最終話:遂に実現した、秘密ロッカーの「ヒミツ」
―秘密ロッカーは、最終的にはどういうふうになりたいんですか?
アッコ:私はかっこいい曲を作って、かっこいいライブをやりたいです。笑っちゃうぐらいかっこいいバンドになりたい。
―言い方は悪いですけど、売れたいとか、あわよくば音楽でメシを食いたいとか。
アッコ:それもあります。とにかくいっぱいの人の前でライブをやりたいです。それはさっき言った、昔の自分みたいな人に会いたいから。例えばテレビとかに出れば、その人に会える確率も上がるじゃないですか。大きい会場でやれば、その人が来てるかもしれない。だから、いっぱいの人の前でやりたいし、知られたいし、全然バンドとかパンクとかに興味ない渋谷のセンター街にいるような人たちの前でもライブがしたいです。センター街への偏見ですけど(笑)。
―要は「秘密ロッカーを見て人生が変わりました」みたいなことをたくさん起こしたい?
アッコ:人生じゃなくても、一瞬だけでもいいです。「今日クソみたいな気分だったわ」っていうのが、「最高!」ってなっただけでもうれしいし、ライブにはそういう力があると思っているので。
―Dragon Ashのオーディション(注:秘密ロッカーは2011年に行われたDragon Ashのツアーオープニングアクト募集オーディションで勝ちあがり、渋谷AXのステージに立った。詳しくは連載第4話の3ページ目を参照)を受けたのも、そういう理由から?
アッコ:その頃は、いつもウチらのことを知ってる人たちがいるライブハウスじゃなくて、まったく知らない人たちがいっぱいいる前で、ぶちかましたいっていうのがあって。そういうオーディションとかに応募してました。
―そのときって実際、Dragon Ashは好きだったんですか?
アッコ:アッキーは好きだったみたいなんですけど、私は全く聴いた事もなくてKjが誰だかも知らなかったんですよ。でも、今回のことで超リスペクトしました。アンダーグランドで活動しているバンドがデカイステージで大勢の人の前でライブをやれるきっかけの少なさを知ってるからだろうし、それを引っぱり上げてやろうっていう想いと行動にリスペクトしました。普段、ほとんどMCをしない人らしいんですけど、そのAXのライブでは、「オープニングアクトに出てくれた秘密ロッカーに拍手」って煽ってくれて。「いまは好きなことをできる人たちがすごくやりづらくなってる。だから今日、秘密ロッカーのライブを見てちょっとでもいいなと思った人は、ライブに足を運んであげてください」って。それで、いつもそこで「ミクスチャーロックは好きですか?」って言って始まる曲があるらしいんですけど、たぶんウチらが出たから「ロックンロールは好きですか?」って言って、その曲を始めてくれて。
―Kjかっこいい!
アッコ:応募するときは全然知らなかったんですけど、ライブも最高だったし、その後でちょっとしゃべったときも、すごく真摯に接してくれて。こういう場所で長く活動している人が「一番大事なのはライブだから」って言った事も嬉しかった。間違ってなかったって思えたし、「今度はフェスとかで会いましょう」って言ってもらったんで、次はどうしても自力で一緒のフェスに出てそこで会いたいんです。
―それは実現しないと。でも、パンクバンドがオーディション受けるとかって、かっこ悪いと考える人も多いじゃないですか。
アッコ:そういうのは全然ないですね。いろんな人に見てもらえるチャンスがあるのなら、もっとやらせろ! って思ってるし、待っててもチャンスは来ないので。
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―どういうタイミングで曲や歌詞ができるのか、すごい気になるんですよね。“ヘブンズ・キル”の「ぶっ壊れそうだ」とか、そういうのって、何かきっかけがないと出てこないと思うんです。
アッコ:あー、そうですかね。うーん……、そんな事ばっかりですけどね(笑)。それは聴いてる人が、それぞれ受け止めてもらえば。
―でも、歌うことで何かを伝えたいこととか、そういうのはあるんですか? 誤解を招く言い方かもしれないですけど、自己満足で歌うのか、誰かに何かを届けたいのか。
アッコ:どっちもあります。自己満足というか、全部自分のために歌ってるのもあるんですけど、昔の自分みたいな人がいるんだったら、「好きなことやっちゃえばいいんだよ」ってことは言いたいです。私がブルーハーツを初めて聴いたときに思ったように。本当に、大人になるとか無理だと思ってたので。だから、ライブハウスに10代くらいの女の子がいると、ちょっと燃えますね。
―昔の自分を見てるみたいな?
アッコ:全然違うんでしょうけど、勝手にそういう感じで思ってますね。