発酵食ブーム到来!? 東京の発酵食メニューが揃うレストラン案内

2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、今、発酵食が改めて注目されています。日本古来から食される発酵食は、醤油や味噌、お酢から納豆、ヨーグルトまで、身近なものが沢山。最近東京では、従来の発酵のノウハウを生かしつつ、現代人に合う素材を組み合わせたオリジナルの発酵食メニューを開発するお店が増えています。今回は、素材にこだわり、美味しく発酵食メニューがいただけるお店をご紹介します。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

【新宿】発酵デリカッセン カフェテリア 『Kouji&ko』

新宿高島屋8階、女性ファッションフロアに昨年11月にオープンした『発酵デリカッセン カフェテリア Kouji&ko』。発酵学者の小泉武夫氏によるアドバイスのもと、これまで有名店で料理長を務めてきた大島今日さんが開発した、彩り豊かな発酵食メニューが並びます。

Kouji&koの代表メニュー「ディッシュデリ」(378〜702円)は、肉や魚介、野菜を発酵食材である塩麹やヨーグルト、味噌などを使ってアレンジしたデリ(惣菜)が、乳製品不使用の舟型ベースに盛りつけられた、スイーツのように華やかな一品。また、「カスタムグリーンサラダ」(Sサイズ972円/ Mサイズ1188円)は、ベースとなるグリーンサラダに、在来種の野菜を9種類の中から3種、オリジナルの発酵ドレッシングを6種類の中から1種、トッピングを9種類の中から3種選んでカスタマイズできる看板メニューです。

取材時は、ディッシュデリから1つと、カスタムグリーンサラダのSサイズにスープが付いたお得な「ディッシュセット」(ディッシュデリ又はスイーツの価格+1080円)をオーダー。ディッシュデリは人気の「ローストチキンの大徳寺納豆ソースと黄野菜 カレー風味」(486円)をチョイス。グリーンサラダは、宿儺(すくな)かぼちゃ、遠野かぶ、金時草といった3種の在来種の野菜、醤油麹と玉ねぎのオリーブオイルドレッシング、サーモンオリーブ、豆腐の塩麹漬、黒米ともち麦のボイルのトッピングでカスタム。本日のスープは、優しい甘さの「甘酒ポタージュ」でした。

在来種の野菜は味や形が個性的なので一般流通が難しく、育てている農家さんも少ないので稀少とのこと。「それぞれの野菜の味や特徴といった個性は、切り方や火の入れ方を工夫することによって甘みが生かせたり、苦味・辛味を逃せたりして、美味しくいただけるんです」と話す大島さんは、自ら定期的に契約農家へ行き、その時期収穫される野菜の味を確かめ、メニュー開発の構想を練るそう。在来種の野菜は、ひとつひとつ普段口にする野菜と味も風味も格段に違い、自然な甘みや素材の旨みが感じられます。

ディッシュデリは季節ごとに数種類ずつ新メニューが登場する予定なのだそう。常に旬の野菜が発酵食品とベストな組み合わせで食べられる新感覚のカフェ。定期的に訪れても新しい発見がありそうです。

【西荻窪】発酵食専門カフェ『醸カフェ』

中央線西荻窪駅から徒歩10分程。駅から少し離れて、ギャラリーや洒落たレストラン、雑貨屋がちらほらと見られる通り沿いに、「天然酵母パン」、「甘酒」と書かれたのぼりが目印の『醸カフェ』。
IT系の会社を経営されていたという店主の品田和義さんが、2013年にオープンした発酵食専門カフェで、品田さんお手製の発酵食メニューや珍しい日本酒などのアルコールがいただけます。

ここは通常のカフェ営業だけではなく、ぬか床や干し野菜作り、天然酵母のパン教室、お魚のさばき方から犬の整体・マッサージ教室まで、バラエティに富んだワークショップも多数開催。中でも醸カフェの発酵食づくりの要となる本物の味噌作りは、数ヶ月先まで予約で一杯となっています。

お店で一番人気の「発酵食づくしセット」(1100円)は、乳製品不使用の天然酵母パン2種、野菜の漬け物、麦麹と塩麹で漬けて焼いた鶏肉、三升漬けでソテーしたキノコ、真昆布、枯れ節、しょっつるの天然だしの発酵スープ、甘酒豆乳といったオリジナルの発酵食メニューが盛りだくさんの内容。パンと漬け物という組み合わせが珍しいですが、塩分控えめな品田さんのぬか漬けは、野菜の素材とぬかの酸味が味わい深く、サクッとしたパンによく合います。

中でも、クリーミーかつぬかの香りが独特な食感が特徴的なアボガドのぬか漬けは絶品。「トマトを甘酒に漬けて酵母を発酵させることで、生で食べるより、旨味や栄養を引き出している」と話す、プチトマトの漬け物も味わい深いものでした。

訪れたのはランチとディナーの間の比較的のんびりとした時間帯。「ぬか漬けが酸っぱくなってしまったので分けてほしい」と訪れたお客さんに、「ぬか漬けは冷蔵庫に入れない方がいい。野菜だけでなく果物を漬けても美味しいですよ」と品田さんは丁寧にアドバイスする光景も。

発酵食品もそうだけど、好きなことを仕事にしたことで、何よりも健康になれましたね」と笑顔で話す品田さん。カウンターのみの席となっていて、食事をしながら発酵食や菌の話を詳しく話してくれるので、色々と話しを聞きながら食事をするもの良いかもしれません。

【表参道】発酵食レストラン『たまな食堂』

表参道から徒歩約5分。都会の中のオアシス、といった静かな立地にひっそりと佇む発酵食レストラン『たまな食堂』。

ビーガンやベジタリアンのお客さんも多いという『たまな食堂』は、夜は野菜だけでもお腹いっぱいになる、フレンチレストランのようなしっかりとしたコースメニューがいくつも用意されていますが、昼はこだわりの発酵食料理がぎゅっと詰まった「たまな定食」(1890円)が人気。

季節の温野菜〜塩麹バーニャカウダソース〜、自家製厚揚げ(ねぎ、有機大根、ベジブロスの天つゆがけ)、テンペと有機野菜のサラダ〜2種類の野菜ドレッシング~、ナッツ、カレー粉がけ、たまな納豆(納豆6種類、有機在来種の豆6種類を醤油と醤油麹で味付けしたもの)、三種のお番菜(白菜と揚げの煮物、ぬか漬け、ごま塩)、ベジブロスのお味噌汁に、酵素玄米、食後に三年熟成番茶といった充実ぶりです。

また『たなま食堂』には「たなま教室」が併設されており、様々なナチュラルフードについて学ぶことも可能。発酵講座や冬季限定で人気の味噌づくり講座を担当している堤由起子さんは、「発酵食づくりを始めると、ライフスタイルの見直しになるし、性格まで変わる」と話します。発酵に不可欠な菌が、化学的に作られたものを嫌うので、家に置くものも自然由来なものに変わっていき、人も添加物や化学調味料の使わない食生活をしていると、自然と穏やかになるんだとか。

発酵にも熟成の段階があって、塩麹と醤油麹を作っていると、毎日混ぜるので味が変わっていって、ワインのように旨味が乗って美味しくなるピークがある。その後また味が落ち着いてくるんですが、それはそれで美味しい。菌は生き物なので、そういう変化を感じるのも面白いですね」と話すのは、たまな食堂の総料理長、公文紀一さん。

日本の発酵食は四季を生かして作っています。雑菌が少ない冬の時期に秋に取れた新しい新米やお豆を使って仕込み、春になって暖かくなると少しずつ発酵が元気になり、夏になるともっと元気になって、秋になると少し静まって、冬になって締まってくるときにグッと味噌の味が乗ってくる。そうやって10ヶ月後には美味しいお味噌が食べられるんですね」と堤さんは話します。

まさに、日本の四季を生かして生まれる発酵食品の魅力を味わい、学べる、発酵食レストランです。

発酵デリカテッセン カフェテリア Kouji&ko
住所 : 東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目24−2 新宿タカシマヤ8F
営業時間 : 月~木・日 10:00~20:00
金・土 10:00~20:30
定休日 : 不定休(新宿タカシマヤに準ずる)
電話番号 : 03-5361-1111
価格 : 378円~
最寄り駅 : 新宿駅
Webサイト : http://foodandpartners.co.jp/koujiandko/
醸カフェ
住所 : 東京都杉並区西荻北4-35-6 カーサ藤江 1F
営業時間 : 水・木・金 11:30~18:00 / 18:00〜21:00(夜は予約のみ)
土・日 ワークショップ・イベントのみ
定休日 : 月曜日・火曜日
価格 : 250円~2500円
電話番号 : 03-6913-5888
最寄り駅 : 西荻窪駅
Webサイト : https://www.facebook.com/kamoshi.cafe
たまな食堂
住所 : 東京都港区南青山3-8-27 1F
営業時間 : 11:00~15:30(last order 14:30)
18:00~22:30(last order 21:30)
定休日 : なし
電話番号 : 03-5775-3673
価格 : 540円~7500円
最寄り駅 : 表参道駅
Webサイト : http://nfs.tamana-shokudo.jp/


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