『クリエイターのヒミツ基地』

『クリエイターのヒミツ基地』Volume30 我喜屋位瑳務(イラストレーター、アーティスト)

『クリエイターのヒミツ基地』Volume30 我喜屋位瑳務(イラストレーター、アーティスト)

感覚を研ぎすまし飛躍させるため、
勢いを大切にした制作工程

お次は作品制作の工程を公開してもらいました。夜型の生活で、ラジオを聴きながら(お気に入りはTBSラジオ『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』)作業することが多いという我喜屋さんの独特な作品は、どのような工程を経て生み出されるのでしょうか。

イラストの線入れ

作業工程1:イラストの線入れ

まずは、イラストを描く工程から。ヒミツ道具のコーナーでも紹介した自作のノートに、COPIC社製のペンでスラスラと人物画を描いていきます。

我喜屋:紙に平行になるくらいペンを傾けて描くと少し掠れて、鉛筆に近い感じで描くことができます。本当は鉛筆で描きたいのですが、鉛筆で描いた線の上に絵の具を塗ると、線が溶けたり剥がれたりするので、COPICのペンを使っています。その前は、黒い色鉛筆や筆ペンで描いていた時期もありました。

着彩

作業工程2:着彩

我喜屋さんにとって、着彩はとにかく感覚と勢いが大事。アメコミ誌などを見ながら想像を膨らませた色の感覚を頼りに塗っていきます。

我喜屋:平筆の先っぽにメインの色とは別の絵の具をつけてグラデーションを演出する技法が、最近僕の中で流行しています。フラットな色を出したい場合は、ペンタブレットを使ってPC上で着彩することもあります。

スキャン

作業工程3:スキャン

着彩が終わったら原画をスキャナーでPCに取り込みます。

我喜屋:絵はA4の自作ノートに描くと決めているので、スキャナーもA4サイズが取り込める小型のもので十分です。取り込んだあとはコピースタンプツールで埃を取り、レベル補正などで色を調整します。また次に出てくる自家製アメコミスクリーントーンを作るためにも使用します。

コラージュ

作業工程4:コラージュ

最後は液晶ペンタブレットを使ってコラージュする作業。作品ごとに描いた手描きイラストのほか、以前に描きためたものを素材として使用する場合もあるそうです。

我喜屋:液晶ペンタブレットを使ってコラージュすると、画面に直接ペンで作業できるため、よりアナログに近い感覚で作業ができます。自分で描いたイラスト以外にも、拾ってきた段ボールや、アメコミ誌で使われていたスクリーントーンをスキャンして繋ぎ合わせた模様など、いろんな素材を使用します。ここでもやっぱり最後の頼みは自分の感覚。納得いくまで何度も格闘し続けます。

クリエイティブの勢いを落とさないために、アナログとデジタルを上手く使い分けている印象のある我喜屋さんの作業工程。写真の作品は、取材用に試作してもらったものですが、その細部へのこだわりは圧巻でした。今後、このヒミツ基地からどんな作品が生まれるのか楽しみでなりません。

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