1日に「笑う」時間が30秒未満という調査結果からわかることとは?
日常の中の何気ない「笑い」の頻度から、時代の幸福度をはかることはできるのだろうか? ストレス解消をはじめ、「笑い」の持つ様々な効果が、科学的な検証によって多方面で明らかになっている昨今、1つの興味深いデータが発表された。化粧品メーカー・アテニアの『Smile Switch Project』による「日本人女性の笑顔に関する調査」だ。20代から50代の800名に調査したところ、1日に笑った回数は平均約13.3回、時間に換算すると、推計30秒未満という短さ。就学前の子どもが1日に笑う回数は、平均400回と言われているので、それと比較すると1/30の値である。さらに、年代を経るごとに、その回数・時間ともに減少傾向にあるようで、これは由々しき事態である。世の中、圧倒的に「笑い」が足りない(しかも人生経験を積むごとに減っていく)。
「緊張」から「緩和へ」と変化し、「笑い」のパンデミックが起きた音楽シーン
そんな状況の中、昨今のポップソングの世界では、「笑い」を喚起するような楽曲が、高い支持を得る傾向があるように思える。たとえば、一昨年の8月にリリースされたAKB48のヒット曲“恋するフォーチュンクッキー”。<未来はそんな悪くないよ><ツキを呼ぶには笑顔をみせること>――そんなフレーズが印象的なこの曲は、リリース後、様々な団体やグループによる「踊ってみた」動画が次々とネット上にアップされ、老若男女を巻き込んだ一大ムーブメントとなったのは周知の通りだ。そのあたりから、ポップスのモードは、確かに変わっていったのかもしれない。2011年の震災以降、自粛ムードに覆われたエンターテイメント業界。「絆」や「つながり」といったワードが声高に叫ばれる中で、人々の心はどこか萎縮していったのではないだろうか。緊張から緩和へ。“恋チュン”のヒット以降、音楽シーンは再び、自然と湧き出るような「笑い」を志向し始めた。
とはいえ、それは必ずしも、日本国内に限った話でもないようだ。たとえば昨年、世界中で大ヒットを記録したファレル・ウィリアムスの“Happy”という曲。現在のアメリカのミュージックシーンにおけるキーマンの一人である彼がリリースしたこの曲は、当初ほとんど話題にならなかったにもかかわらず、そのMVがアップロードされて以降、世界各地で大ヒットを記録する。というのも、その動画には、誰もが思わず笑顔になってしまうような要素が溢れていたから。<だってハッピーだから>――そんな身も蓋もない歌詞の軽やかさはもちろんのこと、街を行き交う人々が、次々とリズムに合わせて踊り出すMVの「楽しさ」。それが世界中の人の心をつかんだのだ。そして、先の“恋チュン”同様、この動画を模した映像が続々と撮影され、次々とネット上にアップされていったのだった。
何気ない「笑い」から、読み解く現代の「無意識」
この2つの曲に共通するのは、ダンス――といっても、日頃の鍛錬を必要とするような本格的なものではなく、あくまでも音楽に合わせて大勢で身体を揺らすといった、ハードルの低いものだったことも、恐らく重要なのだろう。ポジティブな輝きを放つ軽やかなポップソングに耳を傾け、そのビートに合わせて気軽にステップを踏んでみること。ファレルの“Happy”のMVに登場する面々が、あるいは“恋チュン”の「踊ってみた」動画に登場する人々が、みなそろいもそろって笑顔なのはなぜか。笑顔とは自分の意志で作るものではなく、自然と湧き出てくるものなのだから。「しあわせだから笑っているのではない。むしろぼくは、笑うからしあわせなのだ、と言いたい」というのは、フランスの哲学者アランの『幸福論』にある一節だけど、それから約100年の時を経た今、ポップミュージックは、軽やかな身体性をともないながら「笑い」を志向している。なぜなら、現代のサバイブ術として、人々がそれを無意識のうちに選択しているから。今は「笑い」が必要な時代なのである。いつの時代もポップスは、人々の無意識を予め感じ取り、それを鮮やかに提示してみせるのだ。
- イベント情報
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- 『Smile Switch Project』メッセージムービー「いろいろあるけど、」篇
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2015年2月20日から公開中
- プロフィール
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- 『Smile Switch Project』
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アテニアが提唱する新たな美容理論「時計美容」の基軸をなす時計遺伝子の最新研究においては、日中の活性をつかさどる交感神経とリラックスをつかさどる副交感神経が切り替わる時間帯である“夕方5時”の笑いが、良質な睡眠と肌の再生力に大きな影響を及ぼす幸せホルモン“セロトニン”の分泌を促すといわれています。『Smile Switch Project』はこの“美しさ”と密接なかかわりをもつ“笑顔”を推進することで、日本人女性の美しく幸福な生き方を応援するプロジェクトです。今回の調査でも判明した、思ったように“笑顔”になれていない多くの女性達の実態を踏まえ、様々なストレスを抱えながら真摯に生きようとする日本人女性にむけて“いろいろあるけど、笑っちゃお!”というメッセージを込めたムービーを制作・公開しました。
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