メイン画像:Photo by Tijs van Leur on Unsplash
『ライブホール、ライブハウスにおける新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン』の改訂版が、10月14日に発表された。
ライブハウスの収容人数を条件付きで100%まで認める。その「条件」とは?
このガイドラインは一般社団法人ライブハウスコミッション、NPO法人日本ライブハウス協会、一般社団法人日本音楽会場協会の3団体によって2020年6月に策定。これまでに何度か改訂されてきたが、今回の改訂では大きな変更が含まれる。
主な変更点は、ライブホールやライブハウスの収容人数を、条件付きで100%まで認める点だ。
条件は以下の通り。
a) 過度な観客の歓声・声援などによる大声の自粛。又は継続的な発声の自粛。
b) マスクの着用を含め、個別の参加者に対する感染防止策の徹底。
c) 発声する演者と観客間の距離が適切に保たれている等、感染防止対策の適切な実施。
d) 人と人とが触れ合わない程度の間隔を確保する。
e) 観客はマスク着用を徹底し、飲食を行う場合は、飲食時のみマスクを外し、黙食を徹底する。
「大声」の定義については、「飲食店などにおいて、通常会話を行う際の声量を上回る大きさの声」としている。
「継続的な発声」の定義については、「1曲に対しては、その曲の総演奏時間の約25%程度以上の時間の声出し」としている。
公演中の「大声」「継続的な発声」に関するチェックリストも
上記の「大声」「継続的な発声」に関連し、公演中の注意事項をまとめたチェックリストも公開されている。
■コール&レスポンスを行う際は「大声」「継続的な発声」を行わせないよう指導する。
■観客を煽って「大声」「継続的な発声」を上回る声を発声させるような行為をしない。
■休憩中や飲食スペースで大声での会話を誘発する大音量でのBGMやDJを行わない。
■「大声」「継続的な発声」を上回る声を出している観客に対して、個別に注意、制止、退場処分等の措置を講じる体制が確保できる。
■「大声」「継続的な発声」以内の声出しを徹底している公演であっても飛沫抑制のため、適切なマスク(不織布を推奨、できればJISマークや全国マスク工業会マークなどが付与された品質の確かなもの)の正しい着用を周知・徹底させる。
なお客席内を分割する対策をとった場合については、「収容率100%のイベントであっても、客席内を明確に仕切り、その場所の収容率を50%程度以下とする場合、その範囲内において大声や継続的な発声を妨げるものではありません」とされている。
SNSでは肯定的な意見もありつつ、疑問の声も
条件付きとはいえ、規制解除に向けた大きな一歩といえる今回の改訂。発表を受けて、音楽ファンを中心に、SNS上ではさまざまな反応がなされている。一歩前進と捉えて規制緩和を喜ぶ肯定的な意見もあるが、「結局は現場任せでは」といった意見や、「大声」「継続的な発声」の定義に対してライブハウスの現場感覚とのズレを指摘する声、条件の中途半端さを指摘する意見もあった。
たとえば「飲食店などにおいて、通常会話を行う際の声量を上回る大きさの声」という「大声」の定義では、「通常」の声量が個人によって異なることを踏まえると厳密にはチェックしづらい。また飲食店などでの通常の声量では、ライブハウスで会話するのは難しいのではないか、という意見もあった。
「その曲の総演奏時間の約25%程度以上の時間の声出し」という「継続的な発声」の定義では、総演奏時間の長さをオーディエンス側ではあらかじめ把握できないため自主的な判断を下せず、かつ演者やライブハウス側でも「25%程度以上の時間」を把握して管理するのが難しいといった課題が残る。
そういった問題点もありながら、「収容率100%」を可能にした今回の改訂はライブエンタメ業界にとって、そして音楽ファンにとって、大きな一歩と言えるだろう。新型コロナウイルス感染症の一刻も早い収束を祈るばかりだ。
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