最新のダンスミュージックとJ-POPの融合による楽曲と独特な歌詞世界観、個性的なビジュアルワークが話題を呼び、2月に発表したメジャーデビューアルバムも好調の覆面ユニットCTS。最近ではAFROJACKやテイラー・スウィフトといった海外の大物の来日公演でオープニングアクトを務めるなど、さらに知名度を高めつつあるが、その状況をより加速させるであろう強力な1作『全世界 NEVER GAME OVER』が完成した。本作にはGReeeeNなどのプロデュースを手掛け、自身もHIGH SPEED BOYZとしてアーティスト活動を行うJINが参加。インタビュー中でも語られている通り、CTSのプロデュースを務めるDJ KAYAとJINとは以前から交流があったが、偶然とも必然とも呼べるような巡り合わせを経て、今回のコラボレーションが実現している。
前回のCTSの取材では、DJ KAYAとクリエイティブディレクターの宮下俊之にユニットの成り立ちについて訊いたが、今回はDJ KAYAとJINとの対談を実施。まず何より印象的だったのが、JINのCTSに対する熱い想いだ。GReeeeNが今国民的な人気を誇っているのも、メンバー含め、この「熱」を根底に持っているからであろうことがはっきりと伝わってきたし、トランスブームの時代から日本のクラブシーンを見つめ続けてきたDJ KAYAもまた、この熱を内に秘めているからこそ、二人は共鳴したのだと思う。そして、あくまで音楽に軸足を置きながら、物事の捉え方や価値観の変容に関心を持ち、この国の未来の姿を模索する二人の話には、人生を豊かに生きる上での様々な提案が含まれていた。ぜひ、CTSの音楽に触れて、あなたがどう感じたかを伝えてほしい。
「このイベント(自国の音楽で踊るコンセプト)ってすごいいいイベントだし、あと2年後くらいがちょうどいいんじゃないですか?」って言われて、CTSはそのちょうど2年後ぐらいに始まってるんです。JINくんが予言してたんですよ(笑)。(KAYA)
―KAYAさんには今年の1月に取材をさせていただいて、その後アルバムが出て、今年の上半期はライブの本数も多かったですよね。その中で感じた手応えと、その一方で感じた課題と、それぞれ話していただけますか?
KAYA:まず手応えで言うと、単純にライブのオファーが増えたので、みなさんに見てもらえる回数も増えてきて非常に嬉しいです。とはいえ、楽曲や歌詞、ビジュアルも含めたCTSの世界観をきっちり伝えられてるかっていうと、まだまだこれからだと思うので、CTSを知らない人にこれからそこをどうやってよりCTSらしく伝えていくのかっていうのが作業は常に考えてます。
―今回の作品はそのための新たな一歩であり、そのキーパーソンがJINさんだと言えそうですね。実際、どういった経緯でJINさんが参加されることになったのでしょうか?
JIN:僕がよく飲んでるお店でCTSの曲がかかったんですよ。すぐに「これ誰だ?」と思ってShazam(流れている曲を検索できるアプリ)で調べたらCTSで、YouTubeも全部見て、すごい好きになって。そもそも僕、GReeeeNとかもやってますけど、昔はメタルバンドをやってて、どっちかっていうとアングラな音の方が好きなんですね。そういう意味でも、CTSはすごいかっこいいなって思って、「最近ヤバいのがいるんだよ」って周りに話してたら、「それKAYAさんがやってるんだよ」って言われて、「えー!」ってなって(笑)。
―(笑)。KAYAさんとはそれ以前から知り合いだったわけですよね?
JIN:カラテカの入江くんを通じて知り合って、GReeeeNのリミックスを作っていただいたり、ライブにも出演していただいたりしてたんで、これはもうご縁だなと。
KAYA:ご縁ってすごいですよね(笑)。入江くんとDJ ANDOが『J-POP NIGHT』ってイベントをやってて、そこに僕が出てて、JINくんが遊びに来たときに紹介してもらったんですよ。そこで「DJとして日本の音楽を盛り上げたいんですよ」って話をしたら、「このイベント(自国の音楽で踊るコンセプト)ってすごいいいイベントだし、あと2年後くらいがちょうどいいんじゃないですか?」って言われて、CTSはそのちょうど2年後ぐらいに始まってるんです。JINくんが予言してたんですよ(笑)。
―JINさん、なぜそう思ったんですか?
JIN:いや、なんとなくです。俺結構なんとなくが多いんで(笑)。
KAYA:JINくんは感覚がすごいんですよ。フロアで日本人の曲がかかるって、言ってしまえばやってることは超ミーハーなんですけど、「ミーハーなのに早過ぎる」イベントだったんですよね(笑)。そういう雰囲気を、JINくんは感じてたんだと思うんです。
JIN:日本の一般の人って、クラブっていうとナンパとかチャラいっていうイメージがあって、それと音楽のイメージがドッキングしちゃってるんですよね。でもね、意外とZedd(ドイツのDJ / アーティストで、EDMシーンの中心人物の1人。Lady GaGaなどのプロデュースも手がけている)とかって泣けるんですよ。デヴィッド・ゲッタとかにしても、海外のアングラな方面から見たらチャラい方ですけど、でも感動するし、泣けるんですよね。そう考えてみると、「このジャンルってこういうイメージだよね」って、型にはめて考えるのはつまらないし、そういう時代はもう終わりを迎えるんじゃないかと思うんですよ。
―そうですよね。海外ではEDMがポップスとかヒップホップとかジャンルを超えて融合していっているわけで、それがチャートを席巻していますもんね。
JIN:僕はずっとメタルをやりながらJ-POPもやってきて、GReeeeNが売れたときは、一瞬友達減ったんです。「あいつ何やってんだ?」って。でもね、今は関係も普通に戻ってきて、J-POPの現場でアングラ仲間も一緒に仕事してるんです。そうやって時代は変わってきてると思うし、そういう意味でCTSは、「遂にこの時代が来た」って思ったんですよ。
―CTSが目指してる「最新のダンスミュージックとJ-POPの融合」が、JINさんに響いたんですね。
JIN:そうなんですよ。何気なくかかってた音楽がメッチャ良くて、「これヤバい!」って調べてすぐに買っちゃったわけですからね。
泣ける歌詞、美しいメロディー、それでバッキバキのダブステップとかって、最近の流行りっていうか、新しい世界観だと思って、CTSを初めて聴いたときに、「日本にもいた!」って思ったんですよ。(JIN)
―KAYAさんはGReeeeNやJINさんの活動をどう見ていましたか?
KAYA:さっきのJINくんの話とまったく同じで、僕もJ-POPを追いかけるようになってクラブの友達が減ったんですけど(笑)、当時DJ目線で盛り上がるJ-POPをいろいろ探してて、その中でフロア受けが超良かったのがGReeeeNなんですよね。最初特にヤバかったのが“愛唄”(2007年リリース)で、ホント曲もいいし、フロアでかけても盛り上がって。その延長線上でJINくんと出会うことができて、しかも、たまたまGReeeeNのディレクターさんが、僕が昔仕事した事があるアーティストの担当の人だったりして。
JIN:僕もそのアーティストさんに関わってたんです(笑)。
―ここにもご縁が(笑)。
KAYA:それもあって、GReeeeNがNHKでやった初めてのイベントにDJとして参加させていただいて、TSUTAYA限定のGReeeeNのミックス盤もやらせていただいたりして、そうしたら、JINくんが偶然CTSを発見してくれたっていう。そこが何のやらせもないのが結構やばくて……(笑)。それでCTSのメンバーに「JINくんがすごい気に入ってくれてる」って話したら、メンバーもめちゃめちゃ喜んで、JINくんのスタジオや飯食いに行って、そこでJINくんの音楽に対する熱い部分にみんな共感して、「ぜひ一緒に何かやりたい」っていう話になったんです。
―実際の制作はどうやって進めて行ったんですか?
KAYA:一緒にスタジオに入って、JINくんがギター弾いて、そこにメンバーの○(サークル)さんがメロディーを乗せて行くっていうやり方でしたね。いつもは最初にトラックから作る事が多いんで、これまでのCTSとは逆の作り方でした。今回はJINくんに「どうやったらより伝わるのか」っていう部分をいろいろ教えてもらって、例えば、シンセの音から曲が始まるとして、でもシンセの音が好きじゃなかったら、それだけで嫌ってなっちゃうこともあるかもしれない。だったら、生きて行く中で普段聴いてる音から曲が始まった方が、1人でも聴いてくれる人が増えるかもしれないとか、そういう話をいろいろして。
JIN:KAYAさんが目指してるのって、さっきのZeddみたいな、感動もできて、でものれるっていうものなんです。僕ずっと音楽をやってきましたけど、音楽に絶望するときってよくあるんですね。あるときそうなって、一人で沖縄行ってボーっと車運転してて、Zeddの“Clarity”って曲聴いてたら、泣けてきまして。あとで歌詞調べたら、「私たちはこんなにも好き同士なのに、なぜいつもぶつかってしまうの?」っていう歌詞で、でもその曲でのるわけじゃないですか? この感じ相当新しいなと。
―「この瞬間を楽しもう!」とか、アッパーに盛り上げるものが主流でしたよね。
JIN:泣ける歌詞、美しいメロディー、それでバッキバキのダブステップとかって、最近の流行りっていうか、新しい世界観だと思って、CTSを初めて聴いたときに、「日本にもいた!」って思ったんですよ。だから、その泣ける部分、楽曲としてのクオリティーを一緒に突き詰めて行ったら、「いいの作れますよ! KAYAさん!」っていう(笑)。それがやりたくてしょうがなかったんで、ホントにお金とか仕事云々じゃなく、「一緒にやりたい!」って思ったんですよね。
今回メールでのやり取りで済ますってことが1回もなくて、ちゃんとJINくんとメンバーが会ってやり取りしてるんです。そこで、今インタビューで話してる、このJINくんの熱い話の楽曲制作版が繰り広げられたわけです(笑)。(KAYA)
KAYA:今JINくんの話を聞いてるだけでジーンときちゃいました(笑)。ここまでわかってくれる人って、正直まだ少ないんですよ。
JIN:さっき言ったみたいに、流れてる曲を聴いて、「ヤバい!」と思って、Shazamで調べてすぐに買うみたいなことをしてる人って、今どれだけいるんだろうなって、それいつも思うんですよ。多分昔より少なくなってるはずです。
―本当に熱心な音楽ファンくらいでしょうか……。
JIN:俺がひとつ悩んでるのは、「何で買わないの?」ってことなんですよ。「タダで聴いたものに価値あると思ってるのかな?」って。俺はぜひこのCTSさんの曲を買ってほしいんです。それはレコード会社のためでも我々のためでもなく、「お金を払うっていう体験」を楽しんでほしい。タダで簡単に手に入れられるものって、簡単だから楽しみが少ないじゃないですか。それだとせっかくいい物を手に入れても、ちゃんと価値を感じられないと思うんです。ほらよく、自分の地元の観光地にはいつでも行けるからこそ行かないみたいな話があるじゃないですか? それと同じ事ですよね。
―これからの時代はストリーミングで聴くことが増えてきそうですし、ますます「音楽ってタダでしょ?」という価値観が主流になっていきますよね。つまり、「お金を払うっていうのは楽しいことだ」っていうのを、どう伝えて行くか、そこが問題になる。
JIN:例えば、海外にはチップを払う習慣がありますけど、あれって言ってみれば「オシャレ」なんですよね。チップを払うことが「ありがとう」という、価値観。そういう意味では、曲を聴いて、自分の感覚を信じて、「このアーティスト好き」って言って、それを買うのって、ものすごいオシャレなことだと思うんですよ。全然自分らしい。だからこそ、今回の曲をぜひ聞いて、感動したら、買ってほしい。個人的には歌詞の世界観、歌声、曲の盛り上がり、近年まれに見る名作だと思ってます。俺ティザーだけで泣いちゃうんで(笑)。
―めちゃめちゃ感性が敏感ですね(笑)。
JIN:あの再生回数の30回は俺ですよ(笑)。でも、ホント俺この曲は新しい価値観を示してると思うんですよね。今までの日本にこういう曲はなかったし、韓流でもないし、30代が通ってきたR&Bとかヒップホップの感じでもないでしょ? メンバーがやったイントロのギターの音の処理でもう泣けますもんね。すっごいキラキラしてて、だいぶローを切ってる。あそこはメンバーがすごい大事にしてたんですよ。
KAYA:今回メールでのやり取りで済ますってことが1回もなくて、ちゃんとJINくんとメンバーが会ってやり取りしてるんです。そこで、今インタビューで話してる、このJINくんの熱い話の楽曲制作版が繰り広げられたわけです(笑)。それがメンバーにも伝わって、「絶対いいものを作ろう」っていう気持ちがより高ぶったんだと思うんです。
JIN:CTSはメンバー自体もすごくいいんですよ。まず歌う人って、ピュアじゃないとダメなんです。赤ちゃんの泣き声と同じで、ピュアじゃないと、人の心の扉を開けられない。マイケル・ジャクソンでもマドンナでも、みんなピュアで、だからおっちゃんおばちゃんになっても人を魅了するんです。CTSはそのピュアさを三人全員が持ってるから、音だけで泣けるんですよ。
KAYA:僕もそうですけど、メンバーももともと変にビジネスライクではなく、単純に好きだから音楽をやってきてると思うんです。ちょっとお金を稼げる時期があって、売れなくなるとすぐやめちゃうって人もいますけど、メンバーみんな「まず純粋に音楽が好き」っていう簡単だけど、深いぶれないコアみたいなものがあると思うので、そういう意味では、音楽を作る事にはぶれないし、ピュアなのかもしれないですね。
今の10代にはぜひこの曲の感じをインストールしてほしくて、彼らが20~30代になったときに「いけるっしょ」って思える。そういう日本になるための、鍵のような曲だと思うんですよ。(JIN)
―『全世界 NEVER GAME OVER』って、タイトルもかなりインパクトありますよね。
JIN:この曲には新しい希望を感じるっていうか、「この曲を聴いて頑張れました」とかそういうことじゃなくて、「新しい感性をありがとうございました」みたいな感じなんですよ(笑)。今の10代にはぜひこの感じをデフォルトとして持ってほしくて、「大企業と戦っても無理じゃん」じゃなくて、これをインストールしておくことによって、彼らが20~30代になったときに「そういうことじゃないな、いけるっしょ」って思える。そういう日本になるための、鍵のような曲だと思うんですよ。その曲にどんなタイトルがつくかと思ったら、メンバーが出してきた答えが、「全世界NEVER GAME OVER」。
―「世界は終わらない」と(笑)。
JIN:今って、大人たちは「業界は厳しい」って言うけど、若い子にしたら「最初から厳しいです。これって厳しいんですね、我々ここスタートなんですけど」みたいな感覚だと思うんです。この曲もその感覚を持ってて、だから「ここの歌詞が好き」とかそういう理屈じゃなくて、ただ好きか嫌いかっていう、それだけな気がするんです。真ん中って実はない。好きか嫌いかだけ。だからさっき話をした、耳の感性で聴いてる人たちで、この曲を好きだと思ってくれた人はすぐに買うと思います。それくらい、この曲は世の中を変えて行く上で、ひとつの鍵だと思うんです。
―JINさんはあくまで音楽に軸足を置きつつ、ものの捉え方を変えたり、価値観を更新していくことを常に考えていらっしゃるんだと思うんですね。そこでもうひとつお伺いしたいのは、アーティストの打ち出し方についてです。GReeeeNは匿名的なアーティストの先駆けと言えますし、CTSも匿名性がありつつ、さらに「○△□」というアイコンで打ち出しているところに、今の時代を感じます。こういったアーティストの打ち出し方について、今後どうなっていくとお考えでしょうか?
JIN:これから間違いなく言えるのは、アーティストごとに自分たちのインフラを作っていかないとダメですね。今までだとルートがあって、今もそれでビジネスをされてる方はいると思うんですね。例えば、新人がデビューしたらまずこのイベント、次にこの雑誌、それでここに行く、みたいな。でもこれから大事なのは、アーティスト一人ひとりが「我々はこういう風にやろう」ってインフラを作っていくことで、その打ち出し方の中の1つとして、匿名性が高いとか、衣装が特徴的とかっていう方法論があるんだと思います。そういう方がニュース性も高いし、そういう新しい概念で出てくるアーティストっていうのが、これから増えると思いますね。今回の曲は、そういうアーティストを育てるための鍵とも言えるかもしれない。
―これまでの話の中で、「オシャレ」っていうのもキーワードとして出て来てますよね。
JIN:オシャレって、人生の豊かさじゃないですか? オシャレって、一つひとつをこだわったり楽しんだりすることだし、それが人生の豊かさにつながると思うんです。そして音楽は、その最強ゾーンですよね。「趣味は音楽です」って、「めちゃめちゃオシャレなことだってわかってる?」っていう。それを感じなくなったら、日本は今後世界で勝負できないですよ。高機能のロボットは作れるかもしれないけど、今や機能なんて海外に一瞬でコピーされるわけで、それより見た感じだったり、コンピューターとのやり取りがオシャレだったりする方が大事で、それを理屈化して仕事にしたのがAppleでありジョブズですよね。
―まさに、そうですね。
JIN:なので、アーティストが作ったオシャレをちゃんと人に伝わらせるために、日本はオシャレを感じる人のマーケットを作らないといけない。だから、何度も言ってますけど、今回の曲を聴いて響いた人は迷わずに買ってほしい。自分が好きだと思ったことを全身で直感的に信じて、それにペイすることがどれだけ素敵なことかって、その体験をしてほしいんです。これは音楽だけの話ではない。例えば「USJにできたハリーポッターのやつ、行ってみたーい!(タダで)」なんて思わないでほしい(笑)。
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CTSが盛り上がってきた要因はどこにあるのか?
間違いなく、今までで一番強力な曲になったと思います。(KAYA)
―取材をさせていただいて、JINさんのCTSに対する熱い想いが伝わってきました。
KAYA:ホントJINくんが細かく説明してくれるんで、僕は……(笑)。
JIN:KAYAさんは感じるタイプなんで、その気持ちは100%わかるんです。
KAYA:日本人なら日本人の音楽を聴いた方がいいっていうのも、ホントそう思いますしね。
JIN:どっちがすごいとかじゃなくて、その国に旅行する感覚で、どっちも聴いたらいいと思うんですよ。もちろん、日本の曲をすべて愛せとは言わないけど、ただ、あなたがいいと思ったことを疑っちゃダメだよっていう。
KAYA:確かに、みんな疑うからなあ……周りの目を気にしたりしてね。
―同調圧力の強まりっていうのはすごく感じます。おそらく、周りが洋楽リスナーばっかりだと、「日本の音楽が好きだって言えない」とか、そういうこともあるでしょうし。
JIN:同調圧力で一番怖いのが、「音楽は買わなくていい」って思っちゃうことですよね。今子供が「CD欲しい」って言うと、お母さんが「YouTubeで聴いてなさい」って言うらしいですから。
KAYA:「真面目に買うのなんてダサい」って言ってる子もいますね。
―KAYAさんとしては、そういう現状に対してどうアプローチして行こうとお考えですか?
KAYA:僕はやっぱり自分がDJなので、DJと日本の音楽シーンがもう少し歩み寄ったらいいのになって思うんですよね。いわゆるアーティストDJじゃない、僕みたいな曲をかけるDJって、ひたすら人の曲を漁ってて、要はJINくんが「何だこれ?」って、Shazamで調べるってことを、もう何十年も永遠にやっていて。そういう感覚を持った人たちがもっと日本の音楽業界にプレイヤーでもリスナーでも何でもいいので入っていったら、色んな意味でもっともっと面白くなると思うんです。
―DJって「これオシャレじゃない?」って、提案する職業ですもんね。その意味も含めて、KAYAさんが今の立ち位置でCTSを成功に導けたら、ひとつの例を示すことになりますよね。
KAYA:そうなったら、いろんなDJを業界に送り込みたいですね(笑)。でもホントに、DJでJ-POPを回し始めたときは、いろんな人に「何やってんの?」って言われて、がっかりされたりもしたので、そういったことも全部ひっくるめて、今回の曲で何かを感じてもらえたら嬉しいですね。
JIN:今回のCTSの曲からは、愛情を感じるんですよね。僕が泣くのって2パターンあって、アーティストの孤独に対して泣くパターンもあるんですけど、CTSに関しては、リスナーの俺は何にも返してないのに「こんなに愛してくれてありがとう」みたいな、音に。それで泣けるんです。
―それってきっとお互いが共鳴し合った、その温かさみたいなものかもしれませんね。
KAYA:JINくんの言う「オシャレ」ってことで言うと、やっぱり宮下くん(前回の取材でKAYAと対談をしてもらった、CTSのクリエイティブとマネジメントを担当しているINCSの宮下俊之)がオシャレなんですよ(笑)。CTSの一番強いところは、ホントにチームでやってるってことで、その中で宮下くんはオシャレ担当。ビジュアル含め、宮下くんの意見は常に重要で、最終的に宮下くんのフィルターを通してるっていうのが、CTSにとってはすごくでかいと思うんです。
―オシャレフィルターを通過してると(笑)。
JIN:だから俺ティザーで泣いちゃったのかもしれない(笑)。
KAYA:JINくんのスタジオには「最後にこれ通すだけで違うんすよ」っていうヤバい機材があるんですけど、宮下くんはCTSのヤバい機材ですね(笑)。
―今回はさらに、JINさんのフィルターも通ってるわけですもんね。
KAYA:間違いなく、今までで一番強力な曲になったと思います。
- リリース情報
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- CTS
『全世界 NEVER GAME OVER』(CD) -
2014年7月30日(水)iTunes Storeで限定発売
価格:700円(税込)
Virgin Music1. One
2. 全世界 NEVER GAME OVER
3. 宝箱 NEVER ENDING SUMMER
4. Beautiful Love World (DJ'TEKINA//SOMETHING Remix)
5. 全世界 NEVER GAME OVER (Bapjap Remix)
6. 全世界 NEVER GAME OVER (Instrumental)
7. 全世界 NEVER GAME OVER (Extended Mix)
8. One (Extended Mix)
- CTS
- プロフィール
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- CTS (しーてぃーえす)
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Circle(vo)、Triangle(syn)、Square(DJ)からなる、謎のLED覆面ユニット。世界中で爆発的な盛り上がりをみせるダンスミュージックサウンドを、独自の解釈でPOPSに落とし込み再構築した新機軸のサウンドと、日本語と英語を融合した独特のアプローチの歌詞世界観が「最新型国産ダンス・ポップサウンド」と話題を呼ぶ。本作にてデビューより7作連続iTunesダンスチャート1位を獲得、国内大型フェス、イベントに多数出演するなど、新人アーティストとしては異例の活躍を見せている。
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- DJ KAYA(でぃーじぇー かや)
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CTSのプロデューサーであり、あらゆるジャンルを操る数少ないオールラウンドDJ・プロデューサー。自らのプレイスタイルを“K-STYLE”とし渋谷FURAや六本木VANILLAで開催していたイベントは今や伝説となり、トランス市場を確立した第一人者。その幅広い選曲眼を活かし、数多くのCDプロデュース、監修/ノンス トップ・ミックスを手掛け、中でもTRANCE RAVEシリーズにおいては、TRANCE CDとして初のオリコントップ10にランクイン、洋楽部門では1位を獲得するなど大ヒットを記録。2010年には「自国の曲で踊る」をテーマに掲げ、「JAPANATION(ジャパネイション)」を始動。海外の大型イベントでも活躍。近年では「ZEN-LA-ROCK」とのコラボレーション、「CTS」のプロデュース等々、ジャンルレスで幅広い活動を行っている。
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- JIN(じん)
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{様々なバンドのプレイヤーとしての活動を経て、2005年頃よりプロデュース業務を開始。実弟のユニット「GReeeeN」等、様々なアーティストのプロデュース、エンジニアを行う。2009年には、バンド「High Speed Boyz」のボーカリストとしてメジャーデビュー。
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