―「フユ盤」のコンセプトも夏の時点からあったんですか?
いやいや、なかったですよね? 突如でしたよね? 歌磨呂さんの思いつきでしたよね?(笑)
「ナツ盤」のときのアイデアって、さっき話したようにちょっとテクニカルなことだったんですよ。で、冬盤のときに最初に出したアイデアも、撮影した素材をミニチュアにしてホームパーティーみたいにして撮影するっていう、やっぱりテクニカルなもので。でも、テクニカルなテイストでイメージを限定させると見る人もそれに慣れて見方に観念が生まれてしまうと思って、180度回転させてもっと感覚的な言葉では説明しきれないような方向にしてもいいかもって思って。それで、「思いっきりトレンディドラマみたいのにしませんか?」みたいなことを言ったら、「いいね!」ってなった(笑)。
歌磨呂さんが「別のアイデア思いついた!」とか言って、鉛筆で私ら5人がこういう風に立ってるイラストを作ってきて。見た瞬間「これいい!! これにしよう!」って(笑)。
もう、絵の感じがやばかったっすね(笑)。
もうそのままでもいいぐらい。めちゃくちゃよかった。
90年代初頭のトレンディドラマみたいな格好をして立ってるだけなんだけど、ヌケがあって、「おおっ!」みたいになるんですよね。今の時代だからこそできるものだし。エンドのテロップで、「つづき」って書かないで「To Be Continued」って綴っちゃう、みたいな90年代初頭のトレンディ感はやっぱり胸に突き刺さるんですよね。
―いちろーさんは、この頃のインタビューで「バブリーな感じ」ということをよく言ってましたよね。それともリンクしたアートワークだったと思います。
バブリー感は出していきたいと思ってましたね。エイベックスというレーベルにもそういうイメージがあるじゃないですか? で、僕らがもともといたシーンというか、DIYだったりインディペンデントな感じでやってるバンドのシーンの人たちって、お客さんが潔癖なんですよ。お金をかけたり、派手にやることに対して嫌悪感を抱くというか。俺、メジャーデビューしてそこが一番びっくりしたとこだった。「そんなに!?」みたいな。お客さんの反応から知った、エイベックスに対する悪いイメージ(笑)。
すごかったよね(笑)。
「そんな悪い!?」と思って。だって、俺はレキシとか、氣志團とか、the pillowsとか、いいアーティストが沢山いるの知ってるから。
そんなにだったんだ(笑)。
でもエイベックス内でレーベルの名義を選べるって話をされたときに、メンバー全員即答で「avex traxがいい!」って決めたんです。だって、派手だし、一番面白いでしょ? バブル全盛みたいなイメージで。
経費使いまくってるみたいな?(笑)
そうそう(笑)。どうせメジャーに行くなら、全部を派手にやりたいっていうのがあって。ほんとこの2枚はそれが如実に出ててよかったなって思ってますね。
―ここまで吹っ切ってやると逆に痛快さに変わるっていうね。
思いっ切り出しちゃうのが驚きとか、ギャグになり始めてる。うちらの思い描いてたことに、ようやくなってきてる感がありますね。それは本当にこのアートワークのおかげもあるし、やってよかったなって思います。これだけいいものができて、この2枚のクオリティーと遊び心がちゃんとお客さんに伝わったから、ちょっと状況が変わったと思うんです。これがヘボいやつだったらやばかったですよ(笑)。
―「思わず笑っちゃう感じ」を大事にするって、東京カランコロンのバンドの主張としてあるじゃないですか。それって以前からあったものなんですか?
わりとあるよね?
うん。でも別に私らは「このバンドはこういう風な感じでいこう」と話し合って決めたわけじゃなくて。自分たちが楽しくなかったらやる意味ないし、楽しくないならやめるっていう気持ちで取り組んでるから、自然とそうなった感じだと思う。
見てるとみんな、めっちゃ仲いいですもんね。
ツアーとかでも、5人でいたらぺちゃくちゃずっと喋ってますね(笑)。「なんか食べに行こう」とかそんなんばっかり言って。
確かに。ウチらは5人が一緒にいるんですよね。みんなが気を遣って仲良くしてるわけじゃなくて、ちゃんと言いたいことも言うし。でも、それを引きずらないんですよね。
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