国際女性デー2022、この日を祝うことの意義やルーツとは? コロナ禍で顕在化した女性の窮状

メイン画像:Photo by Vlad Tchompalov on Unsplash

「国際女性デー」にはどんな歴史と背景があるのか?

3月8日は国際女性デー。国や民族、言語などを問わず、女性たちが達成してきた功績を祝福し、ジェンダー平等を考える日として、毎年世界各地でさまざまなイベントが行なわれる。

国連が定める2022年の国際女性デーのテーマは「持続可能な明日に向けて、ジェンダー平等をいま」。女性は世界の貧困層の多くを占め、気候変動のような危機の影響を受けやすい。このテーマは、すべての人に対する、より持続可能な未来のため、気候変動対策をリードする世界中の女性の貢献を認め、称えようとするものだ。

近年ますます企業やメディアがこの日にあわせてキャンペーンやイベントを行なうことも増え、女性の権利向上や性差別撲滅を呼びかける日として広く認知されている「国際女性デー」だが、どんな歴史があり、どんな背景から「特別な日」として記念されているのだろうか。

ルーツは約100年前の女性労働者運動、参政権運動にある

国際女性デーは、1900年代初頭の女性参政権運動や女性労働者運動に端を発している。

初の「女性の日」は1909年2月28日にアメリカで記念された。前年にニューヨークで縫製労働者によるストライキが行なわれ、女性たちが労働条件の改善などを訴えたことに敬意を表し、アメリカ社会党がこの日を「全米女性の日」としたのだ。

1910年には17か国の女性100人以上が参加したコペンハーゲンでの会議において、女性の権利運動を称え、参政権運動を盛り上げるため国際的な「女性の日」を設立。この決定を受けて、1911年3月19日にオーストリア、デンマーク、ドイツ、スイスで初の「国際女性の日」記念行事が行なわれ、選挙権や公職につく権利、女性が働く権利などを求めた。これには100万人超が参加したという。

その後、「国際婦人年」にあたる1975年に国連が3月8日に「国際女性の日」を記念することを始め、2年後の1977年に国連が定める公式な日として認定した。国連が決める「国際デー」としては1970年代にスタートしたものだが、「女性デー」のルーツは100年以上前の女性たちによる労働運動や参政権運動にある(*1、*2)。

1年のうち1日を特別な日として祝い、女性たちの歩みや、いまある問題に改めて光を当てる

なぜわざわざ1年のうちの1日を「女性の日」として祝う必要があるのか疑問に思う人もいるかもしれない。

国連はこうした「国際◯◯デー」「国際◯◯ウィーク」を、「人々を教育し、地球規模の問題に取り組むための政治的意思やリソースを動員し、人類の功績を祝う」機会としている。ジェンダー平等や女性の権利については、特別な日だけでなく日常的に意識され、議論されるべきことだが、女性たちは歴史的に権利を制限され、いまも根強い性差別が存在するからこそ、こうした日を盛り上げ、辿ってきた歩みを振り返るとともに改めていまある問題に光を当てることは大きな意義を持つ。

「International Women's Day」のウェブサイトは3月8日が「1年でもっとも重要な日のひとつ」であるとし、この日を記念するねらいについて「女性の功績を祝うこと」「女性の平等についての意識を高めること」「ジェンダー平等推進のためのロビイング」「女性を中心としたチャリティーに資金を募ること」としている(*3)。

ジェンダーギャップ指数下位の日本の現状は? コロナ禍で可視化された女性の窮状

女性参政権運動や労働運動にルーツを持つ「国際女性デー」。日本の政治や労働現場の現状を改めて見てみたい。

世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数(2021年)で156か国中120位、先進国のなかで最低レベルの日本。2021年の同レポートでは、国会議員および大臣に女性が占める割合の少なさや、企業における女性管理職の少なさ、非正規雇用者に占める女性の割合が男性のほぼ2倍であること、男女の賃金格差などが指摘されていた(*4)。

厚生労働省が発表する「令和2年賃金構造基本統計調査」によれば、男女間賃金格差(男性を100としたときの女性の賃金)は74.3。これは国際的に見ても低い数字だ。

また政治の現場では、昨年10月の衆院選挙後、衆議院の女性国会議員の割合は9.7%となり前回を下回った。この数字は世界190か国中168位だという。参議院の女性比率は23.0%で、合計すると日本の国会議員のうち女性が占める割合は14.3%となる。日本の有権者はほぼ男女半々である(*5)。

またコロナ禍では、これまで見過ごされてきた経済的・精神的DV、ひとり親世帯や女性の貧困などが可視化され、女性の自殺数の増加やDV相談件数の増加も報告されている。国連女性機関事務局長のプムズィレ・ムランボ=ヌクカは、2020年に発表した声明で「女性に対する暴力という隠れたパンデミックが増加している」と述べた(*6)。

女性の権利向上や性差別撲滅の声をまだまだ訴えていかなくていけないことは明らかだ。

3月8日には国内3都市でウィメンズマーチも

今年の3月8日には日本各地で「ウィメンズマーチ」が予定されている。ジェンダーにもとづく差別や暴力に反対の意思を持つ人々が思い思いのプラカードを持ち寄り、街のなかで声を上げ、行進する。

大規模な「ウィメンズマーチ」は、2017年1月、アメリカでドナルド・トランプ大統領就任の翌日に初開催された。性差別的な言動を繰り返す新大統領へのプロテストを訴え、首都ワシントンには50万人が集結。グロリア・スタイネムやスカーレット・ヨハンソン、ジャネール・モネイ、アンジェラ・デイヴィスらがスピーチを行ない、マドンナ、エマ・ワトソン、ブリー・ラーソン、ゼンデイヤをはじめとする多数のセレブリティーがストリートを行進した。アメリカの他都市や各国の女性たちも連帯し、世界で500万人が参加したといわれており、大きな話題を呼んだ。

今年の国際女性デー当日に日本で行なわれるウィメンズマーチは、東京、大阪、名古屋での開催が予定されている。3月6日には熊本でも開催された。各地の開催予定は次のとおり。詳細は各主催者のSNSなどを確認しよう。

『ウィメンズマーチ東京』
2022年3月8日(火)17:40集合、18:00出発(予定)
集合場所:東京都 表参道 国連大学前広場
『ウィメンズマーチ大阪』
2022年3月8日(火) 17:30集合、18:00出発
集合場所:大阪府 なんば 元町中公園
『ウィメンズマーチ名古屋』
2022年3月8日(火)18:30集合、19:30~出発
集合場所:愛知県 名古屋栄 久屋大通公園 噴水「希望の広場」


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