NHK朝ドラ『まんぷく』放送間近。安藤サクラが母としてヒロイン初挑戦

NHK朝の連続ドラマ小説『まんぷく』が、10月1日から放送される。NHK大阪放送局が制作する同作は、通算99作目の連続ドラマ小説となる。

『まんぷく』は、「チキンラーメン」や「カップヌードル」を開発した日清食品の創業者・安藤百福と、その妻・仁子の半生をモデルにした作品だ。戦前から高度経済成長期の大阪を舞台に、ヒロインの福子と青年実業家の萬平が、様々な困難に立ち向かいながらインスタントラーメンを開発し、食文化に革命を起こしていく様を描く。

朝ドラ史上初の「ママさんヒロイン」。夫・柄本佑ら家族が後押し。「できるかもしれないよ」

ヒロイン・福子を演じるのは、安藤サクラ。「日本一の商売人」を目指して前に進み続ける萬平に振り回されながら、やがて彼を支え、引っ張っていく存在となる福子役を演じる。

安藤サクラ
安藤サクラはこれまでにNHK朝の連続ドラマ小説のヒロイン役のオーディションを受け、何度も落選してきたという。念願の出演オファーを受けたのは2017年10月頃。第一子の出産から数か月経ったばかりだった。その際の心境について、発表会見で以下のように語っている。

このオファーをお聞きしたときには、私は子供を生んで、とにかく子供のために時間を過ごしていこうと思っていました。最初は全くやれる気がしなかったし、ヒロイン役を受けるということを考えもしなかったので、ものすごく悔しいな、と思いました。でもこんなことがあったんだっていうのは、自分の中で人生のビッグニュースになるなと思って、でもだからこそ悔しいなって。
人にはあまり言えないニュースだけど、夫(柄本佑)に伝えたら面白がってくれるな、という気持ちで伝えました。そしたら夫が「ちょっと、できるかもしれないよ。現実的に考えなくてもいいから、ちょっと馬鹿なふりして、やってみようって気持ちでいろいろ考えてみなよ」って。ものすごく背中を押されました。
その後、『まんぷく』制作陣のみなさまにお会いしたときに、私の娘にとってもスペシャルな時間にしましょうと言ってくださったことが心に響き、一緒に飛び込んでみるか、という気持ちになりました。

朝ドラのヒロイン役を受諾し、番組史上初の「ママさんヒロイン」となった裏には、家族の後押しがあった。

夫の両親も、私の父(奥田瑛二)も、役者という仕事をしているので、すごく話が早くて。父からは「これは挑戦じゃないな、冒険だな。挑戦はリタイアできるけど、冒険は途中でやめられないぞ」と言われました。
最初はいろんな理由をつけて「逃げよう」と思っていて、「厄年だから危ないかもしれない」とか言ってたんですけど、夫の母(角替和枝)からは「大厄の年だからこそ、大役をするべきだ」と言ってもらえて、勇気をもらいました。
夫の父(柄本明)は「そんなのやらないわけがないだろ」っていう感じで。さすがだなって思いました。

これほど家族の理解に恵まれた環境は多くはないかもしれないが、安藤サクラが朝ドラヒロインとして活躍することは、多くの女性の、そしてその家族たちに勇気を与えるに違いない。

安藤百福の妻・仁子の記録なし? ヒロインは「ほとんど架空の人物」

ヒロインのキャスティングについて、制作統括の真鍋斎はヒロイン発表時に、「彼女に、朝ドラというフィールドでヒロインとして演じていただけたら、どんな素敵なことになるだろう。その着想にとらわれたとき、私はとても高揚しました。とりわけ、今回はおよそ40年という主人公の人生を描くことになり、生半可な演技力では太刀打ちできないと思っていたので、なおのこと『いいことを思いついた!』と思いました」とコメント。

脚本を手掛けたのは、ドラマ『HERO』や『海猿』『ガリレオ』シリーズ、NHK大河ドラマ『龍馬伝』などを手掛けた福田靖。安藤百福の妻・仁子をモデルにしながらも、「実は仁子さんを取材した本は一冊も出ていません」NHKのオフィシャルサイトで福田は明かしている。

ネットや過去の雑誌を検索しても、仁子さんに関する記事は皆無です。
ということは “福子さん” は、ほとんど架空の人物になるわけです。
もちろん、関係者の方々への取材は可能な限りしました。
百福さんが成し遂げられた偉業の事実は “萬平さん” がドラマチックに再現してくれるはずです。
でも、夫を支える妻、夫婦と共に暮らす妻の母 “鈴さん” の三人が織りなす物語は、限りなくフィクションになるでしょう。
だったら、誰もが元気になれる楽しい “朝ドラ” にしなければ意味がありません。

安藤サクラはこれまでに是枝裕和監督が『カンヌ国際映画祭』パルムドールを受賞した『万引き家族』をはじめ、園子温監督の『愛のむきだし』、ヤン・ヨンヒ監督の『かぞくのくに』、武正晴監督の『百円の恋』など多数の映画に出演。国際的な評価も高い彼女は、朝ドラをどのように輝かせてくれるのだろうか。

ヒロインの夫役・長谷川博己は朝ドラ初出演。安藤サクラは「必ずいい夫婦になるゾ」

安藤百福をモデルにした、バイタリティー溢れる実業家・萬平役を演じるのは、長谷川博己。ある出来事をきっかけに福子と出会った萬平はやがて彼女と結婚。製塩や栄養食品の開発、金融業など様々な事業を手掛けるも困難にぶつかり、全財産を失った47歳の春に、食文化に革命を起こす新たな事業を始めようと立ち上がる。

長谷川博己

安藤サクラは長谷川博己について、「初めてお会いした際、なんて面白い方なんだ!と笑いが止まらなかったことを覚えています。もともとファンだったので長谷川さんならば!と出演を決めました。大先輩との共演、とても心強く感じています。どんな夫婦になるか今からすごく楽しみです。共演は初めてですが必ずいい夫婦になるゾと予感しています」とコメント。

制作統括の真鍋斎は「『立花萬平』は、いい時もあれば悪い時もあるという、まさに七転八起の人生を歩みます。当局に逮捕されてしまったり、全財産を没収されたりもします。しかし、どんなときでも彼が失わなかったのは“人間としての品格”であったと私は思います。これを体現できるのは、長谷川さんをおいて他にはないと確信しています」とキャスティングの背景を明かしている。長谷川博己がNHK連続テレビ小説に出演するのは初めて。

ミュージシャンたちの出演にも注目。岡崎体育「生意気なキャラクターを演じられるよう尽力」

『まんぷく』には福子の母・鈴役の松坂慶子、長姉・咲役の内田有紀、次姉・克子役の松下奈緒をはじめ、要潤、大谷亮平、桐谷健太、瀬戸康史、岸井ゆきの、橋本マナミ、松井玲奈、菅田将暉といった多彩なキャストが出演する。

とくに注目したいのは、萬平たちを逮捕する進駐軍の兵士役を演じるメイナード・プラント(MONKEY MAJIK)、ブレイズ・プラント(MONKEY MAJIK)、そして萬平たちを見張る日系人の兵士チャーリー・タナカ役を演じる岡崎体育といったミュージシャンたち。連続テレビ小説『ひよっこ』で一躍お茶の間に浸透した峯田和伸(銀杏BOYZ)のように、俳優として脚光を浴びるきっかけになるかもしれない。

岡崎体育はキャスト発表に際して以下のようにコメントしている。

「存在するだけで鼻につく」という天性の才能を活かして、生意気なキャラクターを演じられるよう尽力しますので、温かい目と冷ややかな目の両方で見守っていただけると幸いです。
岡崎体育

ミュージシャンということで言えば、以前『とと姉ちゃん』にも出演した浜野謙太(在日ファンク)が、「情熱の歯医者」こと牧役にキャスティングされている。もっぱら白馬に乗って移動するという設定の個性的なキャラクターのようだから、こちらも話題を集めそうだ。

朝ドラ史上初、ドリカムが2度目の主題歌。歌詞が先行公開中

主題歌はDREAMS COME TRUE“あなたとトゥラッタッタ♪”。DREAMS COME TRUEが朝ドラの主題歌を担当するのは、1992年から1993年にかけて放送された『ひらり』の以来2度目となる。同一アーティストが2度目の主題歌を制作し、歌うのは朝ドラ史上初めて。

DREAMS COME TRUEは主題歌起用に際して、「二度目の主題歌担当ということでとても光栄に思っています。笑ったり泣いたり怒ったり、福子さんの萬平さんに対するスペシャルな『愛』をマーチのリズムに乗せて届けます」とコメント。

DREAMS COME TRUE

安藤サクラは“あなたとトゥラッタッタ♪”について「初めて聴いたときからわくわくが止まりません。わくわくがあふれて聴く度に涙が出ます。この曲と一緒なら、絶対ぜったい大丈夫じゃんってちょっぴりあった不安は全部吹っ飛んでいきました。この曲が毎回ど頭で流れるなら確実におもしろい!この朝ドラ!!」と太鼓判を押している。

特設サイトでは“あなたとトゥラッタッタ♪”の歌詞が先行公開中だ。

『まんぷく』について

同番組は10月1日から2019年3月30日まで放送予定。音楽はアニメ『機動警察パトレイバー』やアニメ映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などで知られる川井憲次。朝ドラの音楽を手掛けるのは『梅ちゃん先生』以来。語りは芦田愛菜が担当する。

番組情報
平成30年度後期 連続テレビ小説
『まんぷく』

2018年10月1日(月)~2019年3月30日(土)にNHKで放送
脚本:福田靖
演出:渡邊良雄、安達もじり
音楽:川井憲次
主題歌:DREAMS COME TRUE“あなたとトゥラッタッタ♪”
出演:
安藤サクラ
長谷川博己
松下奈緒
要潤
内田有紀
大谷亮平
松坂慶子
桐谷健太
瀬戸康史
岸井ゆきの
橋本マナミ
松井玲奈
呉城久美
浜野謙太
藤山扇治郎
片岡愛之助
中尾明慶
橋爪功
ほか
語り:芦田愛菜



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