ソウルの今のアートシーンを感じる! おすすめアートスペース5選

ソウルには美術館やギャラリーはもちろん、古くからの建物をリノベーションし、新たな息吹を吹き込んだ、若者が集まるアートスペースも次々に出現しています。様々な角度からアートを読み解き、新たな表現を模索し続け、社会に提示しているソウルのアートシーン。その現場となるアートスペースを紹介します。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

Art Space Pool

景福宮駅からバスに揺られること15分。細い路地裏にある少しばかり急な坂道を上がった先に見えてくる一軒家が『Art Space Pool』。1999年に20名ほどのアーティスト・評論家・企画者・理論家・学生たちによって立ち上げられたこの場所は、ソウルの第1世代オルタナティブスペースとして韓国のアートシーンを支えてきた重要なスポットです。

変化の著しい韓国のアートシーンの中で、約20年という長い歴史を歩んでこられた理由の1つとして、 新世代アーティストの発掘に力を注いできた実績が挙げられます。キュレーター主体の展示ではない、作家の内にある小さな声にまで耳を傾ける運営陣のスタンスが、若手アーティストを中心に支持されてきました。

また、60代〜70代の作家にも再び焦点を当てた展示や40代の中堅作家の展示も始め、ますます社会的なメッセージを強く発信していることでも知られます。今まさに誕生しようとするアーティストたちを支え続けるとともに、来場者と作家がしっかり交流できる場を作り続けて来た歴史あるアートスペースが『Art Space Pool』です。

Art Space Pool
新住所:ソウル特別市鍾路区洗剣亭路9ギル91—5
旧住所:ソウル特別市鍾路区旧基洞56—13
電話番号:02—396—4805
最寄駅:景福宮駅
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月曜日
URL:http://www.altpool.org/

Amado Art Space

漢江鎮(ハンガンジン)駅からほど近く、80年代に建てられた2階建て住宅をそのままに生かしたオルタナティブスペースが『Amado Art Space(アマド・アート・スペース)』。この建物の所有者からの空間提供と、国や企業からの助成金で運営している非営利のスペースです。

「Amado(アマド)」とは韓国語で「たぶん…」という意味を持つ単語。どこまでが芸術でどこからが芸術でないのか、また芸術とはなんなのか再考してみるという意味を込めてこのスペースは2013年にオープン。主に若手アーティストが自由に表現できる場を提供してきました。

ここでの展示は一括して様々な国際展で活躍してきたキュレーターのキム・ソンウが担っており、常々作家との対話に重きを置いて展示を作っているそう。それ故に作家とキュレーターの相乗効果が生まれた展示は、アート界でも定評を得ています。

2018年に開催される現代美術の国際展『光州ビエンナーレ』のキュレーターとしても就任し、活躍の場を広げるキム・ソンウ。 『Amado Art Space』においてもその先見の明は、私たちにアーティストの生の声を届けてくれることでしょう。

Amado Art Space
新住所:ソウル特別市龍山区梨泰院路54ギル8
旧住所:ソウル特別市龍山区漢南洞683—31
電話番号:02—790—1178
最寄駅:漢江鎮駅
開館時間:10:30〜19:00
休館日:月曜日
URL:http://www.amadoart.org/

昌成洞実験室

ギャラリーはゲリラ的にオープンしています。主に週末の短い期間のみ展示が開かれますが、いつもそうとは限りません。夜7時に閉館しますが、日によっては夜遅くまで美味しいお酒とともに作家との交流が可能です

ホームページを開くと、そんな自由奔放な紹介文ではじまるギャラリーが『昌成洞(チャンソンドン)実験室』。景福宮駅から徒歩5分の場所に位置するこのギャラリーを運営するのは、韓国名門大学・西江(ソガン)大学の物理学教授でもあり、K-POP界で一世を風靡した2NE1メンバー・CL(シーエル)の父親でもあるイ・ギジンさん。イラスト作家としてインターネット上で連載をもち、絵本作家として絵本を出版するなど、その活躍は多岐に渡ります。

韓国伝統家屋である韓屋に少しずつ手を加え、4年前からギャラリーとしてオープンしたこの空間では、オープニング展示であった「自転車コレクター&自転車メカニック展」を皮切りに絵画、写真、パフォーマンスなどジャンルに縛られることなく展開してきました。

日本やフランス、アルメニア共和国、ロシアなどさまざまな国での暮らしてきた経験を持ち、多方面からの視点で結果を検証する物理学精通者であるギジンさんだからこそ、特定の枠に縛られることのないさまざまな文化交流が生まれる『昌成洞実験室』。いつ何が起こるかわからない、ゲリラ的なオルタナティブスペースです。

昌成洞実験室
新住所:ソウル特別市鍾路区紫霞門路12ギル11—5
旧住所:ソウル特別市鍾路区昌成洞144
電話番号:010—8605—6583
最寄駅:景福宮駅
開館時間:12:00〜19:00
休館日:展示日以外休館。
URL:http://www.cl-gallery.com/

STUDIO CONCRETE

韓国の人気俳優ユ・アインが自らアートディレクターを務めていることで話題を集めている複合文化スペース、『STUDIO CONCRETE』。80年代生まれのデザイナーやアーティストたちが集まって活動するクリエイティブ集団「STUDIO CONCRETE(スタジオコンクリート)」が運営する、ギャラリー・カフェ・ショップを兼ね揃えたスペースです。漢江鎮(ハンガンジン)駅から少し北に上がっていったエリアに位置するこの空間では、今年の春から新たに専任キュレーターを迎え、次世代アーティストの斬新な表現の提示に力を入れています。

オープンして以来、約20回の展示を開催してきた『STUDIO CONCRETE』は、所属のアーティストの展示を含め若手アーティストの発掘も積極的。随時スタイリッシュで洗練された展示を展開しています。また展示ごとに空間の制約を超え、構成や壁の色をガラリと変えるなどのフレキシブルな展示方法が注目を集めるのも面白いところです。

1階と2階のギャラリー空間に設けられた大きな窓は、訪れる時間によって作品の趣を変化させるのも見どころの1つ。1階に常設されたカフェでコーヒーを手にしたら、窓側に置かれた椅子で作品を観覧しながらゆったりとした時間を過ごしたり、屋上のテラスで景色を眺めながら一休みするなど、思い思いの時間を過ごせるのも『STUDIO CONSRETE』ならではの楽しみ方です。

STUDIO CONCRETE
新住所:ソウル特別市龍山区漢南大路162
旧住所:ソウル特別市龍山区漢南洞795—3
電話番号:02—792—4095
最寄駅:漢江鎮駅
開館時間:11:00〜21:00
休館日:年中無休
URL:http://www.studio-ccrt.com/

PARADISE ZIP

地下鉄3号線東大入口駅から約100メートル、大通りから静かな住宅地の路地に一本入った先に見える真っ白な建物が、2016年9月にオープンした『PARADISE ZIP(パラダイス・ジップ)』。80年代に建てられた古い住宅を韓国の有名建築家スン・ヒョサンが再生させたアートスペースとしても話題を呼びました。

この空間を運営するのは、 ニューヨークでアーティスト・イン・レジデンス「ART OMI(アートオーマイ)」において国内アーティストを支援するなど、文化事業に力を入れてきた「パラダイス文化財団」。「この空間にアートを圧縮させる」という意味を込めて圧縮ファイルの形式の「ZIP」からその名を取り、昨年から新たなアート支援事業の一環として文化複合スペースとして誕生しました。

『PARADISE ZIP』ならではの展示の醍醐味は、作品と空間の見事な調和。家という構造上小さな展示空間がいくつも存在しますが、その難しい条件下で、作家たちがインスタレーションや映像作品など見応えある展示を開催しています。また歌手兼アーティストのユ・ナオルの展示では、アート界のみならず多くの人がこの空間を訪れたことでも知られます。

今後は若手作家の育成に積極的に取り組みつつ、年間3つほどの展示を展開する予定。表現に制約を与えない真っ白な空間だからこそ出会えるアートの世界が『PARADISE ZIP』で広がります。

PARADISE ZIP
新住所:ソウル特別市中区東湖路268—8
旧住所:ソウル特別市中区奨忠洞2街193—5
電話番号:02—2278—9856(展示期間外はホームページより要連絡)
最寄駅:東大入口駅
開館時間:10:00〜18:00
休館日:日曜日
URL:http://www.p-zip.org/
STUDIO CONCRETE
新住所 : ソウル特別市龍山区漢南大路162
旧住所 : ソウル特別市龍山区漢南洞795-3
営業時間 : 11:00~21:00
定休日 : なし
電話番号 : 02-794-4095
最寄り駅 : 漢江鎮駅
Webサイト : http://www.studio-ccrt.com


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