路上演奏に触発されて始まった音楽番組
何かが変わるとき、そこには熱力が集中する。J:COMテレビで10月からスタートした『MUSIC GOLD RUSH』は、まだ世に出ていない次世代アーティストをピックアップして紹介する音楽番組。この番組がスタートするきっかけになったのは、番組プロデューサーを務めるジュピターテレコムの櫻井俊一が、あるバンドの路上演奏を聴き、「こんなにすばらしい楽曲を演奏する人たちが埋もれているのはもったいない」と使命感にかられたことによる。すぐさま元CRAZEのボーカリストである番組プロモーション担当の緒方豊和とともに自らの想いを企画書にし、放送枠を獲得。音楽番組制作のスペシャリストであるスペースシャワーTVの制作スタッフとタッグを組み、番組作りが始まった。
制作スタッフがこの番組にかける熱量はものすごく、第1回、第2回の放送では、番組で最初にピックアップするアーティストを決めるために、本来裏方であるはずの制作スタッフが番組に出演してプレゼン会議をしたほど。なんでも30分の予定だった収録が、押しに押して2時間に及んだという。そうしてようやく決定した第1弾ゲストShiggy Jr.を招いての公開収録が、10月某日にライブハウス「高円寺High」で行われた。
初めての本格的なテレビ出演で、会場を巻き込んだShiggy Jr.
17時頃から始まった公開収録は、MCを務めるサバンナ高橋茂雄と9nineの西脇彩華による軽妙なトークで進行していった。本格的なテレビ番組出演が初めてというShiggy Jr.のメンバーは、初めこそ固さがあったが、番組MC二人のおかげで徐々にリラックスした雰囲気に。池田智子(Vo)と西脇彩華が一緒になって曲の振付を考えたり、原田茂幸(Gt)が弾き語りを披露したりと公開収録ならではの即興による演出が冴えていた。
トークの後にはShiggy Jr.によるライブパフォーマンスも。全7曲、約30分間の演奏では“LISTEN TO THE MUSIC”や“Saturday night to Sunday morning”など、彼らの代表曲を惜しげもなく披露。トークを通じてメンバーと観客との間に親密感が生まれていたことも相俟って、会場は大いに盛り上がった。特に西脇彩華のファンと思しき観客までもがShiggy Jr.の演奏を前にノリノリになって手を振りかざしている姿が、このバンドのポップ性を象徴しているようで印象的だった。
音楽番組の転換期に生まれた、プリミティブな試み
『MUSIC GOLD RUSH』の特色を挙げるなら、アーティストの魅力をより深く掘り下げるために、複数回にわたって紹介するスタイルを採用していること。1回きりのトークやライブだけでなく、密着取材を通じてメンバー一人ひとりのパーソナリティーが浮き彫りになっている。今回のShiggy Jr.に関しても、メンバーの原田は自宅での作曲風景、池田の自宅での練習風景など、各メンバーの日常が紹介される。これは前もって企画・準備したものではなく、公開収録時に盛り上がった話をベースにして後日撮影するというスタンス。会場で参加したファンも、オンエアを楽しみに待つことができる。
演出を務めるスタッフの橋本詳吾ディレクターは「僕たちは純粋に音楽リスナーを増やしたいだけ。そして、自分たちが紹介する音楽の中から人生のターニングポイントになるようなバンドや楽曲に巡り会ってくれたら本望」と話す。奇しくも地上波各局では、『うたばん』『HEY HEY HEY』『僕らの音楽』など、音楽業界の好調時に生まれ、エポックメイキングとなった長寿音楽番組がここ数年で軒並み姿を消した。こうした時代の区切りの中で、新たな音楽を世に紹介する番組がケーブルテレビから生まれたことは必然なのかもしれない。「いい音楽を世に出したい」というとことんプリミティブな動機に裏付けられたこの新しい音楽番組が、多くの人々にクリーンヒットすることを期待したい。J:COMオンデマンドやauスマートパス、スペースシャワーTVでも視聴できるので、気になった方はチェックしよう。
- 番組情報
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- 『J:COM × SPACE SHOWER TV present「MUSIC GOLD RUSH」supported by 洋服の青山』
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2014年10月3日(金)23:30からJ:COMテレビ(地上デジタル 東日本10ch、西日本12ch、下関111ch)で放送
MC:
高橋茂雄(サバンナ)
西脇彩華(9nine)
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- 視聴方法
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◆J:COMデマンド
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