米倉先生のお話にもあった通り、小西さんの持ち前の魅力である、明るく前向きでカラフルなデザインは、この夏課題が詰まって忙しい中で作り上げた課題作、ヴィレッジヴァンガードお茶の水店とのコラボレーションポスターでも遺憾なく発揮されているようです。
米倉:ヴィレッジヴァンガードさんとのコラボレーションは、ポスター制作課題の一環として、企画されたものです。テーマは、見た人がヴィレッジヴァンガードお茶の水店に行きたくなるようなポスター。これもクラスをチームに分けて、ヴィレッジヴァンガードさんに対するイメージを話し合ってもらい、コンセプトを詰めて制作に当たってもらいました。
このコラボレーション課題は、ヴィレッジヴァンガード店内風景や実際の商品を用いたプロモーション企画。ポスターとチラシの2種類から好きな方を選んで制作され、優秀な作品はデジタルハリウッド東京本校内及びヴィレッジヴァンガードお茶の水店に飾られる予定になっています。
では実際に、小西さんはどんな作品を作り上げたのでしょうか? 小西さんと米倉先生から、小西さんのヴィレッジヴァンガードとのコラボレーション課題について、ここでご紹介いただきましょう。
小西:コンセプトは「宝物の発掘です。ヴィレッジヴァンガードの「いろんなものがいっぱいある、大人が遊べる場所」というイメージから、お店が宝箱、商品が宝物……と考えていって、商品が宝箱から星と共に飛び出してくる、インパクトのある絵のイメージへと落とし込んでいきました。でも宝物を表すのに、どの商品の写真を使うかは、かなり悩みましたね。ヴィレッジヴァンガードの商品はとても数が多いので、とにかく片っ端から写真に撮って、楽しそうに見える商品を選んでいきました。動物が多くなったのは……たぶん私の趣味だと思います(笑)。
米倉:最初は、商品の写真もただ並んでいるだけで、今のような楽しげな雰囲気が薄かったんですよね。もう少しワクワク感を足したほうがいい、というアドバイスをしました。
小西:はい。あとは撮影した時の光の具合がバラバラだったせいで、並べてみると写真が背景から浮いていると米倉先生から言われまして。写真の色やトーンに統一感が出るように加工してデザインをやり直しました。
小西さんが、このポスターの制作にかけた期間は約2週間。個人の作品としてのコンセプトは「宝箱」ですが、小西さんのチームから出た共通のコンセプトがもうひとつありました。
小西:それが、ヴィレッジヴァンガードにいそうな女の子=「ヴィレッジヴァンガール」というキャラクターでした。私のポスターにはイラストでヴィレッジヴァンガールを描きましたが、他の子のポスターでは、私がヴィレッジヴァンガールっぽい服装をして、写真のモデルをしていたりします(笑)。
米倉:やはり現実のものをテーマに扱えると、目指すものがハッキリしている分、とてもいい経験になりますね。ヴィレッジヴァンガードさんとのコラボ課題は、学生にとっても大きなスキルアップに繋がったと思います。
ところで、この課題は提出作から優秀作品が選ばれるコンペスタイルと伺っています。小西さんに「選ばれる自信は?」と問うと……。
小西:あります! と言いたいところなんですけど、みんなの作品どれもいいんです。自分でもやりきった作品なので満足度は99点なんですが、自信は……どうなんでしょう? もうちょっと点数は低いですかね(笑)。
選出はまだ先になりますが、せっかく出来たポスターの感想をぜひ聞いてみたい! ということで、ヴィレッジヴァンガードお茶の水店を訪れることにしました。普段からお店にはよく遊びに行き、本などを購入することが多いという小西さんですが、店長とお会いするのは、今回が初めて。お忙しい合間をぬって笑顔で迎えてくれた西尾店長に、さっそく小西さんが作ったポスターを見ていただきました。
小西:ヴィレッジヴァンガードにはたくさん、楽しくておもしろいものがたくさんあるので、来た人がワクワクしながら宝を探す場所なんだ、というコンセプトで作ったんです。
西尾:お、可愛いですね! このコラボレーションのお話をいただいた時から、若い受講生さんの感性から生まれたいろんな作品が見られたらと、楽しみにしてたんですよ。
小西:よかった……。チームでブレストをして全体コンセプトを決めてから、一人ひとりヴィレッジヴァンガードさんのイメージをポスターにしていったんです。ちなみにコンセプトは、山ガールや森ガールと同じように、ヴィレッジヴァンガードが大好きな女の子のことを「ヴィレッジヴァンガール」と呼ぶことにして、それをテーマにしたんです(笑)。
西尾:それは、たくさんの作品が見られていいですね! でもヴィレッジヴァン……ガール!? おもしろい発想ですね(笑)。
小西:はい。あ、これから流行らせたいと思います!(笑)
初めの緊張も何のその、和気あいあいとした雰囲気で、今回のコラボレーション企画について話が弾んだお二人。西尾店長にとってもこの企画は、楽しみの多い、新しい試みとなったようです。
西尾:せっかくの試みですから、僕らの内側から出てこない発想が欲しかったんです。お店にいると、どうしても仕入れる側の視点になってしまうので。お茶ノ水店は立地もあって他の店より本が多かったりするんですが、お客さまに年齢の近い受講生さんたちの視点には、どんなものが本当は求められているかのヒントが隠されているだろうし、とても関心がありました。こういう試みは、全国でもそうそう例のないことなので、僕らにとっても貴重な経験になりますし、今後の店作りにいい感じでフィードバックできたらと思っています。
お茶の水という街に共存するヴィレッジヴァンガードとデジタルハリウッド。産学が共同で地域の活性化にも役立つコラボレーションを為し得たことは、小西さんのような参加した受講生にとっても、有意義で思い出深い出来事となったに違いありません。この後行なわれる優秀作品の選出が、ますます楽しみになりました。
進化するデジタルメディア、そしてこれからも発展を続けるソーシャルメディア。そこで活躍するクリエイターに限らず、人間を相手にするメディア、クリエイティブの現場では、ビジュアルで人とコミュニケーションを図るためのグラフィックデザインのスキルは、大切なものだと言えます。アナログからデジタルへと場は変わっても、当然ながら「表現」は、伝わらなくては意味がありません。グラフィックデザインのスキルを身につけることは、すべてのクリエイティブのベースといえるのかも知れません。
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