秘密ロッカーのヒミツ大捜索
Special Feature
Crossing??
CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?
昨年末の『exPoP!!!!!』で見たときと同様に、「秘密ロッカー!!!」というアッコの叫び声から始まったライブ。1曲目は新しいアルバムにも入っている“HOLLOW PARADE”だ。動画では伝わりにくいのが残念だが、やはりアッコの歌声は生で聴いたほうが数段インパクトが大きく、この日もその存在感は際立っていた。荒々しい演奏につられるように高まっていくテンション。リミッターを振り切るようなサビに圧倒される。
続いてアッキーの「1、2、3、4!」という気合いの入ったカウントから始まったのは、ニューアルバムでラストを飾っている“楽しみがない”。変則的なギターリフを刻みながら動きまわるタモ、全身を躍動させて暴れ馬のようにドラムを叩くアッキー、その手綱を引き締めるようにベースラインを奏でるミック。お世辞にもきれいな演奏とは言えないが、妙な一体感がある。そういえば彼らのエンジニアを務めた巨勢さんに取材したときに、「彼らの場合は良くも悪くも遅れるときは全員一緒に遅れる、突っ込むときは全員一緒に突っ込む」と言っていたのを思い出した。そして、ときおりカッと目を見開き歌うアッコの姿が脳裏に焼き付いて離れない。
先ほどまでの激しさから一転して、哀愁に満ちたアルペジオから“パープーピーポー 〜東京の歌〜”が始まる。CDで何度も聴いていたが、やはり<老いぼれた乞食を見た>という歌い出しは一瞬ギョッとする。少し物哀し気な表情を浮かべ、何かを思い出すように歌うアッコ。<東京がなくなればいい><東京が滅びればいい>という言葉は、一体何を意味しているのか。アッコの表情を見る限り、そこに強い想いが込められているのは明らかだ。
前の曲を歌い終えると、「こんばんは、秘密ロッカーです」と一言だけ挨拶をしたアッコ。一瞬笑みを浮かべたように見えたが、それも束の間、次の“同じ夜のうちに”では思いの丈をぶちまけるように歌う姿が印象的だった。これでもかと詰め込まれた言葉、アッコの心臓の鼓動とリンクするように脈打つバンドサウンド、ステージ上で渦巻く熱量が凄まじい。
この日、初めて披露されたファーストミニアルバムからの楽曲。鋭い目つきで歌うアッコもさることながら、この曲ではリズム隊の活躍に心を奪われた。スピード感溢れるドラミングとメロディアスなベースライン、それぞれのフレーズに耳を傾けると曲の印象もガラッと変わるのだ。前回の連載でHIROKI氏が「全員が違う拍子をとってるみたいなときもあるんだけど、全体で聴くとちゃんとバランスが取れている」と言っていたけど、こういうことだったのかと納得した。
ファーストミニアルバムのリード曲とも言える楽曲。やや抑え気味に見える序盤の展開から、ヒリヒリとしたギターリフが緊張感を徐々に増幅。次第に抑えきれないほど興奮を高めていく4人の生々しさに、いつの間にか目が離せなくなっていた。動画はグングンとカオスさを増していく終盤の様子。何かが憑依したように頭を振りまわすアッコ、そして最後のアッキーの狂乱ぶりには度肝を抜かれるはずだ。
ラストに披露したのは、ニューアルバムでは1曲目となっていた“ヘブンズ・キル”。<ぶっ壊れそうだ>の歌詞の通り、4人の暴れっぷりも最高潮に。前に身を乗り出し、カメラの近くまでに来たときに見えるアッコの目つきも強烈!そして気がつけばタモの白シャツには血が…。2分足らずの曲を全力疾走し、4人はスタスタとステージから去っていった。