(メイン画像 撮影:JulenPhoto)
筆者が初めて取材をした2010年から、「何も変わらないまま」ここまできた
2日間で合計11万人を動員した『ONE OK ROCK 2016 SPECIAL LIVE IN NAGISAEN』の映像と、ロサンゼルスを拠点に行われた『Ambitions』のレコーディングドキュメンタリーを見て、ONE OK ROCKは本当に何も変わらないままここまできたし、これからも頑固一徹に前だけを見て転がっていくのだろうと思った。
これは、結成から12年、今や文句なしに日本を代表するロックバンドとなり、もうすぐ四人中三人が30代になるメンバーたちが、今もなお死守している透徹した蒼さというものをまざまざと見せつけられる映像作品だ。ライブが始まる前のインタビューで、Takaは冷静な語り口でこう言う。スタッフやオーディエンスへの感謝を交えながら。
「ロックバンドの歴史からしたら、そんなに大したことじゃないと思う。この先、自分たちがバンドを続けていって、本当に誰もやってないことを踏まえて、これから歳を重ねていったときに『本当にこのバンドはすごいよね』って言ってもらうことが一番。(現時点では)1つのバンドが1日に5万5千人を集められる、その真実だけがすごく大事な気がする」
地に足がついているとはまさにこのことだ。あるいは、Ryotaはこう言う。
「最近、すごく昔の思い出が蘇ってきて。16歳のときにToruにベースを渡されて。俺はただ単にToruと一緒にいたかったんですよね。Toruと一緒に何かをしたかったからというので、『Toruと一緒にいれるんだったらベース、俺がやるよ』ってバンドに入って、10年後にここでやるのは想像してなかった。だから、みんなに感謝しています」
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『Ambitions』レコーディング中にTakaが漏らした、日本のリスナーに対する不安
バンドがこの渚園のライブを開催する前に、『Ambitions』のレコーディングは佳境を迎えていた。DISC2のレコーディングドキュメンタリーでは、海外レコーディングの醍醐味を味わうメンバーの様子がつぶさに記録されている。
Takaが中心となって複数のプロデューサーと当然のように英語でコミュニケーションをとり、楽曲制作の意見を交換していく。特に何か大きな事件が起こるわけではないが、メンバーの言動からはバンドの音楽性があきらかに高次元にいこうとしている過程で覚える、恍惚と一抹の不安のようなものが伝わってくる。そう、『Ambitions』はバンドが能動的に世界に通用するロックミュージック像を手に入れようと決意し、そしてそれを現実のものにしたアルバムだった。
「今までのONE OK ROCKとは違うところにいこうとしているから、そこに生じる時差を埋めるものって『自分たちがカッコいいと思う』以外はない。すごく成長するときって不安が多いから。いきすぎていないかなという微妙なラインがはっきりつかめない」(Taka)
「いきすぎていないか」という不安。それは日本のリスナーに対するものだろう。果たして、これまでのONE OK ROCKを支持してきた人たちが、ドメスティックな大衆音楽のメソッドやフォーマットから完全に解き放たれたロックサウンドでありロックソングに反応するだろうか? という不安を、Takaは覚えていたのだと思う。
しかし、リスナーの評価にしても、国内外でバンド史上過去最高の結果を残したセールスにおいても、その懸念が杞憂に終わったのはご存知の通りである。ONE OK ROCKが愚直なまでに抱き、掲げ続けてきたロックバンドとしての夢や希望そのものが、彼らの音楽力を引き上げ、楽曲に満ちあふれた説得力がまたリスナーを力強く惹きつける求心力となっている。
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ONE OK ROCKが、下の世代に願うこと
『SPECIAL LIVE IN NAGISAEN』の映像から伝わってくるのは、『Ambitions』の完成前に日本のオーディエンスに向けて、「これまでのONE OK ROCKの集大成を見せたい」という思いだ。バンドにとってはこのライブもあくまで通過点に過ぎないが、それでも『Ambitions』が完成する直前のライブとして重要な点であることをメンバーは切に感じていたのだと思う。
さらに、あらためてTakaは自らが発する言葉の重みを本当によく理解しているなと思った。一見のオーディエンスであったり、ある程度の年輪を重ねている人からすれば、Takaが放つ言葉はあまりにストレートかつ無防備で、こちらが照れくさくなってしまうという人も少なくないと思う。しかし、ONE OK RCOKの楽曲とライブパフォーマンス、活動の様相=ロックバンドとしての生き様は、あらゆるシニシズムをなぎ倒してみせる。
そして、その核にあるのは自分たちより下の世代へ向けた「夢を持ち続け、それを叶えるために動かないか?」という提案である。これは、本編ラストに鳴らした、両親への深い感謝と愛情を込めた“Nobody’s Home”に入る前のTakaのMCである。
「僕らにできることはアルバムを作って、ライブをすることだけです。それ以外にはできません。ステージを降りればただのバカな少年です。みなさんと何ら変わりはありません。それでも、前を向いて突き進むという気持ちだけは、少なくともこの会場にいる誰よりも一番持ってるはずです。
だから、今日、このステージの上に僕らは立てています。僕らはこれからもONE OK ROCKという音楽を声が出なくなる最後まで届け続けて、そして。ONE OK ROCKのことが好きなファンから、とんでもない世界規模のやつが現れることを切に願っています。
僕らはもう若くありません。もうすぐ30歳になります。全力で夢を叶えるためにはこれっぽっちしか時間がないんです。でも、残された時間を精一杯生きて、精一杯音楽を奏でて、みなさんにこれからもONE OK ROCKの音楽を伝えていきたいと思います」
これからもONE OK ROCKは曇りなきロックドリームを追い続け、体現していく。四人がバンドを続ける限り、誰も彼らを止めることはできない。
- リリース情報
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- ONE OK ROCK
『ONE OK ROCK 2016 SPECIAL LIVE IN NAGISAEN』(2Blu-ray) -
2018年1月17日(水)発売
価格:6,800円(税込)
AZXS-1019[DISC1]
・『ONE OK ROCK 2016 SPECIAL LIVE IN NAGISAEN』
[DISC2]
・『Recording Documentary of Ambitions』
- ONE OK ROCK
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- ONE OK ROCK
『ONE OK ROCK 2016 SPECIAL LIVE IN NAGISAEN』(2DVD) -
2018年1月17日(水)発売
価格:5,800円(税込)
AZBS-1040
- ONE OK ROCK
- イベント情報
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- 『ONE OK ROCK 2018 AMBITIONS JAPAN DOME TOUR』
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2018年3月31日(土)、4月1日(日)
会場:大阪府 京セラドーム大阪2018年4月4日(水)、4月5日(木)
会場:東京都 水道橋 東京ドーム2018年4月14日(土)、4月15日(日)
会場:愛知県 名古屋 ナゴヤドーム2018年4月21日(土)、4月22日(日)
会場:福岡県 ヤフオク!ドーム
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- 『ONE OK ROCK 2016 SPECIAL LIVE IN NAGISAEN IMPRESSION GALLERY』
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2018年1月19日(金)~21(日)
会場:大阪府 Imagine&Design
時間:10:00~19:00(最終日は17:00まで)
- プロフィール
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- ONE OK ROCK (わん おく ろっく)
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2005年にバンド結成。エモ、ロックを軸にしたサウンドとアグレッシブなライブパフォーマンスが若い世代に支持されてきた。2007年にデビューして以来、全国ライブハウスツアーや各地夏フェスを中心に積極的にライブを行う。これまでに、日本武道館、野外スタジアム公演、大規模な全国アリーナツアーなどを成功させる。また、日本のみならず海外レーベルとの契約をし、アルバム発売を経てアメリカ、ヨーロッパ、アジアでのワールドツアーを成功させるなど世界基準のバンドになってきている。2016年9月には、静岡・渚園にて2日間にわたり11万人規模を動員する野外ライブを開催。今年1月にはアルバム『Ambitions』を全世界で同時リリースし、キャリア史上最大規模となる日本全国32公演を回るツアーを開催した。現在は『Ambitions World Tour』を開催中。
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