を紹介
展示スペースは3つのセクションから構成。原画や資料、映像などが並ぶ。
「セクション1 破壊と復興の反復」では漫画やアニメ、特撮などでたびたび描かれてきた「首都・東京の破壊」を、『AKIRA』『ゴジラ』『帝都物語』『新世紀エヴァンゲリオン』といった作品とともに紹介する。
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「セクション2 東京の日常」は、「プレ東京としての江戸」「近代化の幕開けからポストモダン都市まで」「世紀末から現在まで」という3つのパートから構成。西洋文化の浸透や関東大震災、第2次世界大戦といった東京の歴史を掘り下げつつ、日常生活を描写した作品たちを紹介。生活の場としての一面を浮き彫りにする。渋谷、新宿、秋葉原といった東京の街を舞台にした作品も挙げる。
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「セクション3 キャラクター vs. 都市」では、交通機関や街の現実空間に召喚されたアニメ、漫画などのキャラクターに注目。様々なフィクションやキャラクターを生み出してきた東京の景色を、キャラクターたちが新たにするという現象を紹介する。このセクションには、現実の空間を原寸大で再現したインスタレーションが登場。初音ミクとコラボレーションしたコンビニエンスストアの様子や、『ラブライブ!』のJR山手線キャンペーンを電車内まるごと再現したインスタレーションなど、かなり目を引く展示空間となっている。
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歴史を振り返り、新たなフィクションに思いを馳せるきっかけに
当初は2020年東京オリンピックの期間中にあたる、7月8日から9月22日まで開催される予定だった本展。約1か月の延期を経て、いよいよ開幕となる。延期となった原因は、新型コロナウイルスの感染拡大によるものだ。本展は、様々な分野における文化・芸術で甚大な被害をおよぼしている新型コロナウイルスの、登場以前に企画された展覧会である。そのため現在の「東京」は、すでに本展以後の未知なるフェイズに入っていると言えるかもしれない。
ゲストキュレーターを務めた森川喜一郎が本展コンセプトブックで指摘する、日本のフィクションの「リアリティの基盤」たる特権的な都市である、東京。幾多の破壊と復興を繰り返してきた現実の歴史を振り返りながら、今その東京で、あるいは日本のどこかで生み出され続けているであろう新たなフィクションに、思いを馳せるきっかけにもなりそうだ。
なお国立新美術館では混雑緩和のため、日時指定の事前予約制による入場を実施。出入口にアルコール消毒液を設置するほか、入館時にサーモグラフィまたは体温計による体温測定を行なう。そのほか、来場者へのお願いなどは国立新美術館のオフィシャルサイトで確認しよう。
- イベント情報
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- 『MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020』
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2020年8月12日(水)~11月3日(火・祝)
会場:東京都 六本木 国立新美術館
時間:10:00~18:00(入場は閉館の30分前まで) 休館日:火曜(ただし9月22日、11月3日は開館)、9月23日
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