シミ(*1)・シワ・くすみ・乾燥・クマなどの肌トラブルや、女性特有の冷え、ホルモンバランスの乱れから来る不調などの悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。肌や身体の不調は、メンタルの不調にも直結してしまうもの。逆に、なんだか調子のよい日は、その日一日をポジティブな気持ちで過ごせますよね。
肌トラブルや身体の不調の原因のひとつが、血流の滞りであるといわれています。また、血栓症のように
血中に血栓ができてしまう疾患もあり、健康と美容を考える上でも、血流の状態には日頃から気を配ることが重要なのです。
そこで今回フォーカスするのが、納豆のネバネバに含まれるフィブリンという血液凝固に関わるたんぱく質分解酵素、ナットウキナーゼ。血栓を溶解し、血流を促進する効果があることがわかっており、血栓症予防のみならず、美容の観点からも注目されています。
今回は、美容やライフスタイルにまつわる情報を明るく発信する、モデルの石井亜美さんをゲストに迎え、肌や身体のコンディションについて、金沢医科大学 女性総合医療センターで女性外来を担当する、医師の赤澤純代先生との対談を実施。肌や身体の悩み、日頃のケア方法をうかがいながら、毎日をポジティブに過ごすための秘訣を探ります。
つねにポジティブでいるコツは、前向きに切り替えて自分をほめること
―ご自身のYouTubeチャンネルでポジティブマインドの秘訣を発信するなど、いつも明るくポジティブなイメージの石井さん。どうやって前向きな気持ちを維持されているのでしょうか?
石井:つねに、自分の機嫌を自分で取ることを意識しています。発信する仕事をしている限り、自分のメンタルがいい状態でないと、人のことをハッピーにできないと思っていて。たとえば、選択に迷ったときは「いまの自分はこっちを選んだほうが心がときめくな」と、自分の本能に従うことを大切にしています。
―肌や身体の不調を感じて、気分が落ち込むことはありますか?
石井:もちろんありますが……落ち込んでも一瞬です。頭のなかをネガティブな感情に支配されるのが一番もったいないと感じるので、何かプラスの要素を探して、自分をほめてあげるようにしています。人並にネガティブな出来事は起こっていても、瞬間的にポジティブに切り替えて考えている、といいますか。
赤澤:すばらしい考え方ですね。石井さんはとても素敵なきめ細かいお肌をお持ちですが、どんなことを心がけてケアされているのですか?
石井:乾燥肌なので、とにかく保湿は心がけています。あとは、身体に入れたもので肌ができていると考えているので、よいものと、よくないものを見極めて、選択して取り入れるようにしています。
身体の巡りが悪くなると、女性特有の不調を引き起こしがちに
―ホルモンバランスによる不調を感じることはありますか?
石井:生理前になると、普段は絶対にイライラしないようなことにも心が反応してしまうときがあります。肌の調子が悪くなって、顔にニキビができることもありますし、肌のトーンが均一ではなくなるんです。全体的にくすんで、赤みが気になりますね。
赤澤:排卵後、黄体期に入ると、女性ホルモンのひとつであるプロゲステロンが分泌されて、身体が妊娠の準備をします。食欲が増えたり、妊娠を維持しやすい状態に整えようとしたりして、水分や栄養素などをため込む傾向となり、身体の巡りが悪くなります。便秘傾向になったり、お肌がざらざらしたり、くすんだり。水分を身体に溜め込むと、それがイライラにもつながるんですよ。石井さんは、「瘀血(おけつ)」という言葉を聞いたことがありますか?
石井:聞いたことはあります。東洋医学の考え方ですよね?
赤澤:そうです。そうです。「瘀血(おけつ)」とは、血液の流れが滞った状態のことで、脂質異常症や高血圧、糖尿病(*2)、更年期障害(*3)、生理痛(*4)などを引き起こす可能性があることが何千年も前から知られています。どんなに寝ても取れないクマなどは、微小循環(=細動脈、毛細血管、細静脈部分の循環)の滞りや、リンパ管機能の低下が原因です。血流が悪い状態、すなわち「瘀血(おけつ)」状態となって糖尿病や脂質異常症などになると、血中に血栓ができやすくなり、血液の流れが悪くなります。その血栓を溶解する作用があると言われているのが、今回フォーカスするナットウキナーゼです。
ナットウキナーゼとは?
大豆が納豆になる発酵過程で、納豆菌が増えるときにつくられる、酵素。1980年代にフィブリン(血栓の素となるたんぱく質)を分解(溶解)する酵素として「ナットウキナーゼ」と命名されました。消費者庁の定める機能性表示食品に指定されており、末梢血流をよくする効果があるとされています。
赤澤:納豆というのは不思議な食べ物で、発酵過程でナットウキナーゼをつくると同時に、ビタミンK2という血液を固まらせるビタミンも生成するんです。つまり、納豆には血流を促進するナットウキナーゼと、血液を固めてしまう作用のあるビタミンK2が両方含まれている。食生活の乱れがある人や、心筋梗塞や不安定狭心症などの病気で血液をサラサラにする薬を服用している人は、ナットウキナーゼを摂取するには納豆を食べるのではなく、サプリメントでナットウキナーゼのみを摂取するのがよいかと思います。
石井:なるほど! 私はよく、アメリカの自然派通販サイトでサプリメントを購入するのですが、ナットウキナーゼの商品をときどき見かけます。購入したことはないのですが、ナットウキナーゼは世界的にもポピュラーなものなのかと、気になっていました。
赤澤:ナットウキナーゼは、薬ではなく食品なので、どちらかというと滞った血流を治す目的ではなく、骨盤腔内の血液の滞りがある人などにおいては、予防の目的で飲まれていることが多いです(*5)。よくサイトで見かけるということですが、ナットウキナーゼには偽物の商品も多いので、選ぶべき基準(※)を知っておくとよいですよ。
(※)日本ナットウキナーゼ協会によると、ナットウキナーゼ商品を選ぶ基準となる「JNKAマーク」は、日本ナットウキナーゼ協会が定めた規格基準適合品の証票。ナットウキナーゼを2000FU/day以上含む商品に付けられている。ドラッグストアにも、このマークがついた商品が並んでいる。
適切な運動と食生活で、血流の巡りを促進する
赤澤:顔には毛細血管とリンパ管が張り巡らされていて、それが老化するとシミやシワが出てきます。血管が滞るとシワになることがわかっているので、その巡りをよくするためのケアがとても大切です。さらに、血流がよくなると、腸管のぜん動運動がよくなって快便傾向になり、血液中の毒素が排泄されやすくなるうえに、脳の血流が促進されることでやる気が出やすくなり、活動的な生活ができるという相乗効果もありますよ。
石井:私が生理前に顔のくすみを感じていたのは、食欲が出て普段よりも多く食べるなどすることで、血流が滞っていたからだったんですね。肌や腸の調子、メンタルにまで、血流の促進がかかわっていることを初めて知りました。
赤澤:しかし、年齢を重ねると、血管がだんだんと機能しなくなってしまうといわれています。石井さんは、最近話題の「ゴースト血管」(*6)という言葉をご存知ですか?
石井:初めて聞きました、ゴースト血管。
赤澤:微小血管の流れが悪くなると、その周りを取り囲む細胞が脱落していきます。機能しなくなった血管(無機能血管)のために細胞機能が維持できなくなり、細胞障害が起きてゴーストタウンのようになる状態が、通称「ゴースト血管」です。石井さんの年齢ならまだ大丈夫ですが、閉経して女性ホルモンが減っていくと、ゴースト血管化も促進されてしまいます。
石井:ゴースト血管という名前もなんだか恐ろしいですよね……。予防するためには、どうしたらよいのですか?
赤澤:血流の促進ももちろんですが、一番簡単で、かつ大切なのは、心臓のポンプ機能をきちんと働かせて、血液を全身に巡らせることです。良質な食と運動、睡眠が基本ですが、石井さんはパーフェクトにされていそうですね。
石井:いえいえ、とんでもないです(笑)。でも、運動すれば予防できると思えば、実践できそうな気がします。
赤澤:心臓がしっかり動けば、全身に血が巡っていくので。マッサージも効果的だと思いますが、取り入れていらっしゃいますか?
石井:マッサージは毎日やっています! YouTubeにもマッサージの紹介動画を投稿していて、気が付いたときにしょっちゅう揉んだり、流したりするように心掛けています。ほかにも、毎日のストレッチは欠かしませんし、お風呂では必ず湯船に浸かったり、血流が悪いなと感じたら、意識的に運動してみたり。血流をよくするための行動はしているつもりです。
―「血流が悪いな」というのは、どのような感覚ですか?
石井:腰回りに、滞っているような重さを感じるんです。
赤澤:その感覚は間違っていないです。骨盤腔内の血流が悪くなると、だるさを感じることがあります。性交痛と勘違いされる方もいらっしゃいますが、それをずっと放置すると骨盤内の血流が滞り、子宮内膜症(*7)にもなりやすいので、骨盤内の血流をよい状態に保つことは子宮や卵巣機能を保つうえでもとても大切です。運動をされているということですが、どのような運動ですか?
石井:週に1回クラシックバレエのレッスンに行って、ピラティスは週に2回やるかやらないか。あとは毎日のストレッチです。
赤澤:ちょうどよい運動量ですね。じっとしている時間が長くなると、エコノミー症候群のように血栓ができやすくなることもありますし、逆にあまり激しい運動をしすぎても、細胞障害や血管へのダメージの原因となる活性酸素が発生する場合があるので注意も必要です。
石井:私もYouTubeの編集で座りっぱなしの状態が続くと、膝下や骨盤周りに重さを感じることが多々あるので、ぜひ取り入れたいですね。あまり長時間じっと座っていられないので、わざと遠くにスマホや飲み物を置いて、いちいち取りに行くようにして、身体が滞らないようにしています。
あとは、歩くときに大股で歩くようにしたり、骨盤の内側をゴリゴリほぐしてみたり。骨盤周りが滞っている感覚がわかると、意識的にほぐすことを心掛けています。
赤澤:血流はリンパの流れとも連動しているので、鼠径部(そけいぶ 足の付け根)をほぐすのはとても効果的ですよ。石井さんは、血流がよくなることを日常的にされているんですね。
血の巡りを改善して、身体も心もすこやかに
―血流の促進は性別に関係なく大切ですが、女性特有の不調や病気は、男性に比べて改善しづらいと言われています。その理由についてお聞かせください。
赤澤:女性の「なんとなく不調」(=病気ではないものの、何となく体調が悪く、わけもなくイライラしたり、頭痛やだるさを感じたりする状態)の原因は、若い女性の場合、毎月のホルモンの劇的な変動です。高齢になってくると、閉経に向かって急にエストロゲンが減少することにより、不調が引き起こされます。
石井さんはまだお若いので、毎月の月経周期(*8)に合わせて血流も悪くなるはずです。今回ご紹介したような、血流を促進するケアを黄体期に行なうことは、女性にとって、生理を上手に迎えるうえで大切だと思います。
石井:これまで、血流をよくしようという意識は日常的にあったのですが、「なぜ血流をよくしなければならないのか」という、理由の部分が抜けていました。今回先生とお話しして、さらに健康意識が高まりましたし、すごく興味深い内容でした。
赤澤:石井さんは、すでに食生活や運動にとても気を遣っていらっしゃいます。「血流美人」として、このまま素敵に歳を重ねていってくださればと思います。
石井:血の巡りをよくすることで、身体や心の不調も改善されることがわかりました。ナットウキナーゼを取り入れながら、10年後、20年後も元気でいられるように、これからもケアを続けていきたいです。
*1 肌荒れ・シミ | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
*2 メタボリックシンドローム・糖尿病 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
*3 更年期障害チェック | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
*4 月経痛(生理痛) | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
*5 東京医科大学の浜岡隆文先生のグループにより、ナットウキナーゼは生活習慣病等への効果があることが確認されている
*6 大阪大学微生物病研究所 高倉伸幸教授が提唱、リンパ血管Tie2研究会。ゴースト血管は通称、医学的には無機能血管をさす
*7 子宮内膜症 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
*8 月経不順・無月経 | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修 (w-health.jp)
- パートナー企業情報
-
日本ナットウキナーゼ協会
日本ナットウキナーゼ協会は、納豆菌が生み出す血液さらさら成分ナットウキナーゼに関して、消費者の方々に役立つ情報を提供しています。
具体的には、ナットウキナーゼの研究関連情報の広報活動、安全性と品質が保証された製品に対する認定業務(JNKAマーク)を主に行っております。
- ウェブサイト情報
-
わたしたちのヘルシー【心とからだの話をはじめるメディア】
Women's Health Action×CINRAがお届けする、女性の心とからだの健康を考えるウェルネス&カルチャープラットフォームです。月経・妊活など女性特有のお悩みやヘルスケアに役立つ記事、専門家からのメッセージ、イベント情報などをお知らせします。
- プロフィール
-
- 石井亜美 (いしい あみ)
-
1989年、東京都生まれ。「日本一親しみやすいモデル」として、日常ですぐ活かせるようなハッピーをテーマにYouTuberとしても活躍。YouTube登録者数も50万人を超え、20代~30代から圧倒的な支持を得ている。初の書籍となる「日本一親しみやすいモデルが教える 太らない体のつくり方」も大好評。
- 赤澤純代 (あかざわ すみよ)
-
金沢医科大学を卒業、研修終了し、東京大学第三内科研究医、東京大学第三内科、東京大学先端技術研究所ゲノムサイエンス、金沢医科大学循環器内科助手を経て現職。女性特有の体や心の問題に対し、ライフステージに合わせてやってくる変化とうまくつきあいながらWell-beingな人生を送れるよう、性差の視点をもって日々研究中。3世代にわたる女性の健康をサポートできるよう診療と多方面からの活動を行っている。宮崎千恵会長が運営する、女性医師が政策を提言する会にも参加している。
- フィードバック 2
-
新たな発見や感動を得ることはできましたか?
-