イギリスのオフィシャル・チャート・カンパニーは、7月6日付けの全英シングルチャートから映像の再生回数もカウントすると発表した。これによってミュージックビデオの再生回数がチャートに反映されることになる。
映像の再生がチャートにカウントされるサービスは、Apple Music、Spotify、YouTube、Tidal。いずれもここ数年で、音源だけでなく映像コンテンツの配信もスタートさせたプラットフォームだ。ユーザーが自作した映像や非公式の映像はカウントされない。
オフィシャル・チャート・カンパニーは、今回の改訂によって全英チャートがイギリスの音楽マーケットにおけるダウンロード、CD、アナログ盤のセールス、無料および定額制ストリーミングサービスでの映像再生を含む全てのセールスを反映し、ユーザーがどんな手段でその音楽にアクセスしたかにかかわらず、最も包括的なチャートであり続けることができるとしている。
デュア・リパやYears & Yearsらアーティストも変化を歓迎
また同社はヒット曲“New Rules”で知られるデュア・リパを起用し、彼女が全英シングルチャートの「新規則(New Rules)」を紹介する映像を公開。2017年にイギリスで最も再生されたMVはエド・シーランの“Shape Of You”だが、最も再生された女性アーティストのMVはデュア・リパの“New Rules”だという。その再生回数は6千万回にのぼる。
デュア・リパは「“New Rules”への反応には驚いているし、本当に感謝しています。私のキャリアの中で映像はとても重要なものです。映像はアーティストがファンに自分たちの音楽を届けることのできるもう1つの手段です」と、今回のチャートのルールの改訂を歓迎するコメントを寄せている。
さらにオフィシャル・チャート・カンパニーのウェブサイトでは、Years & Yearsのボーカリストであるオリー・アレクサンダーも「僕たちのようなアーティストにとってはすごく良いことです。映像はステートメントを発する場を与えてくれるし、それが公式シングルチャートに反映されるのは素晴らしいことだと思う。僕たちの音楽のことを考えるとき、僕は視覚的にも考えるし、映像はメッセージを伝えるもう1つのチャンスになっています」とコメントしている。
「アーティストのクリエイティビティーと、共感するファンの関わりを可能な限り反映させる」
オフィシャル・チャート・カンパニーのCEOマーティン・タルボットは今回の改訂について「これは全英公式チャートがイギリスの中で最も包括的な信頼できるチャートであり続けるための重要な1歩です」「現代においてアーティストは音楽と共にビジュアル面での高いセンスを持ち、ますます多角的なクリエイターになっています。チャートに映像を加えることで、彼らのクリエイティビティーとそのビジョンに共感するファンの関わりを可能な限り反映させることができます」と述べ、より時代に即したチャートになるための変化だと強調している。
また映像の再生回数がチャートに反映されるということは、MVの再生回数が何百万、何千万回を記録する人気アーティストが大きな恩恵を受けそうだが、BBCの取材に対してタルボットは「トップ20にこれまでいなかったアーティストが急にたくさんチャートインするということにはならない」と答えている。
ストリーミングのカウント方法も変更。有料サービスの再生を重視
今回の改訂にあわせて、ストリーミングのカウント方法も変更。これまでは定額制サービスと無料(広告収入型)サービスでのストリーミングは等しくカウントされ、150ストリーミングが1セールスに数えられていたが、7月6日のチャートからは定額制での100ストリーミングが1セールスに相当するのに対し、無料サービスでは600ストリーミングが1セールスにカウントされる。つまりお気に入りのアーティストのチャート上昇に貢献したかったら、定額制サービスで再生した方が良いということになる。
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