橋本孝久さんのヒミツ道具をご紹介!
細かい作業に没入するために必要なヒミツ道具たち
橋本さんが創作に打ち込むヒミツ基地は、自宅アトリエと都心オフィスの2箇所。今回の取材はオフィスで行わせていただきました。真っ白な壁に囲まれ、細長いテーブルの上にMacと液晶ペンタブレットがシンプルに並ぶアトリエには、橋本さんの好きなルーツレゲエが流れ、ちょっぴりリゾート気分も高まる空間で、創作に欠かせないヒミツ道具を紹介いただきました。
カラーボールペン
橋本さんのイラスト制作で欠かせないのが、カラーボールペンです。ボールペンを使う理由は、にじまずにしっかりと細い線が描けるから。緻密なモチーフを描くミティラー画だからこそのチョイスです。
橋本:いろんなメーカーを試してみた結果、線の細さが選べるパイロットの「ハイテックC」を使うことが多かったのですが、最近はインクの耐久性を考慮して、三菱の「ユニボール シグノ」や、ゼブラの「SARASA」も併用しています。どのペンもそうなんですが、一番の難点は描き込む量が多いため、ペン先がすぐに潰れてしまうこと。その点、これらのカラーボールペンは一般の文具店でもすぐ購入できるので便利です。
MOLESKINEのノート
MOLESKINE社製のB6サイズノートは、中を開くと鉛筆で描かれたイラストのラフやメモ書きなどがびっしり並んでいます。いつも持ち歩き、浮かんだアイデアをメモしておくアイデア帳です。
橋本:MOLESKINEのノートは表紙がハードで型くずれしないことが気に入って使っています。イラストのアイデアを描いていくとき、僕は「ボックスメソッド」という手法を使うことが多いのですが、これは広告代理店で教わった発想法の1つ。ノートのページを均等な四角形に区切って、アイデアを次々描き込んでいくやり方です。アイデアを出し続けることで、より精査され、良いアイデアや強いプランに発展していきます。そのボックスを切って並べたりすることで、マインドマップのような役割も果たすんですよ。
グレイシー柔術の道着
次に橋本さんが紹介してくれたのは、なんと道着でした。イラストレーター、アートディレクターと聞くとインドア派のイメージですが、もともと身体を動かすことが好きで、学生時代は野球部にも所属していた橋本さん。約10年ほど、グレイシー柔術の道場に通っているそうです。
橋本:グレイシー柔術を始めたのは、カメラマンの弟の師匠である写真家・ホンマタカシさんに誘われたのがキッカケで、週4日で道場に通っていた時期もあります。好きな技は腕ひしぎ逆十字。技を決められると相当辛いですが、決めたときの快感は格別です(笑)。格闘技なので、練習中は他のことを考える余裕がまったくないくらい、身体的にも精神的にもハードなんですが、綺麗ごとを言えば、自分を身体的に追い込むことで、仕事などを忘れてリフレッシュできるのがいいんです。その他にも、トレイルランやトレーニングジムにも定期的に通っていますね。
液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」
グラフィックデザイナー、アートディレクター時代からの必需品として、今も使い続けているツールがペンタブレットです。使用歴は約10年ほどで、これまでは板型ペンタブレットの「Intuos」シリーズを歴代使用してきましたが、より直感的な描き心地で、イラストレーターの必需品と言われる液晶ペンタブレットを知り、使ってみたくなったそうです。
橋本:液晶ペンタブレットの良さは、画面に直接描けることだけでなく、これまで使ってきていたMacのディスプレイと併用できることですね。手元の「Cintiq 13HD」で素材を切り取って、大きなモニターの下絵に貼り付けていったり、「Cintiq 13HD」をメインモニターにして、Macのディスプレイでは作品全体のプレビューを映したり、2台の液晶ディスプレイとしてデュアルモニターでフル活用できるのはとても便利です。
細かなモチーフを丹念に描き込むことで世界を作り上げる橋本さんの作品には、作業への没入感の高まる液晶ペンタブレットはベストマッチかも知れません。そして、グレイシー柔術の道着には、根を詰める作業の多い橋本さんの体力作りへのこだわりも感じられました。心身共に鍛え抜くからこそ、創作活動へのモチベーションもさらに高めることができるのではないでしょうか。
- フィードバック 0
-
新たな発見や感動を得ることはできましたか?
-