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これまでの連載では、日本語のフォントについてご紹介してきました。今回は、欧文フォントについてご紹介します。欧文フォントはどのように分類できるのでしょうか。欧文フォントで「ゴシック体」と呼ばれる文字は、日本語のフォントで言う「ゴシック体」とはスタイルも受ける印象も全く違います。作成された時代や地域によっても多様なスタイルを持つ欧文フォントについて少し詳しく見てみましょう。
正方形の中で設計される和文フォントと違い、欧文の書体は文字幅が極端に異なります。さらに、大文字と小文字では高さも違います。そんな欧文フォントは、大文字と小文字が一定の高さで並ぶことで、視覚的に美しい「並び線」が現れるように設計されています。これを「ラインシステム」といいます。
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大文字は、キャップラインとベースラインの間に視覚的に一定の高さで置かれます。小文字は、エックスハイトに並びますが、エックスハイト上に突き出た部分をアセンダー、ベースラインより下に出た部分をディセンダーといいます。

それでは、欧文フォントにはどのような種類があるのでしょうか? 和文に明朝体やゴシック体という分類があるように、欧文も分類することができます。ここでは、大きく5つに分類してみました。それぞれ、どんな特徴があるのでしょうか?
特徴:ストロークの先端や末端に、明朝体の「うろこ」のようなアクセントがある。古代ローマでこの様式が完成したことから「ローマン体」とも呼ばれる。明朝体と組み合わせて使われることが多い。
特徴:sansは、フランス語で「無し」の意味。セリフのようなアクセントがなく、和文のゴシック体と組合せられることが多い。「Grotesk-グロテスク」と呼ばれることもある。
特徴:文字を美しく見せるための手法である「カリグラフィー」の文字を元にして作られたもの。手書き文字の雰囲気があり、筆記体の要素を含む。
特徴:読みやすさよりもインパクトを重視されており、装飾的であることが特徴。看板や広告でタイトルや単語を大きなサイズで使うことに適している。
特徴:中世の写経僧が平ペンで手書きした書体がもとになっている。黒みが強いことから「ブラックレター」とも呼ばれる。同じ「ゴシック体」でも和文と欧文とでは全く違うイメージ。
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