わたしたちのヘルシー

調子が悪い=怠けてる、は違う。『自転車屋さんの高橋くん』作者の「孤独を和らげる」漫画

「自己責任」という言葉を良く聞くようになりました。自らが選択したことで、利益だけでなく、失敗のリスクも自ら負うことを指し、最近ではいち個人のどうしようもない不幸や、病気などに対しても自己責任論を振りかざす人もなかにはいます。

「自分でなんとかすべき問題」と他人から判を押されることはたびたびありますが、そのなかの一つに「更年期障害」(*1)が挙げられます。ヒステリーになったり、汗をかきやすくなったり(*2)といったイメージが浮かぶと思いますが、発症した本人も更年期障害だと気づかずにいたり、「一人で我慢しなければ」と思い込んだり、孤独感を抱える場合が多々あります。今回は、そんな更年期障害をテーマに、『自転車屋さんの高橋くん』で知られる漫画家の松虫あられさんにオリジナル漫画を制作いただきました。更年期障害に向き合う本人と周囲の関係をきっかけに、人を理解しようと努力し、助け合うこととは何なのかーーそのヒントが詰まった物語をお届けします。

あとがき(松虫あられ)

私はこの漫画の主人公・さっちゃんと似たような年齢なのですが、この漫画を描くまで更年期について考えたこともなければ、病院で更年期障害が治療できることも知りませんでした。この漫画を描くにあたり、まわりの人に更年期障害について少しインタビューをしたのですが、まさに「どうにもできない、つらい、でも理解してもらえない」というものでした。ストーリーを練っていくうちに、「まずは知識として知っておくことが大事だし、まわりとシェアすることも大事だよな」と感じました。

というのも、自分自身ではなかなか「私は更年期障害だから、病院に行かなきゃ」と気づくのも難しい気がします。周囲の人が知識を持っていれば、困っている人をサポートできるし、知識があれば自分自身の状態や変化にも気づけると思うのです。そういう認識を若い人たちにも知ってもらいたいと考え、登場人物として、さっちゃんと店長だけでなく、20代の新人・渡辺さんも出してみました。

自分の辛さを理解してもらえないのは、とても孤独です。この「孤独」だけでもどうにかできたらという想いも込めて描きました。この漫画が誰かの参考になったら幸いです。ご機会をいただきありがとうございました。

サービス情報
エンジョイエイジング

更年期は誰にでも訪れる、体と心の転換期です。更年期について知ることは女性のライフステージにおいてとても重要なことです。明るくあなたらしく過ごすために、できることをしてみませんか。
プロフィール
松虫あられ (まつむし あられ)

2013年、徳間書店『COMICリュウ』にてデビュー。『鬼娘恋愛禁止令』(全2巻)が絶賛発売中。noteで自主制作漫画『自転車屋さん家の高橋くん』を発表後、トーチwebで『自転車屋さんの高橋くん』を連載開始。同作品は宝島社『このマンガがすごい! 2022』にノミネートされた。



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