2018年が始まって早くも半月が過ぎました。去年は草間彌生展やミュシャ展、『THE ドラえもん展』などが話題を呼びましたが、今年はどんなアートイベントが開催されるのでしょうか? 現在までに発表されている大型展や芸術祭の情報をまとめてみました。「平成」が幕を閉じる年でもあり、東京オリンピックを2年後に控える2018年、日本のアートシーンにはどのような空気が流れるのでしょう。
『マイク・ケリー展 DAY IS DONE 自由のための見世物小屋』
『マイク・ケリー展 DAY IS DONE 自由のための見世物小屋』ビジュアル
ジェンダー、差別、暴力などを題材に皮肉やユーモアを交えた作品で知られるアーティストのマイク・ケリー。1980年代初頭からパフォーマンス、ペインティング、ぬいぐるみやサウンドを用いたインスタレーションを発表したほか、ポール・マッカーシーやSonic Youthとのコラボレーションなども手掛けた。会場では、ケリーが通った全ての学校を組み合わせた彫刻作品『教育施設』を舞台に制作された『DAY IS DONE』などを展示。ワタリウム美術館では、今後もマイク・ケリーの様々な作品を複数回の展覧会で紹介していく予定だという。
イベント情報
『マイク・ケリー展 DAY IS DONE 自由のための見世物小屋』
2018年1月8日(月・祝)~3月31日(土)
会場:東京都 外苑前 ワタリウム美術館
フランク ホーヴァット写真展『Un moment d’une femme』
Quai du Louvre, couple,1955, Paris, France ©Frank Horvat
1950年代からファッション写真の世界で活躍し、2018年に卒寿を迎えるフランク・ホーヴァットの国内初となる大規模個展。「女性」を切り口に、初期作や代表作、私的なプロジェクト作品などを紹介する。
イベント情報
フランク ホーヴァット写真展『Un moment d’une femme』
2018年1月17日(水)~2月18日(日)
会場:東京都 銀座 シャネル・ネクサス・ホール
『ビルディング・ロマンス―現代譚(ばなし)を紡ぐ』
飴屋法水 2017年 参考写真/ Norimizu Ameya 2017 reference photography
飴屋法水、スーザン・ヒラー、危口統之と悪魔のしるし、志賀理江子、アピチャッポン・ウィーラセタクンの5組が出展する同展。現代の美術から切り離された「物語」や「ロマン」を現在の表現に探ることで、観客と展覧会の新たな結びつきを目指すという。『ビルディング・ロマンス』は19世紀ヨーロッパの「成長譚(ビルドゥングス・ロマン)」から派生した造語。
イベント情報
『ビルディング・ロマンス―現代譚(ばなし)を紡ぐ』
2018年1月20日(土)~4月8日(日)
会場:愛知県 豊田市美術館
開館40周年記念展『トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために』
アローラ&カルサディーラ『Lifespan』2014 年 国立国際美術館蔵 © Allora & Calzadilla; Courtesy Lisson Gallery
大阪府・国立国際美術館の開館40周年を記念する展覧会。大竹伸朗、フィッシュリ&ヴァイス、塩田千春、アルベルト・ジャコメッティら、国内外の40組以上のアーティストの作品を紹介することで、時間、歴史、記憶の中に集積されてきたものを多角的に切り取り、社会の姿や今後の美術館の可能性を探る。
イベント情報
開館40周年記念展『トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために』
2018年1月21日(日)~5月6日(日)
会場:大阪府 中之島 国立国際美術館
ラファエル・ローゼンダール『GENEROSITY 寛容さの美学』
ラファエル・ローゼンダール『Much Better Than This』Times Square Midnight Moment, New York, 2015, Photography by Michael Wells
主にインターネット空間を表現の場とし、年間約6000万アクセスにおよぶ自身のウェブサイト上での制作を中心に、インスタレーションや絵画作品、俳句などを現実の展示空間でも発表しているラファエル・ローゼンダール。今回の展示では、大規模な映像インスタレーションや英語俳句、インタラクティブな映像作品などを紹介する。ローゼンダールが美術館で個展を開催するのは世界初。
イベント情報
ラファエル・ローゼンダール『GENEROSITY 寛容さの美学』
2018年2月10日(土)~5月20日(日)
会場:青森県 十和田市現代美術館
『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』
レイチェル・マクリーン『大切なのは中身』 2016 Commissioned by HOME, University of Salford Art Collection, Tate, Zabludowicz Collection, Frieze Film and Channel 4.
インターネットが普及して約20年が経ち、様々な新しい技術が進歩を遂げている現代において、新しい表現を開拓しているアーティストの作品を紹介する展覧会。参加作家はデヴィッド・ブランディ、小林健太、サイモン・デニー、セシル・B・エヴァンス、エキソニモ、レイチェル・マクリーン、ヒト・シュタイエル、谷口暁彦の8組となり、会期中には出品作家とゲストによるトークイベントを実施する。
イベント情報
『ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて』
2018年2月10日(土)~5月6日(日)
会場:茨城県 水戸芸術館 現代美術ギャラリー
『写真都市展 -ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち-』
『写真都市展 -ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち-』ビジュアル
写真家ウィリアム・クラインの「都市ビジョン」と共に、21世紀の都市と人間を見つめるという同展。石川直樹+森永泰弘ら、日本やアジアの写真家たちも紹介する。ディレクターを務めるのは、写真評論家で美術史家の伊藤俊治。
イベント情報
『写真都市展 -ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち-』
2018年2月23日(金)~6月10日(日)
会場:東京都 六本木 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1、2
『くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質』
ヴィクトリア&アルバート・ミュージアム ダンディ 2018 Photo: Ross Fraser McLean
建築家・隈研吾の「負ける建築」「自然な建築」などの理念を実践してきた約30年間に焦点を当てる展覧会。特に、隈が対話を重ねてきたという素材に着目し、これまでの作品をマテリアルごとに分類・整理することで、「もの」の観点から隈研吾の仕事の概観を試みるという。
イベント情報
『くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質』
2018年3月3日(土)~5月6日(日)
会場:東京都 東京ステーションギャラリー
『デザインあ展』
子供たちにデザイン的思考を伝えるNHK Eテレの番組『デザインあ』のコンセプトを実際の体験に発展させた展覧会。2013年にも開催され、約22万人を動員した。総合ディレクターは『デザインあ』の総合指導を務める佐藤卓。映像ディレクターは番組に映像監修で参加する中村勇吾(tha ltd.)、音楽ディレクターは同番組の全ての楽曲を制作している小山田圭吾が務める。
イベント情報
『デザインあ展』
富山会場
2018年3月21日(水・祝)~5月20日(日)
会場:富山県 富山県美術館
東京会場
2018年7月19日(木)~10月18日(木)
会場:東京都 お台場 日本科学未来館
『ヌード NUDE -英国テート・コレクションより』
オーギュスト・ロダン『接吻』1901-4年 Tate: Purchased with assistance from the Art Fund and public contributions 1953, image ©Tate, London 2017
絵画、彫刻、版画、写真など約130点を展観し、19世紀後半のヴィクトリア朝から現代までの裸体表現の歴史を辿る展覧会。オーギュスト・ロダンの代表作であり、男女の愛を描いた大理石像『接吻』が日本初公開されるほか、ピエール=オーギュスト・ルノワール、アンリ・マティス、パブロ・ピカソ、フランシス・ベーコン、デイヴィッド・ホックニーらの作品が紹介される。
イベント情報
『ヌード NUDE -英国テート・コレクションより』
2018年3月24日(土)~6月24日(日)
会場:神奈川県 横浜美術館
『いつだって猫展』
江戸後期から明治にかけて巻き起こった「猫ブーム」の諸相を紹介する展覧会。猫を題材とした浮世絵を中心に、招き猫やおもちゃ絵、版本などを展示する。
イベント情報
『いつだって猫展』
2018年4月7日(土)~5月20日(日)
会場:静岡県 静岡市美術館
『生誕150年 横山大観展』
横山大観の生誕150年、没後60年を記念する大回顧展。40メートル超の日本一長い画巻であり、重要文化財の『生々流転』など代表作が紹介されるほか、新出作品や習作などの資料もあわせて展示することで、制作の過程から大観の芸術の本質を改めて探る。6月8日からは京都国立近代美術館に巡回予定。
イベント情報
『生誕150年 横山大観展』
2018年4月13日(金)~5月27日(日)
会場:東京都 竹橋 東京国立近代美術館
『五木田智央 PEEKABOO』
五木田智央『Old Portrait』2016 アクリルグワッシュ、キャンバス 個人蔵 Courtesy of Taka Ishii Gallery Photo: Kenji Takahashi
1990年代後半から即興的に描かれたドローイング作品で注目を集めた美術家の五木田智央。近年はモノクロームの人物画を多く制作し、METAFIVE、TOWA TEIらのアートワークも手掛けている。今回の展覧会では新作の絵画、ドローイングを中心に、2000年以降の作品約50点が展示される。
イベント情報
『五木田智央 PEEKABOO』
2018年4月14日(土)~6月24日(日)
会場:東京都 初台 東京オペラシティ アートギャラリー
『永遠の少年、ラルティーグ ―写真は魔法だ!―』
趣味として家族や友人たちとの日常生活やスポーツのスナップショットを撮影し、1963年にニューヨーク近代美術館で開催された個展をきっかけに世界的に評価されたジャック=アンリ・ラルティーグ。今回の展覧会では、幼年時代から晩年までの代表的な作品に、日本初公開となるカラー作品を加えた約160点を紹介する。
イベント情報
『永遠の少年、ラルティーグ ―写真は魔法だ!―』
2018年4月21日(土)~6月3日(日)
会場:京都府 東山 細見美術館
『建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの』
谷口建築設計研究所『鈴木大拙館』2011年 金沢 撮影:北嶋俊治
古代から現代まで、日本の建築の底流に「脈々と潜む遺伝子」を考察する展覧会。現代において日本の建築を読み解く鍵と考えられる9つの特質で章が構成されるという。展示内容は建築資料や模型から、体験型インスタレーションまで様々。
イベント情報
『建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの』
2018年4月25日(水)~9月17日(月)
会場:東京都 六本木 森美術館
『六本木アートナイト2018』
2009年から開催されている『六本木アートナイト』。近年は秋に行なわれていたが、2018年は5月26日と27日に東京・六本木で開催される。なお、2017年9月30日から10月1日にかけて行なわれた『六本木アートナイト2017』では、メインプログラムアーティストに蜷川実花を起用。2日間ののべ鑑賞者数は約74万人を記録した。
イベント情報
『六本木アートナイト2018』
2018年5月26日(土)、5月27日(日)
会場:東京都 六本木エリア
生誕120年 イスラエル博物館所蔵『ミラクル エッシャー展』
マウリッツ・コルネリス・エッシャー『滝 Waterfall.1961』 Copyright Credit: All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V. - Baarn -the Netherlands. Used by permission. All rights reserved. www.mcescher.com
エッシャーが2018年に生誕120周年を迎えることを記念して行なわれる展覧会。『メタモルフォーゼII』の初版をはじめ、だまし絵作品、初期作品、直筆のドローイング、版画制作に使用された板など約150点を紹介する。東京でエッシャーの大規模な展覧会が開催されるのは約12年ぶり。今回はイスラエル博物館の所蔵するコレクションから出品され、全作品が日本初公開となる。
イベント情報
生誕120年 イスラエル博物館所蔵『ミラクル エッシャー展』
2018年6月6日(水)~7月29日(日)
会場:東京都 上野の森美術館
『荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋』
『ジョジョの奇妙な冒険』で知られる荒木飛呂彦の原画展。国立新美術館で漫画家の個展が開催されるのは、手塚治虫以来、28年ぶり、2人目となる。展示内容について荒木は、「キャラクターたちと守り神たちが、同じ時刻、同じ場所に会するイメージ」だと特設サイトで明かしている。
イベント情報
『荒木飛呂彦原画展 JOJO 冒険の波紋』
2018年夏
会場:東京都 六本木 国立新美術館 企画展示室 2E
『水と土の芸術祭2018』
2009年から始まり、2018年に第4回目を迎える『水と土の芸術祭』。今年は「メガ・ブリッジ―つなぐ新潟、日本に世界に―」というコンセプトを設け、浅葉克己、塩田千春、遠藤利克、日比野克彦らが参加作家に名を連ねている。
イベント情報
『水と土の芸術祭2018』
2018年7月14日(土)~10月8日(月)
会場:新潟県 万代島旧水揚場跡地、新潟市芸術創造村・国際青少年センターほか
『イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ』
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR. Photo by Jack Mitchell.
イサム・ノグチが常に「身体」を意識し続けたことや、その意識が人間をとりまく「環境」へ向かい、やがて「空間の彫刻」である庭園への情熱へと拡大していったことに着目する展覧会。庭園やランドスケープに関わる模型や資料、晩年の石彫作品まで、ノグチ芸術の全体像を約80点の作品を通して紹介する。
イベント情報
『イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ』
2018年7月14日(土)~9月24日(月)
会場:東京都 初台 東京オペラシティ アートギャラリー
『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018』
『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018』ビジュアル
2000年から3年に1度開催されている『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』。第7回目となる2018年は、レアンドロ・エルリッヒ、小林武史、クリスチャン・ボルタンスキーらが新作を発表。香港のアーティストが滞在制作を行なう「香港ハウス」も登場する。
イベント情報
『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018』
2018年7月29日(日)~9月17日(月)
会場:新潟県 越後妻有地域
『没後50年 藤田嗣治展』
2018年は、藤田嗣治が世を去って50年の節目。同展では、制作年順に各時代を代表する「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などを紹介し、新たな視点も加えながら藤田芸術を捉えようとする試みになっている。代表作や初来日の作品、これまで紹介される機会の少なかった作品などを紹介する。
イベント情報
『没後50年 藤田嗣治展』
2018年7月31日(火)~10月8日(月)
会場:東京都 上野 東京都美術館
『横尾忠則 自画自賛展』
横尾忠則『美の盗賊』2008年 油彩、スタンプ・布 227.3×181.8cm 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)
公立美術館では初めて、横尾忠則自身が自らキュレーションを担当する展覧会。自己言及的な横尾の作品を自らが独自の視点で選び、1つの展覧会を作り上げる。兵庫県政150周年記念事業の一環で行なわれる。
イベント情報
『横尾忠則 自画自賛展』
2018年9月15日(土)~12月24日(月)
会場:兵庫県 神戸 横尾忠則現代美術館
『カタストロフと美術のちから展』
東日本大震災やアメリカ同時多発テロ、リーマンショックなど、世界各地で発生するカタストロフ。同展は、国際的に活躍する作家から気鋭の若手まで、作品を通して「負を正に転ずる力学としての『アートの力』」について考察するという。参加作家は藤井光、畠山直哉、モナ・ハトゥムら。
イベント情報
『カタストロフと美術のちから展』
2018年10月6日(土)~2019年1月27日(日)
会場:東京都 六本木 森美術館
『ムンク展』
『叫び』で広く知られる西洋近代絵画の巨匠、エドヴァルド・ムンクの、約60年にわたる画業を振り返る展覧会。ノルウェー・オスロ市立ムンク美術館のコレクションを中心に、60点以上の油彩画など、約100点が集結する。
イベント情報
『ムンク展』
2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日)
会場:東京都 上野 東京都美術館 会場企画棟 企画展示室
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