逃避ではなく、ファッションでもなく、メッセージとして音楽を鳴らすバンドである。4月15日に1st EP『CREDO』をリリースした5ピースバンド、Chapman。
新型コロナウイルスの影響で世界中が混迷のなかにある今、最初の作品が世に出るということは、新人バンドとしては決して恵まれた状況ではないのかもしれない。しかし、彼らの音楽が持つ凛とした強さと、その奥にある確固とした信念と思想は、この混乱のなかでも薄れたり汚されたりすることなく、鮮明な輝きを放っている。
ceroとの出会いをきっかけにソウルミュージックへの扉を開いたというサウンドはメロウに躍動し、バンドが特に大切にしているという歌詞には、今の社会を、日本をリアルに見据える言葉が随所に散りばめられている。この音と言葉の融和がもたらすものは、安直に消費されていい類の快楽ではない。ここに鳴っているのは、鋭い眼差しで社会を、そして私たち自身の存在を抉りながら、その先に、心からの本当の喜びを見つけるための音楽である。メインコンポーザーであるNeggyとNAKADAIのふたりに、オンライン取材で話を聞いた。
「シティポップでしょ?」って捉えられることもあるけど、自分が住んでいる都会に煌びやかさは感じない。(NAKADAI)
―新型コロナウイルスの影響で今は本当にみんな大変な時期ですが、こうしてオンライン取材を受けてくださりありがとうございます。人が集まるのも難しい状況ですけど、今、バンド活動はどういった感じですか?
Neggy(Vo):こういう状況になる前から、僕らの曲の作り方はスタジオに集まるというより、データのやり取りを通してやっていくことが多かったんです。だから、曲作り自体に支障は出ていないんですよね。むしろ今は、週に3~4曲くらいのペースでデモを作れたらなって思いながらやっています。
―アクティブに創作活動をされているんですね。
Neggy:そうですね。スタジオに入れないのはキツいですけど、籠って音楽を作る時間ができたので、それを上手く利用していこうっていう感じです。
―4月15日に1st EP『CREDO』がリリースされましたが、自分たちの最初の作品がこうした状況下でリリースされたことに対して、思うことはありましたか?
Neggy:『CREDO』は活動を始めて1年半で出す初めてのEPで、自分たちとしては「やっと出せた~」っていう感じの作品だったんです。なので、最初はもう、「コロナ、マジかよ……」っていう感じでした。タワレコだって休業しているし、リリースに向けてやりたかったイベントもバンバン中止になったし。
気持ちが落ちそうにはなったんですけど、最近は「これはもう宿命なのかな」と思ってます。この時期にリリースが重なったことが、後々に大きな意味を生んでいくのかもしれないなって。今後、音楽業界の動きも変わっていくだろうし、今はポジティブな気持ちに切り替えていますね。「この先、どんな音楽を自分たちは発信したいんだろう?」ということを考え始めています。
―NAKADAIさんはどうですか?
NAKADAI(Key,Cho):『CREDO』は、サウンドも歌詞も「ながら聴き」するようなタイプの作品ではないと思うんですよ。僕としては、もっと重たく作ったつもりで。なので、この状況でみんなが家で音楽だけに耳を傾ける時間が増えるのであれば、そのなかでちゃんと聴いてほしい作品だなと思えているんです。そういうところは、今のリリースで逆によかったのかなって思っていますね。
Neggy:本当にそうだと思う。ここ数年の日本で流行った音楽って、ちょっと気分を煽ってくれるくらいのものだったと思うんです。でも、今はそうやって流し聴きするような音楽よりも、もっと強いメッセージが求められている気がするんですよ。「こうだぜ」「こうしよう」っていう、もっと大きくて強い提示が必要とされている。僕らが作っていきたいメッセージの強さや大きさは、今の世の中にハマるんじゃないかと思うんですよね。
―たしかに、僕はこの状況のなかで『CREDO』を聴かせていただいて、まず歌詞がすごく興味深いなと思ったんです。例えば1曲目“カーニバル”には<格差>という言葉が出てきたり、5曲目“J.A.M”には<モラルは国民任せ>なんていうフレーズがあったりする。曲自体はすごく快楽性が高いんだけど、歌っていることの前提にあるのは今の日本社会を鋭く見る視線なのかなと思ったんですよね。
Chapman『CREDO』を聴く(Apple Musicはこちら)
NAKADAI:そもそも僕がNeggyとバンドをやろうと思ったのも、こいつの書く歌詞が好きだからっていうのがあったんですよ。Chapmanは「シティポップでしょ?」って大きく捉えられることもあるんですけど、シティポップって歌詞の面でいうと、わりと煌びやかな都会を歌うものが昔も今も多いと思うんです。でも、僕らは幼い頃から都会で生きていて、別に自分が住んでいる場所に煌びやかさは感じないんですよね。だからこそ、Neggyの歌詞の至って現実的な部分がしっくりくるんです。Neggyは、みんなと同じ景色を見ているのは間違いないんだけど、そこに別の角度から切り込んでくれている、鋭い歌詞を書くなって思う。
―Neggyさんご自身は、歌詞にはどのように向き合っていますか?
Neggy:基本的には、解釈は聴き手に預けたいので抽象的な表現をしています。ただ、そのなかでも人間が思っていることの本質に突き刺せるようなメッセージが書きたいと思っていて。僕が書く歌詞のすべてに共通しているのは、「but」が前提になっていることだと思うんです。ひとつの感情や状況に対して、「でも~」っていう感覚が入っている。全部に葛藤が詰め込まれているというか。
―人間の本質を突こうと思ったとき、前提に葛藤が刻まれるのは、なぜなのでしょうか。
Neggy:僕自身が、人生のなかで両極端なコミュニティにいる機会が多かったんですよね。生活のいろんな面で両極を見てきたからこそ、気づきがあったのかなと思います。
その人が心から踊りたくて踊っているんじゃなくて、隣にいる人が踊っているのを見て踊っているっていう感覚。それがすごく日本っぽいと思う。(Neggy)
―その「両極」というのを詳しく知りたいです。
Neggy:虚構で生きまくっていた時期があったんですよ。僕は中学校から私立の学校に入って、エスカレーターで大学まで行って、世間的には「いい子」と言われるような育ち方をしてきたんです。特に小中高はムードメイカー的な存在で、ホームルームの時間にコントをやるような、いわゆる「陽キャ」って感じの人間だったんですよね。
でも、メンタルをぶっ壊してしまった時期があって。パニック障害に近い診断を受けたりして、ムードメイカーと言われてきた自分のなかに、すごく鬱鬱しい自分がいたことに気づいた時期があったんです。自分がかぶっていた仮面の下にあったもう一人の自分に、ずっと仮面をかぶり続けてきたからこそ気づけたっていう感じでした。
―なるほど。
Neggy:仮面をかぶっている間は、仮面を被っている自覚なんてもちろんなかったですけどね。あと、就職活動の時期も大きかったと思います。就活が始まったとき、今まで大口を叩いていた人も、我が道をいっていた人も、みんな格好を揃えて同じ列に並んでいたんですよ。それを見て、「ここに並ぶの怖いな」って感覚的に思って、勢いだけで休学を選んだんです。
音楽活動やSNSの発信もやめて、ひたすら人々と自分を俯瞰する時間を作って自分の本心と向き合ってみたら、これまでの自分と比較して見えてくるものがあって。これが私立のエスカレーター校に入って、ある種レールに乗り続けてきた自分が初めてレールから外れた瞬間だったから、気づきが多かったですね。
―今Neggyさんが話してくれた、社会を見る角度をどうやって培ったのかという点でいうと、NAKADAIさんはどうですか?
NAKADAI:僕の場合は昔からはみ出し者というか(笑)。クラスで問題を起こして目立っちゃうタイプだったんですよね。
「そういうのはよくない、みんなと馴染まなくちゃいけない」って先生は言うんですよ。でも、大学に入ったくらいの頃から、「果たしてみんなに染まること、みんなと肩を並べて生きていくことが正義なんだろうか?」と考え始めて。例えば最近だと、デマが拡散されてトイレットペーパーが買い占めされたりしたじゃないですか。
―そうですね。
NAKADAI:ああいった「自分の頭で考える前にとりあえず周りと一緒に動く」っていう日本人の国民性みたいなものについても、その頃から考えるようになったんですよね。他の国も同じような感じなのかもしれないけど、でも日本人である僕らは特にそうなのかもしれないなと思って。僕は自分の頭で考えて判断することが大事だと思うので、それをもっと、みんなに音楽を通して伝えたいなと思う。
NAKADAI:さっき、“カーニバル”の歌詞について少し言ってくれましたけど、僕はこの歌詞を見て、「踊らされている人たち」っていう光景を想像したんです。それもすごく日本人的なものなのかなと思うんですけど、Neggy自身としてはどうなの?
Neggy:“カーニバル”に「踊らされている」っていう感覚があるのは、本当に意識していたところで。その人が心から踊りたくて踊っているんじゃなくて、隣にいる人が踊っているのを見て踊っているっていう感覚。それがどんどん連鎖されていくコミュニティっていうものが、すごく日本っぽいなと思うんですよね。日本人って、生きづらい人種だなと思うんです。「それは本当に、その人の本心に則った言動なのかな?」って疑問に思うことが多いし。
Chapman“カーニバル”を聴く(Apple Musicはこちら)
―NAKADAIさんがトイレットペーパーのことを話してくださいましたけど、このコロナ禍のなかで改めて見えてくる日本人の国民性というのもありますもんね。
Neggy:そうですね。日本はメンタリティ的な部分で、コロナの影響をかなり受けるんじゃないかと思います。日本人は他人がやっていることを同じようにやるのが好きだし、「こうするべき」とか「こうあるべき」っていう基準を満たすことで安心感を得ることができると思うんですよ。そこから先はもう、自分がどれだけその基準を上回っているかっていうマウントの取り合いをしているだけで。
でも、そういう日本人の心の満たし方を、コロナによってすごく封じられてしまっていると思うんですよね。もしかしたらそれによって、自殺者とか、鬱になってしまう人も増えてしまうかもしれない。音楽はそこまで落ちてしまった人を救うことはできないかもしれないけど、マイナスにいる人たちを標準に持ってくるくらいのことはできると思うんですよ。そういう音楽の提示をやっていきたいと思っていますね。
これからのご時世、バンドで食っていくのはさらに難しくなる。「誰かになにかを発信している」ということに対して、もっともっと自覚的にならないといけない。(Neggy)
―今話していただいているような社会の話って、バンド内でもよくされるんですか?
NAKADAI:俺とお前で、毎日のようにしてるよな(笑)。
Neggy:そうだね(笑)。僕は本当に、内省しまくりの人生っていう感じなんですよ。毎日毎日、掘り続けているような感覚で。その都度出てくる葛藤を、NAKADAIにはぶつけることができているので、それによって思想やメッセージが磨かれている感じがしますね。
NAKADAI:バンドメンバーとも話すんですけど、特に俺とNeggyは音楽以外の話をする時間も長くて。例えば、星野源の動画に安倍総理がコラボしたときも、すぐにNeggyに電話をかけて「あれ、どう思う?」って話したり(笑)。いちいち、社会のことについて意見をぶつけ合っている感じですね。
Neggy:多分今夜も、NAKADAIに電話してなんか話すと思います(笑)。
―(笑)。いいですね、そういう関係性は。
Neggy:他のメンバーもそうですけど、ビジネスで集まった関係ではまったくないですからね。
NAKADAI:幸せなことだと思います、この関係でバンドをやれているのは。これからのご時世、バンドで食っていくのはさらに難しくなっていくと思うんです。「それでも、音楽をやっていく意味ってなんなんだ?」ということに関しては、僕も内省の繰り返しなんですよね。
その内省の結果、見えてくるのは、「誰かになにかを発信している」っていうことに対して、もっともっと自覚的にならないといけないということで。だからこそ、歌詞は大事になってくるし。その部分がなければ、自分のなかでも音楽をやっていく気持ちはなくなってしまいそうだなと思う。
合理的に判断を下しまくることで、人は成功できるんだろうとは思うんですよ。でも、大成するのは、非合理な決断もできる人。(Neggy)
―『CREDO』収録曲の編曲はすべてNAKADAIさんがクレジットされていますね。
NAKADAI:そうですね。
―編曲をされるときに、Neggyさんの歌詞の世界観も意識されますか?
NAKADAI:Neggyの世界観にあった編曲をすることは、めちゃくちゃ大事にしていますね。例えば、“J.A.M”は「情報」をテーマにした歌詞で。日々、大量に流れてくる情報にうんざりするし、その情報を受け止めきれない自分にも苛立ったりするし。そういう、「とめどなく流れていく情報」っていう歌詞のモチーフに影響を受けて、編曲段階でぶっ壊れたようなギターソロを入れたりしました。そうすることで、情報過多による違和感や狂気を表現できるかなと思って。
NAKADAI:この曲は元々、<Stop the radio>っていう歌詞のフレーズから“ラジオ”という仮タイトルがついていたんですよ。そこから「情報が渋滞している」っていう意味で、交通渋滞を意味する「Traffic jam」の「JAM」をタイトルにしたんです。
Neggy:コロナの対策とか政府の方針に関しても顕著ですけど、今は本当にいろんな種類の情報が入ってきますからね。そのなかにはストレスフルで有益じゃないものもあるかもしれないけど、今はもう情報が入ってくることを止めることができないし、自分自身が、その情報を欲してしまう……そういうことが、“J.A.M”の歌詞の前提にはありますね。
Chapman“J.A.M”を聴く(Apple Musicはこちら)
NAKADAI:あと、“PILLAR”の途中で環境音が入ってくるじゃないですか。
―なにか、車の音のようなものが入っていますよね。
NAKADAI:あれはミックス段階では入っていなかったんですよ。でも、ミックスの日に立ち合いながら歌詞を見ていたら、<中夜に紛れよう>っていう歌詞が気になったんですよね。「紛れるのかぁ」と思って、それから急いでNeggyに電話して、iPhoneで環境音を録ってもらって。そのままミックスに入れてもらったんです。
Neggy:ちょうど、“PILLAR”を作ったときに頭のなかで描いていた場所があったんですよ。そこにわざわざ、iPhoneで録りに行きました(笑)。
Chapman“PILLAR”を聴く(Apple Musicはこちら)
―それは、Neggyさんにとってどんな場所なんですか?
Neggy:御茶ノ水駅の、丸ノ内線とJR線の間に橋があるんですよ。その橋からプラントが見えるんです。その情景をイメージして“PILLAR”の歌詞を書きました。その橋からプラントを見ながら、4年ぐらい前にも、今と同じことを考えていたなと思って。
―どんなことを考えられていたんですか?
Neggy:そもそも、僕は普通に会社員をやりながら『CREDO』を制作していて、そのときに「会社を辞めて音楽に振り切ろう」っていう意識を固めたんです。当時の心情が<Maybe all fine>というフレーズにも表れているんですけど。
それまでも「会社を辞めよう」と考えたタイミングは何度かあったんですよ。でも、辞める利点と辞めない利点を考えると、ずっと「会社を辞める」っていう決断に至れなかったんですよね。それでも『CREDO』を作っている間に決断できたのは、自分のなかに眠っている大切なものって、合理で導き出すことはできないなと思ったからなんです。非合理でも、「なんとなく」でもいいから、「俺はこうするんだ」って決めることが大事なんだなって思ったんですよね。
―本当に、決断することは飛び込むことですよね。
Neggy:そう思います。根拠はなくても、自分が信じるものは必要だなって思う。合理的に判断を下しまくることで、人は成功できるんだろうとは思うんですよ。でも、大成するのは、非合理な決断もできる人だと思うんです。僕は後者を選びたいし、Chapmanはこんな時期に1st EPを出すことになりましたけど、それでも「たぶん大丈夫だ」って言い続けている。
そもそも“PILLAR”は、『CREDO』に入れる予定ではなかったんです。ただ、「CREDO」という言葉の意味や、曲のメッセージを考えたとき、このEPには自分の葛藤が全部詰まっているなと思って。だからこそ、『CREDO』を出す「今」のChapmanの葛藤を描いた曲も1曲、入れるべきだと思ったんですよね。“PILLAR”はそういう想いで作った曲だったんです。
NAKADAI:この1年ぐらいは、とにかく葛藤が多かったんですよね。Chapmanのメンバーには他にも社会人はいるし、どうやってバンド活動をやっていくのか、どんな規模を目指すのか……そういうところで、すごく悩んだ1年で。
例えば2曲目の“命脈”は、「バンドを辞めた翌日の朝の感情」っていうモチーフでNeggyが書いた歌詞だったんですよ。だから、編曲段階でもすごく現実感を意識して。でも、きっとバンドを辞めた翌日って、まだバンドを諦めきれていないと思う……というか、きっとずっと、僕らはバンドを諦めきれないと思うんですよね。
Chapman“命脈”を聴く(Apple Musicはこちら)
Neggy:普通、こんな曲を1st EPに入れないですよね(笑)。「バンドを辞めたときの気持ち」とか、重すぎる(笑)。
―ははは(笑)。でも、そこがChapmanの誠実さですね。
NAKADAI:普通、1st EPはもっと初々しいですよね(笑)。でも、これが俺らのスタンスだなっていう感じです。
自分たちが大事にしているものを最後まで追い切りたい。その強い気持ちが、夢を叶えさせてくれると思うので。(Neggy)
―最後の“Over the rain”は、今作のなかでも特に開けた楽曲だと思うんですけど、この曲はどのようなところから生まれた曲なのでしょう?
NAKADAI:“Over the rain”は去年の6月頃に作り始めたんですけど、当時、梅雨の時期で、じめじめして暗くなりがちだったんですよね。僕は普段から悲しみとか、負の感情に対する反骨心で曲ができることが多いんですけど、“Over the rain”も、土砂降りで、バイトで疲れていたなかで、深夜3時頃にピアノを弾いていたらできた曲で。そんなときに作ったからか、映画の主題歌みたいな、壮大な曲を作りたいなと自分では思っていました。だから、ストリングスやハープを入れて晴々とした感じにしようとしましたね。
NAKADAI:歌詞はどう?
Neggy:歌詞に関しては、自分たちに向けたアンセムを作りたいと思って書きました。周りに流されずに、自分たちの心の奥にあるものを大事にしていきたい……そういうことを自分たちに向けて言えている曲になったなと思います。
今の僕らがやっていることって、「音楽でプロを目指す」とか、「25歳で夢を語る」とか、人が満たしたがる基準からまったく外れた行為だと思うんですよ。もちろん、周りの会話に僕らも流されそうになることはあって。
NAKADAI:そうだね。
Neggy:それでも、自分たちが大事にしているものを最後まで追い切りたいんですよね。その強い気持ちが、夢を叶えさせてくれるんだろうと思うので。
社会的なメッセージの強いアルバムが支持されていたことは、今の自分たちにとっても希望になる。(NAKADAI)
―今日はかなり歌詞や思想の話をメインにお話を伺いましたけど、音楽的な影響源も知りたいです。
NAKADAI:僕はネオソウル全般が好きですね。ディアンジェロ、エリカ・バドゥ、The Soulquarians……ああいう人たちのすべてに自分は影響を受けていると思います。それに、ジョージ・ベンソンやEarth, Wind & Fireのようなファンクの人たちに、現代のビートミュージックシーンの人たち。例えばトム・ミッシュやジョーダン・ラカイ、アルファ・ミスト……挙げればキリがないですね。あと、マック・エアーズはNeggyと共有して聴いてましたね。
Neggy:そうだね。
NAKADAI:そもそも、僕らはアコースティックな音楽をやっていたんですけど、そこからガラッと音楽性が変わったきっかけはceroだったんです。『GREENROOM FESTIVAL』でceroのライブを観たときに、ジャンルとかを超越して「かっけぇ!」と思ったんですよね。『Obscure Ride』(2015年発表、ceroの3rdアルバム)とか、あの辺の作品にすごく影響を受けました。そこから彼らのルーツを掘っていったときに、ネオソウルに行きついたんです。
―1990年代のネオソウル勢もそうだし、もっと遡って、例えば1970年代のマーヴィン・ゲイなんかも、音楽的には美しく快楽的な側面を持ちながらも、メッセージ的には非常に濃度の高いものを発していたじゃないですか。そういうところも、Chapmanに受け継がれているのかもしれないですよね。
NAKADAI:まさにこの間、マーヴィン・ゲイの話をNeggyとしたんですよ。例えば『What’s Going On』(1971年発表)は、当時モータウンが享楽的な音楽をリリースしていたなかで、すごく社会的なメッセージの強いアルバムだったわけじゃないですか。でも、あのアルバムが支持されていたことは、今の自分たちにとっても希望になるなと思います。
―最後に、先ほども少し話にありましたけど、『CREDO』というタイトルはどういった理由で付けたんですか?
Neggy:「CREDO」は「信条」っていう意味の言葉なんです。“Over the rain”の話にも繫がりますけど、このEPは、今後どんなことがあっても、Chapmanが立ち返る価値観として置いておくべき作品なのかなと思うんですよね。だから、この言葉が合うと思ったんです。
あと、これはスパイス程度の意味なんですけど、僕とNAKADAIとベースのKidoは、10年以上、キリスト教の学校に通っていたんです。キリスト教には「使徒信条」っていう言葉があって、それが「クレド」と呼ばれるんですよね。僕らが10年以上、キリスト教の学校に通って聖歌を歌ってきたっていうルーツもどこかで表現したいなと思って、『CREDO』というタイトルにしました。
- リリース情報
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- Chapman
『CREDO』(CD) -
2020年4月15日(水)発売
価格:1,650円(税込)
EGGS-0451. カーニバル
2. 命脈
3. PILLAR
4. Kind man
5. J.A.M
6. Over the rain
- Chapman
- アプリ情報
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- 『Eggs』
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アーティストが自身の楽曲やプロフィール、活動情報、ライブ映像などを自由に登録・公開し、また、リスナーも登録された楽曲を聴き、プレビューや「いいね」等を行うことができる、アーティストとリスナーをつなぐ新しい音楽の無料プラットフォーム。登録アーティストの楽曲視聴や情報は、「Eggsアプリ」(無料)をダウンロードすると、いつでもお手もとでお楽しみいただけます。
料金:無料
- プロフィール
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- Chapman (ちゃっぷまん)
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2018年8月、中高の同級生らが軸となり結成。平均年齢25歳の5人組バンド。80s~90sのソウルやファンクを軸としながらもジャズ、ヒップホップ、ロック、近年のビートミュージックシーンからの影響をも感じさせる多彩な音楽性に、内省的かつ情緒溢れる詩を掛け合わせた楽曲が魅力。バンド結成1年で『SUMMER SONIC 2019』や、『ツタロックフェス 2019』などに出演し、早耳のリスナーや業界関係者から注目を集めている。4月15日、1stEP『CREDO』をリリース。
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