片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

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テキスト:橋本倫史 撮影:菱沼勇夫

2. 素材感をじっくり味わう楽しい展示

薄暗い部屋を抜けると、壁一面の霞が現れます。もこもこと広がっているのは水蒸気でも微粒子でもなく、なんと、ストロー。

片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

「ス・ト・ロー?! うわー、全部糊でくっつけてあるんだ! 光の反射が面白いですね、コレ。影が動いて見える。やっぱり指定のストローがあるんでしょうね。『ここのストローじゃないと、私作れない』みたいなのが。硬さとか、透け具合とか…道具であり、作品なわけですもんね」

タラ・ドノヴァンの作品には、ストローやマイラー・テープといった日常生活にあふれる素材が使用されます。インダストリアルであるはずの素材が、大量に使用されることによって自然現象に見えてくるから不思議です。この「霞」に使用されたストローは、約200万本だと言います。

『片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

「僕も雑誌の企画で、ストローを使って造形作品を作ったことがありますけど、せいぜい1000本でしたよ。この量を使うっていうのがすごいですね。200万本で作品作っちゃうんだもん、やっぱアーティストって過剰さを抱えた存在ですね」

そして、霞に包まれたふんわりした世界を出ると、一転してゴツゴツとした個体が待っています。中井川由季の作品は、巨大な陶芸。

『片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

「うわ、大きい! 女性らしい細やかな色味なんだけど、エアーズ・ロックみたいな力強さがありますね! これはもう、SFですよ。ミイラが入ってる棺のようにも見えるし」

巨大な作品に共通するのは「線」。パーツごとに焼き上げた陶器を、ボルトで締めて繋いであります。

『片桐仁と行く『アーティスト・ファイル2011』展

「この、傷とでも言うべき穴、痛みを伴う感じがありますね。作品のタイトルは『外側から解く』? この真ん中のところ、傘立てじゃないですよね…って、どうしてもそういう考え方になってしまうな(笑)。僕は『陶芸は道具じゃなきゃいけない』っていう固定観念にとらわれてたけど、この作品は自由だもんなあ。陶芸、やりたくなってきますね」

橋本倫史

1982年東広島市生まれ。ライター。07年、リトルマガジン『HB』創刊、編集発行人を務める。『en-taxi』(扶桑社)、『マンスリーよしもとPLUS』(ヨシモトブックス)等に寄稿。向井秀徳初の著書『厚岸のおかず』(イースト・プレス)制作にも携わる。



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