「いまのじぶん、好きですか?」ありのままの姿で問う。『吉川晃司とUL・OS展』で吉川本人が語る

来年活動40周年を迎える吉川晃司のアートイベント『吉川晃司とUL・OS展「からだから生きるを問う」』が、東京・南青山にあるスパイラルガーデンで開催中だ。会場では、吉川のありのままの姿を撮り下ろした全9作品が展示されている。

本記事では、アートイベント開催初日の模様をレポートするとともに、同日開催されたプロジェクト発表会で語られた吉川の言葉から、展示された作品に込められた想いを紐解く。

吉川晃司とUL・OSによる、正解のない「生き方」を問うプロジェクト始動

『吉川晃司とUL・OS展「からだから生きるを問う」』は、大塚製薬の男性用スキンケアブランドUL・OS(ウル・オス)の新プロジェクト『UL・OS Questions』の始動に伴い開催されるアートイベントだ。

何者かに化ける化粧品ではなく、健やかな肌に導く「健粧品」へ。2008年に誕生したUL・OSは、これまでも一歩一歩の積み重ねを大切にしてきた。社会においても、ライフステージにおいても、変化が激しく正解のない時代を生きる私たちは、往々にして自分自身が歩むべき道を見失いがちだ。そこで立ち上がったこのプロジェクトでは、根本から健やかな自分で生きていくために、近道して安易に答えを出すことなく、自分と向き合い「問い続ける」ことの意義を伝えていく。

そして今回、UL・OSとともに問いを投げかけていく共同企画者として参画したのが、歌手であり俳優の吉川晃司だ。

ありのままを表現。吉川の生き様が問いかけるもの

アートイベント開催初日、会場には性別や年代を問わず、多くの人が足を運んだ。会場では吉川の写真が大きくプリントされ、それぞれ「問い」の言葉とあわせて展示されている。

会場に入り、最初に筆者の目に留まった写真と言葉はこちらだ。

大都会の風景を眼下に、見事なバックスタイルを見せる吉川。無駄な贅肉は一切なく、引き締まった筋肉が全身を覆う。吉川が歌手として、俳優として第一線で活躍するため、食事に運動にストイックに励んでいることがうかがえる。まるでCGのように美しい写真だが、調整を加えたのは明度や色彩のみ。シワ・シミ・毛穴を隠すといった、外見をよく見せるような画像の加工は一切していないというから驚きだ。

虚飾に満ちた都会を前にした吉川のポーズは、まるで合気道のように、世間からのノイズフルな声をしなやかに受け流しているように見える。そんな「ありのまま」の姿からは、自分を飾ったり、見せびらかしたりするような姿勢は一切感じられない。これまでの成功も、失敗も、すべてを受け入れてきたような潔さがあり、彼の生き様に惹き込まれる。

今回のアートイベントでは、写真にも言葉にも、UL・OSのイズムに共鳴した吉川のアイデアがふんだんに盛り込まれているという。吉川はなぜ、このプロジェクトに参加し、このような姿を写真に収めようと考えたのか。アートイベント初日に行なわれたプロジェクト発表会で、その心の内を明かした。

吉川:最初にUL・OS側から声がかかったとき、まずはUL・OSというブランドの在り方や製品を知っていくところから始めました。スキンケアの研究所へ行き、研究者たちの地道にコツコツと積み重ねていく姿勢が、自分の価値観と重なりました。だから今回のアートイベントでどんな写真を撮るかと考えたときに、「なにも身につけない方が、むしろ自然じゃないの?」って提案したんです。撮影は、カメラマンのHIRO KIMURA君に依頼しました。彼とはつき合いも長くて、技術も高いし、生き様も尊敬できる。そんな彼の胸を借りて、ありのままの姿を撮影してもらいました。

画一的な「正解」がなくなりゆくいま、吉川が選択した生き方

多様な価値観が尊重され、画一的な「正解」がなくなりつつあるいま、吉川はどのような価値観に基づいて生き方を選択しているのだろうか?

吉川:私は「その人の生き様は顔に表れる」と思っていて。クリント・イーストウッドさんも、ミック・ジャガーさんも、シワくちゃな笑顔で笑われるじゃないですか。そこにレコードの針を落としたら、素敵な旋律が聴こえてきそうな気がするくらい。私も、ステージで自分が望むパフォーマンスができるように、普段からトレーニングを続けてきました。58歳になったいま、もちろん老いは感じます。ただ、それは弱みだととらえていなくて。年齢としっかり向き合い、これまでの知識や経験を活かして「しなやかさ」を見出していくことが大切だと思っています。

何もかもが急速に変化していく時代を生きていると、つい近道を探してしまいがちだ。しかし後悔をしない生き方をしていくためには、回り道を楽しむことも重要だと吉川は語る。

吉川:これまで歩んできた道は、決して楽でまっすぐな道ではありませんでした。挫折もあったし、遠回りもした。けれど、そこで立ち上がろうとする度にきれいな花があることに気づき、珍しい景色を見ることもできました。失敗が続くと「もうちょっとうまく生きろよ、お前」と思うこともあります。けれどその経験は、人生の糧になるんですよね。だから、たくさん失敗している人を信用したいと思うんです。

他の誰かと比べることなく、「職業・吉川晃司」として地道な努力を積み重ねてきた吉川。歳を重ね、衰えやいびつさが表れてきたとしても、そのしなやかな生き様からは、オリジナリティあふれる本質的な輝きが放たれ続けることだろう。

大塚製薬UL・OS担当の小島涼太朗氏は、今回のプロジェクトの展望について「吉川さんをはじめ、これからさまざまな自分らしく生きている人とともに、問いを投げかけていく取り組みをして発信していきたい」と語る。『UL・OS Questions』プロジェクトは、今後もイベントの開催や多様な分野の「問い続ける人たち」へのインタビュー記事をウェブサイトで発信するなど、さまざまな取り組みを展開する予定だ。

『吉川晃司とUL・OS展「からだから生きるを問う」』は11月29日(水)まで開催。全作品を見ることができるのはスパイラルガーデンのみなので、ぜひ迫力の写真を会場で見てほしい。吉川も登壇したプロジェクト発表会の全貌も、後日プロジェクトサイトで公開される。また、イベントでの展示作品のうち、一部ビジュアルを用いた交通広告が12月4日(月)以降、東京、大阪、名古屋、福岡で展開される予定だ。ありのままの吉川を堪能しながら、あらためて自分自身と向き合い、「生き方」を問うということを意識してみよう。

イベント情報
『吉川晃司とUL・OS展 「からだから生きるを問う」』

開催期間:
2023年11月24日(金)16:00~20:00
2023年11月25日(土)~11月29日(水)11:00〜20:00まで
会場:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5丁目6−23スパイラル1F)
※東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道駅」B1出口前もしくはB3出口より渋谷方面へ1分
展示内容:吉川晃司さんのアート・ビジュアル全9点を展示
※報道等では公開しない展示限定公開のビジュアルを含みます
料金:入場無料


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