高雄出身のロックバンド『エレファントジム | Elephant Gym』。2016年には日本でもアルバムをリリースし、サマーソニックにも出演するなど、注目を集めています。そんなメンバー張凱婷(ティフ / ベース)、張凱翔(テル / ギター、ピアノ、シンセサイザー)、涂嘉欽(トゥ / ドラムス)の3人が前回に引き続き、青春の思い出がたっぷりつまった高雄のベイエリアを案内してくれました。
>高雄の人気バンド・エレファントジムが案内する、ノスタルジックなベイエリア その1
※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。
旗津天后宮
フェリーターミナル『鼓山輪渡』から10分ほどフェリーに乗り『旗津半島』にやってきた3人。まず最初に、船着き場のすぐそばにある、300年余りの歴史を持つ台湾最古の寺院『旗津天后宮(きしんてんこうぐう)』に向かいました。ここは航海の女神である「媽祖(まそ)」が祀られ、古くから高雄に住む人々の海の安全を守ってきたそう。
境内に足を踏み入れると、お線香の香りが。3人は静かに堂内をゆっくりと回り、媽祖が祀られた台座の前に立ち、手を合わせ、お祈りをしていました。
旗津海産街
『旗津天后宮』の境内を出れば、海産料理を扱うお店が立ち並ぶ、にぎやかな通り『旗津海産街』の始まり。道の両側にお店が並び、店員さんが大きな声でお客さんを呼び込みます。ここでティフとテルが台湾屋台の定番「葱餅(※焼餅の一種)」を購入。熱々の「葱餅」を口いっぱいに頬張りながら、街道を進みます。
そして道中、見つけたのがイカの炭火焼きの屋台。すぐさま屋台に駆け寄っていく3人。
テル:『旗津海産街』に来たら、イカ焼きは絶対に食べます。水揚げされた後すぐに調理されているから、新鮮でおいしいんですよ。
とれたてのイカを甘い醤油ベースのタレにたっぷり浸し、炭火でじっくりと焼いていきます。そして焼きあがったイカに、ごまをパラパラとふりかけて完成。屋台の店長さんによると新鮮なイカはシンプルに調理するのが一番とのこと。
今度はイカを片手に旗津海産街を歩きます。
旗津星空隧道
旗津海産街を歩き続けると海が見えてきて、そこから海岸沿いに歩いていくと洞窟のようなトンネルが現れます。このトンネルは地元では『旗津星空隧道(チージンシンコントンネル)』と呼ばれているそう。日本語での意味は星空のトンネル。とてもロマンチックな名前です。
このトンネルを抜けると、茜色に染まった海が広がります。
夕日を眺めつつ、さきほど屋台で買ったイカを頬張る3人に、活動の場を台北から高雄に移したことで、楽曲制作にどんな影響があったのかを聞いてみました。
ティフ:自分たちが想像していた以上に、住む場所を変えたことによって、音にも影響がありました。慌ただしい台北から故郷である高雄に戻ったことで、周りの景色をよく見るようになったような。そして以前に比べると生活の中で感じたことが、曲の中に溶け込んでいる気がします。
テル:高雄は台北と比べると、ゆっくりとした時間が流れていると思うんです。みんなゆっくり歩いている。実は高雄に戻ってから作った曲のテンポが、台北にいる時と比べると明らかにスローになっているんです(笑)。また、もっと色んなことに挑戦したくなり、今までインストゥルメンタルの楽曲のみを発表していましたが、ボーカル入りの曲の制作もはじめたり。
トゥ:自分たちの故郷は海と山と川に囲まれ、固有の文化を持った素晴らしい場所だと思っています。将来は、「高雄の音(サウンドスケープ)」を楽曲の中に入れて、聴くだけで高雄の風景が思い浮かぶような音楽を作りたいな。
テル:ここから少し丘を上がって、サンセットを見に行きませんか? 台湾で一番美しいと言われるサンセットスポットがあるんですよ。海外のバンド仲間が高雄に遊びに来た時は、必ず連れて行く、とっておきの場所なんです。
3人が堤防から続く階段道を登っていきます。そしてたどり着いたのはレンガで作られた大きな要塞のような建築物『旗後大砲台』でした。
旗後大砲台
まだ清王朝が台湾を治めていた1876年にこの砲台は建設されました。その後、数百年に渡り最新の大砲が設置されていたそうです。その後、日本軍の爆撃により正門が破壊されましたが、1990年代に再建。現在は大砲はなく、レンガでできた台座だけが残ります。
この『旗後大砲台』は地元の人だけではなく、世界中からも美しいサンセットを鑑賞できるスポットとして知られています。
トゥ:小さい頃から、学校の行事や家族で日帰り旅行、あとはデートでここによく来ました。ここで夕日を見ていると、そんな昔のことが頭の中を巡ります。毎回、ここに来るたびに、思い出がひとつずつ増えている。この景色が僕を育ててくれたのかな。
今までおしゃべりが止まらなかった3人も、静かに沈んでいく太陽をただただ眺めていました。
西子湾からフェリーで約10分の場所にある旗津半島。300年の歴史を誇る『旗津天后宮』、新鮮な海の幸を堪能できる『旗津海産街』、そして美しいサンセットを鑑賞できる『旗後大砲台』と、見どころがいっぱいなこのエリア。高雄に来られた際はぜひ、エレファントジムの3人も大好きな、ノスタルジック感漂うこのベイエリアをゆっくり巡ってみてください。
- プロフィール
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- Elephant Gym
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2012年に結成した台湾高雄出身のマスロックバンド。メンバーは張凱翔(テル, Tell Chang)<Guitar, Piano, Synthesizer>、張凱婷(ティフ, Tif Chang)<Bass>の兄妹と、涂嘉欽(トゥ, Tu Chia-Chin)<Drums, Percussion>の3人。テクニカルなプレイと、ベースサウンドを主体としたセンスあふれる楽曲が評判を呼び、これまでにも数々のフェスに出演する。
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