清原果耶×No titleほのか 高2対談 「いま」という貴重な時間

限られた時間には、特殊な輝きがある。そして、「青春」とはまさにそうした時間のことを指すのだろう。2019年1月25日に公開された映画『愛唄 -約束のナクヒト-』には、その時間の輝きが刻まれている。

本作は、GReeeeNの楽曲“キセキ”が誕生するまでの実話を映画化した『キセキ ―あの日のソビトー』(2017年)の制作チームによる、新たな青春ムービー。脚本を手がけるGReeeeNと清水匡が実話エピソードから着想を得て、楽曲“愛唄”に込めたメッセージと同じ思いで紡いだアナザーストーリーである。作品のヒロイン・清原果耶と、映画の主題歌“約束 × No title”をGReeeeNとともに歌うNo titleのボーカリスト・ほのかの対談が行なわれた。

「未熟さ」が自分の重荷にもなっているので、これから人一倍努力しなければと思っています。(ほのか)

他人を心から好きになったこともなく、ただ平凡な毎日を生きるトオルはある日、突然の病によって、人生のタイムリミットを告げられる。失意の中、偶然見つけた1冊の詩集によって、トオルは徐々に生きる希望を見出していく。彼の人生を変えた詩集『K』、その作者である伊藤凪と運命的な出会いを果たすも、彼女は「ある秘密」を抱えながら「いま」を全力で生きようとしていた……。

その伊藤凪を演じるのは清原果耶。そして映画を彩る主題歌“約束 × No title”を歌うのは、⻘森県三沢市出身の現役高校生バンド・No titleのボーカル、ほのか。清原とほのかはどちらも高校2年生。彼女らは、お互いにどんな印象を持っているのだろうか。

左から:ほのか(No title)、清原果耶

清原:私、ほのかさんの歌声が大好きなんですよ。今日も朝起きて、最初にこの主題歌を聴きました。実は私、『デイアンドナイト』(藤井道人監督 / 1月26日公開)で主題歌を担当させていただいたんですけど、レコーディングではあまりにも緊張してしまい、なにもできない自分が不甲斐なくて泣いてしまったんです。

だから、聴いた人を感動させたり、影響を与えたりする歌が歌えるって本当にすごいことだと思いますし、いままでに重ねてきた努力がないとできないことだと思うので、心から尊敬しています。

ほのか:うれしいです! 私も清原さんが演じる凪を観ていて、あまりにも自然でしたので本当に彼女が存在しているような気がして。今日、こうして初めてお会いして「凪がいる!」と思ってしまいました(笑)。ありのまま、等身大の演技をするということがどれだけ大変か、飾らない姿が人を感動させるのだなということを教えていただきました。

若くして世の中に出た2人。そもそも、現在の道に進もうと思ったきっかけはどのようなものだったのか。

清原:小さい頃から歌ったり踊ったりすることが好きで、小学生のときには合唱クラブに入り、ミュージカルスクールにも通っていました。女優になったのは、たまたまお母さんがいまの事務所のサイトを見ていて、そこで募集していたオーディションに応募したのがきっかけです。

オーディションには演技審査もあったんですけど、審査を受けていくにつれてお芝居が大好きになっていましたね。自分とはまったく違う役を演じたり、その役作りをしたりするのがとにかく楽しくて。女優になって今年で5年目になるんですけど、「楽しくない」と感じたことは一度もないんです。

ほのか:私は清原さんと違って、中3のときに、No titleメンバーのあんべ君に割と強引にバンドに誘われたのが、音楽を始めるきっかけだったんです。バンドも最初は断っていたくらいだったのですが(笑)、やってみたら楽しくて、ずっと続いています。

デビューのきっかけは、清原さんと同じでオーディション。「応募してみたら?」と知り合いの方に薦めていただいて、結果的にはグランプリを獲得することになるのですが。だから最初は戸惑いのほうが大きかったんです。まだまだバンドとしての経験も浅いですし、下積みを重ねてデビューする人たちに対する気後れもあります。「未熟さ」が自分の重荷にもなっているので、これから人一倍努力しなければと思っています。

明日自分がこの世界からいなくなってもいいように、いまこの瞬間を真剣に生きたいです。(清原)

そんなほのかにとって、映画の主題歌を歌うというのはかなりの「ハードル」だったのかもしれない。きっかけはプロデューサーのJINからのオファーだった。作中の伊藤凪のイメージにも重なるような、「透明感のある女性の声が必要」となり彼女に白羽の矢が立ったのだという。

ほのか:連絡をいただいて、3日後には東京に来て練習していました。まだ映画も完成していなかったので、大まかなイメージを最初に聴いて。私の歌っている歌詞の部分は凪の言葉になっているので、彼女になりきるというか、気持ちに寄り添うような歌い方を心がけましたね。

清原:ああ……いま、そのことに気づいて泣きそうになりました。それを踏まえていますぐ聴き直したいです(笑)。ほのかさんは、言葉を大切にしながら歌っているのがすごく伝わってきますよね。ストーリーだけでなく、音楽でも作品を表現するというのは映画の醍醐味だと思うんです。

限られた時間だからこそ光る命の明るさがある。劇中、凪に出会い、そのことに気づいたトオルは言う。「生きるって、時間の長さだけじゃない」と。映画の中で、最も印象的なシーンの1つだが、2人はこの言葉をどう受け止めたのだろうか。

清原:私もそう思います。凪を演じることで、人や人との出会いを大切にする気持ち、ついつい当たり前になってしまいがちな日常を、もっと大切にしたいと思いました。もしも明日、自分がこの世界からいなくなってもいいように、いまこの瞬間を真剣に生きたいです。

ほのか:映画のキャッチコピーになっている「いましか、ない」が、すべてだと思います。私は普段、何気なく感じたり考えたりしていることも、もしかしたら「いま」しか書けない歌詞になるのではと思って書き溜めるようにしているのですが、そのことと、この映画のテーマが繋がったような気がしました。

二度と来ない「いま」を、大切に生きることをお互いに噛み締める2人。しかし、作品を改めて振り返ると、2人の中でこみ上げる思いがあったよう。

ほのか:私が1番印象に残っているのは、凪が病院の屋上で飛行機を追って走っていくシーン。いつも明るく楽しそうに生きている凪ですけど、心の奥で抱えている彼女の悲しさが表情に……ごめんなさい(こらえきれず泣き出す)。

清原:(涙を浮かべながら)どうしよう、私ももらい泣きしてしまって。この映画は、恋をする勇気の持てないトオルが、凪に背中を押され、恋する勇気をもらったり、言葉にする大切さを教えてもらったりしながら成長していくストーリー。トオルってすごく共感しやすいキャラクターだと思うので、自分に置き換えて出会いの素晴らしさ、一瞬を大事にすることの重要さを、少しでも多くの人に気づいてもらえたら嬉しいです。

リリース情報
『愛唄 ー約束のナクヒトー』

2019年1月25日(金)から全国公開
監督:川村泰祐
脚本:GReeeeNと清水匡
主題歌:GReeeeN“約束 × No title”
出演:
横浜流星
清原果耶
飯島寛騎
成海璃子
財前直見
富田靖子
中山美穂
中村ゆり
野間口徹
西銘駿
奥野瑛太
配給:東映

プロフィール
No title (のーたいとる)

リーダーのあんべ(Gt)、ほのか(Vo&Gt)、ポチ(Piano)の3人からなる、青森県三沢市出身の現役高校生バンド。2017年、LINE社主催の「LINEオーディション2017」で「総合グランプリ」を獲得。2018年1月、LINEの音楽レーベル「LINE RECORDS」より「rain stops, good-bye」でデビューし、LINE MUSIC最高6位を獲得。同MVはYouTubeで120万回再生突破。また6月リリースの初となるオリジナル曲「超えて」は、自身で作詞作曲を行い、LINE MUSIC最高9位を獲得、MVはYouTubeで115万回再生突破。また同曲は、青森出身のメンバーとゆかりのある、青森朝日放送「めざせ甲子園2018」のテーマソングになり、ほのかは「5代目ABA高校野球イメージガール」にも就任。2曲共に、プロデュースはGReeeeN等を手がける音楽プロデューサーJINが担当。2019年1月25日公開の映画『愛唄 ー約束のナクヒトー』では、GReeeeNが歌う主題歌「約束 × No title」にも抜擢! GReeeeNが初の脚本となる本作では、楽曲制作過程において、必要不可欠だったのが歌い出しの女性ボーカル。透明感のある「声」を探し求め、No titleの起用を決定。

清原果耶 (きよはら かや)

2002年1月30日生まれ、大阪府出身。2014年に行われたアミューズオーディションフェス2014でグランプリに選ばれる。その後、異例のスピードで2つのCM契約、さらに新潮社『nicola(ニコラ)』の専属モデルが立て続けに決定。NHK連続テレビ小説『あさが来た』(15~16年)で女優デビューし、存在感を放つ。以後、ドラマ『精霊の守り人(シーズン1)』(NHK)『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS)、『透明なゆりかご』(NHK)、映画『3月のライオン』、映画『ちはやふる –結び–』など立て続けにヒット作に出演。



記事一覧をみる
フィードバック 1

新たな発見や感動を得ることはできましたか?

  • HOME
  • Music
  • 清原果耶×No titleほのか 高2対談 「いま」という貴重な時間

Special Feature

Crossing??

CINRAメディア20周年を節目に考える、カルチャーシーンの「これまで」と「これから」。過去と未来の「交差点」、そしてカルチャーとソーシャルの「交差点」に立ち、これまでの20年を振り返りながら、未来をよりよくしていくために何ができるのか?

詳しくみる

JOB

これからの企業を彩る9つのバッヂ認証システム

グリーンカンパニー

グリーンカンパニーについて
グリーンカンパニーについて