「沖縄には、ランナーが多い!?」
温暖な気候に綺麗な海と、清々しい空気が流れる沖縄。そんな沖縄で、のんびりゆっくり暮らしたい……。そのような願望を持つ方は少なくないかもしれないが、実は沖縄は多くのランナーがいることで知られています。「そんな暑い場所で走るなんて……」と、疑うかもしれませんが、海風も心地よい沖縄では、早朝や夕方にはランナーの姿を目にすることが多いともいわれています。そんな沖縄で走る心得として、2015年より沖縄と東京の2重生活を開始した、走って食べて呑むフリーランサー・小林“こばーん”朋寛による、沖縄でオススメのランニングコースを紹介します。
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
沖縄には、ランナーが多い!?
日本のランニング人口は推定1000万人と言われています。フルマラソン(42.195km)やハーフマラソン(21km)といったマラソン大会に出場するような方だけでなく、シューズとウエアがあれば簡単に始められるということもあって健康管理や体型維持のために日頃から軽いジョギングをしているという方も多いはず。
ランナーの視点で沖縄の街を眺めてみると、実に走っている人が多いことに気づきます。朝とも夜ともなく、幹線道路沿いや公園を軽やかに走っている老若男女。明らかに他の街に比べてもランナーを目にすることが多いです。
その理由は? ちょっと不思議に思ったので調べてみると、沖縄は他の都道府県に比べてもフルマラソン完走者の人口比率が高く全国1位。そして、1年のうちに開催されるフルマラソンは8回、ハーフマラソンは21回と、ひとつの県としては驚異的な数字です(2016年の実施予定大会より換算)。夏の盛りになる7月8月を除いてほぼ毎月何らかの大会が行われているということで、県民にとってもマラソンが身近な存在であることがうかがえます。
また、長寿の印象が強い沖縄ですが、肥満率も全国的にトップクラス。その反動で健康志向の高まりがランニングやウォーキングに向かわせているのかもしれません。ちなみに実際に沖縄で生活してみると、移動手段はほぼ車。運動に意識的にならないといけないと思いつつ、ついつい沖縄の美味しい食べ物に手が伸びてしまうので気をつけなければいけません……。
そんな“ランニング大国”沖縄。今回の特集では那覇市内でのオススメコースをご紹介します。都心部ながら沖縄の自然を感じられるコースから、国際通りや首里城など観光地を巡るものまで全3コース。地元の方は日頃のコース設定の参考に、観光客の方は旅行でなまった身体をほぐしつつランニングトリップをぜひ楽しんでみてください!
1.奥武山公園~漫湖公園を巡る5kmコース
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まず最初は奥武山公園(おうのやまこうえん)と漫湖公園(まんここうえん)というふたつの公園を巡るコース。奥武山公園は昭和34年6月に解説された沖縄県初の運動公園で沖縄セルラースタジアム那覇や武道館、弓道場、テニスコートなどが併設された総合運動場です。NAHAマラソンのスタート&ゴール地点でもあります。
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漫湖公園は国の鳥獣保護区特別保護地区に指定されている漫湖に面した総合公園。那覇港に通じる河口域にある漫湖は多くの渡り鳥の飛来中継地になっており、1995年5月に湿地の保存に関する国際条約であるラムサール条約に登録された湿地です。
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奥武山公園の中心部に1周1,066mのゴムブロックが敷かれたジョギングコースがあり、まずはぐるっと周ります。公園の中には世持神社(よもちじんじゃ)、沖縄県護国神社、沖宮(おきのぐう)という3つの神社があるので参拝しながら巡ってみるのもいいでしょう。
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そしてゆいレールを横目に那覇大橋を渡り、漫湖公園へ。国場川沿いにジョギングコースがまっすぐ伸びています。
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ちょうど2月~3月は、寒緋桜(かんひざくら)が咲き始める頃。色の濃い花を横目に観ながらランニング。那覇の都心部に近い場所ながら、ガジュマルの大木やマングローブなど沖縄らしい豊かな自然を感じることができるはずです。奥武山公園の周回や漫湖公園の行き来を増やせば距離も伸ばせるのでロング走トレーニングにも向いています。
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2.首里の心臓破りの激坂にチャレンジする8kmコース
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つづいては首里城周辺を巡るコース。ゆいレールの首里駅をスタートして首里城方面に降りていきます。
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鬱蒼と茂る緑豊かな首里城の中には堅牢な石垣や2千円札にもなっている守礼の門や、1427年に尚巴志王の命で作られた人口の池「龍潭(りゅうたん)」などがあり、歴史ゆかしい琉球王朝への思いが募ります。
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住宅地の方へ細い路地を入って行くと、沖縄最古の映画館で今では成人映画を専門に営業している『首里劇場』があるので、その強烈にノスタルジーを煽るレトロな外観をひと目見ておきたいところ。
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首里城は那覇市街を見渡せる丘陵地にあるので、ダウンヒルの時には遠く東シナ海を望むことができて気持ちがいいです。
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そして沖縄都ホテルのスカイバンケットを目印に県道29号線を走り降り、首里寒川町方面へ。
ここからがこのコースの醍醐味である激坂ラン。金城町方面へ寒川緑地を中心につづら折りになっている坂道は心臓破りの様相を呈していきますがここが頑張りどころです。
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この坂を超えると金城町の石畳や樹齢300年と言われている大アカギ、泡盛の「瑞泉酒造」など観光スポットに立ち寄ることができます。
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首里エリアには『食堂黒猫』や、昨年オープンしたばかりの『CONTE(コント)』などカフェも多く、ランニング後の休息にはもってこい。また、ぎぼまんじゅうや安室のサーターアンダギー、首里餅菓子店のあんこ餅など伝統的な美味しい甘味が盛り沢山なので消費を上回るカロリー摂取を甘んじて受け入れる覚悟が必要です。
3.国際通り~栄町市場~与儀公園~牧志公設市場で満腹な7kmコース
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最後は那覇の目抜き通り、国際通りを中心としたコース。国際通りと言えば観光客でごった返しているイメージですが、早朝であれば空いていて、普段駆け抜けることができない場所を快走できるのです。
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ちなみに国際通りは県庁北口の交差点から安里三叉路まで約1.6km。戦後復興の象徴的な場所として「奇跡の1マイル」とも呼ばれています。通りの両端にはそれぞれ2体の大きなシーサーが鎮座しているので「お邪魔します」と挨拶してからスタート。
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国際通りを駆け抜けたあとは東側のひめゆり通り方面へ。
夜の喧騒とは打って変わって静まり返った栄町社交街や桜がきれいな与儀公園を巡って、農連市場にある『ON OFF YES NO』のコールドプレスジュースで一息つきましょう。
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旬の柑橘類を使ったGold(800円)の酸味が疲れた身体に染み入ります。この日は京都のはっさくと沖縄のたんかんが使われていました。
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その後は『陶・よかりよ』で焼き物をチェックしてもいいし、移転してきた『MAHOU COFFEE 』でそのまま休憩第二弾を決め込んじゃってもいい。さらには牧志公設場周辺を散策してみるのも楽しいです。
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国際通り側に面したエリアはお土産品店などもあり観光客で賑わっていますが、壺屋側や農連市場側から入っていくと、非常にローカルな雰囲気が流れていて、沖縄ならではのチルアウトな空気に安心します。筆者おすすめ「呉屋のてんぷら」を補給食にして、再び国際通りに戻り、県庁側を目指しゴールを目指しましょう。
以上、今回は那覇の中心部を走る3つのコースを紹介しました。コース上では歩行者の方がいる場所もあります。すれ違うときは走るのをいったんやめて歩くなど、ぜひご注意を。また、住宅地や商店街などでは近隣の方へご挨拶、お店に入るときは汗を拭ってクールダウンするなどお気遣いも忘れずに。
知らない場所を走って巡るときっとその土地のグルーヴをダイレクトに感じることができるはずです。普段は立ち止まらなかったような場所でも一呼吸してみて、ぜひ沖縄の空気を存分に味わってみてください。
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