志磨遼平×小島麻由美 『三文オペラ』から見えた必然的な出会い

2017年12月、志磨遼平自ら編集長を務めるウェブマガジン『ドレスコーズ・マガジン』にて、曽我部恵一(サニーデイ・サービス)をゲストに迎えた「新春放談」の司会を担当した。その席上、志磨本人の口から、翌年1月23日から2月4日までKAAT神奈川芸術劇場で上演される舞台『三文オペラ』の音楽を手がけていることを知らされた瞬間、「なんという絶妙な組み合わせだろう!」とテンションが上がった。

ドイツ人の劇作・演出家、ベルトルト・ブレヒト(1898-1956)とユダヤ人の作曲家、クルト・ヴァイル(1900-1950)。2人の天才の邂逅が生んだ革命的な音楽劇『三文オペラ』は、1928年ベルリンで初演され大ヒット、劇中歌の“モリタート”はジャズのスタンダードナンバー“マック・ザ・ナイフ”として、今も世界中で歌い継がれている。

寺山修司に由来する「毛皮のマリーズ」というバンドでデビューした志磨が、これまで演劇作品の音楽を手がけていないのは傍から見ると意外だが、初めて参加する作品が『三文オペラ』であることに、彼自身は「不思議な導きを感じる」という。なぜなら、今回の演出と上演台本を手がける谷賢一から音楽監督のオファーを受けたとき、志磨が制作していたドレスコーズのアルバム『平凡』は、ブレヒトが『三文オペラ』を書いた第二次世界大戦前のドイツ文化にも影響を受けており、収録曲の歌詞には、ずばり「クルト・ヴァイル」の名前も含まれていた。しかも『平凡』は、谷が書いた台本と同じく、近未来の、経済が破綻した後の日本を舞台にしたコンセプトアルバムなのだ。

「ロックでもなく、ポップミュージックでもなく、自分にとっての文明批評、ロック批評みたいな作品」であり、「本当の意味で自分にとっての新しいスタート地点」だという『平凡』の「次」のフェーズが、期せずして『三文オペラ』になるという運命の綾。毛皮のマリーズの頃から「僕はひとつの媒体」と公言していた志磨にとって、ブレヒトとヴァイルの音楽は、いつかは辿るべき道標のひとつだったのかもしれない。

そして、『ドレスコーズの《三文オペラ》』と題して新たな生命を吹き込んだ全3幕、計22曲の劇中歌をレコーディングするに当たり、ゲストシンガーとして小島麻由美が参加。志磨とともに一人何役も兼ねる魅惑のミラクルボイスを炸裂させて、オリジナルキャストとはまた別の解釈による斬新きわまりないアルバムが完成した。信藤三雄の手になるアートワークにも、一度目にしたら最後魅入られてしまう、強烈な魔力が潜んでいる。この出色のアルバムのリリースを祝い、志磨と小島の特別対談をお届けする。必然としか言いようのない2人の出会いや今回のコラボの詳細など、存分に語っていただいた。

東京に来て一番最初に観たライブは小島さんだったんです。(志磨)

—まずはお2人の馴れ初めから伺いたいと思います。小島さんが志磨くんの音楽を最初に聴いたのはいつ頃ですか?

志磨:多分、毛皮のマリーズのときですよね。

小島:そう。誘ってくれて対バンしたことがあって。東高円寺のU.F.O.CLUBだね。

志磨:あれは多分、2011年の1月だったかと。

—対バンしてみて、いかがでした?

小島:やっぱり華があるというか、旬な感じがしましたね。居酒屋で「旬のもの:志磨遼平」って書いてある感じだったよ(笑)。一見とっぽい感じもしたけど、話してみると腰が低いし、不思議な感じだった。

小島麻由美
小島麻由美

志磨:あのときは一見、とっぽかったです。毛皮のマリーズっていうバンド自体が凶暴だったので。

小島:今よりもっと怖い感じでしたよね。髪も長くて……今はまた雰囲気が違うよね。

—ドレスコーズ結成以降の志磨くんの活動についてはご存じでしたか?

小島:はい。CDもいただいて聴いていました。

志磨:フェスでも一度ご一緒して。

—レコーディングで共演するのは今回が初めて?

小島:そうですね。それがまた『三文オペラ』という私も大好きな作品だから、誘ってもらってすごく嬉しかったんですよ。

—志磨くんが小島さんの音楽を初めて聴いたのはいつですか?

志磨:最初に聴いたのは高1だから、16歳ですね。リアルタイムの日本人アーティストで好きな人というと、けっこう限られていて。僕は多分、普通の音楽好きな人よりもライブに行かないんですよ。でも、上京して一番最初に観に行ったライブは小島さんでした。

志磨遼平
志磨遼平

—東京でのライブ初体験が小島さん! それほど特別な存在なんですね。

小島:スカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)と一緒にやったライブね。

志磨:そう、まだ新宿にあった頃のLIQUIDROOMで。

これは思し召しだなと思って、舞台音楽をやるのは初めてだけど、二つ返事で「やります」って。(志磨)

—さて、『ドレスコーズの《三文オペラ》』の完成、おめでとうございます。僕も横浜公演の最終日に拝見して、演出や音楽の斬新さにも感嘆しました。

『ドレスコーズの《三文オペラ》』ビジュアル
『ドレスコーズの《三文オペラ》』ビジュアル(KING e SHOPで見る

『ドレスコーズの《三文オペラ》』ジャケット
『ドレスコーズの《三文オペラ》』ジャケット(KING e SHOPで見る

—この作品は1928年にベルリンで初演され、その翌年に世界大恐慌が起こって、ナチスドイツが成立するのが1933年。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツが、国民主権、男女平等の参政権、思想信条の自由、基本的人権の尊重、生存権の保障などを初めて定めた「ワイマール憲法」という画期的な憲法が制定されて、民主的な社会を作ろうとしたにもかかわらず、あっという間にナチスドイツが成立してしまった。不況と貧困が怒りの連鎖を招いて、好戦的な強いリーダーを求める空気が形成されるという流れは、長引く不況下で格差が拡がり「憲法改正」を声高に叫ぶ昨今の日本の状況を彷彿とさせる、と感じる人も少なくないように見えます。

今回、志磨くんが1920年代にブレヒトが提示したビジョンを換骨奪胎して新たに訳詞を付け、ヴァイルの音楽を編曲したわけですが、この企画はどういうふうに始まったのでしょうか?

志磨:谷賢一さんから、『三文オペラ』の音楽を全体的に監督してほしいと依頼されたのが始まりです。谷さんは、僕の1歳下になるのかな。若い演出家ですごい才能の持ち主なんです。彼といろんな話をしていると、今、共通する感覚でものを作っている感じがするんです。

志磨遼平(ドレスコーズ)

—志磨くんは今回のアルバムのことを、ドレスコーズの前作『平凡』(2017年)の続編、という言い方をしていますよね。

志磨:そうですね。ぼくの『平凡』も、谷ちゃんの『三文オペラ』も、どちらも近未来の日本を舞台にしたディストピアもので、経済とかも破綻していて、いろんなことが今までどおりにはいかなくなっている、という設定。

それで、ややこしいことに『三文オペラ』にはさらに『乞食オペラ』という原作があるんですよ。18世紀のロンドンで書かれたその原作を、ブレヒトが80年前のドイツの社会情勢に合わせて書き換え、それをさらに谷ちゃんが日本と思われる国の近未来の話に置き換えたのが今回の上演台本で。それを見せてもらって、「うわ! 僕、まったく同じ設定のアルバムを今作ってるんですよ」って話をしたところから始まったんです。

ドレスコーズ『平凡』ドレスコーズ『平凡』(Amazonで見る

—驚くようなシンクロニシティがたくさんあった。

志磨:そうなんですよ。『平凡』に収録した“人民ダンス”の歌詞には<歌も楽しげ クルトワイル>って名前そのものを挙げてたりして。これは思し召しだなと思って、舞台の音楽をやるのは初めてですけど、すぐに二つ返事で「やります」って。

志磨くんは「このときのこんなふうに」って、私の古いCDを持ってきて説明してくれて。(小島)

—小島さんは『三文オペラ』の音楽を聴かれたことはありましたか?

小島:すごく好きですね。私は歌詞の内容より曲調が好きで、そっちのほうに耳を傾けて聴いてました。曲調だけでも不安な感じで! ゾクゾクして好きです。

志磨:今回、小島さんにレコーディングに参加して歌っていただいて、いたく感動したんです。そのあと、クルト・ヴァイルの音楽が、小島さんのキーになっていると初めて知りました。

左から:志磨遼平、小島麻由美

—そうなんですか!

小島:デビューにあたって、いろんな方向性を模索していたとき、「君はクルト・ヴァイルだよ」って言ってくださった方がいて。CDを聴かせてもらったら、その半音ずつ下がってくる不安な感じが最高だなぁと思って、“セシルのブルース”という曲を書いたんです。

—デビューのきっかけがクルト・ヴァイルとの出会いだった。それはまさしく運命ですね。

志磨:クルト・ヴァイルを意識して書かれた曲とかもあるんですよね。“結婚相談所”(1995年、小島麻由美のデビュー曲)とか。

小島:そうそう。あのあたりは全部そうです。

志磨:それを聞いて、「なーんだ! そうだったのか」と。

今回の音楽を作るにあたって、アレンジしたり歌詞を書きながら、なんとなく「小島さんっぽい曲が多いなぁ」って思って。小島さんの歌唱の雰囲気はもちろん、なんとなく曲調に共通するものがあるなぁ、と連想したんですね。

たとえば、“海賊ジェニー”とか、いろんな方がカバーされているから、多分すごくハードルの高い曲なんですけど、小島さんに歌っていただいたときに、本当にイメージしているままのフィーリングとニュアンスがスピーカーから聴こえてきて、「わあ! すごい!」って本当に感激したんです。やっぱり小島さんにお願いして大正解だったな、なんて自惚れていたんですが、なんのことはなくて、小島さんが書いたクルト・ヴァイル調の曲から僕が影響を受けていただけだったんです。

つまり、小島さんからクルト・ヴァイルのCDを借りて、そのCDを返しただけ、みたいな感じ(笑)。「そりゃそうだ!」って全部納得して。

—小島さんは、今回のオファーを受けたときに、どんなふうに思いました?

小島:すごくおもしろいなと思いました。実際やってみて、本当におもしろかったです。ふふっ、楽しい曲ばっかり。

—びっくりしたんですけど、いろんなキャラクターを演じ分けていますよね。

小島:あれ、おもしろかったです!

—ソロとデュエットは全部小島さんが歌い分けていると聞いて、驚きました。

左から:志磨遼平、小島麻由美

小島:あれは志磨くんのなかにしっかりイメージがあったみたいで。ディレクションが的確で上手でしたね。「このときのこんなふうに」って、私の古いCDを持ってきて説明してくれて。

志磨:小島さんの曲を小島さんに聴かせて「このキャラクターでお願いします」って。アルバムのなかで曲によって人格が変わるというのは、小島さんが普段やられていることだと思ったので。僕もそういうタイプの歌手だから、小島さんと僕とで、なんとなく全曲いけるんじゃなかろうかと。

—クルト・ヴァイルの当時の奥さんで、『三文オペラ』にも女優として出演しているロッテ・レーニャが1930年に録音した“海賊ジェニー”を聴くと、かなりコケティッシュな歌い方で、小島さんにぴったり。そこも踏まえたキャスティングだとしたらすごいなと思いました。

志磨:そう、そうなんですよ! 小島さんにオファーしたのはお芝居が終わった後だったんですが、すべては必然だったんだなと。

小島:また歌詞が素晴らしくよくて。志磨くんの訳詞が、よりわかりやすくなっていて。これを難しく訳したらつまらないですよね。ポップスとして聴けるくらい素晴らしいです。

相当人を食った作品を出すブレヒトさんやヴァイルさんには、思いっきりシンパシーを感じますね。(志磨)

—ジョン・レノンや宮沢賢治、セルジュ・ゲンズブールに植木等、果ては日本国憲法まで引用して、いちいちシャレが効いている。“娼婦たちのララバイ”の歌詞とかもすごくよかったですよ。“聖母たちのララバイ”(岩崎宏美)や、“時には娼婦のように”(なかにし礼)も踏まえてるでしょう?

志磨:ありがとうございます。もう、いろいろ踏まえてます(笑)。

小島:本当にストレートに、余分な言葉なしにわかりやすく上手に歌詞にしていて、素晴らしいですね。

志磨:畏れ多いです。今回の発見で一番おもしろかったのが、「オペラ」ってタイトルに入っているのに、中身は全部ポップスじゃないですか。世間が騒然として荒れているときに、これだけシニカルで、ユーモアもアイロニーもある。タイトルからして相当人を食った作品を出すブレヒトさんやヴァイルさんには、思いっきりシンパシーを感じますね。

100年近く前の古典といわれるものを、緻密に、重箱の隅をつつくように調べていくと、実は自分の好きなものはだいたい同じラインにあったんだな、ってやっとわかりました。その源流に突き当たったのがすごく嬉しくて。

志磨遼平

—『三文オペラ』は世界各国で数え切れないほど再演されているし、映画化も何度もされていて、たとえば“マック・ザ・ナイフ”も錚々たる人たちが歌っていますよね。ロックミュージシャンのなかでもThe Whoのロジャー・ダルトリー、Sting、デヴィッド・ボウイとか、志磨くんの好きな人ばっかり(笑)。

志磨:そう、好きな人ばかり。パンクもニューウェーブも、みんなブレヒトやヴァイルをかすってるんですよね。

—そして2018年の今、志磨くんがよくぞやってくれた、と嬉しくなります。

志磨:ミュージシャンのタイプって、2パターンあって。感覚だけで音楽を作れるタイプと、レコード屋さんに通うリスナータイプと。僕はあからさまにリスナータイプなんです。音楽を聴いたり、本を読んだり、映画を観たり、いろいろしてきたことが、ここにきて報われた感じ。えらいご褒美をもらえたような気分。

—これをやるためにこれまでの自分のキャリアがあったのだ、と。

志磨:そう! 今までレコードに費やしたお金がここで返ってきた! みたいな。

—ハル・ウィルナーがプロデュースしたクルト・ヴァイルのトリビュート盤(『クルト・ワイルの世界~星空に迷い込んだ男』、1985年)で、ルー・リードが“September Song”を歌っているけど、どう聴いても、ルー・リードのオリジナルにしか聴こえない解釈じゃないですか。このアルバムもまさにドレスコーズ版の『三文オペラ』になっていると思います。

志磨:そうなってたら言うことなしです。

—それには小島さんというキャスティングが不可欠だったこともよくわかります。これだけキャラクターを演じ分けられる歌手はめったにいないんじゃないかと。

志磨:今回、小島さんのソロ曲が何曲かありますけど、本当に「小島麻由美の曲」というふうにしか聴こえないです。すごいなあって。

右:小島麻由美

—年齢とか超越して、少女にも大人の女性にもなれるのがすごい。歌ってみていかがでした?

小島:簡単なようでけっこう難しいんだよね。すごくシンプルに聴こえるのに、メロディーがわりと入り組んでいるんですよ。それを覚えるのは難しいけれど、やっぱりどれも歌詞がよくて。掛け合いでケンカになる“女はおそろしい”が相当おもしろかった。“海賊ジェニー”もおもしろかったしなぁ。

『三文オペラ』って、誰もがやりたがるんですよね。でも難しいから、みんなぶつかって儚く散っていく。(志磨)

—お芝居のほうはどうでしたか?

志磨:舞台のほうは谷ちゃんの演出にも、役者の皆さんの技量にも本当に感動しましたね。役者さんは板の上に体ひとつで立って、小さい劇場だったらマイクもつけないで、自分の体や発声で、お客さんになにかしらを伝えて感動させる。その技量は、そんじょそこらのバンドマンは絶対に敵わない。

それと、通常の舞台は、お稽古をだいたい1か月くらいで集中的にやっちゃうみたいですけど、今回は期間が2か月あったのもすごく恵まれていて。みんなでいろいろ考えて、たっぷり練習できたのがよかった。

—しかも、志磨くんは稽古場の近くに泊まり込んだんでしょう?

志磨:僕は横浜に部屋を借りました。本当にどっぷり浸かったんです。

小島:すごい!

志磨:毎日がおもしろくてたまらなかった。『三文オペラ』って、演出家さんや役者さんなら誰もが一度はやりたがるんですって。でも難しいから、みんなぶつかってはみるものの、やはり消化しきれないことも多いらしくて、儚く散っていく。やっているほうはおもしろいけど、観ているほうは「なんじゃこりゃ!?」って思っちゃうような。それくらい常識破りのお芝居で。

左から:志磨遼平、小島麻由美

—お芝居のほうの仕掛けとして、一般のお客さんに劇に参加してもらうP席というコーナーを、舞台の前に作っていましたよね。デモの参加者として重要な役割を果たすというアイデア。それを踏まえて、このアルバムでもファンを公募して合唱してもらったと。

志磨:はい。“もりたあと”と“ピーチャム商会社歌”のコーラスをお願いしました。劇中でも社歌はP席のお客さんが歌うんですけど、それがすごくおもしろくて。ステージの前にオーケストラピットみたいな、少し低くなっている場所があるんですけど、そこに100人弱くらいのお客さんを立ち見で入れたんですよ。チケットは2,000円くらい、そのかわり3時間近くある劇を立ち見なんです。

P席のお客さんは開演の1時間前に集まってもらって、ちゃんと講習会があって、「これを合図にみなさんはステージに上がって暴動を起こしてください」とか。それを知らされていないのはS席とかA席の高い席のお客さんで。

劇の途中に、P席のお客さんたちがゆっくりと振り返って、高い席のお客さんを睨む演出があって。つまり高い席のお客さんは、安い席、言ってしまえば低所得層に向かって高みの見物をしているような図式になるという。お芝居の内容が他人事じゃなくなる。「8,000円払って、こっちを見下すおまえたちは今どんな気分や!」ってお客さん同士を対立させるというのは、本当にこのブレヒトの原作を下敷きにして、うまく演出に使っている。

左:志磨遼平

—なんと、オープニングは志磨くんの登場から始まるんですよね。

志磨:炊き出しのもつ鍋を、僕がひとりで食べているところから劇が始まるという。

—ステージに座り込んで、楽団を指揮する志磨くんが自ら乞食に扮して。『三文オペラ』の原作『乞食オペラ』の原題の『ベガーズ・オペラ』という響きから、ロックファンとしてはThe Rolling Stonesの『Beggars Banquet』(1968年リリースのアルバム)を思い出したりして、いろいろ踏まえられているなと。

志磨:今回のバンドの名前は「Beggars Quintet」なんです。『Beggars Banquet』にかけて。

Beggars Quintet
Beggars Quintet

ここまできたら次は多分やばいですよ。能とかいきますよ。(志磨)

—志磨くんは『平凡』の歌詞を書いているときと、『三文オペラ』の歌詞を換骨奪胎するときでは、言葉への向かい方は共通していましたか?

志磨:自分のオリジナルを作るときは、やっぱりすごく技巧的にしたくなって、耳に引っかかるようにわざと聴きなれない言葉を選択をするけど、『三文オペラ』は、もともとがややこしいものなので、なるべく易しく平たく書くようにしました。自分の曲のほうが、パンチラインを入れて職業作家っぽく書いているかもしれないです。普通は逆ですよね。

—たとえば“エゴサーチ&デストロイ”とか、ネット社会以降の「Search and Destroy」とはなにかを見事に表現していて、唸らされます。

小島:言葉が強いのは絶対ですよね。長続きする。

志磨:ありがとうございます!

—次に挑戦してみたい古典はありますか?

志磨:いや、今はまったく「これをやってみたい」というのがないんですが、なにかこう、新しい扉が開いてしまった感じはあって。ここまできたら次は多分やばいですよ。能とかいきますよ。我ながらそんな気がしていて、やばいなと。(笑)。

左から:志磨遼平、小島麻由美

リリース情報
ドレスコーズ
『ドレスコーズの《三文オペラ》』(CD)

2018年5月9日(水)発売
価格:3,240円(税込)
NKCD-6831

1. 三文オペラのテーマ
2. もりたあと(殺人物語)
3. ピーチャム商会社歌
4. 性愛行進曲
5. 結婚の歌
6. 海賊ジェニー(あるいは女給が見る夢)
7. カノン(大砲の歌)
8. 恋の歌
9. バルバラ・ソング
10. この世は最低(第一幕のフィナーレ)
11. メロドラマ(離別の歌)
12. 娼婦たちのララバイ
13. ヒモと娼婦のタンゴ
14. 資本主義の歌
15. 女はおそろしい
16. あなたには(第二幕のフィナーレ)
17. ちょっと足りない歌
18. ソロモン・ソング
19. 運命の罠
20. 殺すな(死刑台のバラード)
21. 終曲(第三幕のフィナーレ)
22. りぷらいず(殺人物語)

『ドレスコーズの《三文オペラ》』(LP)

2018年5月9日(水)発売
価格:4,320円(税込)
NAS-2046/7

1. 三文オペラのテーマ
2. もりたあと(殺人物語)
3. ピーチャム商会社歌
4. 性愛行進曲
5. 結婚の歌
6. 海賊ジェニー(あるいは女給が見る夢)
7. カノン(大砲の歌)
8. 恋の歌
9. バルバラ・ソング
10. この世は最低(第一幕のフィナーレ)
11. メロドラマ(離別の歌)
12. 娼婦たちのララバイ
13. ヒモと娼婦のタンゴ
14. 資本主義の歌
15. 女はおそろしい
16. あなたには(第二幕のフィナーレ)
17. ちょっと足りない歌
18. ソロモン・ソング
19. 運命の罠
20. 殺すな(死刑台のバラード)
21. 終曲(第三幕のフィナーレ)
22. りぷらいず(殺人物語)

プロフィール
志磨遼平
志磨遼平 (しま りょうへい)

1982年、和歌山県出身。ミュージシャン・文筆家・俳優。2006年「毛皮のマリーズ」としてデビュー。6枚のオリジナル・アルバムを残し2011年、日本武道館公演をもって解散。翌年「ドレスコーズ」結成。シングル「Trash」(映画『苦役列車』主題歌)でデビュー。アルバム2枚、E.P.1枚を発表後、ライブやレコーディングのたびにメンバーが入れ替わるという唯一無二の活動をスタート。その後3枚のアルバム、3枚のライブ映像作品を発表。シングルに「トートロジー」(アニメ「トリコ」ED主題歌)、「人間ビデオ」(フル3DCG映画『GANTZ:O』主題歌)、「コミック・ジェネレイション」(映画『溺れるナイフ』主題歌)がある。コラム等の文筆活動のほか、近年は俳優としてWOWOW連続ドラマW『グーグーだって猫である2 -good good the fortune cat-』、映画『溺れるナイフ』にも出演。2018年、初の音楽監督作品『三文オペラ』(ブレヒト原作・KAAT)上演。5/9、おもに志磨が歌唱の全22曲収録『ドレスコーズの《三文オペラ》』発売。

小島麻由美 (こじままゆみ)

1995年のシングル「結婚相談所」でデビュー。一度聴けば忘れない印象的な歌声と、ジャズ、フレンチ・ポップ、歌謡曲などからの影響をにじませる”小島麻由美調”で熱狂的な人気を集めてきたシンガー・ソングライター。映画、ドラマ、CMなどへの曲提供も多く、NHKみんなのうた「ふうせん」(1999年)、任天堂北南米向けCM「はつ恋」(2001-2002年)、人気アニメ映画『ONE PIECE FILM GOLD』(2016年)のオープニング曲「GOLD & JIVE ~ SILVER OCEAN」などがある。現在は、10枚目となるオリジナルアルバムを鋭意準備中。



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