フレデリックが振り返る、「透明だったころ」の純粋な気持ち

今年で発売90周年を迎えた「キリンレモン」。そのリニューアル商品発売に合わせて、誰もが一度は耳にしたことのあるキリンレモンのうたを、さまざまなアーティストがアレンジする『キリンレモントリビュート』がスタートした。「キリンレモン」の新TV-CMでも放映されている第1弾を飾ったBiSHに続くのは、話題のロックバンド・フレデリック。疾走感とループ感の同居する楽曲はもちろん、サッカーをテーマに、主演の小川あんがタイムリープを繰り返す映像もフレデリックらしく、「透明なままでゆけ。」というコンセプトが見事に具現化されている。

フレデリックは4月30日に神戸のワールド記念ホールで初のアリーナ公演を開催。兵庫県出身の彼らにとって、神戸は始まりの地であり、そこでの公演は特別な意味合いを持つ。そこでこの日は、同曲のMV撮影現場に潜入し、アレンジの裏話を聞くとともに、音楽や部活に「透明な気持ち」で打ち込んでいた兵庫での学生時代を振り返ってもらい、凱旋ワンマンへの意気込みを語ってもらった。

誰でもパッと歌えるような、みんなが知ってる曲を自分の声で再現させてもらえるっていうのは、ホントに嬉しい。(健司)

—まずは、『キリンレモントリビュート』という今回の企画について、みなさんはどんな印象をお持ちですか?

康司(Ba):このお話をいただいて、すぐに自分の中で楽曲の想像が湧いてきました。なので、完成したものとほとんど変わらない曲を早い段階でみんなに渡していましたね。

キリンレモンのメロディーは小さな頃から聴いていたし、一度聞くと頭から離れないじゃないですか? 自分たちも昔の歌謡曲とかに憧れて、ずっと聴き続けられる音楽をつくりたいと思ってるんですけど、(三木)鶏郎先生(キリンレモンのCMソングを手がけた作曲家、構成作家。)のこのメロディーって、ホントにみんなが知ってるメロディーだと思うんですね。なので、それを自分たちなりにどうアレンジするかっていうのは、すごく楽しんでできました。

左から:赤頭隆児、三原健司、三原康司、高橋武 / MV撮影を行なった運動場の用具倉庫にて
左から:赤頭隆児、三原健司、三原康司、高橋武 / MV撮影を行なった運動場の用具倉庫にて

健司(Vo / Gt):誰でもパッと歌えるような曲を自分の声で再現させてもらえるっていうのは、ホントに嬉しいことだし、いろんな人のバージョンを小さな頃から聴いてきたから、その中に自分も入れるっていうのは感動します。

三原健司(Vo / Gt)
三原健司(Vo / Gt)

康司:この曲のレコーディングのときもスタジオの自販機にちょうどキリンレモンがあって、全員何も言ってないのに選んでて(笑)。飲むと小学校とか中学校の頃を思い出すっていうか、若返った気分やなって思いました(笑)。

三原康司(Ba)
三原康司(Ba)

—昔からのメロディーに対する馴染みもあって、曲のアイデアがすぐに出てきたわけですね。

康司:キリンレモンと聞いて、今回の曲を作る前から、「フレッシュなことをしたい」って思ってたんです。そこでピースが合ったからこそ、すぐに曲ができたのかなって。スピード感やフレデリックらしさもありつつ、スッと馴染んで、なおかつ走り出したくなるような、そういうイメージで作りました。

第一弾のBiSHによる『キリンレモントリビュート』MV

—「フレッシュなことをしたい」ってのは康司くんの考え? それとも、バンドとしてもそう思っていた?

康司:バンドとしてもそうだったと自分は思ってます。ワールド記念ホールっていう、地元の神戸でライブをするにあたって、また新しいフレデリックが始まると思っているので。そこに向かう中で、次に自分が伝えたいメッセージや音は、フレッシュなものの方が気持ちとマッチしたんですよね。今回の撮影もフレッシュな気分で臨めて、パワーのある曲ができたなって思いました。

—今回の映像はサッカーがテーマで、元サッカー部の赤頭くんは嬉しかったんじゃないですか?(笑)

赤頭(Gt):そうですね(笑)。ただサッカーっていうだけじゃなくて、若い女の子のサッカーチームと一緒にMVを作ってる感じが、まさにフレッシュやなって思いました。

赤頭隆児(Gt)
赤頭隆児(Gt)

高橋(Dr):僕も中学までサッカーをやっていて、小さい頃はサッカーの練習に行って、帰ってきて、キリンレモンを飲んでいたので、その頃の記憶ともリンクして、アレンジとかも気持ちよく考えられました。

高橋武(Dr)
高橋武(Dr)

—健司くんと康司くんは中学時代は陸上部だったんですよね?

康司:そうです。なので、<駆け抜ける>っていうフレーズとかはその頃のイメージだし、曲自体も、汗をかいたときに飲む炭酸のイメージで作った感じですね。

普段聴いたり、口ずさんでるだけじゃわからない、アレンジに携わって初めてわかるメロディーのすごさを感じた。(高橋)

—実際の曲の話で言うと、まずは冒頭の健司くんのアカペラが印象的です。

健司:めちゃくちゃ緊張しました(笑)。これまでにいろんな人が歌ってきているメロディーだからこそ、自分らしさを残したくて。ただ、いろいろ考えだすとキリがなくなっちゃうし、逆に力を抜いて、自分のペースでゆっくり歌うのが一番かなって。最後にもう一度「キリンレモン」って歌うところは、表の声だと強くなっちゃうんで、もうちょっと優しい感じで、ファルセットで歌いました。

—Aメロで「キリンレモン」のメロディーを使いつつ、オリジナルの歌詞を乗せてるのも面白いですね。

康司:あのメロディーに合わせて、自分なりの歌詞を書いても、やっぱりすごい中毒性あるんですよね。あと自分たちのビートの感じやスピード感とこのメロディーがすごくマッチしてるなっていうのも思いました。

MV撮影中の様子。女子サッカーチームの試合の中で演奏中
MV撮影中の様子。女子サッカーチームの試合の中で演奏中

撮影後の動画をチェック中
撮影後の動画をチェック中

—そして、そんなAメロから一気にサビへと突き抜けていく。

健司:僕の声の特徴って、声の伸びというか、高いキーに合わせて向かっていく感じ、勢いだと思ってて。この曲は、そういった僕の声の強みをたくさん出せたなって。だから、レコーディングでもすごく気持ちよく歌えましたね。

—赤頭くんのギターに関してはどうですか?

赤頭:今回初めてコーラスエフェクターをかけっぱなしで弾いてて、透明なイメージの音になったなって。ギターも普段使ってないギターを使ったんですけど、普段のフレデリックの曲でも使えるなって、発見になりました。

康司:普通はコーラス使うとニューウェイブ感が出るけど、今回は炭酸感が出たよね(笑)。

—炭酸感を出すには、歪みではなく空間系のエフェクターでしょうね(笑)。高橋くんのドラムに関してはどうでしょう?

高橋:アレンジを考えてて思ったのは、メロディーの懐の深さというか。リズムパターンめちゃめちゃいろいろ考えたんですけど、ストレートなビートでも、跳ねたビートでも、何でもハマるんですよ。それってどのメロディーでもできることじゃないから、今回アレンジをフレデリックらしくできたのも、このメロディーの懐の深さのおかげかなって。

普段聴いたり、口ずさんでるだけじゃわからない、アレンジに携わって初めてわかるメロディーのすごさを感じることができました。

リニューアルしたキリンレモンを飲んでいる様子
リニューアルしたキリンレモンを飲んでいる様子

—「透明なままでゆけ。」というコンセプトに関してはいかがですか?

康司:自分の行く先は自分で決められるっていうか、「自分が意志を強く持てば、どこにでも行けるんだ」っていう、その広さが感じられて、すごくいい言葉だと思いました。このコンセプトを意識しながら、フレッシュさを突き詰めることは、自分たちにとっても新しい挑戦になって、それをフレデリックらしく形にすることで、また新しい可能性が生まれたと思っていて。なので、この曲から始まる新たなストーリーがきっとあるはずだと感じてます。

—単なる企画ではなくて、バンドの歩みとちゃんとリンクするコラボレーションになったのはすごく有意義なことですよね。いずれはライブでも聴いてみたいです。お客さんとみんなで「キリンレモン」を合唱するっていう(笑)。

健司:俺のアカペラから始まるのか……めっちゃ緊張するなあ(笑)。

今もあの頃と同じように、フレデリックやってて楽しいなって思えるんですよね。(赤頭)

—では、ここからは、今回のコンセプトでもある「透明なままでゆけ。」に沿って、メンバーそれぞれの「透明な時代」を振り返ってもらい、それが今とどう繋がっているのかを聞かせてもらえればと思います。

康司:途中でも話したように、中学は陸上部で、健司と一緒に長距離をやってたんですけど、僕ら2人の共通点だと思うのが、徐々に徐々に目標に向かってやっていくっていうことだと思っていて。

それってバンドのいまの状況とも重なるし、そこは中学から変わってないのかなって。今回初めてのアリーナ公演としてワールド記念ホールをやることになったのも、早い遅いじゃなくて、自分たちのペースで、なおかつみんなと一緒に、ここに向けて走ってきた気がするんです。

三原康司
三原康司

—その感じが、長距離走の感覚と重なると。

康司:僕は800mをメインにやってて、正直しんどかったんですけど(笑)、徐々に徐々にペースを上げていく楽しさに気づいたのは、陸上の経験があったからこそかなって。途中で止まっちゃうこともあったけど、最終的には800mをしっかり走り切れるようになって、そういう進み方っていうのは、すごく今と重なりますね。あ、あと先生がめちゃくちゃ怖かった(笑)。

健司:怖かったなあ。女の先生やったんですけど、凄味があって、手を出すわけじゃないんですけど、手が出てるくらいの勢いで怒られてました。

康司:今日グランドに出て、あの先生の顔思い出した(笑)。でも、その人のおかげで今があるとも思います。

—健司くんの陸上部時代はどうでしたか?

健司:3年間自分の好きなことに熱中するって初めての体験だったから、自分にとってはすごく大きい経験でした。だから、今にも繋がってると思います。陸上って、サッカーとか野球とは違って、自己ベストを更新していくことが大事で、もちろん勝ち負けも大事ですけど、3年間でどれだけタイムを縮められるかどうかだったんですよね。で、実際長距離ってやればやるほどタイムが縮むんで、やればやった分だけ自分の身になるっていうのは、3年間で学んだことですね。

今でいうと、ライブに対してストイックにやればやるほど、認めてくれたり、協力してくれる人が増える。そこは今に繋がってると思います。

取材中、撮影現場の運動場で走ってみた4人。走り終えた直後の様子
取材中、撮影現場の運動場で走ってみた4人。走り終えた直後の様子

—赤頭くんの「透明な時代」はいかがですか?

赤頭:僕は高2のときに友達に誘われてギターを始めたんですけど、最初はコピーバンドだったので、いろんなバンドの曲をそれぞれ持ち寄ってやってて、そのときはホントめっちゃ楽しくて、無我夢中でした。

それから、ずっとバンドをやってて、もちろんしんどいときもあるんですけど、でも今もあの頃と同じように、フレデリックでバンドができてて楽しいなって思えるんですよね。それで生活もしてて……いい人生やなって(笑)。

康司:めっちゃエモいこと言うやん!(笑)

(ワールド記念ホールは)自分たちがこれまで作り上げてきたものを、いい意味でもう一度透明にするための始まりかなって。(健司)

—高橋くんの「透明な時代」はいかがでしょう?

高橋:僕は中学で独学でドラムを始めたから、何が正しくて、何が間違いかもわからなかったんですけど、でもそのときにしかできないことが確実にあったと思うんです。

ミュージシャンはみんなそうだと思うんですけど、ある程度カタチになってくると、「透明だったころ」をまた目指したくなるというか。知識や技術が身につくことで、自分の色が出てくるわけですけど、初期衝動っていうか、ホントに純粋に「聴いた音にただ体が反応するだけ」みたいな演奏からは離れていくんです。

—確かに、そうなりますよね。

高橋:なので、今は逆にそこを目指す部分が少なからずあって、ようやくそれをフレデリックで体現できるようになってきたというか、また透明なところにバンドが向かってる気がするんです。(赤頭)隆児くんも言ってたように、小さい頃の純粋に楽しむ気持ちに、一周回ってまた近づいてる気がすごくしますね。

高橋武
高橋武

—最初に康司くんが「フレッシュさを求めてた」って言ってくれてたのは、アリーナ公演を控えて、透明なところに戻ろうとしてるってことなのかもしれないですね。

健司:自分たちがインディーズの頃から見てくれてる関係者の方もたくさん来てくださると思うので、その人たちに会うだけで、当時の自分たちを思い出すと思うんですよね。それこそ、透明だった頃というか。

だからこそ、そういう地で初めてのアリーナをやるっていうのは、自分たちがこれまで作り上げてきたものを、いい意味でもう一度透明にするための始まりなのかなって。4月30日が過ぎたら、きっとまた次の新しい一歩が踏み出せるんやろうなって感じてます。

三原健司
三原健司

—当日はどんなライブにしたいですか?

健司:年明けまで全国ツアーを回ってたんですけど、その中で感じたのは、日本全国いろんなところにフレデリックを好きな人がいてくれて、その人たちを自分たちにとっての大事な場所である神戸にちゃんと連れていきたいなと思っていて。

もちろん、「みんな来てくれ」って話じゃなくて、全国を一か所一か所回って、経験したこと、話したこと、見てきた景色、そういう全部をちゃんと気持ちとして神戸に持って行きたい。なので、4月30日はもちろん大事な一日になると思うんですけど、今は前しか見ていないので、よりこの先を見せられるようなライブをしたいと思いますね。

左から:赤頭隆児、三原健司、三原康司、高橋武

イベント情報
『キリンレモントリビュート』

本キャンペーンでは、さまざまなアーティストとのコラボレーションにより、それぞれの個性あるアレンジが加わった新しいキリンレモンのうたをお楽しみいただけます。今後も続々とバラエティ豊かなアーティストとのコラボレーションが展開されていきます。
本キャンペーンでしか見ることのできない、特別なコラボレーションにご注目ください。

『復刻版キリンレモン・新キリンレモン飲み比べセットプレゼントキャンペーン』

その場で当たる! 90周年を記念して発売当初のキリンレモンを復刻。新キリンレモンとの飲み比べセットプレゼントキャンペーン実施中!

『FREDERHYTHM ARENA 2018 ~KOKYOのTOGENKYO~』

2018年4月30日(月・祝)
会場:兵庫県 神戸ワールド記念ホール

プロフィール
フレデリック
フレデリック

三原健司(Vo./Gt.)、三原康司(Ba.)の双子の兄弟と、赤頭隆児(Gt.)、高橋武(Dr.)で編成されるロックバンド。ユーモアに富んだ歌詞と中毒性の高い楽曲が話題となる中、MASH A&Rオーディション初年度の特別賞を受賞。昨年2017年、メジャー1stフルアルバム「フレデリズム」をリリースし、どのシーンにも属さない「オンリーワン」の楽曲とそのスタンスに注目が高まっている。



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