第3次韓流ブームともいわれている昨今。10〜20代を中心に防弾少年団やTWICEといったK-POPスターはもちろん、コスメやファッションにもふたたびアツい視線が注がれています。そしてその勢いはイラストレーションにも。 モダンだけど懐かしい、リアルなのにファンタジー。こうした独特な掛け算を得意とする韓国発のイラストにハマる人がいま続出しています。 今回紹介するのは、韓国出身の女性DJ・Peggy Gouのレコードジャケットのイラストで一躍有名になったChoi Jee ook(チェ・ジェウク)、Instagramフォロワー12万超えの人気イラストレーターKIM JUNGYOUN(キム・ジョンユン)など新進気鋭のイラストレーターたち5名。勢いを増す韓国カルチャーの一片を担う彼らのアートにぜひ注目してみて。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
PeggyGouのレコードジャケットを手がけ一躍有名になったChoi Jee ook(チェ・ジェウク / 최지욱)
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最初に紹介するのは、日常の風景を非日常的に描くスタイルが話題のChoi Jee ook。韓国出身の人気女性DJ・Peggy Gou(ペギー・グー)のジャケットイラストで見覚えのある方も多いかもしれません。
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子どもの頃から絵を描くのが好きだったChoi Jee ook。大学はソウルの韓国芸術総合学校に進学しますが、専攻したのはインスタレーション、パフォーマンス、映像制作など。
卒業後、アート関係の仕事に就いたものの、仕事としてアートに接するうちに純粋に楽しめなくなったそう。そんなとき、自らの原点であるドローイングを再開したことが彼女のターニングポイントとなります。
2016年にアジアを代表する映画祭のひとつ、『富川国際ファンタスティック映画祭』のポスターを手がけ、そこから本格的にイラストレーターとしての活動を開始。現在はフリーランスのイラストレーターとして、韓国にとどまらず海外にも活躍の場を広げています。
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彼女が影響を受けた人物のひとりとして挙げているのが、ドイツのコンテンポラリーダンスの振付家・ダンサーのピナ・バウシュ(1940〜2009年)。
ピナ・バウシュがつくり上げる世界観に触れたとき、五感が震えるような感動体験をしたそうで、自身の作品にも影響を与えていると言います。
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「自分が見たい風景を絵で表現しています」と語るChoi Jee ook。たしかに彼女の作品は日常的なモチーフを使いながらも、どこか非現実的で不思議な魅力があります。
今後はアニメーションや 3Dなど、新たな表現方法を取り入れていくそう。Choi Jee ookの新しい挑戦から目が離せません。
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Choi Jee ook(チェ・ジェウク / 최지욱)
WEB: https://jeeook.tumblr.com/
Instagram: https://www.instagram.com/jeeeoook/
ユースカルチャーを描く人気沸騰中のイラストレーター、Kim Jungyuoun(キム・ジョンユン / 김정윤)
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Instagramのフォロワー12万超え、ユースカルチャーをリアルに描いた作風で韓国の若者を中心に人気を集めているKim Jungyoun。自身の個展やスポーツブランドとのコラボレーションなど、幅広く活躍する韓国の若手イラストレーターです。
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小学生のときから漫画やテレビアニメが好きで、漫画家になるのを夢見ていたというKim Jungyoun。
そのなかでも特に好きだったのが、高校のバスケットボール部を題材にした少年漫画『スラムダンク』。作者・井上雄彦の繊細な表現から多くを学ぼうとたくさん模写したのだそう。
その影響もあってか、彼が描くイラストに登場する人物は、まるで漫画のキャラクターのように、ファッションや表情から一人ひとりの生き生きとした個性が表れています。
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いまではバスケットボールをテーマとしたイラストも自身のオリジナリティーとして昇華させたKim Jungyoun。韓国で流行っているファッションブランドや靴や鞄などのファッションアイテムを織り交ぜたイラストはとてもスタイリッシュです。
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今後について尋ねると「短編漫画の出版を予定していて、それと合わせて小さな展示会も考えています」とのこと。進化が止まらないKim Jungyounにファンの期待が高まっています。
コミックから旅行記まで。活躍の場を広げる、Choi Jisu(チェ・ジス / 최지수)
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『ソウル都市建築ビエンナーレ』ではイラストパネルを制作したり、韓国のタバコブランド「RAISON」のパッケージイラストを手がけるなど、いま各方面から熱い視線が注がれるイラストレーター、Choi Jisu。
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幼い頃から特技は絵を描くこと。それを素直に突き詰めて、いまに至ったと言います。
そんな彼女がインスパイアされたと語るのは、強烈な色彩が印象的なイタリア出身のイラストレーター・Lorenzo Mattotti。そして20世紀のアメリカの画家Edward Hopper(1882年〜1967年)。彼らの巧みな色彩感覚と空間構成は、彼女の作品にも大きく影響しているそう。
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イラストだけでなく、自身のテキストによる独自の物語と合わせることでさらなる魅力を放つ彼女の作品。その特徴は、個人制作のコミックや絵本に色濃く反映されています。
例えば、ヨーロッパを1か月旅行する様子を可愛らしいイラストと共に綴った旅行記『갯강구 씨, 오늘은 어디 가요(日本語訳:フナムシさん、今日はどこですか?)』では、海辺で出会ったフナムシを平凡な自分に見立てて執筆。
こうした彼女独自のストーリーは、日常的に見慣れた風景や建物に新しい視座を与えてくれます。
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「これが私のスタイル! と決めずに、いままでとは違った表現にも躊躇せずチャレンジしたいです」と語るChoi Jisu。
現在は新たなドローイングブックの出版計画を進めるとともに、アニメーションも勉強中。次はどんな景色を見せてくれるのか、彼女の新たな挑戦が楽しみです。
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Choi Jisu(チェ・ジス / 최지수)
WEB: http://www.jisuchoi.net/
Instagram: https://www.instagram.com/jisuchoi.poly/
懐かしさと新しさが交差する、nam13(ナム13 / 나무13)
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どこか懐かしく、エキゾチックなムードが漂う作風で人気を集める、nam13。日本を代表する音楽フェス『FUJI ROCK FESTIVAL '19』にも出演した韓国のアーティスト、Night Tempoのジャケットイラストを手掛けたことでも話題になりました。
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彼がイラストレーターとして活動しはじめたのは学生時代。デザイン業界を目指してポートフォリオをつくり、就職活動を行っていたとき、「これは本当に自分が表現したいことなのか?」と疑問を感じたそう。
そんなとき、偶然テレビで目にした日本のアニメ『キルラキル』が彼のターニングポイントになります。3DCGを駆使した最先端の映像に、あえてレトロな表現を組み合わせたこの作品。
このレトロな表現が、彼にとっての心の拠りどころとなり、ふたたび制作に向かう活力を与えてくれたといいます。
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彼が影響を受けたと話すのは、永井宏、鈴木英人、あだち充といった1980年代の日本のカルチャーを代表するクリエイターたち。しかし彼らのスタイルをただ踏襲するのではなく、そこにnam13のオリジナリティーを加えるように意識しているそう。
「むかしっぽい・いまっぽい、というニュアンスをミックスするように描いています」という彼の言葉のどおり、過去と現在をつなげることで生まれる独特な違和感こそが彼のイラストの持ち味といえるでしょう。
世界の音楽シーンでシティポップが再ブレイクしたように、1980年代のポップカルチャーを再解釈したnam13のイラストレーションにもオリジナルとはまた違った新しい魅力があります。
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「その時々で気の向くままに行動する自由なスタイルが自分らしいと思います」と語るnam13。全国各地を巡るなかで見つけた新たな表現を次の作品集で披露してくれるのでしょうか。彼の活躍から目が離せません。
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nam13(ナム13 / 나무13)
Instagram: https://www.instagram.com/__tree_13/
現代を生きる人々をモノトーンでユーモラスに描く、Choi Sungmin(チェ・ソンミン / 최성민)
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モノトーンの濃淡を巧みにあやつるイラストが印象的なChoi Sungmin。代表作は、30代女性の心の機微を描いた短編漫画『완벽한 순간을 위한 여행(日本語訳:完璧な瞬間のための旅行)』と『Monorail Dream』。独特な心理描写で読者を魅了しています。
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彼女は、日本の有名漫画家・高橋留美子、諸星大二郎、上条敦士らの奇抜な発想や洗練された画力に大きな影響を受けたそう。
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「人間観察が好きなんです。日常生活のなかに不意に訪れる変な瞬間に出くわすとつい嬉しくなってしまいます」と語る彼女。
身近な風景を描きながらも随所にブラックユーモアを感じさせる作風は、彼女の日頃の洞察力によるものなのかもしれません。
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彼女の漫画はウェブサイトでも公開されています。セリフは主にハングル文字ですが、ハングル文字が読めなくてもイラストだけで十分に心に訴えかける不思議な魅力があります。
2020年春には短編漫画集の出版を控えているChoi Sungmin。唯一無二な彼女の世界観から今後も目が離せません。
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Choi sungmin (チェ・ソンミン/최성민)
WEB: https://www.behance.net/saiocomics5707
WEB: https://saiocomics.postype.com/
Instagram: https://www.instagram.com/saio_comics/
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