「子供たちに大切なビーチを残していきたい」という思いから始まったフェス
毎年5月に横浜赤レンガ倉庫にて開催される、音楽とアートのカルチャーフェスティバル『GREENROOM FESTIVAL』。「海やビーチのライフスタイルやカルチャーを伝え、子供たちに大切なビーチを残していきたい」という思いから、「Save The Beach、Save The Ocean」をコンセプトに掲げたこのフェスは、サーフカルチャー、ビーチカルチャーをルーツに持つ音楽やアート、映画を中心に多彩なラインナップを集め、2005年の初回から徐々に規模を拡大してきた。昨年の来場者数は2日間でのべ11万人を超え、都市型フェスの代表格として高い人気を誇っている。
『GREENROOM FESTIVAL』が、多くのフェス好きに支持される理由
『GREENROOM FESTIVAL』の発起人は、釜萢直起(かまやちなおき)。サーフブランドを扱う広告代理店に勤めていた彼が2004年、カリフォルニアのラグーナビーチにて開催された、サーフカルチャーの発展を目的とするイベント『The Moonshine Festival』を目撃し、大きな感銘を受けたことが全ての始まりだったという。翌年の2月には、早くも第1回『GREENROOM FESTIVAL』を開催。
初回はサーファーやスケーター、ヒッピースタイルの人たちが中心の、かなり尖ったフェスだったという。以降、徐々に客層も変化していったが、サーフカルチャーやヒップホップ、エコなどを愛する来場者が現在でも多い。さらに、横浜の夜景が一望できるシチュエーション、音楽だけでなくアートやヨガも同時に楽しめるところから、ここ数年はとくに女性の支持を増やし続けている。
『GREENROOM FESTIVAL'17』に来日したVANSレジェンドスケーター Steve Caballero
『GREENROOM FESTIVAL'17』アートギャラリーコンテナの様子
『GREENROOM FESTIVAL』が愛される理由の1つとして、過ごしやすい気候の5月に、都内近郊で開催されるというのも挙げられるだろう。アウトドアグッズなどの装備が必要な野外フェスや、汗が滴り落ちる猛暑の夏フェスとは違い、オシャレを楽しみながら、電車に乗って気軽に行けるところも、多くの人たちを魅了してきたポイントである。
さらに、「かながわ海岸美化財団」とパートナーシップを組んで、ゴミの回収に力を入れたり、託児施設を充実させることで家族連れも参加しやすくしたりするなど、参加者が快適に過ごせるような工夫を随所に凝らしつつ、ビーチや海への意識を高められるのも魅力の1つだ。
今年のヘッドライナーは、ジミー・クリフとSublime with Rome
さて、そんな『GREENROOM FESTIVAL』の、今年の見どころをざっと紹介していこう。ヘッドライナーは、ジミー・クリフとSublime with Rome。ジミー・クリフは映画『ハーダー・ゼイ・カム』(ペリー・ヘンゼル監督作品 / 1972年公開)の主演を務めて一躍有名になり、ジャコ・パストリアスも参加したアルバム『クリフ・ハンガー』(1985年)でグラミーを受賞するなど、ボブ・マーリーと双璧をなすレゲエミュージック界のレジェンドである。一方Sublime with Romeは、カリフォルニアを拠点に活動する、これまた伝説的なスカパンクバンド。メンバーの死や解散を乗り越え、現在はローム・ラミレスを中心とする3人編成となった。
『GREENROOM FESTIVAL』は、出演者にもリピーターが多いことで有名だ。今年もTHE WAILERSやUA、SOIL&"PIMP"SESSIONS、藤原さくらなど、以前も出演したことのある豪華なメンツが並ぶ。さらに、昨年メジャーデビューを果たしたnever young beach(2度目の出演)や、宇多田ヒカルとのコラボで一躍有名となり、1stアルバム『分離派の夏』で業界を騒然とさせたシンガー小袋成彬、元KYTEのフロントマンで今年ソロデビューしたニック・ムーンら、ニューカマーが充実しているのも嬉しい。個人的には、横浜が舞台のドラマ『私立探偵 濱マイク』(日本テレビ系)で主題歌を歌ったEGO-WRAPPIN'をはじめ、NulbarichやPort of Notes、THE CHARM PARKといったアーティストたちに「横浜っぽさ」を感じるので、彼らの演奏を「横浜」というロケーションで堪能できるのも楽しみだ。
期間中は映画も上映される。伝説のサーファー、レアード・ハミルトンを追ったドキュメンタリー『TAKE EVERY WAVE』(ロリー・ケネディ監督作品 / 2017年公開)をはじめ、カリブ海最南端の島トリニダード・トバゴで生まれた楽器、スティールパンをフィーチャーした『スティールパンの惑星』(ジェローム・ギオ、 ティエリー・テストン監督作品 / 2014年公開)、波乗りの感覚(サーフトリップ)を映像で疑似体験できる『The Church of the Open Sky』(ネイサン・オールドフィールド監督作品 / 2017年公開)など、興味深い作品が目白押し。
さらに、マシュー・アレンやヨナス・クレアッソン、クリス・ゴトウなどサーフィンにまつわるアーティストたちの作品展示、野沢和香や内山理名らがインストラクターを務めるヨガのワークショップなど、音楽以外のコンテンツも充実している。
『GREENROOM FESTIVAL'17』で開催されたヨガワークショップの様子
海は誰にでも開かれているもの
釜萢は以前、インタビューで以下のように話していた。
「基本的に海やビーチは誰にでも開かれているものだと思うので、そうした意味で僕らも全面的に開いていくというか、ジャンルなどに囚われないようにしたいと思っています。やっぱり海が好きな人やサーファーも、ロックからレゲエ、スカ、ハウスまで本当にさまざまな音楽を聴くので、海にジャンルはないのかなと思うんですよね」
(引用:Mikiki インタビュー記事)
そして、将来的には地元に根ざした「みなとみらいの街フェス」のようなものにしたいと言う。
潮風を感じながら、芝生に寝転んでのんびりと過ごす。そんな過ごし方ができるのも『GREENROOM FESTIVAL』ならではだ。
- イベント情報
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- 『GREENROOM FESTIVAL'18』
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2018年5月26日(土)、5月27日(日)
会場:神奈川県 横浜 赤レンガ地区野外特設会場出演:
5月26日(土)
Jimmy Cliff
Vintage Trouble
ハナレグミ
EGO-WRAPPIN'
THE King ALL STARS
平井 大
MONKEY MAJIK
GLIM SPANKY
never young beach
Nulbarich
SOIL&"PIMP"SESSIONS
七尾旅人
KNOWER
スガ シカオ(solo)
藤原さくら
SANABAGUN.
WONK
小袋成彬
Port of Notes
King Gnu
DATS
LUCKY TAPES
DJ HASEBE
高木完
リベラル
Rude-α
DJ TOGA
DJ NORI
Kenichiro Nishihara
Dazzle Drums
5月27日(日)
Sublime with Rome
The Wailers
ASIAN KUNG-FU GENERATION
UA
大橋トリオ
サンボマスター
在日ファンク
GRAPEVINE
水曜日のカンパネラ
MONDO GROSSO
D.A.N
HYUKOH
The Babe Rainbow
Nick Moon
手嶌葵
MOROHA
Ovall
KANDYTOWN
高野寛
武藤昭平withウエノコウジ
THE CHARM PARK
大比良瑞希
DAISHI DANCE
DISCO MAKAPU'U
Gakuji “CHABE” Matsuda
Chip Tanaka
JUN “JxJx” SAITO
高木完
NOEL&GALLAGHER
YonYon料金:1日券11,730円 2日券19,000円
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