さまざまなスタイルのコーヒーショップが揃う、コーヒーの街・福岡。しかし九州第二の都市・北九州でも、個性的でクオリティーの高いコーヒーショップが生まれはじめています。今回は、JR小倉駅から歩いて行ける、スペシャルティコーヒーを気軽に楽しめるオススメコーヒースタンドを紹介します。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
老舗セレクトショップが手がけるコーヒースタンド『COMMONDITY STORE –COFFEE STAND』
続々と増えつつある北九州のコーヒースタンド。まずはじめに紹介したいのは、小倉から長崎までを結ぶ「長崎街道」の起点・室町(北九州市小倉北区)にある『COMMONDITY STORE –COFFEE STAND』。
北九州の服好きなら知らぬ者はいない老舗セレクトショップ『レプリュス』の姉妹店で、6年前にショップ部分をオープンし、1年前にその店頭でコーヒースタンドをはじめました。
コーヒーを淹れてくれるのは、両店のオーナー・今永和寿さん。もともとコーヒーが大好きで、2か月に一度、服の買い付けに訪れる海外で、各国のコーヒーを楽しんできた今永さんでしたが、昨今のコーヒーブームを受け、自らもやってみたいと有名店で技術を学び、お店を出すことに。
店名の「コモディティ」とは、コモンとアイデンティティをかけ合わせた造語。世界のハイブランドを扱う本店の『レプリュス』が、フランス語で「最上級」を意味するのに対し、こちらは「普通であること」をテーマに、素材のいいTシャツやハンターのブーツなど、オールシーズン使えるデイリーなアイテムと、今永さんが見つけてきた気鋭のアーティストのポップアップショップを開催しています。
築70年の建物をリノベーションした店内は、入り口にコーヒースタンド、奥がショップになっていて、高感度なファッションとおいしいコーヒーが飲める、他にないスポットに。もちろん、コーヒーだけを楽しむのもOKです。
メニューはシンプルに、スペシャルティコーヒーのみ。北九州の老舗『森山珈琲』をはじめ、数か所のロースターから厳選した4種類の豆をベースに、アメリカーノやエスプレッソ、カプチーノやカフェラテ、夏場限定で水出しコーヒーが味わえます。 また、今永さんの海外出張の後は、各国で購入してきた日本未流通の珍しい豆がお目見えすることもあるそうです。
ペーパードリップの他に、エスプレッソマシーン、エアロプレス、フレンチプレスと、さまざまな抽出法で味わうことができるのも魅力。 取材時には、ホンジュラス・インド・ケニア・ブラジルのなかから、珍しいインドの豆をチョイスし、エアロプレスで淹れていただきました。 美しい所作で丁寧に抽出されるコーヒーは格別そのもの。エアロプレスの器具を逆さまに使うインバート方式で抽出したコーヒーは、豆の持つ個性が力強く感じられ、香りの良さとマイルドな味わいにうっとり。
「一人で店に立っているので、買い付けのときは店を閉めているし、よく言えば自分でできる範囲、悪くいえばワガママにやらせてもらっています」と今永さん。 自らの興味が赴くままに、ファッションもコーヒーもフラットに紹介する。いつの時代もそうしてきた今永さんだからこそ、ファッショニスタもコーヒー好きも、近所のお年寄りも同様に立ち寄れる、風通しのいい場所になっているのかもしれません。
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Commondity STORE –COFFEE STAND
住所:北九州市小倉北区室町2-5-10
電話番号:093-561-2101
営業時間:11:00〜19:00
定休日:不定休
Web:http://freewill-corp.com/
香春口三萩野駅そばのNEWコーヒースタンド『day to day coffee and espresso』
次に紹介したいのは、小倉駅から北九州モノレールで3駅。香春口三萩野駅から徒歩3分のところにある『day to day coffee and espresso』。 リノベーションされた築50年の長屋に10店舗ほどが入居する『comichi かわらぐち』に、2019年の4月にオープンしたばかりのお店で、オーナーはもともと大手コーヒーチェーンで働いていた進藤美咲さん。
忙しい街なかの店舗で接客をしてきた経験から、自身の店ではゲストとの対話を大切にしたいと語る進藤さん。あえて中心地から離れた住宅地の長屋を選んだのもそんな思いから。 「昔ながらの喫茶店や古いものが醸し出す、ゆったりとした時の流れが好き。日々の暮らしのなかに当たり前にあって、訪れることで気分がリセットできるようなお店がつくりたいんです」
わずか5坪ほどの店内には小さなベンチが設置され、コーヒーを飲みながら腰を掛けてくつろぐことができます。こぢんまりとした空間なのでゲスト同士が言葉を交わすこともしばしば。それぞれがコーヒー1杯分のひとときを楽しんで、また日常に戻って行くのです。
そんな進藤さんのお店で楽しめるのは、福岡市千早にあるスペシャルティコーヒー専門店『BASKING COFFEE』の豆を使用したコーヒー。
出店準備中にさまざまな焙煎所を訪ね歩いたなかで、味はもちろん、オーナーやスタッフの仕事に対する姿勢に感銘を受け、取引をお願いしたこだわりのコーヒーです。
取材時にいただいたコスタリカ産(ロスロブレス)のシングルオリジンは、マスカットのようなみずみずしい果実感とほどよい酸味、サトウキビを思わせる甘い後口が魅力的な1杯。 その他にも、カフェラテやキャラメルラテ、ヘーゼルナッツラテなど、スイートなアレンジコーヒーも豊富にラインナップ。
「うちは女性のお客さまが多く、甘いコーヒーは人気があります。じつは私も、あるときまでブラックコーヒーが苦手だったんですよ」 笑いながらそう語る進藤さんがブラックコーヒーに目覚めたのは、九州におけるスペシャルティコーヒーの草分け的お店、福岡市野間の『ハニー珈琲』で飲んだエチオピア産のシングルオリジン。
「こんなにおいしいコーヒーがあるのかと感動しました。いまでも忘れられません」 それ以来、エチオピア産の豆には特別な思い入れがあり、今後は、さまざまな焙煎のエチオピア産の豆を、ゲストビーンズとして提供したいと考えているそう。
コーヒーと共に味わってほしいのが、SNSでも話題の手づくりマフィン。きのこ形のキュートな見た目とふわふわの触感、バターの香りがたまらない逸品で、プレーンと日替わりの数種類が並びます。
その他にも、ガトーショコラやチーズケーキなどスイーツも充実。イートインの際は、磁器作家・イイホシユミコの器でオシャレに楽しむことができます。
「今後は2階をイベントスペースにして、ヨガをはじめ、さまざまな教室やイベントを開催したいと思っています。コーヒーをきっかけに、人が集う場がつくれたら嬉しいです」
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day to day coffee and espresso
住所:北九州市小倉北区香春口1-5-21 comichiかわらぐち2号室
電話番号:050-5359-7615
営業時間:12:00~18:00
定休日:木曜・日曜+不定休
Web:https://www.instagram.com/2019.daytoday/
コーヒーのおいしさをポップに発信!『I’m COFFEE STAND』
最後に紹介するのは、2018年9月にオープンした『I’m COFFEE STAND』。JR小倉駅から徒歩10分のオフィス街のビル1階にあります。オーナーはバリスタであり、バーテンダーとしても活躍する石井純平さん。
学生時代にバイト先のカフェでエプレッソやカプチーノに出会い、コーヒーの世界に魅せられた石井さんは「将来カフェやバーを出店したい」と、大学卒業後に出身の福岡市からわざわざ、業界でも有名な北九州の老舗バーに就職。バーテンダーとして腕を磨きながら、コーヒーの知識も深めていきました。 数年間の修行ののち、『北九州カクテルコンペティション』で三連覇を果たすなど、トップバーテンダーに成長した石井さんは、昼は『I’m COFFEE STAND』、夜はコーヒーを使ったカクテルを提供する『COFFE BAR J』と、異なるコンセプトの2店舗をほぼ同時期にオープン。
「まったく雰囲気の違う店なので驚かれる方も多いのですが、自分の個性を表現するバーでの仕事と、生産者や焙煎士の思いを体現するコーヒーショップの仕事、両方を行き来することで、視野を広く持てるので、自分にとってはいいバランスなんです」 と語ります。 『I’m COFFEE STAND』の一番人気は、すっきりした味わいでコクのあるオリジナルの『北九州ブレンド』。その他にも月替りで、グアテマラやエチオピアなど、数種類のスペシャルティコーヒーを用意しています。
一杯一杯丁寧に淹れるハンドドリップの他に、コールドブリューやエスプレッソ、カフェラテやカフェモカなどメニューも豊富。バリスタとして大会にも出場する店長・田中さんによる美しいラテアートも人気です。
コーヒー以外にも、フルーツのスムージーやフロートなど、SNS映えするフォトジェニックなドリンクも多く、軽食やスイーツも楽しめるなど、幅広い層に開かれたフレンドリーな店づくりも特徴のひとつ。
そこには「コーヒー通だけでなく、若い子やビギナーにも来店してもらい、コーヒーの奥深さや面白さと出会うきっかけをつくりたい」という石井さんの思いが込められています。
そのために、県外からバリスタのチャンピオンを呼んだり、ラテアートのセミナーを実施したりと、北九州の人々にコーヒー文化を広める活動も精力的に行っています。最近では、『釜山コーヒーフェスティバル』への出店や、上海や台湾でもイベントを予定しており、アジアでの活動にも力を入れています。 「福岡だけでなく北九州にも、ベテランの焙煎士や、歴史あるカフェがたくさんあります。そういった方が守ってきた土壌で、変化や新しいことが生まれている北九州のコーヒーシーンが、北九州を訪れる目的のひとつになるように、頑張っていきたいです」
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I’m COFFEE STAND
住所:北九州市小倉北区堺町1-6-13 パークサイドビル1F
電話番号:093-967-0030
営業時間:8:00〜21:00
定休日:不定休
Web:https://www.im-coffee-stand.com/
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