SEBASTIAN X永原真夏と行く『高嶺格:とおくてよくみえない』展

SEBASTIAN X 永原真夏と行く 『高嶺格:とおくてよくみえない』展

SEBASTIAN X永原真夏と行く『高嶺格:とおくてよくみえない』展

SEBASTIAN X 永原真夏と行く
『高嶺格:とおくてよくみえない』展

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テキスト:萩原雄太 撮影:菱沼勇夫

2. “ここ”だから生まれた作品

続く展示室に入ると、テキスタイルの作品群が登場。

『戦争』2011年、個人蔵 『戦争』2011年、個人蔵

ほかにも“額縁だけ”の作品など、ちょっとフシギな作品がズラリ。

『無題』2011年 『無題』2011年

『無題』2011年 『無題』2011年

永原さんの父親はデザイナー。そんな環境もあり、高校は美術推薦で入学を決めるほどでした。「でも高校に入るとすぐに、美術から音楽の道へと進んでしまいました。今でも美術は大好きで、美術作品から音楽をつくる際の刺激をもらうこともしばしばなんです」。いっぷう変わった高嶺さんの作品は、創作活動にも刺激を与えてくれそうです。

続いての展示室は『A Big Blow-job』という作品。ほぼ真っ暗闇の中、室内のそこかしこをゆっくりと移動する明かりが、部屋の至る所に刻み込まれた文字を照らし出していくという作品です。

その「よくみえなさ」によって、逆に観客に対して「見る」ことを意識的に行わせようとしているようにも思えてきます。高嶺さん自身が黄金町に滞在し、制作を行った今回の展示。暗闇の中にあるさまざまな家具やガラクタのように見えるもののほとんどが、もともと青線街として知られる黄金町から持ってこられたもの。暗い空間にあるため写真を撮ることはできませんでしたが、本作はまさに、この「横浜」という場所でなければ誕生しなかった作品なのです。「場所によって、生まれるものって全然違ってくるんですよね。以前渋谷にあるWWWという映画館を改装した場所でライブをしたんですけど、どうしてもうまく行かなかったんです。2回目にやったときに、『ライブハウスではなく(もともとは)映画館なんだ』と思ったら、波長がぴったりと合ったんです。ライブにしろ展示にしろ、その場所の波長と合わせるのはすごく重要なんじゃないかと思います」

萩原雄太|演出家/劇作家

83年、茨城県出身。演出家・劇作家。2007年より自身の演劇カンパニー「かもめマシーン」を主宰する。チェーホフの「かもめ」に着想を得た翻案劇「かもめ/マシーン」で、シアターX国際舞台芸術祭参加。また、他劇団への脚本提供など各種。主な受賞歴に「浅草キッド『本業』読書感想文コンクール」優秀賞。



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