オダギリジョー主演映画『夏の砂の上』が7月公開。髙石あかり、松たか子、満島ひかりらが共演

メイン画像:(C) 2025映画『夏の砂の上』製作委員会

映画『夏の砂の上』が7月4日に公開される。

オダギリジョーが主演・共同プロデューサーを務める同作は、『読売文学賞』戯曲・シナリオ賞受賞の松田正隆による戯曲を、演出家・玉田真也の監督・脚本で映画化した作品。雨が降らない夏の長崎を舞台に、幼い息子を亡くした喪失感から人生の時間が止まり、妻・恵子に見限られた主人公・小浦治と、妹・阿佐子から預かった17歳の姪・優子が共同生活をする中で、それぞれの痛みと向き合いながら、小さな希望の芽を見つけていく姿を描く。

オダギリジョーが小浦治役を演じるほか、父親の愛を知らずに育った姪・優子役に髙石あかり、悲しみを共有しともに再スタートすることができない夫・治への「静かな怒り」を秘めた別居中の妻・恵子役に松たか子、父親のいない優子を兄・治に預け、男のもとへ走る奔放な妹・阿佐子役に満島ひかり、優子に好意を寄せるアルバイト先の先輩・立山役に高橋文哉、治が働いていた造船所の同僚・陣野役に森山直太朗、同じく造船所の同僚・持田役に光石研がキャスティング。

撮影は昨年9月に全編オール長崎ロケで行われた。『夜明けのすべて』の撮影・月永雄太と照明・秋山恵二郎が参加している。

【オダギリジョーのコメント】
脚本を読んだ瞬間『これは良い作品になる!』と感じた僕は、すぐにプロデューサーを買って出ることにしました。俳優としては勿論、様々な面で役に立てれば、という思いからでした。
松さんや満島さんを始め、信頼できるキャスト、最高のスタッフが共鳴してくれ、真夏の長崎にこの上ない土俵が用意されました。あくまで玉田監督の補佐的な立場を守りつつ、隠し味程度に自分の経験値を注ぎ込めたと思います。
昨今の日本映画には珍しい『何か』を感じて頂ける作品になったと信じています。

【髙石あかりのコメント】
長崎での撮影は、優子が過ごしたあの時間のように、自分にとってとてもかけがえの無いものとなりました。
優子は、儚さと強さ、大人っぽさと少女らしさ、一人の人間の中で全く違う性質が混ざり合う独特な空気を持っています。そんな繊細な彼女をどう演じたらいいのか、長崎に入る前に玉田監督とお話しをさせていただき、”ありのままの自分”で精一杯役と向き合うことにしました。
そんな撮影期間は、カメラの存在を忘れ、作品と現実の境目が曖昧だった気がします。
こんな経験は初めてで、これ程までに熱中出来る環境を作ってくださった、監督をはじめ、キャスト、スタッフの皆様には感謝しかありません。改めて、この作品に携わらせていただけたこと、心から光栄に思います。

【松たか子のコメント】
暑い夏の長崎での撮影を懐かしく思い出します。
小浦家への道のりは、特に機材を運ぶスタッフの皆さんは本当に大変だったと思います。
でも、全員が汗だくになりながら、この映画の世界に向かって歩いていたように思います。
初めて読んだ脚本は、元々戯曲であったことに驚くほど、様々な風景が浮かぶ「映画」のホンでした。
他者に共感や理解を求めない、なんともいえない、滑稽で愛すべき人たちが出てくるお話のような気がします。
恵子が愛すべき人間かというと、それはわかりませんが…。
オダギリさんとのお芝居はとても楽しかったです。

【玉田真也監督のコメント】
今まで読んできた戯曲は数多くありますが、この「夏の砂の上」は僕にとって特別な作品であり続けました。僕たちが生きる上で避けられない痛みや、それを諦めて受け入れていくしかないという虚無、そして、それでも生はただ続いていくという、この世界の一つの本質のようなものがセリフの流れの中で、どんどん立体的に浮かび上がってくる素晴らしい作品です。その作品を映画にするということは僕にとって念願であったとともに、挑戦でした。演劇としての完成度があまりにも高いと思ったからです。そして、その挑戦は間違っていなかったと長崎での撮影を始めて確信していきました。長崎の街の中に入っていくと、この街自体を主人公として捉えることができる、これはきっと映画でしかなし得ない体験だと感じていったからです。僕の頭の中だけにあった固定された小さな世界が、長崎という街と徐々に融合してより豊かに大きく膨らんでいく感覚でした。この映画を皆さんに観ていただけるのを楽しみにしています。
そして今回、素晴らしい俳優たちに集まっていただきました。演出するにあたり、皆さんとても協力的にアイデアを出してくださり、何一つストレスなく撮影をすることができただけでなく、何度見ても芝居が面白く、最前列で観るお客さんのように彼ら彼女らの芝居をただ楽しんでいる瞬間もたくさんありました。皆さんの芝居に、この映画を想定の何倍も上に引っ張ってもらえたと思います。とても贅沢な時間でした。

【松田正隆のコメント】
部屋を見つめる演劇から、街を感じ取る映画へ。映画には長崎の光景がいくつも映し出されている。坂道をのぼりつめた果てにある家からの眺めだけで、言葉にならない感覚をこの映画は私たちに与える。戯曲に書かれた台詞が生み出す感情は、坂を上り下りする俳優の身体の運動に変換されている。キャリーバッグを引く優子が母とともに坂を上るとき、坂の上で指をなくした小浦が息を吐くとき、人々が言い知れぬ人生を抱えながらも、繁華街で仕事をし飲食をするために坂をおりるとき、カメラはそれらの特別な感情を映画の場面に映し出す。私は、戯曲が消え去り映画に生まれ変わることを望んでいた。この映画を観て、何よりも映画らしい経験を得たことがとても嬉しかった。

映画『夏の砂の上』オフィシャルサイト 7.4 FRI 全国公開


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