日本映画『恋愛奇譚集』の主演から高円寺の公式ショートムービーに出演するなど、近年日本での活動の幅を広げている台湾の若手女優・姚愛寗(ヤオ・アイニン ※通称「ピピちゃん」)。前回に続き、台北の迪化街をフォトグラファーの濱田英明さんと一緒に巡りました。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
地衣荒物 Earthing Way
地下鉄大橋駅から南の方向へ歩いて5分ほどの場所にあるセレクトショップ『地衣荒物(ディーイファンウー)Earthing Way』。主に台湾と日本の工芸品、ファッションアイテムが販売されているセレクトショップで、台北の工芸品マニアの間では「工芸の聖地」とまで呼ばれているお店です。
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目印はお店の前にある大きな昔ながらの三輪車。「台湾の古き良き生活スタイルを今の社会に届けたい」とオーナーのバイオさんは言います。
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店内の商品の中でピピちゃんが気になったのが陶器製のプレート。このプレートは台湾の職人さんによるもので、一枚一枚手書きのイラストと模様が描かれています。
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『地衣荒物』が数ある台北のセレクトショップの中でも特別な理由は、全てのアイテムに歴史とストーリーがあること。オーナーのバイオさんはまるで自分の我が子を紹介するように、ひとつひとつ丁寧にアイテムのストーリーを伝えてくれます。
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そしてこのお店の奥に出ると、ぽっかりと中庭のような「中抜き」と呼ばれる空間に出ます。
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昔の台湾は親族数世帯が一緒に暮らす、日本で言うと長屋のような住宅型式。中抜きを囲むように各世帯の家が建てられたそう。この真ん中の中抜きで洗濯物を干したり、家族みんなでお茶を楽しんでいたと言われます。そんな台湾の歴史と文化をふとしたところで発見できるのも、迪化街ならでは。
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『地衣荒物』の店舗を通り抜け、中抜きから2階に上がると隠れ家のようなカフェバー『小城外』があります。その隣にある、ワインレッドのビロードで統一された離れの個室でひと休み。
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その後、一階へと下り、濱田さんはこちらでメイドイン台湾のサンダルを購入。そして次へと向かいます。
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地衣荒物 Earthing Way〜永楽商場
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『地衣荒物』を後にして次に向かったのは永楽商場。永楽商場は台湾の中でも最大級の布市場があることで知られています。絹の織物から今人気の客家族の花柄の生地まで、テキスタイル好きにはたまらない昔ながらのスポットです。
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永楽商場の中にある小さな商店街にやってきました。ここでは台湾の伝統的な屋台を見ることができます。
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小腹を満たす軽食が買える小吃店(シャオツー)から生花店まで、ありとあらゆる生活用品が並ぶ商店街。私たちが訪れたのは夕方だったので、多くのお店が店じまいの支度中。
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地元の人からしたらなんてことのない日常風景なのだと思いますが、旅行者にとっては、異国の地の普段の生活感が垣間見られるワクワクするエリアです。
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行冊 walkingbook
永楽商場からすぐの場所に、台北の若手アーティストたちが「桃源郷」と呼ぶお店『行冊(シンツァー)walkingbook』があります。この『行冊walkingbook』は書斎、カフェ、レストランが複合的に備わる、台湾の歴史とモダンカルチャーを体感出来るスポット。3階建てのお店は、フロアごとに全く違ったコンセプトで運営されています。
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まず、1階は「リビングルーム」と呼ばれるフロア。
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ここでは台湾の上質なお茶やクラフトビールなどを楽しむことが出来るカフェです。この日、ピピちゃんが味わったのはあっさりとした風味が特徴の「港口茶」。台湾東部の名産とも言われるお茶です。
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そして、次は2階のレストラン、「ダイニングルーム」へ。
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古い台湾の木門をリメイクして作られたテーブルが印象的な2階では、ギリシャ、スペイン、イタリア南部などの地中海テイストのベジタリアン料理を提供。オーナーのこだわりはデンプンを出来る限り除き、昔からある素朴で優しい味を再現することだそう。
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そして最後は、3階の書斎、「リーディングルーム」へ。
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普段は撮影禁止の3階を、今回は特別に紹介させてもらえることになりました。ここにはインディペンデント雑誌やデザイン本やアートブック、さらには台湾の歴史を学べる本まで幅広く取り揃えられています。「パラパラ読めるような本は置いていない、どの本も時間をかけてゆっくり読んで欲しい」とオーナーは言います。
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まるで入り組んだ迷路のような3階の一角で、ピピちゃんが見つけたのは、屋根裏部屋のような空間。
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ここで夕暮れ時の、優しい太陽が沈む様子を静かに眺めるピピちゃん。自分のカメラを取り出し、オレンジ色に染まった台湾の町並みを撮影していました。
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日星鑄字行
最後に訪れたのは、迪化街エリアから少し足を伸ばしたところにある、『日星鑄字行(リシンチェズーハン)』。
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ここは1969年に開業後、現在では台湾で唯一、活字鋳造の生産と販売を続けているお店。最近では中国語オリジナルの漢字「繁体字」を守っていこうというムーブメントが、台湾全土で盛り上がっています。その中でも『日星鑄字行』は中心的な役割を担い、定期的にワークショップや活字鋳造の歴史を紹介する展示会を主催しています。
また昨年「台湾のアイデンティティ」を探し求める若者たちが、『日星鑄字行』と共同で台湾の伝統的な活字鋳造の保存と発展のためにクラウドファンディングを実施。2017年8月時点でなんと900万台湾ドル以上(日本円:約3240万円)の資金を集めたことで、大きな話題となりました。
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世界を探しても、楷書、宋体、ゴシック体の繁体活字が揃うのは『日星鑄字行』だけ。2メートルほどの棚一面に敷き詰められた鉛製の活字の中から、ピピちゃんは自分の名前を探します。
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この日は特別に、台湾の伝統的な「活字印刷の伝承者」と言われるオーナーの張介冠(ジャン・ジエグアン)さんに、活字鋳造の現場に案内をしてもらいました。
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ここでは日々新しい活字を鋳造する他に、修復作業も行われているそう。鋳造現場は夏場には50℃以上にまでなるそうで、現場からは熱気が溢れるほどでした。
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一通り説明を聞き、お話をさせていただいた後に、張介冠さんともお別れ。「また遊びにおいで!」という言葉とともに、笑顔で見送ってくれました。
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迪化街エリアとは?
100年を超える古い街の中で、昔からの伝統を引き継ぎつつ、そこから新しいものを生み出し、次の世代に伝えていきたいという想いをもった台湾人にたくさん出会うことができた迪化街エリア。
台北の歴史と職人技、そしてそこから生まれる新しい文化を味わえるのが、このエリアの醍醐味なのかもしれません。
次回台北にお越しの際は、ぜひ迪化街を歩いてみてください。
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- プロフィール
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- 姚愛寗 (ヤオ・アイニン)
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今、台湾で注目を集める若手女優。2014年、映画デビュー作『共犯』でシャー・ウェイチャオ(夏薇喬)を演じ、評価を得る。翌年・2015年には、台湾のカルピスCMに出演。そして2016年には、2017年の年末に上映予定の映画『帶我去月球』で、90年代の青春ロックストーリーを演じる少女に抜擢される。日本での本格的な活動もスタートし、初主演映画『恋愛奇譚集』は、2017年8月に台湾で公開となった。その他に、女優・小松菜奈や、写真家・川島小鳥との仕事でも知られる。
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地衣荒物 Earthing Way
住所 : 台北市大同區民樂街34號1樓
営業時間 : 10:30〜19:30
定休日 : 火曜日
電話番号 : 02-2550-2270
最寄り駅 : 大橋頭駅
Facebook : http://www.facebook.com/D1H5earthingway
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日星鑄字行
住所 : 台北市大同區太原路97巷13號
営業時間 : 平日 9:00〜12:00、13:30〜18:00
土曜日 9:30〜12:00、13:30〜17:00
定休日 : 日曜日
電話番号 : 02-2556-4626
最寄り駅 : 中山駅
Facebook : https://www.facebook.com/rixingtypefoundry/
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行冊 walkingbook
住所 : 台北市大同區延平北路二段33號営業時間 : 12:00~22:00
電話番号 : 02 2558 0915
最寄り駅 : 北門駅
Webサイト : http://walkingbook.tw
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OrigInn Space
住所 : 台北市大同區南京西路247號
営業時間 : 11:00~19:00
定休日 : なし
電話番号 : 02-2558-8843
最寄り駅 : 北門駅
Webサイト : https://www.facebook.com/OrigInnSpace/
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