大西さんのヒミツ道具をご紹介!
真剣に「遊ぶ」ために厳選されたヒミツ道具たち
目黒区青葉台の閑静な住宅街にある「みどり荘」。「これからの働き方の可能性を追求するとともに、個が尊重される社会において(そのような社会だからこそ)、大切な拠り所となる仲間を作っていく場所」をテーマに運営されているこのスペースの一角が大西さんの「ヒミツ基地」です。そんな仕事場で大西さんのクリエイティブを支える「ヒミツ道具」を紹介してもらいました。
ライト板
イラストを描く際に欠かせないライト板。「デザイナーの奥さんから奪った」逸品で、かれこれ10年ほど使用しているとのことです。
大西:ペンタブレットを使ってPC上に直描きすることも多いのですが、精密な背景が必要な街のイラストなど、場合に応じて手描きで制作することもあります。ちなみに、ペン入れする前のラフ段階でも、このライト板の上で行います。なぜかこの上で作業すると、「ダラダラせずに、しっかり仕事をしなきゃ」と思えるんですよね(笑)。
カッター
デジタルに、アナログの手技感を残した表現を取り入れることも大西さんのこだわりの1つ。そこで登場するのがカッターです。どのように使用するのでしょうか?
大西:たとえば、Tシャツのデザインをするときは、グラフィックの荒れ(文字やデザインに傷をつけるなどの加工)をプリント段階で施すことが多いのですが、デザインの段階でその荒れ具合を再現しておいたほうが刷り上がりをイメージしやすくてクライアントも喜んでくれるんですね。PCから普通のフォントを印刷して、カッターで文字を擦った後に、また取り込んだりします。かすれた文字だけを集めたCD-ROMを作ったこともあって、Tシャツ以外のグラフィックにもこの手法を取り入れています。
ペンタブレット Intuos5
大西さんのクリエイティブに欠かせないペンタブレット。約5年前にIntuos3を使い始めて以来の相棒なのだとか。
大西:僕はPC上でベジェ曲線を直接描き込んでいくことが多いので、その作業をスムーズに行なうために購入しました。ペンタブレットを使うとベジェがとても描きやすいので、今では仕事にかかせない片腕です。Intuos5は、以前の機種よりペンが小ぶりになって持ちやすいし、筆圧も軽くて済むので作業がしやすいですね。デザインも色も気にいっていますし、ワイヤレス機能もついて、机の上がケーブルで雑然とならないことも大助かりです。以前、スケボーで足を骨折したとき、病院のベッドにペンタブレットを持ち込んで、固定された姿勢のまま、手元に置いて作業したことがあるんですよ。あのとき、ペンタブレットがなかったら締め切りを落としてしまっていたので、本当に助かりました(笑)。
『花椿ト仲條』
最後に紹介するのは、資生堂が発行する企業文化誌『花椿』初代アートディレクターの仲條正義氏が40年にわたる自身のエディトリアルを厳選して紹介した書籍。大西さんは、仕事の合間のふとしたときに目を通し、古びないそのセンスに感嘆しているそうです。
大西:具体的に自分の作品の参考にしたことはないのですが、何十年も前のエディトリアルとは思えないレイアウトの美しさやセンスに、いつも脱帽しています。その時代のテイストに合わせながらも、まったく古びない美しさがあるというか……。ダサイ、カッコいいの基準は時代を超えるんだなと、見るたびにつくづく思います。もし初めからデザイナーを目指していたら、資生堂の宣伝部に入りたかったな。
広々としたオフィスの中にある一畳半ほどの大西さんの机にこれらがすべて収納され、手の届く範囲で作業を進めることができるシンプルさが印象的でした。お気に入りの仕事場「みどり荘」も含めて、大西さんの大切な「ヒミツ道具」なのかもしれませんね。
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