杉山さんの作品作りをご紹介! でんぱ組.inc
『でんでんぱっしょん』のジャケット制作の秘密を大公開
フライヤーやジャケットのデザインでは、デジタルだけで完結してしまうことも多いそうですが、今回は大量のステッカーによるコラージュが特徴的な、でんぱ組.inc『でんでんぱっしょん』のジャケット制作で、実際に行った作業工程の一部を教えていただきました。杉山さんならではの個性的な作り方に、きっとビックリするはずです。
ステッカー作り
まずはオリジナルステッカーを作ることからスタート。メインで使ったメンバー写真のステッカーは、PCでレイアウトしたデザインを市販のシール用紙に印刷して、その上からホログラムシートなどを重ね、キラ仕様にしています。とにかくいろんなパターンを大量に作ったため、ステッカー作りだけで3日かけたとか。
杉山:実はメインのステッカーも、全て普通にハサミで切り抜いているんです。大量に作りすぎたので、デカいステッカーは自分でやって、小さなものは知人にも手伝ってもらいました。「こういう感じで」とかお願いして、もう内職みたいな感じでしたね。超アナログですいません(笑)。
ステッカーの貼り付け
次はできあがったステッカーを台紙にベタベタ貼り付けていくのですが、実はこの台紙はレコードのジャケットを使用。サイズや厚みがちょうど良かったため、レコファンで200円均一の中古レコードを買って使ったそうです。
杉山:これ難しかったですね。とりあえずデカいステッカーを先に貼って、あとは感覚でこのへん足りないな……と思ったところにじゃんじゃん貼りつつ、全体のバランスも調整して。裏側にはメンバーの写真だけじゃなくて、ダンスの振付の先生とか、別バージョンのジャケットを作ったデザイナーさんのステッカーも混ざってるんです。なぜか名古屋城のおみやげ屋で買ったパンダのステッカーも使ってるんですけど、これはクライアントからぜひ貼って下さいと言われました(笑)。
撮影&スキャン
大量のステッカーを貼りつけた台紙をデータ化します。初回盤はでんぱ組.incが拠点としている秋葉原ディアステージで撮影、通常盤は台紙をスキャンして取り込んでいます。ステッカーにホログラムがかかっているため、うまく光の反射を調節するのが大変だったとか。
杉山:台紙が大きいのでスキャンは業者に頼もうと思ってたんですけど、時間がなくて間に合わず、結局家庭用のスキャナで分割して取り込んで、それをPhotoshopで合成しました。解像度600dpiで取り込んで、超拡大して作業したんですけど、めんどくさかったです(苦笑)。あと、スキャンすると黒色が死んじゃうことが多いので、印刷のときに黒を強く出すようにお願いしましたね。
レタッチ
ホログラムが光りすぎて、メンバーの顔が見づらくなってしまった部分は、別で撮った写真と差し替えたり、ペンタブレットを使ってレタッチして調整したそうです。そして、初回盤は台紙を手に持って撮影していますが、実はこれは杉山さんの手。
杉山:撮影のときは意識していなかったのですが、できあがった写真を見て、明らかに男性の手だとわかっちゃうのはマズいなと思って(笑)、ちょっと指をきれいにしたり、気にならない程度までレタッチしました。あと、裏面の写真は上から吊った状態で写真に撮ったんですけど、その吊った紐もレタッチで消してますね。
ホログラムの上からさらにホログラムをかけたり、過剰な効果を狙いつつも、実際の作業工程では細かい調整を繰り返していた杉山さんのデザイン。「どうしてそんなに手間のかかることを?」というアイデアだからこそ、他の人が思いつかない個性的な作品になるのでしょう。杉山さんの次なる「あそび」と「わるふざけ」が形になるのも楽しみですね。
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