細やかなこだわりや創意工夫が張り巡らされた制作工程
それではここで、雑誌イラストからウェブ漫画まで、様々なジャンルでお仕事をされている死後くんの制作工程を拝見しましょう。今回、モチーフとして見せていただいたのは、年内に単行本化が予定されているウェブ漫画の代表作『I My モコちゃん』。あのユニークな作品がどう仕上げられていくのか、興味津々です。
手描きの原画をPCに取り込む
まずは紙にペンで漫画を描いていきます。といってもコマ割りや色塗りなどの仕上げはPC上で行なうため、ここで描く絵は素材感覚です。
死後くん:描く紙は、いわゆるA4サイズのコピー用紙。紙を平行に4等分に折り、コマの横幅サイズだけを揃えて、必要なカットを描いていきます。このときベタ塗りや、台詞も一緒に書き込んでしまい、スキャナーでPCに取り込んでいきます。
原画をコマに合わせてカット&ペースト
PCに取り込んだ原画をPhotoshop上でカット&ペーストし、縦長のコマ割りに当てはめていきます。原画の段階では、はっきり決めていなかった、詳細な展開を決めるのもここです。
死後くん:紙の漫画と違って、ウェブ漫画はコマが画面下に向かって進んでいくので、メリハリをつけにくいんです。だから、コマの上下の長さを変えて、漫画を読むときのリズムを良くするのがポイントですかね。この作業は編集・校正も兼ねていまして、コマを並べてみて気になった台詞があれば、PC上で書き替えたり、絵の細かい修正などもやってしまいます。
液晶ペンタブレットを使ってデジタルで着色
原画でベタ塗りをしてあった以外の部分をPhotoshop上で着色していきます。
死後くん:絵や台詞の修正と同様に、着色も液晶ペンタブレットで行います。もともと登場するキャラクターがユルいので、色を塗る際に特別なこだわりというのはないんですけど……自然と淡い色をよく使ってしまいますね。手描きのときでも、インクが一番先になくなるのはイエローだったり。あまり強烈な色は、僕の絵柄には似合わないんでしょうね。
さらに手描きの着色を加え、合成する
作品にもよりますが、PCでの着色の後に、さらに手描きで色を乗せることも。やり方は非常にシンプルで、「その手があったか!」と目からウロコでした。
死後くん:最初に描いたA4コピー用紙の原画に、同じサイズのコピー用紙をクリップで重ね、原画を透かして見ながら、カラーブラッシュで水彩っぽく色を乗せていきます。そして、その色だけ塗った紙をスキャンしてPCに取り込み、レイヤーとして原画と合成処理します。もともと手描きのタッチが好きなので、手描き感が足りないなと思ったときには、よくこの手法を使いますね。手塗り部分もレイヤー化してしまえば、自由に色を変えることができたり、とても便利なんですよ。
自分の画風に対してあまりこだわりがないとおっしゃる死後くん。とはいえ、やはり制作工程には、ご自分からは言い出さない細やかなこだわりや創意工夫がたくさんありました。死後くんが次にどんなユニークな作品を生み出すのか、イラストや漫画だけでなく、念願の絵本や映像作品がいつ私たちに届けられるのか、これからも期待大です。
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