ここまで人生経験が豊富な18歳も珍しい。5歳でキッズダンサーというキャリアをスタートさせ、小学4年生でEXPG STUDIOの最年少特待生として入所し、EXILEのドームツアーやテレビ番組、MV撮影に帯同するなどダンサーとしてのキャリアを積みながら、2016年までJ☆Dee'Zのメンバーとして活動していたという経歴を持つソロアーティストMeik。2017年に1stミニアルバム『Make It Happen』でソロデビューを果たし、翌年には2ndミニアルバムを『Make Cheer』リリースと、現役高校生とは思えない濃度の人生だ。
その活動のなかには様々なターニングポイントがあったという。ダンサーだった彼女がなぜ歌を目指したのか、なぜソロアーティストへと転向したのか。高校卒業という、ひとりの18歳の若者としての節目を迎える彼女は今どんな心境なのか。
そしてバックダンサー、グループで活動するアーティストという活動を経て、どんな想いのもとソロアーティストとして活動しているのか。グループ時代の活動との違いや、ソロになって思うこと。彼女は一言一言丁寧に言葉にしてくれた。
自分がソロアーティストとして活動をしていくなんて、思ってもみなかったんです。
—Meikさんは今年の春に高校を卒業なさったんですよね。
Meik:そうです、もうすぐ卒業式です(※取材日は3月)。でも卒業の実感があまりなくて。中学1年生で上京して、学校に通いながら一人暮らしをする生活をずっとしていて、高校卒業したらどうなっちゃうんだろう……? って。
—ということは音楽活動でお忙しいなかでも、いい3年間を過ごせた?
Meik:すごく楽しかったです。学校には芸能活動をしている子が多かったので、仕事の悩みを相談したり、助け合ったりしながら生活できました。友達と原宿や渋谷に出掛けたりもできて、都会の女子高生! って感じで楽しかったです(笑)。でも高校生じゃなくなるって……どうなっちゃうんだろう!?(笑)
—高校3年生あるあるですね(笑)。Meikさんはもともと5歳から本格的にダンスを始めて、小学校4年生でEXPG(LDHが開業したダンス&ボーカルスクール)最年少特待生になりました。ダンス一色だったMeikさんがシンガーを目指したきっかけとは?
Meik:小さい頃から表現することが好きだったので、歌うことも好きだったんです。EXPGに入ってEXILEさんのバックダンサーを務めることになって、ツアーに出たりテレビに出たりして――そんななかで、ドームツアーでステージに立っている時に「メインで立ってみたい」と思うようになりました。
その頃J☆Dee'Zというグループでも活動していて、ちょうどそのグループでオーディションを勝ち抜いてデビューすることになって。それが歌を始めるきっかけになりました。……でも自分がソロアーティストとして活動をしていくなんて、思ってもみなかったんです。
—そうだったんですか。2016年11月にJ☆Dee'Zを卒業なさったのは、ソロとして活動していくためなのかなと思っていました。
Meik:全然そんなことなかったんです(笑)。その年の4月に肋軟骨骨折をして、それから半年間休養せざるを得なくて。その期間は本当につらかったですね。
—その休養中にグループの卒業を決心すると。
Meik:でもこれまでに積み上げてきたものがあるので、地元に戻るという選択肢はなかったんです。「表現を届ける人でありたいから、そのためにも自分の居場所を作らなきゃ!」と、昔お世話になったプロデューサーさんに「もう一度私のことをみていただけますか」と泣きながら電話をして。それが今のプロデューサーでもあるんです。
—「どうしたら自分の経歴を生かした表現活動ができるか」を考えて起こした行動ですね。
Meik: J☆Dee'Zを卒業後もグループでやっていくつもりで、仲間を見つけるためにオーディションも開いたりして。でも活動をしていこうと動けば動くほど、自分が表現したい音楽性も含めて自然とソロとして動いていく方向になっていって……。
—ソロアーティストとしての活動をスタートさせたのは、結果論だった。
Meik:そうかもしれません。みんなでひとつの夢に向かって活動していけるのはグループでしか味わえないことだと思うし、もともと仲間と一緒に動いていくことは好きだったんです。だから、グループの一員として役割を果たしていた自分が、実際にソロで活動をしてみて、グループとソロでは背負うものがまったく違うなと感じてます。
ソロは自分ひとりですべてを背負わなきゃいけないし、いい結果も悪い結果も全部自分ひとりに返ってくる。だからソロになってから歌もダンスもMCも振り付けも、責任感や一つひとつの意識はすごく変わりました。それがソロのつらい部分でもあり、面白さでもありますね。
自分の意見を受け入れてくれる環境は本当に幸せです。
—ソロの楽曲の振り付けは、全部ご自分で考えているとのことですが。
Meik:アーティストとして「自分がどう表現したいか?」というのを大事にしています。自分の曲は自分のこだわりを持って表現したいから、これからもできる限り自分で振り付けは考えていきたいですね。バックダンサーの振り付けや構成も自分でしています。
—この曲はバックダンサーを入れる、この曲はピンでパフォーマンスをする、というジャッジも全部ご自分で?
Meik:そうです、もちろんスタッフと相談しながらですが、自分の意見や感性を受け入れてくれる環境は本当に幸せです。自分で考えることは大変でもあるけれど、なにより楽しいですね。楽曲では“Shining Star”という曲の詞を共作しています。
—“Shining Star”は去年の12月のワンマンライブで、ピアノ弾き語りをなさっていましたよね(参考記事:Meikの可能性。ダンサーのキャリアを経たからこそ歌える歌がある)。
Meik:自分の想いが強い曲だからこそ、ファンの人にもいつもとは違う聴き方で楽しんでもらえたらと思ったんです。だからピアノをこういうところ(人差し指で鍵盤を押す仕草)から練習しました(笑)。
—歌とダンスという武器があるのに、わざわざ?
Meik:「この曲ピアノで弾き語りできたらかっこいいですよね」とぽろっと言ったら、「じゃあやってみようか」という話になっていって……。楽器に対する苦手意識が強かくて一切触れてこなかったので、最初は「あー言うんじゃなかった!」と思いました(笑)。
でもこういう表現は必要だなと思ったし、実際にやってみたら自分のアーティストとしての引き出しも増えたので、いい経験になりました。あのワンマンで私がピアノの前に座った時、お客さんが目を見開いて口もぽかーんと開けて「えっ、弾けるの?」と言いたげな顔をしていて(笑)。
—あははは。
Meik:実際お客さんの前で弾き語りをして、歌い方も鍵盤の強弱もリハの時とは全然違って、本番にしかない切なさが出てきたので「こんなに気持ちよく弾き語りができるんだ」って自分でもびっくりでした。弾き語りはレパートリーを増やして、またやりたいですね。
—ソロとして活動するMeikさんの強い味方のなかには、楽曲提供をする作家さんたちがいらっしゃると思います。3月にリリースされた配信シングル『It's Time』の表題曲を制作しているpal@popさんは、ソロデビュー前からのお知り合いだそうですね。
Meik『It's Time』を聴く(Apple Musicはこちら)
Meik:pal@popさんの作ってくださった“Let It Spin”はライブで必ず最後に歌っていて、自分にとって欠かせない楽曲なんです。私が持っているダンスの要素を音楽で引き出してくださるし、歌詞も私の想いを理解して書いてくださっているので、自分の高校卒業の節目で卒業ソングを提供していただけたことがうれしいですね。
—たとえば、その「私の想いを理解して書いてくださっている」というのはどこでしょう?
Meik:<一人ぼっちだって 強がってばっかで ホントは不安でしょうがないんだよ>というところです。私はけっこうネガティブ人間なので、上京してからずっと、毎晩毎晩おうちに帰るとさんざん考え込んでしまっていて。でもそれが自分を強くしてるのかなとも思うんです。
—弱い部分と強い意志が表れているのが、Meikさんにとってのリアルなんですね。その想いを歌声だけでなく、ダンスでも表現できるのはMeikさんの強みでしょうし。
Meik:ダンスっていろんな表現の仕方があると思うんです。振り付けによって、まったくイメージは変わってくると思ので、自分が思う“It's Time”はこういうことだよ、という振りを考えました。
対バンライブみたいな自分のことをよく知らないお客さんも多いライブとか、めちゃくちゃ燃えるんです(笑)。
—“ONE STEP TODAY”はMeikさんの本領が発揮できる楽曲という印象がありました。
Meik:あはははは! ライブで歌っていても音に乗って身体を揺らしていくとどんどん気持ちが乗っていって、最後気持ちがグワッと前に出てくるんです。実際ステージで歌ってみて「ああ、この曲で自分はこんなふうに爆発するんだな」と知れました。それに加えてライブはその時その時のテンションが出てくるし、毎回違うパフォーマンスができるから、すごく面白いんですよね。
—本能的というか。
Meik:基本ライブは本能ですね(笑)。だからライブでも欠かせない曲になっていく気がします。一曲一曲の歌声、ダンス、様々な表現や表情で伝えて行くけど、ソロシンガーとして最後まで自分の歌をどう伝えるか? グループの時以上に「どうやったらお客さんの心に届くかな?」というのを考えるようになりました。
—いろいろとお話を聞いていて、Meikさんはシンガーとしての自分、ダンサーとしての自分、という区切りがあるわけではなく、全部が一緒くたなんだろうなと感じました。シンガー兼ダンサーというよりは、表現者やアーティストという言葉が正しいのかなと。
Meik:ありがとうございます。ダンサーとして活動を始めて、そこから歌をやるようになって、それがメインになってきて、今は歌にダンスがくっついてきているという感覚があって。そこにダンサーとシンガーという区別は、自分のなかにはあんまりないかな。ダンスだけパフォーマンスする時に小さい頃からやってきたスイッチが入ったりはするけど(笑)。自分らしくいられる活動をしていきたいですね。
—表現したいことがいろいろあるんでしょうね。未経験のピアノを練習して弾き語りを披露するくらいですから(笑)。
Meik:あははは! 私は「ダンスがうまいね」「歌がうまいね」とか、そういう評価を受けるパフォーマンスではなく、「こいつ、なんかすげえな」と思ってもらえるような印象を残したいなと思っているんです。気持ちでぶつかっていくことで伝えられること、というのはこれからも絶対に続けていきたい。爪痕を残したいんです。
ライブは毎回毎回死ぬ気で、ぶっ倒れるくらいの気持ちでやっているので、実際にはけた瞬間にステージ横で倒れてるんです(笑)。そういうやり方が、自分らしさなのかなと思ったりもしているんですよね。
—なぜMeikさんはそこまで表現することに突き動かされているのでしょう?
Meik:やっぱりそれは、夢に対して本気だからだと思います。自分が本気で夢に向かっているからこそ、人の心を動かせないといけないし、ひとりでも多くの人に知ってもらわなきゃいけないなと思うんです。「どうしたら夢を叶えられるんだろう?」という意識がずっとある。
—Meikさんの「夢」というと、ライブでもおっしゃっていた日本武道館ワンマンですか?
Meik:そうです。中学生からの夢で。
—J☆Dee'Zの頃ですか?
Meik:はい。J☆Dee'Zの頃からメンバーのみんなと目指していました。ソロになったからといって夢が変わるという感覚もなかったので、今も武道館を目指していることは変わらないですね。夢でもあり通過点でもありたいです。
—グループを離れてもなお、夢は変わらないと。
Meik:グループは同じ夢をみんなで追いかけられるのがいいですよね。達成した時に喜びを分かち合える人がいるのは感動的だなと思うけど、ソロは自分の思うがままに突き進めるのがいいところだと思う。今私はサポートダンサーのみんなのことをメンバーのように思っているんです。
一緒にひとつのステージを表現するので中途半端な気持ちでやってほしくないから、私も「本気でやりたい子だけでやっていきましょう」というスタンスで。私にとってバックダンサーというより、ステージに立っている時は同じ表現者なんです。みんなでひとつの方向を向いて、先頭きって全員を引っ張っていくのが好きなのかもしれないです(笑)。
ソロになったけどステージで支えてくれるダンサーがいる限り、一緒に「夢に向かってがんばっていこうよ!」という気持ちで活動していくんだろうなと思います。
—ということは、今Meikさんは「夢を叶えるためにさてどうしよう?」という段階なんですね。
Meik:そうですね。私、対バンライブみたいな自分のことをよく知らないお客さんも多いライブとか、めちゃくちゃ燃えるんです(笑)。「私のことなんとも思ってないんでしょう? でも絶対に虜にしてやる!」という気持ちで。ライブが進むにつれてお客さんの反応がどんどん楽しそうに変わっていくのがすごくうれしくて。人の心を動かすことはステージに立っているからできることだなと思うし、表現する側としても楽しいな! と感じますね。これからも爪痕を残していきます!
- リリース情報
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- Meik
『It's Time』 -
2019年3月20日配信
- Meik
- プロフィール
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- Meik (めいく)
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静岡出身。キッズダンサー時代からHIP HOPダンサーとしての実力はトップレベルを誇り、数多くの雑誌やメディアでも取り上げられ、デビュー前から多くのトップアーティストのMusic Videoにも出演。2013年にソニーレコーズより4人組ダンスボーカルグループJ☆Dee'Zのメンバーとしてメジャーデビューし、2016年11月にグループを卒業。J☆Dee'Z時代を経て、Meikは自身の目指すアーティスト像を追求するために動き出し、ソロ活動を開始。2017年7月26日にMeikのブラックフィーリング満載のミニアルバム『Make It Happen』でソロデビュー。2018年7月25日には2ndミニアルバム『Make Cheer』をリリース。キュート&ワイルドな18歳とは思えぬ迫力のライブパフォーマンス力を持つ。
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