「台北は、努力して頑張ろうとする勢いに溢れている都市」音楽の奇才、クラウド・ルー(盧廣仲)インタビュー

台湾で音楽の鬼才と呼ばれるシンガーソングライター、クラウド・ルー(盧廣仲)を知っていますか? おかっぱのような髪型に大きなメガネと短パンといったルックスで、台湾で国民的に愛されるミュージシャンのひとりです。2015年には『SUMMER SONIC』、今年は福岡の『Sunset Live』にも登場し、11月には日本で初めてのワンマンライブが決定。デビューから10年、今年5枚目のアルバム『What a Folk !!!!!!』をリリースしたクラウド・ルーに、お話を伺いました。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

こんにちは! 僕はクラウド・ルー(盧廣仲)です!

—9月に福岡で開催された音楽フェスティバル『Sunset Live』に出演したばかりですが、いかがでしたか?

盧:海辺にあるステージがかわいかったし、とても楽しかったです。参加者はほとんど日本人で、出演者の中で僕は唯一の台湾人でした(笑)。

—普段は、どのような時に音楽を聞くんですか?

盧:移動中に音楽を聴くのが好きで、例えば電車で実家の台南に帰る時とか、移動中だとスピード感のある曲を聞きます。家に居たら、インストルメンタルか環境音楽が多いです。思考と神経に癒しの効果があるような、坂本龍一さんが作ったソルフェジオ周波数のような音楽だったり。

—6月に発売された4年ぶりのニューアルバム『What a Folk !!!!!!』ですが、前回のアルバムからどのような変化がありましたか?

盧:このアルバムを作る前、ひとつのルールを設けたんです。それは「アコースティックギターだけを使う」ということ。アルバムタイトルが『What a Folk !!!!!!』であるし、フォークギターをメインに、エレキギターも電子楽器も使用してない。だから『What a Folk !!!!!!』は、今までの5枚のアルバムの中で一番静かなアルバムです。

—このアルバムをリスナーには、どのように聞いてほしいですか?

盧:旅の途中とか、ひとりで家にいる時に聞いてほしいですね。僕自身が旅に出る時、同じアルバムを繰り返し聞きます。最初から最後まで聞いて、また最初の曲に戻る。前回日本に行った時がそうで、ずっと70年代に活躍したシンガーソングライターであるニック・ドレイク(Nick Drake)のアルバム『Pink Moon』を聞いていました。ハーモニーもなく、1、2本ギターだけで作られた名盤。その時から僕は、アコースティックギターだけでアルバムを作りたいと思っていたんです。

台北から台南まで歩いて辿り着いた先にできた作品

—以前ご自身のSNSで「台北から故郷の台南まで、ひとりで歩いて行く!」と宣言して、実際に11日間かけて台南に到達し、台湾ではニュースやメディアでも話題になりましたね。そのときはどんな音楽を聞いていたんですか?

盧:僕は好きになると、一日中同じ曲を聞くタイプなんです。そのときは主にU2の“I still haven't found what I'm looking for”と“With or without you”、この2曲をずっと聞いていました。旅の途中のある日、太陽が沈む頃、果てしない草原を目の前にし、この曲を聞いたら気持ちが高ぶってしまい、歩きながら泣いてしまいました(笑)。他にもアメリカのインディーズバンド・Vulfpeckの曲も聞いていました。単調な楽曲が多いので、聞いてもあまり邪魔にならないし、歩くのに適していて、ダンスもしやすい。台北から台南に向かう途中、ほぼVulfpeckの曲を聞きながら歩いて、ポイントで“With or without you”を聞いていましたね(笑)。

—その旅はアルバム『What a Folk !!!!!!』にどのような影響を与えましたか?

盧:収録曲の順番に影響しましたね。仮にこのアルバムが誰かの旅のお供になるとしたら、どのような曲順になるのか? そして僕はどのように歌うべきか? そういったことを考えました。今までのレコーディングではどこか必死になってしまって、時にはマイクを壊すぐらい力を入れて挑んでいたけど、このアルバムでは、力をおさえて、リラックスして作れたと思います。

—このアルバムで一番伝えたいメッセージはなんですか?

盧:このアルバムは、その時その時の気持ちを描く曲が多いんです。一番大切なメッセージは「見逃さないで」ってこと。アルバムの軸になると思っている“手機仔(一)”(※注:日本語でスマートフォンの意味)は、たくさんの人がスマートフォンをいじることに専念してしまい、いま周りで起きていることや素晴らしいことに気付かず、すれ違ってしまっていることに対するメッセージです。特に強調したいので、アルバムには激しい曲調の“手機仔(二)”もあります。大切なことなので、二回歌ってます(笑)。

台北にいると、より熱くて、ポジティブな曲を書きたくなる

—大学時代に台南から台北に来て、その後は台北をメインに活動していますが、クラウド・ルーさんにとって、台北とはどのような都市ですか?

盧:台北は、人々が「努力して頑張ろう」とする勢いに溢れている都市だと思います。道を歩くと、人々が自分の夢のために頑張っているのが分かる。だからここにいると、より熱くてポジティブな曲を書きたくなるんです。

—普段は台北では、どのように過ごしているんですか?

盧:朝6時に起きて、近くの食堂で朝食を食べたら、家に帰って本を読むか、音楽を聞くか、つくるかして一日を過ごします。朝食はいつも大体同じで、たまご2個とツナ、もしくは目玉焼きハンバーガー。

—台北の中で、好きなスポットを教えてもらえますか?

盧:僕は台北の西側・大橋頭もしくは大稲程周辺が好きです。昔ながらの雰囲気は、僕の故郷の台南に近いんです。夕暮れ時に淡水老街へ夕日を見に行くのもいいですね。食べ物でしたら、慈聖宮廟前広場の屋台がオススメで、大橋頭油飯も大好き。油飯の上に半熟目玉焼きを置いて、とろっとした黄身と一緒にご飯を食べる“通”な食べ方、ぜひ試してほしいです。

—11月には、日本で初めてのワンマンライブとなりますが、日本のリスナーにどのような曲を演奏したいですか?

盧:日本での初ワンマンライブなので、テンポの速い曲で、ハッピーで元気なエネルギーを日本のファンに届けたいですね。日本語がまだ上手ではないので、受け答えはうまくできないかもしれないけど、皆と一緒に“OH YEAH!!!“って、叫んでみたいです!

—台湾では食堂や男子寮、レコードショップなど、ユニークな場所で小型ツアーをやりましたよね。日本でも同じようなツアーができるとしたら、どういう場所でやってみたいですか?

盧:僕は日本の木がとても好きなので、いつか大きな木の下でライブをやってみたいです。あとは、日本の神社の横に木造のステージをよく見かけるんですが、その装飾がとても大好きなので、いつかああいう場所でツアーができれば、幻想的でいいな。

東京 2016/11/11(金) 原宿ASTRO HALL
開場・開演:OPEN 18:30 / START 19:00
チケット:¥6,000-(税込/All Standing/1Drink別)
プレイガイド:
イープラス:eplus.jp
チケットぴあ:0570-02-9999 Pコード:311-804
ローソンチケット:0570-084-003 Lコード:70183
※0570で始まる電話番号は、一部携帯・PHS不可
注意事項:※未就学児(6歳未満)のご入場をお断りさせていただきます。
INFO:クリエイティブマン:03-3499-6669
大阪 2016/11/12(土) 心斎橋SOMA
開場・開演:OPEN 16:30 / START 17:00
チケット:¥6,000-(税込/All Standing/1Drink別)
注意事項:※未就学児(6歳未満)のご入場をお断りさせていただきます。
INFO:キョードーインフォメーション:0570-200-888
プロフィール
盧廣仲 (クラウド・ルー)

自分自身で作詞作曲そして歌うクラウド・ルーは台湾で最も知名度と影響力のあるシンガーソングライターのひとり。ファンに「小隊長」、「キャプテン・ルー」といった愛称で親しまれている。2009年に「100種生活(100通りの生活)」で第20回金曲奨の最優秀作曲家と最優秀新人賞を受賞。2008年以降に5枚のアルバムをリリースし、最新作は『What a Folk !!!!!!』。2016年11月は東京と大阪で日本での初ワンマンライブが開催決定した。



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